【悪意の教科書】山川出版の中学歴史教科書の『従軍慰安婦』復活【何が問題か】
公開:2021-03-26 13:38:00 最終更新:2021/04/28 8:19
令和元年(2019年)度の教科書検定に合格した山川出版社の中学生歴史教科書に『従軍慰安婦』という単語が復活し、本年度4月から使用されます。
これについて、国会でも論議が行われています。
◆何が問題か?
この教科書の問題は大きく分けて2点あります。
まず、中学生に「慰安婦」や「慰安施設」の存在、つまり、兵士の「性処理」について教える必要があるのか? 教えることで子供達に害があるのではないか?ということ。そして、「従軍慰安婦」という言葉に誤りがあるだけでなく、記述そのものが誤解を与えること。事実をねじ曲げて教えようとしている意図が見え隠れしているのです。
明らかに、「日本人は悪である」という意識を子供達に植え付けようとしている悪意を感じる教科書です。
韓国国内ですら、一部の学者を中心に正しい歴史認識を広めようとしている時に、肝心の日本がなにをやってるのだ?という話です。
この件については、後ほどもう少し詳しく述べます。
◆どうしたら修正させられるのか?
それでは、どうしたらこの教科書を修正させられるのかについては、2月8日の衆院予算委員会で加藤勝信官房長官が答弁の中で述べた「近年、政府は『慰安婦』という用語を用いており、『従軍慰安婦』は用いていない」という発言内容を閣議決定する方法が考えられます。これを政府の公式見解とすることで、少なくとも「従軍慰安婦」という表現は不適切となるからです。
尤も、本来は、教科書検定の段階で、この部分を不適切とすべきでした。しかし、所謂「加計問題」で露呈したように、文科省そのものが邪(よこしま)な省庁であること、「つくる会」の歴史教科書を不合格にした時に噂されたように、その中の教科書調査官に問題のある人物(アサヒ芸能の記事では北朝鮮のスパイ)が入り込んでいることから、諸悪の根源は文科省にあると思います。日本獣医師会が山川出版社に代わっただけで、構図は「加計問題」と同じです。さしずめ、つくる会は加計学園みたいなものでしょうか。違いは、教科書調査官が国家戦略特区の「ワーキンググループ」のような組織ではないことです。
再び、この教科書の修正の可能性について戻りますが、具体的には文科大臣によって「従軍慰安婦記述削除の訂正申請勧告」を出させることが必要です。
「訂正申請勧告」とは分かり難い言葉ですが、教科書を後から修正するためには、教科書会社からの「訂正申請」が必要です。文科省が誤りを見つけた場合は、直接命令して修正させるのではなく、「訂正申請をするように」という「勧告」を教科書会社に行い、訂正申請をさせるという手順になります。
現状でも萩生田光一文科大臣がこの勧告を出せるはずですが、それをしようとしないので、「従軍慰安婦は誤り」という政府見解をもってして修正を迫ることが必要だということです。(28年1月18日の参議院予算委員会で中山恭子議員の質問に安倍総理は性奴隷を否定する発言をしているが、答弁中の発言では公式な「談話」などより弱いようである。)
◇ ◇ ◇ ◇
以下、もう少し詳細に山川出版社の歴史教科書の問題点を考えていきます。
問題の記述は『中学歴史 日本と世界』の単元「戦時下の国民生活」、小見出し「戦時体制下の植民地・占領地」にあります。
まず本文に、
多くの朝鮮人や中国人が日本に徴用され、鉱山や工場などで過酷な条件の下での労働を強いられた。(①)
とあり、①の注釈を見ろという指示があります。そして注釈には、
①戦地に設けられた「慰安施設」には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)
とあります。(※2021/03/30 部分については訂正された【後述】)
本文も問題がありますが、ここでは「従軍慰安婦」に限定して書くと、そもそも「従軍慰安婦」という言葉が、戦後作られた造語であるということです。
これは、元毎日新聞記者の千田夏光が著し、1973年に出版された『従軍慰安婦』という本のタイトルに使われた言葉です。本来そのような言葉は無いので、文中には「慰安婦」としか出てこないそうで、おそらく、タイトルを付ける段になって作られた言葉なのでしょう。
上記リンク先のWikipediaに書いてあるように、韓国のメディアが60年代末から言い始めた「挺身隊動員を受けた女性が20万人、その内、朝鮮人が5 - 7万」(※)という根拠の無い数字が小説にも使われており、よく韓国人が言う「20万人の性奴隷」と「従軍慰安婦」という言葉はリンクしています。
※韓国ではしばらく「挺身隊」と「(日本軍)慰安婦」の混同があったことに注意。慰安婦という言葉が一般的な売春婦にも使われるようになり、女子挺身隊が日本軍慰安婦だと思われていた。韓国の活動団体「正義連」が「挺身隊問題対策協議会(挺対協)」から名称を改めたのも2018年のこと。
1960年代までは慰安婦が売春婦の意味で使われており、朝鮮戦争(1950~53年)では軍専用の売春婦は韓国軍慰安婦、米軍慰安婦と呼ばれた。 70年代以降は民間の売春婦には使われなくなったが、90年代まで米軍慰安婦という言葉は残った。(李承晩TV:[日本軍慰安婦問題の真実] 3. 1950-60年代の米軍慰安婦)
1966年に韓国大法院が「慰安婦」とは一般に売春婦を指すとした判決が出ている。(韓国語判決要旨)内容から判断すると、怪我か何かで仕事が続けられなくなった売春婦が「売春婦ではなく『慰安婦』だ」と主張して損害賠償を求めたが、違法行為(=売春)の収入を元にした損害額の算出は認められないという判決らしい。
また、そもそも「従軍○○」(ex. 従軍看護婦)という言葉は「軍属」(兵士以外の軍に属する者)に使われる言葉であり、国から給金を貰っていた人達です。「従軍慰安婦」は言葉として間違っているのです。
これを「いわゆる従軍慰安婦」としたから良いのだと文科省は釈明しますが、「いわゆる」というのは、「世間一般でそう言われている」とか「俗に言う」という言葉で、それなら正式な用語であり、一般に使われている「慰安婦」と書けばいいはずです。
これは「河野談話」(平成5年8月4日)の書き出しが「いわゆる従軍慰安婦問題については...」を根拠にしていると文科省は説明しています。が、朝日新聞の慰安婦キャンペーンで虚実入り交じった情報があって混乱していた時期の話で、現在、慰安婦問題を論じる時などでもわざわざ「従軍慰安婦」とは、少なくともメディアでは使っていません。河野談話の頃に間違って覚えてしまった人がこの言葉を使うのはたまに見かけますが、既に世間一般ですら使われていない言葉です。
「いわゆる従軍慰安婦」というのは河野談話とも結びついているのです。
なお、河野談話は、行為の「主体」(主語)や日本軍・政府(官)の「関与の度合い」などに曖昧性があり、ブログ主はこれを良しとは思っていませんが、これ自体は日本軍や日本政府による強制性を認めたものではありません。問題はこの後の記者会見で河野洋平が「強制性があった」かと聞かれて「そう思って頂いて結構です」と口走ってしまったことです。
日本政府が河野談話を継承すると言っているのは談話文のみであり、韓国は河野洋平氏の発言も含めて河野談話と認識しています。
河野談話自体も前述のように主語が曖昧だったり、誤読を生みやすいものです。
基本的には第2段落が調査結果をまとめたもので、「慰安婦の募集については(・・・)業者が」と業者が甘言・強圧を用いたと明確に述べています。「官憲等が直接これに加担した」の部分はいわゆるスマラン事件(インドネシアでオランダ人売春婦を許可無くそのまま継承した事件。公式には強姦事件とされているが、女性達は売春婦。)で、朝鮮の事ではありません。
「なお」で始まる第3段落は朝鮮半島の事を言っていますが、「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等」の主語が消えています。ここでも募集は民間の業者です。
仮に河野談話が韓国側の言うように「強制性を認めた発言」であったとしても、あくまでも政治的な発言であり、慰安婦=“性奴隷”を証明する「史料」となるものではありません。吉田清治の“奴隷狩り”が嘘だと判明して朝日新聞が謝罪したのは更に20年も後のことです。
また、もし「慰安婦」を取りあげたいのであっても、これは植民地(ここでは日本の一部であった台湾、朝鮮も含む)だけの問題ではありません。正確な人数は把握されていませんが、おおよそ5割が日本人女性と言われており、植民地の女性だけが慰安婦であったような誤解を与えます。
これについても、文科省は「戦時体制下の植民地・占領地」という見出しの下で扱っているからという詭弁を弄していますが、その単元の元で解説することそのものが誤りなのです。慰安婦の全体像が分からない中学生には不十分な情報です。
この短い記述だけで、いかに山川出版社が邪悪な意図を持って子供を洗脳しようとしている会社か分かると思います。
もう一つの問題、それは「戦場の性処理」を子供達に教える必要があるのかということです。
例えば、江戸時代の文化を教えるのに、吉原や遊郭をわざわざ教える必要があるでしょうか? 事実であっても、仮に、日本統治時代の朝鮮の状況を教えるに当たって、朝鮮時代から続く「妓生」(役人向けの官妓)の存在や「貧困に喘ぐ下層民が娘を売り飛ばしたり、騙して遊郭に売る悪徳業者が横行していた」などと教える必要がないのと同じ事です。
要するに、教育上の問題です。
ちなみに、「慰安婦」について、韓国のある教科書(小学校5年生用)には、「日本軍慰安婦は、日本軍が侵略戦争を起こした後、日本軍と日本政府が戦場に強制的に動員し、持続的な性的暴力と人権侵害を受けた女性を指す。」(原文:일본군 위안부는 일본군이 침략 전쟁을 일으킨 이후 일본군과 일본 정부가 전쟁터에 강제로 동원하여 지속적으로 성폭력과 인권 침해를 당한 여성을 가리킨다.)と書いてあるそうです。(国史教科書研究所の金柄憲所長のFBより)
これを、長年、韓国の教科書を正す活動をしてこられた金柄憲(キム・ビョンホン)所長は、内容の誤りだけで無く、このようなことを子供達に教えるのは「虐待」に等しいと批判しています。
こうした配慮は大人なら当然のことだと思います。
◇ ◇ ◇ ◇
【※2021/03/30追記】本日の参議院・文教科学委員会の日本維新の会・松沢成文委員の質疑で「中国人は『国民』ではないので『徴用』というのは明白な誤りである」という指摘があったが、答弁により、昨年11月に出版社からの訂正申請があり、訂正されていたことが判明。
◇ ◇ ◇ ◇
以下、関係する動画やサイト、記事をまとめておきます。
2月8日の加藤勝信官房長官の国会での発言
https://www.sankei.com/politics/news/210208/plt2102080036-n1.html
政府「従軍慰安婦」用いず 加藤長官、中学教科書と一線
2021.2.8
加藤勝信官房長官は8日の衆院予算委員会で、慰安婦をめぐる表現について「近年、政府は『慰安婦』という用語を用いており、『従軍慰安婦』は用いていない」と述べた。日本維新の会の藤田文武氏の質問に答えた。
加藤氏は、平成5年の河野洋平官房長官談話で「従軍慰安婦」という用語を使った理由について「同年ごろ、多くの人が『従軍慰安婦』という言葉を用いていた事情があったため、政府としてはかつて『いわゆる』という言葉を付して表現した」と説明した。
一方、今年4月から使われる中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」との記述が復活したことに関して、萩生田光一文部科学相は「教科書検定が適切に行われた結果、当該図書は検定に合格した」と語り、検定基準に沿ったものだとの認識を強調した。
なでしこアクション
国会での質疑(動画など)
- 2021年2月8日(月)衆議院予算委員会:日本維新の会 藤田文武議員の質疑 ※加藤官房長官の発言を引き出した
藤田 文武 ブログ『中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」の記載は不適切である〜予算委員会質疑より〜』内にYouTube動画あり。
国会議事録:https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120405261X00620210208
- 2021年3月16日(月)参議院:日本維新の会 松沢成文議員の質疑
つくる会チャンネルの動画(解説付き):緊急!!松沢成文議員vs萩生田光一文科大臣『山川出版従軍慰安婦教科書を追及』藤岡信勝が徹底解説~嘘と詭弁の文科省答弁を丸裸にする
参議院webTV:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6183
- 2021年3月22日(月) 参議院:自民党 有村治子議員の質疑
つくる会チャンネルの動画(解説付き):緊急!!有村治子議員vs萩生田光一文科大臣『山川出版従軍慰安婦教科書を追及』文科省を追い詰める!!藤岡信勝が徹底分析!!【つくる会CH】
参議院webTV:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6200
河野談話の検証(外務省HP)
- 平成26年6月20日(2014)
有識者会議
河野談話を検証
河野談話作成過程等に関する検討チーム
「日本政府による調査と内閣官房長官談話」の下記文書参照
慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯~河野談話作成からアジア女性基金まで~(平成26年6月)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000042166.pdf
英語版:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000042167.pdf
教科書の「訂正申請勧告」について
- 月刊正論(動画):@CHANNELSEIRON「正論ウィークリー」教科書「従軍慰安婦」記述をなくすために
検定基準も解説されている
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