【森友問題】故赤木俊夫さんの妻側が元上司の音声データ公開
2018年3月7日に自殺された近畿財務局の赤木俊夫氏の奥様で、国と佐川氏(元理財局長)に計約1億1千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した原告が、元上司の音声データを公開しました。2019年3月に、当時の状況などを奥様に説明した時のものです。
音声データは現時点でブログ主が探した所、NHKのweb記事に掲載されているものが、編集されてはいるものの一番長く、これを聞いてみたところ、佐川氏などの証言から明らかになった改竄指示の背景を再確認するだけのものでした。(記事後述)
つまり、直接改竄を指示したのは佐川氏ですが、指示をした理由は野党の国会内外での追及やマスコミへの対応で忙殺され、これを少しでも和らげようというものでした。これが再確認できただけ(※)です。また、音声データでは、あらためて安倍総理(当時)や鴻池議員といった政治家への忖度を否定しています。
もう少し遡れば、森友関係の契約は佐川氏の前任者迫田英典理財局長の時代(2016年6月14日契約完了)に終わっており、佐川氏がその尻ぬぐいの答弁をするのに、議事録から余計な詮索をされる恐れがある部分を削除指示したというのが概略です。
既に森友以外でも見慣れた光景となってしまいましたが、野党が安倍総理夫妻の関与を認めさせようと無理な追及→マスコミが「疑惑は益々深まった」の類いの記事を書く→それをもって更に追及、といった、野党とマスコミがタッグを組んでの「安倍降ろし」茶番劇でした。
刑事事件としては既に佐川氏の改竄指示は不起訴になっています。
取り敢えず、当時、森友問題をウォッチしていた者として、記録しておくことにします。
【追記】なお、この音声データについて、今朝(10月15日)の読売と産経朝刊は記事すらありません。音声データの一部を公開しているのはNHKと毎日(毎日は短い)くらいなので、もしかしたら、NHKの独自入手かも知れません。(毎日はNHKからお裾分け?)ちょっと気になるので、ここに書いておきます。
※2018.3.30の産経『【阿比留瑠比の極言御免】佐川宣寿氏が丁寧さ欠いた背景』では、阿比留記者が佐川氏の発言を幾つも紹介しており、どのような状況だったのかがよく分かります。(以下、一部引用)
「当時、局内は私も含めて連日連夜、朝までという日々で、本当に休むこともできないような、月曜日から金曜日まで毎日ご質問を受ける中で、そうした(確認の)余裕はなかった。全く余裕がなかったのが実態で、相当、局内も騒然としていた」(自民党の丸川珠代参院議員への答弁)
「局内の騒然とした状況の中で、やはりそれ(確認)を怠ったということだろう」(公明党の横山信一参院議員への答弁)
「レクチャーを受ける時間もほとんどなく、原課で作った答弁資料を入れてもらい、順次読み込んでいるという状況だった」(日本維新の会の浅田均参院議員への答弁)
また、答弁内容については省内や首相官邸と十分協議していたはずではないかとの問いには、次のように答えた。
「昨年、例えば予算委員会7時間コースだと、ほとんど全員の質問者が森友の質問をされるケースもあった。本当に何十問なのか、100問を超えるのか分からないが、(答弁準備が)事実上間に合わないケースもあった。それぞれ協議をしているという余裕もなかった」(民進党の小川敏夫参院議員への答弁)
「何月何日に現場で職員と業者と会ったとか、極めて実務的な話で、そういうものを首相官邸と調整することは通常は考えられない」(共産党の小池晃参院議員への答弁)
◇ ◇ ◇
◆NHK記事
※赤字は音声部分。(黒字)内は音声データよりブログ主が追加。〔〕内は音声データには無い部分でNHKが追加したもの。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201014/k10012663421000.html
【詳報】森友学園 改ざん経緯説明の音声データ その内容は
2020年10月14日 18時08分
森友学園をめぐる一連の問題で決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した男性の上司が国有地の値引き売却や改ざんの経緯について男性の妻に説明した音声データを妻の弁護士が報道機関に公開しました。その内容の詳細です。
報道機関に公開された音声データは去年3月、赤木俊夫さんの自宅を一周忌の弔問に訪れた近畿財務局の直属の上司が雅子さんに話した内容を録音したものです。
この上司は森友学園に国有地を売却した際の責任者で、決裁文書の改ざんでも部下の赤木さんに直接手伝うよう頼んでいて、財務局の中では国有地取引から改ざんに至る一連の問題で最も中心にいた職員です。
「売り払いをしたのは僕です」
雅子さんとのやり取りの中で上司は森友学園に地中のごみの撤去費用として8億円余りを値引いて売却した理由を次のように説明しています。
「あの売り払いをしたのは僕です。国の瑕疵(かし)が原因で小学校が開設できなかったときの損害額が膨大になることを考えたときに(は)相手に一定の価格、妥当性のある価格を提示してそれで納得できればいちばん丸く収まる。(自分らでスコップで持って調べる訳には行かないんですから)〔撤去費用を試算した〕大阪航空局が持ってきたのが8億円だったということで、それを鑑定評価額から引いたというだけなんです」と話しました。
国会で大きな議論になった政治家の影響については「僕は安倍さんとか鴻池さんとかから声がかかっていたら正直売るのはやめていると思います。だからあの人らに言われて減額する(とか、そういう)ようなことは一切ないです」と否定していました。
ただ値引き額が妥当なのかどうかついては「この8億の算出に問題があるわけです。確実に撤去する費用が8億になるかというところの確信というか、確証が取れてないんです」と打ち明けていました。
「作業量を減らすためにやった」
そして決裁文書の改ざんについても当時、財務局がどのような状況になっていたのか話していました。
改ざんを行った理由は野党の追及が強まり、国会対応に追われた財務省本省から負担を減らすために指示されたためだとしています。
「少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました。改ざんなんかやる必要もなかったし、やるべきではない。全く必要ないと思っていました。ただ(そこはもう、)追い詰められた状況の中で少しでも作業量を減らすためにやった。何かそんたくみたいなのがあるみたいなことで消すのであれば絶対消さないです」と釈明していました。
「赤木さんは涙を流しながら抵抗」
改ざんを指示されたときの赤木さんの様子について「初めから赤木さんは抵抗しました。正直涙を流しながら抵抗していました。本省にもちろん僕自身も抵抗はしていたんですけども止めきれなかった」と述べ一緒になって本省からの指示にあらがうことをしなかったと説明しました。
さらに赤木さんが、改ざんを詳細にまとめて職場に残していたと明かしています。
上司は「ファイルにして赤木さんがきちっと整理している。全部書いてある。(どこがどうってか)何が(どういう)本省の指示か。前の文書であるとか修正後のやつであるとか何回かやり取りしたようなやつがファイリングされていて、これを見たら、われわれがどういう過程でやったのかが全部わかる」と述べていました。
======【引用終わり】======
◇ ◇ ◇
当時の状況について更に詳しくは、亡くなった赤木氏の手記が今年3月に公表された時に書いたエントリー『【森友問題】公表された自殺職員の手記と野党の追及のチグハグさ』をお読み下さい。
ブログ主もあらためて前のエントリーを読んで、赤木氏の手記には「佐川氏に対する恨みつらみ」が書いてあったことを思いだしたので、遺族感情としては佐川氏を訴える気持ちは分かります。しかし、当時の野党の「ヒヤリング」とか「PT」とかいう名の恫喝、本庁だけでは無く、亡くなる2日前には近畿財務局まで押しかけるのを見て、佐川氏に一次的な非があるとはいえ、野党も許されるものではありません。
上記バナーのリンク先に当時記録していた時系列まとめがあり、赤木氏が自殺する前後の事は『森友学園文書改ざんに関する経緯詳細 (4)朝日報道以降(H30年)』と題して簡単にメモしてありますが、それを転記します。当時は国会議員会館内で連日の野党合同PT(役人の吊し上げ)が行われており、それは省略しますが、赤木俊夫氏の休職に関する事や福島瑞穂等5人の議員による死亡2日前(5日)の近畿財務局訪問と、前日の財務省理財局への杉尾と小西の訪問を追記しておきます。
2017年(H29年)2月8日 国有地が鑑定評価額より約8.2億円値引きされて学園に売却(2016年6月14日)された問題が発覚→(2月9日付朝日新聞スクープ『学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か
※契約締結は佐川理財局長(2016年6月14日就任)の前任者迫田英典氏の時代。
2017年2月~ 赤木俊夫氏、“これまで経験したことが無いほどの事案”を担当し、ストレスを感じる始める
森友問題に関しては、2016年(H28年)6月14日に国有地売却に関する文書の決裁が完了しており、ここまでは迫田英典氏が理財局長で、その後継が佐川氏。2017年(H29年)2月8日に国有地が鑑定評価額より約8.2億円値引きされて学園に売却された問題が2月9日付け朝日新聞記事で発覚する。ここから文書改竄が始まる。(赤木氏は7月より休職→2018年3月7日自殺)
2018年3月2日 朝日新聞が決裁文書書き換え疑惑を報道/航空局内で財務省が公表していた決裁文書を入手・手元の文書と比較、違いを発見(3/19 石井国交相答弁)
2018年2月3日 首相夫人が記者団に「関わっていない」と関与を否定
2018年3月5日 国交省が決裁文書が違うことを杉田官房長に報告→財務省に報告
2018年3月5日 福島瑞穂、森ゆうこ等、立憲、自由、希望、社民の5人の議員が近畿財務局を訪問(共同ニュース動画)/東京では財務局役人をヒアリング
立憲民主、希望、自由、社民の野党4党は5日、森友学園問題を巡り財務省が決裁文書を問題発覚後に書き換えた疑いがあるとの一部報道を受け、同省近畿財務局(大阪市)を急きょ訪れ、関連文書の開示を求めた。だが財務局側は「本省の許可がないと駄目だ」などと述べ、押し問答が続いた。【別の記事より】民進共産両党も訪問する方向で調整を進めていたが、都合が付かなかった。
2018年3月6日 杉田官房長→総理、官房長に報告
2018年3月6日 杉尾ひでやと小西博之が財務省理財局訪問
2018年3月7日 近畿財務局の職員自殺(報道は9日)…財務省本省の指示で決裁文書を書き換えさせられたとの趣旨のメモを残して
2018年3月8日 財務省が近財に保存されていた決裁文書のコピーを参院予算委理事会に提出(書き換えの有無については明確にせず)/富山理財局次長「近畿財務局にあるコピーはこれが全て」発言
2018年3月9日 佐川国税庁長官が辞任
2018年3月11日 財務省→総理、財務大臣への書き換え事実報告
2018年3月12日 書き換え事実の公表…財務省が書き換えを認め、複数の政治家などの記述を削除したことが一般に発覚(麻生大臣には11日に報告)
2018年3月13日 新たに2015年6月に国有地貸付の件で近財が本庁に問い合わせるメモ(2015年1月16日付)を(籠池氏の開示請求を受けて)削除していたことが発覚/〔13日付日経夕刊報道〕『地検 疑惑発覚前に指摘-森友書き換え』(2017年に公用文書党毀棄罪などでの告発を受けて以降、任意で職員の事情聴取や決裁文書の任意提出を受ける中で回座を確認していた)
2018年3月16日 太田・現理財局長が答弁の中で「(書き換えについて)佐川氏の関与の度合いは大きかったのではないか。知っていたと思う。」と佐川氏が書き換えを認識してたことを示唆。/会計検査院、書き換えが国有地売却の検査報告書に与えた影響を精査する方針を明らかに。
2018年3月17日 改ざんされた14文書(200超箇所)の中で、徹底的に消されている部分が見つかる。これは平成28年〔2016年〕3月30日の記述で、この日、森友学園に上限額を聞くなど、価格交渉を行っていたとも取れる内容。
2018年3月19日 新たに平成28年〔2016年〕4月4日付「決裁参考メモ」が1枚丸ごと削除されていたことが判明。単純な事務的ミスとの説明。(「03 売払決議書「普通財産売払決議書」(平成28年6月14日)」に添付されていたもの)で、内容は、ごみの撤去費用として大幅に値引きするという方法を土地を所有する大阪航空局が近畿財務局に提案するもの。
2018年3月23日 野党議員、拘留中の籠池氏と接見するも成果なし。(→ )
2018年4月9日 『財務省、森友学園と口裏合わせ認める ごみ撤去費巡り』(日経新聞)
2018年4月11日 『森友ごみ積算、近畿財務局が増量依頼 航空局に数億円分』(朝日新聞)
2018年4月12日 『国有地売却問題 財務省、ごみ7カ月遅く説明 発見の経緯改変』(毎日新聞)
2018年4月13日 『公文書改ざん 佐川氏、立件見送りへ 虚偽作成罪問えず』(毎日新聞)
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