【熱海土石流】地質学者「造成で尾根が削られたことが原因」
毎日の記事に地質学者の見解がありました。
「造成で尾根が削られたことによって雨水の流れ込む範囲(集水域)が変化、盛り土側に雨水が流入した結果、土石流を誘発したと分析」とあり、赤井谷附近のメガソーラーと保養所や別荘の建設により、多量の水が谷に流れ込むようになった事が原因のようです。
谷からは元々海に向かって逢初川が流れており、ほぼ今回の土石流のルートと同じです。また、本来、別の鳴沢川に流れるはずの水も谷に流れ込み、そこには大量の盛り土があったので土石流を引き起こした、ということになります。
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https://mainichi.jp/articles/20210709/k00/00m/040/373000c
熱海土石流 造成が誘発した人為的な「河川争奪」地質学者が指摘
毎日新聞 2021/7/9 21:53(最終更新 7/9 22:06)
静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で起きた土石流で、現地調査に基づき「人災だ」と見解を公表した地質学者の塩坂邦雄さん(76)は9日、県庁での記者会見で、造成で尾根が削られたことによって雨水の流れ込む範囲(集水域)が変化、盛り土側に雨水が流入した結果、土石流を誘発したと分析した。【山田英之】
塩坂氏は土木学会の特別上級技術者。リニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区の問題を話し合う県中央新幹線環境保全連絡会議の地質構造・水資源専門部会の委員を務めている。
現地調査した印象を塩坂氏は「経験した中で最大の土石流の跡だった。(斜面から)湧き水が相当出ていた」と話した。塩坂氏によると、逢初(あいぞめ)川の集水域は盛り土よりも上流域で約4万平方メートル。「第一印象として、小さな流域で、なぜ土砂が滑り落ちたのかと思った。4万平方メートルに降った雨で滑り落ちるわけがない」と感じたという。
塩坂氏は、盛り土付近の造成で尾根が削られたことにより、逢初川の集水域よりさらに北部にある、鳴沢川の集水域約20万平方メートルに降った雨も、盛り土側に流れ込んだと分析している。造成地側から盛り土側に水が流れた跡も確認したという。
さらに、崩落した盛り土周辺と同様の地質構造の沢は熱海市内に複数あるが、それでも今回の雨で盛り土周辺が崩れた要因として、「河川争奪」を挙げた。河川の流域の一部分を別の河川が奪う地理的現象で、造成によって水の流れが変化し、逢初川よりも北部の鳴沢川に流れ込むはずの雨水が、谷を埋めた盛り土に流入。雨水が逢初川側に流れ込んだと主張した。
塩坂氏は「造成で尾根を平らにした。人為的な河川争奪だ。意図的にやったのか、知らずにやったのかは分からない。盛り土の土の隙間(すきま)に水がたまり、地下水も入り込んで浮力が働いて滑り落ちた」と説明した。
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記事に出てくる逢初川(下)と鳴沢川(上)。逢初川の上流の先に問題となった造成地があり、その左側にソーラー発電所の敷地があります。
「しずおか河川ナビゲーション」によると、逢初川の起点は赤井谷となっています。
逢初川(あいぞめがわ)
[延長]1,300m
【左岸】
[起点]熱海市伊豆山字赤井谷1079番の23地先
[終点]海に至る
【右岸】
[起点]熱海市伊豆山字赤井谷1076番地先
[終点]海に至る
下は逢初川の河口付近にある逢初橋です。川と言っても、通常の水量は少ないことが分かります。
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