【慰安婦問題】自称元慰安婦・李容洙(イ・ヨンス)、慰安婦裁判のICJ付託を公開要求
ラムザイヤー教授の論文が一石を投じた慰安婦問題は、日本側で騒いでいるのはネチズン(ネット民)くらいなものですが、韓国側では恐ろしいスピードでその波紋が広がっています。
このエントリーではその後の動きをメモしておきます。
◆日韓知識人の訴え―慰安婦議論を潰してはならない
既にブログに書いたように、ラムザイヤー教授の論文に対して、まず、ハーバードの韓国人学生(と中国人学生)が、学生新聞『ハーバード・クリムゾン』に何人かの教授のコメントと共に批判記事を書きました。
それに対して、日韓それぞれの学者や弁護士(日本は西岡力・麗澤大学教授を中心とする6名の学者、韓国は李栄薫・元ソウル大学教授を中心とする学者や弁護士【下図】)がラムザイヤー論文を擁護する声明を発表しました。(2月10日付け「歴史認識問題研究会」NEWS)(シンシアリーのブログ)
こうした中、李栄薫(イ・ヨンフン)氏が学長を務める『李承晩学堂』では『ハーバード大教授の慰安婦論文を正しく読む』という動画を公開したり、李宇衍(イ・ウヨン)博士も『ペン&マイク』に出演して、論文の内容を説明しました。(李宇衍博士の解説はこちらのJBpressの記事でも読めます。)
この論文はあくまでも慰安婦の「年季奉公」(※)の各種条件がどのように決まったいったのかという論理をテーマにしたものですが、「慰安婦は性奴隷ではない」という産経新聞の記事の見出しに韓国人が怒り狂ったためです。
※個人的には、「年季奉公」というシステムが、(特に欧米人から見たら)奴隷的システムに見えるのかも知れないとは思いますが、韓国人はそのようなことを問題としているのではなく、慰安婦は“拉致され、監禁されて性奴隷にさせられた”女性でなくてはならないので、反発しています。
更に、14日、『反日種族主義』の李栄薫(イ・ヨンフン)・元ソウル大学教授や柳錫春(リュ・ソクチュン)元延世大学教授、鄭奎載 (ジョン・ギュジェ)氏(元ネットメディア『ペン&マイク』の主筆で現在釜山市長選挙に立候補中)の3名の声明を、ネットメディアの『メディアウォッチ』の代表取締役名義で関係各署に送付しました。
今回のレターの宛先はハーバード・クリムゾンの記事内でコメントを寄せていた学者のようです。
柳教授は大学在任中、「慰安婦は売春婦」と発言して、“慰安婦被害者”の名誉を毀損したと訴えられ(韓国では第三者も名誉毀損で訴えられる)、現在も裁判中。鄭奎載氏は元韓国経済新聞論説顧問で、保守系ネットメディアの『ペン&マイク』の主筆となる経緯は詳しくは知りませんが、韓国ではメディアの労組(言論労組)が強いので、保守派は追放され、こうした人々がYouTuberになるパターンが多いそうです。
手紙の内容は、学問の自由を訴えるもので、韓国内でもようやく慰安婦問題を理性的に論じることができるようになったのだから介入するな、というものです。
これを半官半民のテレビ局MBCが批判的に報じたので、上記の3名やメディアウォッチのYouTube動画には、批判的なコメントを書き込む人が増えています。
手紙には、ハーバードの学生によるパネルディスカッションに李容洙(イ・ヨンス)を出すなということも、最近見つかった1992年の動画も示して書かれていましたが、16日には予定通り映像出演し、いつものように涙ながらに“被害”を語っていたようです。
◆李容洙「国際司法裁判所に付託を!」
さて、そんな李容洙氏が16日、文在寅大統領と国民に向けて、慰安婦問題をICJ(国際司法裁判所)に提訴するよう訴える記者会見を行い、声明文を発表しました。バックには「日本軍慰安婦問題ICJ付託推進委員会」なる団体がついているとのことです。(声明文後述)
その内容は、“日本政府が慰安婦裁判で敗訴したのに賠償金も支払わずに居直っているため、国際法廷で日本の罪を明らかにしたい”というものです。
以前、イタリア人が戦時中の強制労働を巡り、イタリア国内でドイツ政府を訴えたことがあり勝訴(1998年)、ドイツはこれを「主権免除」に反するとしてICJに提訴して勝訴した(2012年)ことがあります。
これに当てはめれば、日本側がICJに付託する立場ですが、逆に日本を訴えろ、と言うわけです。
ここで、ブログ主も初めて知ったのですが、ICJには「強制管轄権」というものがあり、日本はこれを受諾しているので、日本相手に裁判が提訴されたら応じる義務があります。一方、韓国(他には、中国、ロシアも)は「強制管轄権」を受諾していないので応じる義務はありません。
この発言を受けて青瓦台(韓国政府)は、「被害者の意見を聴取する」、「慎重に進める」と発言していますが、今のところどうなるかは分かりません。
聯合ニュースはICJ付託に関し、「人類の普遍的価値である人道問題」なので韓国が有利だが、日本側は「日韓基本条約」や(所謂)「徴用工裁判」も持ち出して、「国際法違反」を主張する可能性がある、と危惧も示しています。
先に判決が出た慰安婦裁判(1月8日)に対しては、文在寅大統領は「正直、困惑している」と言及し、2015年の慰安婦合意を公式な合意だと認める発言をしました。
しかし、文在寅に一貫性や論理性を求めても無駄なので、世論の動静を見て、態度が変わる可能性があります。
ブログ主個人としては、韓国の機先を制するつもりで、所謂徴用工裁判を日韓基本条約を一歩的に反故にするもので国際法違反だとしてICJに提訴したらいいと思います。あの判決は、合意を無視して「日本の併合が“不法な占拠”である」という前提で下されたものなので。
◆ハーバード大学長「『慰安婦=売春婦』主張は学問の自由…問題ない」
VANKや韓国人団体が論文撤回やラムザイヤー教授の辞任を求める活動を展開する中、ハーバード大学学長が声明を発表したそうです。(中央日報の記事後述)
◇ ◇ ◇ ◇
以下は、李容洙の声明全文です。(yahoo『「もはや方法がない」被害者・李容洙さんが’慰安婦’問題のICJ付託を日韓政府に訴え』/徐台教/2/16)より引用。
文在寅大統領、そして尊敬する国民の皆さん、
この文章は私が話した内容を、『賠償と教育のための慰安婦行動』のキム・ヒョンジョン代表と、『慰安婦と共にする市民の会』のソ・ヒョクス代表が共に書き記したものを、私が検討したものです。
私は朝鮮の娘です。当時、朝鮮は無法地帯でした。日本の巡査が長い刀を下げて歩き回りながら、何でもやたらと奪っていき、言うことを聞かなければ刺して殴っていた時代です。 虎が来ると言っても鳴きやまない子供が、巡査が来ると言うとすぐに泣きやみました。 そんな時代に私も連れて行かれました。
年も幼く分別がないためその時は分からなかったが、やられてから、水曜デモに出て(日本政府の)「公式な謝罪」と「法的な賠償」を叫びながら、よくよく考えてみれば、その時は無法地帯だと言ったが、今も法がないのか(と考える)?なぜ私たちが30年間、同じスローガンを叫ばなければならないのか。
私は今まで、できる限りのことをしました。 世界中に行って証言もし、米国に行って決議案も通過させ、サンフランシスコに碑も建てました。裁判もしました。日本でも裁判をしました。ところが、日本は今もその無法振りを見せています。1回目は勝って、2回目は負けて、3回目は書類を黒塗りにしました。
そして韓国の裁判所に行きました。ところが日本は判決を無視しながら、控訴すらしないまま居直っています。あべこべに韓国の裁判所が国際法に違反したと言い張っています。今もアメリカでハーバード大の教授を使って嘘をついています。
私はお金をくれというのではありません。完全な認定と謝罪を受けなければなりません。もう方法がありません。韓国政府が、国際法で日本の罪を明らかにしてください。日本が過ちを悟って反省するよう、国際司法裁判所で判断を受けてください。国際司法裁判所で公正な判断を受け、完全な解決をし、両国間を仇とせずに親しく過ごしたいです。
私は切迫した気持ちです。もう時間がありません。私が(先に亡くなった元’慰安婦’被害者の)お婆さんたちの所に行って話せるように、大統領が韓国政府が国際法の判決を受けるようにしてほしいというのが最後の願いです。
私は日本のことがとても残念です。これから育つ両国の学生達は交流をして、互いに知り合い、親しくなりながら正しい歴史の勉強をしなければなりません。
言うまでもなく、両国がこの責任を負って国際裁判所に一緒に行きましょう。行って完全な解決をして、両国間で仇とならずに親しく過ごさなければならないでしょう?いつまでこんなにいがみ合うのですか。判決を受けて、完全な解決をした上で、仲良くなりましょう。そうしてこそ、私たちの子孫も安心して生きることができるのではないでしょうか。私は隣国と敵になりたくありません。解決して往来しながら親しくなりましょう。
大統領も被害者女性たちの意思を反映した解決が重要だと言ったではありませんか。被害者の意見とは何ですか。それは30年間ずっと叫んできた7つの要求事項(戦争犯罪の認定、真相究明、公式な謝罪、法的賠償、犯罪者処罰、歴史教科書への記録、追悼碑と資料館の建設)です。その中で最も重要なのが、責任の認定、公式な謝罪ということは、全国民が知っているではないですか。
大統領、
どうか、国連裁判所で国際法により'慰安婦'問題が判断を受けられるようにしてください。これから国際法で正式に認められて、日本がこれ以上国際社会ででたらめを言えないようにしてください。それが国際社会において私たちハルモニ(お婆さん)の名誉と人権を回復する道です。
大統領、切にお願いします。私が金学順姉さんや先立った方々に会って、日本の蛮行が国際社会で審判されるよう最善をつくしたので、これから皆さんは平穏に過ごしていいと言えるようにしてください。
大統領が私たちハルモニの意思が反映された解決のため、必ず努力してくださると固く信じています。私の願いです。
説にお願い申し上げます。
2021年2月16日
李容洙
◇ ◇ ◇ ◇
ハーバード大学学長の声明を伝える中央日報の記事
https://japanese.joins.com/JArticle/275632?servcode=A00§code=A10
ハーバード大学長「『慰安婦=売春婦』主張は学問の自由…問題ない」
2021.02.17
韓国民間団体VANK(バンク)は、米国ハーバード大学の学長が同校ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授の「慰安婦は売春婦」という主張の内容が入った論文は、「学問の自由」に含まれるため問題ないという立場を表明したと17日、明らかにした。
VANKがラムザイヤー教授の論文を撤回させて大学次元での糾弾を要求する抗議電子メールにローレンス・バカウ学長は「大学内でこのようにラムザイヤー教授が論争的な見解を表現したことも学問の自由に含まれる。論争的な見解がわれわれの社会多数に不快感を与える時も同じこと」とし「ラムザイヤー教授の主張はその個人の意見であることを明らかにする」と話した。
VANKのパク・ギテ団長は「バカウ学長はハーバード大学の教授が黒人奴隷制度を擁護する研究やドイツナチスの肩を持つ論文を書いても果たして同じような返事ができるだろうか」としながら「再度抗議書簡を発送した」と話した。
ラムザイヤー教授は来月、国際学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」(International Review of Law and Economics)誌65巻に「太平洋戦争当時の性契約(Contracting for sex in the Pacific War)」というタイトルの論文を発表する予定だ。
ラムザイヤー教授は論文で「慰安婦は売春婦」と主張しているほか、「慰安婦は日本政府や旧日本軍ではない募集業者の責任」「慰安婦はお金をたくさん儲けた」などと言及していることが伝えられた。
VANKや韓国人団体、ラムザイヤー教授の糾弾デモ開催
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=78250#:~:text=%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6
韓国人団体、「慰安婦は売春婦」主張したハーバード大教授の糾弾デモ開催へ
Write: 2021-02-17 14:59:26 / Update: 2021-02-17 15:05:32
韓国の市民団体バンク(VANK) と韓国人団体などは17日、オンライン記者会見を開き、慰安婦被害者を「売春婦」と主張したハーバード大学のラムザイヤー教授の論文の撤回と辞任を改めて求めました。
韓国の市民団体バンクは、「慰安婦は売春婦」と主張したラムザイヤー教授の論文の掲載を撤回するよう求めるオンラインの請願運動に、現在まで1万2000人が署名していて、そのうちの80%以上は外国人だと明らかにしました。
またバンクは、ハーバード大学側が送ってきたメールも公開しましたが、その中でハーバード大学は「大学内での学問の自由は、不快感を与える内容に対する論争もすべて含まれる」としたうえで、「ラムザイヤー教授の意見は、個人の意見だ」としました。
今回の事案について、大学側は関与しない方針を間接的に示したものとみられます。
17日に開かれたオンライン記者会見には、ニューヨークの韓国人父母協議会やアジア系アメリカ青年協議会なども参加し、ラムザイヤー教授の論文の撤回と辞任を求めました。
また、ハーバード大学があるマサチューセッツ州の韓国人会は、来月1日の独立運動記念日にハーバード大学の前で、ラムザイヤー教授の論文の掲載を撤回するよう求めるデモを行う計画だと明らかにしました。
加えて、国内外で慰安婦問題を研究している教授や研究者1000人あまりが、「慰安婦は売春」という主張が盛り込まれている論文を書いたラムザイヤー教授を批判する声明を、17日発表する予定です。
今回の声明には、イギリス・オクスフォード大学やソウル大学をはじめ、ハーバード大学の教授や東京大学の研究者なども参加していて、声明書を発表する予定の慰安婦支援団体「正義記憶連帯」によりますと、16日午後5時時点で1012人が参加したということです。
他に気付いたことがあったら追記します。
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