【慰安婦裁判】ソウル中央地裁が「財産目録提出要求は適法」と判断/二転三転する『主権免除』に対する判断
ソウル中央地裁が日本に対し、1月8日の慰安婦裁判に勝訴した原告への賠償金支払いのため、韓国国内の財産目録を提出を求めるのは適法であるという判断を示しました。
日本の資産の差押えに一歩近づいたわけですが、今後の流れについては、読売新聞の記事から以下に引用します。
韓国の民事執行法によると、資産開示命令の決定書が日本側にも送達されれば、日本政府は指定された期日に資産の目録を提出する義務が生じる。ただ、日本政府は主権免除の原則から元慰安婦訴訟に一貫して応じておらず、受け取りを拒否するとみられる。送達されなかった場合は、裁判所が韓国内の銀行などに対して日本の資産を照会する手続きに移るかどうかが焦点となる。〔6月15日付け『元慰安婦訴訟、日本政府の資産開示命じる…ソウル中央地裁』〕
「二転三転」というのは、これまで同じソウル中央地裁において、2つの裁判〔一次訴訟(1月)と二次訴訟(4月)〕で判決に真逆の結果が出ただけでなく、一次訴訟の裁判費用について、3月には「被告(日本政府)に請求するのは『主権免除』に反する」という「決定文」が出され、今回は賠償金に関しては「請求は適法」という判断が示されたからです。
裁判自体は原告勝訴なので、日本政府へ請求する事は当然と言えば当然ですが、特に3月の決定文は人事異動で判事が入れ替わっているとは言え、1月に原告勝訴の判決を下した部署が出したもので、ソウル中央地裁の迷走っぷりが露呈しています。
長い〔無駄な〕時間を経て、韓国人が再び朝鮮人に戻りつつあると言うだけの話でしょう。
この判断に関する韓国人の反応は、ブログ主は中央日報に付けられたコメント(4件)しか見ていませんが、ソウル中央地裁に対して批判的なものでした。但し、中央日報や朝鮮日報の元記事に直接書かれるコメントは、日本のYahooニュースのようなNAVERやDAUMに転記された記事に付けられるコメントよりは理性的なものになる傾向があります。
以下、詳しい中央日報の記事を引用します。
◇ ◇ ◇ ◇
https://japanese.joins.com/JArticle/279697
韓国語:https://news.joins.com/article/24082850
またひっくり返った慰安婦判決…韓国裁判所、今度は「強制執行は適法」
中央日報日本語版 2021.06.16 06:58
今年1月に日本政府に対する損害賠償訴訟で勝訴した慰安婦被害者ペ・チュンヒさんら12人が「韓国内で強制執行できる日本の財産を明示してほしい」と出していた申請を裁判所が受け入れた。15日、法曹界によると、ソウル中央地方法院(地裁)民事第51単独ナム・ソンウ判事は9日、日本政府に対して財産状態を明示した財産目録を提出するよう命じる決定を出した。訴訟を通した慰安婦および強制徴用被害者の対日賠償請求権と強制執行権限を事実上否定した同じ裁判所民事第34部(裁判長キム・ヤンホ)などの決定を再びひっくり返す内容だ。
ソウル中央地方法院民事第34部(裁判長キム・ジョンゴン)は今年1月、ペさんらが出した損害賠償訴訟で、日本に対して原告に各1億ウォン(約984万円)を賠償するよう命じる判決を下した。この判決は日本政府が控訴せず、そのまま確定し、ペさんらは強制執行のために裁判所に「財産明示申請」を出した。財産明示申請は、確定判決に基づいて強制執行を開始するとき債務者(日本政府)の財産目録を確認することを裁判所に要請することだ。
ナム判事は決定文で、日本に対して財産明示を決定し、今回の強制執行申請が適法どうかについても職権で判断した。ナム判事は外交的問題は司法府が判断で考慮する事項ではないとの前提を明らかにした。ナム判事は「確定判決により、日本国に対する強制執行実施以降に発生する対日関係の悪化や経済報復など国家間の緊張発生問題は外交権を管轄する政府の固有領域で、司法府の領域からは外れることなので、強制執行申請が適法かどうかを判断するにあたり考慮事項から除外して法理的判断を行うべきだ」と決定文に書いた。
あわせて慰安婦被害者の損害賠償請求権が消滅したのか、この事件に国際法上国家免除が適用されるかどうかを問うた。この2つの争点は本案訴訟でも核心的に扱われた争点だ。
ナム判事は「強制動員労働者の日本企業に対する慰謝料請求権は韓日請求権協定に含まれないので訴訟を起こすことができると判断した大法院全員合議体判決があり、これを慰安婦被害者の請求権と違うものとみることができない」と判断した。慰安婦被害者の日本政府に対する損害賠償請求や強制執行申請が、外交関係に対するウィーン条約を違反したのでもないとした。
ナム判事はこの事件が国家免除の例外に該当すると判断し、強制執行申請が適法だという結論を出した。国家によって強行された重大な人権侵害行為に対して国家免除を認めることは、かえって国際社会共同の利益を脅かし、国家免除理論は恒久的な価値ではないという判断からだ。
今回の決定文で明示された韓日請求権協定と損害賠償請求権が消滅しているかどうか、また国家免除例外を認めるかどうかの判断は、過去6カ月の間に裁判所で何度もひっくり返った。慰安婦被害女性の1・2次訴訟は、ソウル中央地方法院だけで、慰安婦被害者は損害賠償を受けることができるという1次判決(1月)以降、強制執行は不適切で訴訟費用は日本から受け取ることはできないという決定(3月)、国家免除により日本政府に対して損害賠償請求は許容できないという2次判決(4月)、そして強制執行は適法と判断して日本に対して財産を明示するよう命じる今回の決定まで、判決の主要趣旨が2度も正反対に覆った。
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