菅内閣、日本学術会議の新会員候補者6名の任命を拒否
公開:2020-10-03 07:09:22 最終更新:2020/10/04 12:03
菅内閣が日本学術会議より推薦のあった新会員候補者の内6名を拒否した事で世間(の一部)が騒いでいます。過去には慣例として、推薦があった候補者はそのまま会員になったとのこと。
「学問の自由」の妨害などという声もありますが、会員であろうとなかろうと、学問の自由は保証されています。
今回任命されなかった立命館大学の松宮孝明教授がBS TBSの番組に出演して、「任命に手を出したら内閣が倒れる危険があるぞ」と脅しのような発言をしました。
そこまでして守りたい日本学術会議とはどのような組織なのでしょうか?
ここでは、覚え書きとして情報を整理しておきます。
1.以下は今回拒否された6名。
出典:『【6人の経歴】任命されない教授はどんな研究を 日本学術会議』
NHK 2020年10月2日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201002/k10012645681000.html
下は拾いものの画像
こちらのツイートより拝借
2.日本学術会議法(e-Gov法令検索システムより)
菅内閣による任命拒否が法律違反だという声があるので、この法令が焦点になると思いますが、恐らく第7条あたりかと思います。
第三章 組織
第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する。
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
(3以下略): : :
第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。
「内閣総理大臣が『任命』」するということは、その可否を決める権限があるのではないのかと。推薦によって無条件に会員になれるのなら、この部分はいらないですし。
【2020/10/04追記】日本学術会議側に立つ人等は1983年5月12日の参院・文教委員会での当時の手塚康夫・内閣官房総務審議官の発言を根拠にしているらしい。以下、その発言を転記。
○政府委員(手塚康夫君) 前回の高木先生の御質問に対するお答えでも申し上げましたように、私どもは、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右するということは考えておりません。確かに誤解を受けるのは、推薦制という言葉とそれから総理大臣の任命という言葉は結びついているものですから、中身をなかなか御理解できない方は、何か多数推薦されたうちから総理大臣がいい人を選ぶのじゃないか、そういう印象を与えているのじゃないかという感じが最近私もしてまいったのですが、仕組みをよく見ていただけばわかりますように、研連から出していただくのはちょうど二百十名ぴったりを出していただくということにしているわけでございます。それでそれを私の方に上げてまいりましたら、それを形式的に任命行為を行う。この点は、従来の場合には選挙によっていたために任命というのが必要がなかったのですが、こういう形の場合には形式的にはやむを得ません。そういうことで任命制を置いておりますが、これが実質的なものだというふうには私ども理解しておりません。
前例として、推薦→承認(任命)という流れは、政府に対して建設的な意見を答申するという前提があってのこと。それを壊しておいて、約35年も前の国会答弁を鬼の首をとったように持ち出すのはいかがなものかと思います。
3-1.日本学術会議とは? -中国の「千人計画」に協力
自民党・甘利明衆議院のHP>国会リポート 第410号>2020年8月6日付け「総 覧」記事に以下のような記述(要約)があります。
- 日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じているが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力している。
- 「軍民融合」の中国に協力し、日本の軍事研究には与しないというのでは、日本学術会議の方針は「一国二制度」?
【参考記事】
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200129-OYT1T50130/
中国「千人計画」参加隠した米ハーバード大教授を起訴…世界トップ研究者を好待遇招聘
2020/01/29 10:34【ワシントン=船越翔】米司法省は28日、世界のトップ研究者を好待遇で集める中国の人材プログラム「千人計画」への参加を巡り米政府に虚偽の説明をしたとして、ナノテクノロジーの世界的な権威として知られる米ハーバード大化学・化学生物学科長のチャールズ・リーバー教授(60)を起訴したと発表した。
司法省によると、リーバー教授は2012~17年頃に千人計画に参加し、月5万ドル(約550万円)の給料や15万8000ドル(約1740万円)の生活費を受け取った。その見返りとして、中国・湖北省の武漢理工大の名義での論文発表などが求められたという。
今回の政府の措置は米国の動きとリンクしているのかもしれません。
3-2.日本学術会議とは? - 過去にはこんなこと(軍事研究反対声明)も
今回の任命拒否を「学問の自由を侵害」と言ってるが、それをやっているのが日本学術会議ではないのでしょうか?
https://www.sankei.com/politics/news/170414/plt1704140039-n1.html
産経: 日本学術会議 総会で軍事研究反対の声明を報告 研究者から浮世離れした意見も続出
2017.4.14 23:16日本学術会議は14日、東京都内で総会を開き、科学者は軍事的な研究を行わないとする声明を決定したと報告した。防衛省が創設した研究助成制度も批判する内容で、技術的な優位性を確保することで有利な戦略バランスを構築する同省の取り組みを阻害する恐れがある。出席した研究者からは、自衛隊の合憲性やミサイル防衛を否定するかのような発言も飛び出した。
声明は軍事研究を禁じた過去の声明を「継承する」と明記している。防衛省が防衛と民生双方に応用可能な技術の研究を推進する目的で平成27年度に創設した「安全保障技術研究推進制度」に関しても「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」とした。学術会議内には総会で、声明に対する賛否を問うべきだとして採決を求める声もあったが、3月24日の幹事会で決定し、総会では報告にとどめた。
総会では、声明案を作成した検討委員長の杉田敦法政大教授が「自衛隊が憲法9条に照らして合憲なのかどうか、といった問題は依然として国論を二分するような問題だ」と主張した。ただ、杉田氏は国民の半数が自衛隊の合憲性に疑問を持っているとする根拠は示さなかった。
(以下略)
学問の自由を奪っているのはどちらなのでしょうか?
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/10/07/0013762516.shtml
2020.10.07
北大・永田教授、学術会議の圧力に言及 防衛省の制度への応募が禁止に北海道大学の永田晴紀教授(工学研究院 機械・宇宙航空工学部門 宇宙航空システム)が6日、自身のツイッターに投稿し、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募していた同大が、日本学術会議の圧力で辞退していたことに触れた。
永田氏は、同大名誉教授・奈良林直氏が「国家基本問題研究所」に投稿した「北大は2016年度、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募したが、学術会議が2017年3月24日付の『軍事的安全保障研究に関する声明』で批判した。学術会議幹部は北大総長室に押しかけ、ついに2018年に研究を辞退させた。」とする記事を引用。「なるほど。そこまでやってたのか。本学の判断が急転直下した理由が理解出来た。」とつづった。
北大が辞退したのは「微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究」。船舶の燃費を10%ほど軽減できる可能性があったが、これが「軍事研究」と見なされたという。
永田氏は「確認したら、2017年度の公募だった。M教授の採択済みテーマの扱いが検討され、2017年度末をもって研究終了(研究費返上)が決まった。そこまでの研究成果の評価結果はA判定だったらしい。」と明かした。
推進剤に個体と液体を組み合わせて使う「ハイブリッドロケット」の研究者として知られる永田氏自身も、2018年度の応募の準備を進めていたが、「申請書提出直前に北大が応募禁止を決めたので提案チームから抜けざるを得なくなった」という。「うちも痛かったですけど、我々が開発して安く提供する計画だった実験用ロケットを他所から高額で買わざるを得なくなり、研究費が圧迫されてしまった提案チームの皆様に申し訳無いです」とさまざまな形で研究に支障が出たことを伝えた。
日本学術会議については、推薦した新会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否したことが問題視されている。一部の学者などからは「学問の自由」を侵害するという批判の声も出ている。
3-3.日本学術会議とは? - 終身年金
既得権益を奪うな、という部分もあるようです。
長島昭久 Akihisa NAGASHIMA, MP
@nagashima21
日本学術会議問題は、政府から明快な説明責任が果たされるべきであることは勿論、首相直轄の内閣府組織として年間10億円の税金が投じられる日本学術会議の実態や、そのOBが所属する日本学士院へ年間6億円も支出されその2/3を財源に終身年金が給付されていること等も国民が知る良い機会にして貰いたい。午前10:00 · 2020年10月3日·Twitter for iPad
4.過去にも承認しなかった前例が - 安倍政権で候補者の差し替えを要求
https://mainichi.jp/articles/20201002/k00/00m/010/335000c
官邸、安倍政権時の16年にも学術会議人事介入 差し替え求め、事実上拒否
会員限定有料記事 毎日新聞2020年10月2日 22時34分(最終更新 10月3日 07時48分)科学者の代表機関「日本学術会議」が推薦した新会員6人を菅義偉首相が任命しなかった問題に関連し、2016年の第23期の補充人事の際にも「学術会議が候補として挙げ、複数人が首相官邸側から事実上拒否された」と、同会議の複数の元幹部が毎日新聞の取材に明らかにした。官邸側の「人事介入」が第2次安倍晋三政権の際にもあったことになる。【木許はるみ、近松仁太郎】
取材に応じた複数の幹部のうち、同会議元会長、広渡清吾・東京大名誉教授が実名で証言。自身が会長退任後の第23期後半、複数の会員が定年70歳を迎えたため補充が必要になり、学術会議が官邸側に新会員候補を伝えた。しかし、官邸側がこのうち複数人を認めず、候補者を差し替えるよう求めてきたという。学術会議側はこれに応じず、一部が欠員のままになった。
広渡氏…
(´・ω・`)
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