【韓国】「徴用工像のモデルは日本人。撤去しろ」と発言した政治家が名誉毀損で訴えられるも勝訴。地裁「日本人と認識するのは妥当」
『カイカイ反応通信』で見かけた記事(韓国検察「徴用像のモデルが日本人とする妥当な理由がある…名誉毀損ではない」=韓国の反応)。
要約しようかと思ったのですが、割と重要なことが書いてあるので、以下に全訳をお借りしてご紹介します。
◇ ◇ ◇ ◇
(単独)「徴用労働者像のモデルは日本人」…検察「名誉毀損ではない」
原題:[단독]“징용 노동자상 모델은 일본인”…檢 “명예훼손 아니다”
2020.10.19|11:27
●大田地検、キム・ソヨン委員長無嫌疑処分
●「労働者像のモデルを日本人と見るには理由がある」
大田市庁舎前のボラメ公園などに設置されている徴用労働者像をめぐり、「日本人をモデルにした」という主張は名誉毀損ではないとの検察の判断が再び出た。
検察「公共の利益…誹謗の目的ない」
大田地検は19日、「徴用労働者像のモデルは日本人」と主張して名誉毀損の疑いで告訴されたキム・ソヨン党員協議会委員長(国民の力党所属)を「証拠不十分で嫌疑なしとした」と明らかにした。検察は被告訴人のキム委員長の主張は公益のためのものであり、労働者像のモデルが日本人と信じるほどの妥当な理由があると判断した。
検察は「被告訴人が昨年8月、Facebookと報道資料を通じて『貧素でやせ細った徴用像のモデルは朝鮮人ではなく北海道の土木工事現場で虐待を受けた日本人だ。徴用労働者像を撤去すべき』とコメントしたのは認められる」とした。
しかし、検察は「それが公共の利益に関するものである場合は誹謗する目的があるとは見なしがたい」とし「被告訴人の主張は『強制徴用労働者像建立推進委員会』や『全国民主労働組合総連盟(民主労総)』など銅像建立関係機関や団体などを相手に批判的な意見を述べたものとみられ、労働者像を作った告訴人が批判の対象ではないとみられる」と明らかにした。
労働者像の写真、教科書に掲載も
また検察は「被告訴人が主張の根拠とする資料と小学6年の教科書に掲載された写真の中の人物、強制徴用労働者像の人物のそれぞれの容貌的な特徴を見ると、『強制徴用労働者像のモデルは日本人』と信じるほどの妥当な理由がある」と述べた。
キム・ソヨン委員長、チェ・ドクヒョ韓国人権ニュース代表、『反日種族主義』の著者の李宇衍落星台経済研究所、チュ・ドンシク地域平等市民連帯代表らは「徴用労働者として知られている写真の中の男性らは日本人をモデルにしたものだ。これは史料として確認され、教育部はこれを認めて(教科書の写真を)修正したと把握している」と主張した。
キム委員長らが主張した男性とは、1926年9月9日の旭川新聞に掲載された「北海道土木工事現場で虐待を受ける人たち」という記事に登場した日本労務者の写真をいう。この写真は2014年から2017年まで韓国史の7種類の教科書に「朝鮮人強制徴用」などという題名で掲載された。

1926年9月9日、日本の旭川新聞に掲載された
「北海道土木工事現場で虐待を受けた人々」というタイトル
の記事に出てきた日本の労働者の写真。
作家夫婦「徴用資料を土台に労働者像を構想」
これに対し労働者像を彫刻したキム・ウンソン氏とキム・ソギョン氏の夫婦は「チェ・ドクヒョ代表らが虚偽事実を流布して名誉を毀損した」として、昨年11月に名誉毀損などで訴訟を起こした。
キム氏夫婦は訴状で「2016年8月24日から昨年8月13日まで日帝徴用被害者を象徴する『強制徴用労働者像』を作り、日本の京都、ソウル龍山駅、釜山、済州、大田などに設置した」とし「徴用に関する新聞記事、論文、写真資料を研究し、炭鉱の中の厳しくてつらい生活を表現しながらも普遍的な人権の問題を提起できる労働者像を構想した」と主張した。チェ・ドクヒョ代表、チュ・ドンシク代表は検察で「嫌疑なし」で不起訴処分となった。
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労働者像を彫刻したキム・ウンソン氏とキム・ソギョン氏の夫婦とは、慰安婦像の作者でもある夫婦です。
記事の冒頭で『日本人をモデルにした」という主張は名誉毀損ではないとの検察の判断が再び出た。』とあるのは、最後の一文で分かるように、この像のモデルは日本人と発言した人を片っ端から刑事告訴しており、次々と敗訴しているのだと分かります。
訴えられた方達には気の毒ですが、挺対協側の人間が騒げば騒ぐ程、慰安婦像や徴用工像の本質が一般国民にも理解されていくので、良い傾向だと思います。
また、この記事の元記事は中央日報で、韓国では2番目に読まれている新聞であり、それがNAVER(日本で言えばYahooニュース)に転載されたものですが、記事中に旭川新聞の写真も掲載されています。
慰安婦問題に関しては、まだ「慰安婦として苦労した可哀想なおばあさん」という認識は根強いのですが、自称元徴用工に関しては、「事実を知っているか知らないか」よりは、「事実を認めるか認めないか」の違いになっていると感じます。尤も、「認めない」派が少なからずいることが問題なのですが、この記事のコメント欄ではほぼ判決を支持する意見で占められています。
判決そのものより、今回、改めて「徴用工のモデルは日本人」という裁判所の判断が出たことが大きいでしょう。
ところで、被告の金素延(キム・ソヨン)という女性はどういう人か調べて見たところ、今年4月の選挙では野党から出馬して落選していますが、脱原発廃止や家族女性部(部=省)の廃止を公約に掲げて立候補したそうです。家族女性部は挺対協(現・正義連)に資金を提供している省です。(まあ、日本の内閣府男女共同参画局の強化版みたいなものですね。日本のこれもろくなもんじゃない。)

弁護士であり、現在は「国民の力」(野党第一党の未来統合党が選挙で大敗後改名)に所属していますが、今年の5月に李承晩学堂と反日像真実究明共同対策委員会によって開催された「挺対協の慰安婦運動、その実体を明かす」シンポジウムにも参加していたそうです。(下図)
記事中にあるチェ・ドクヒョ(최덕효)韓国人権ニュース(한국인권뉴스)代表は、上の画像、左から3人目の方で、反日銅像撤去デモを行っている「反日像真実究明共同対策委員会」の共同代表です。
チュ・ドンシク(주동식)地域平等市民連帯代表は4月の総選挙で左翼の牙城光州市で立候補した人物。
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