【韓国】英経済誌『Economist』が文在寅政権批判。大喜びの韓国紙
韓国語には、「ダブルスタンダード」とか、「他人に厳しく、自分に甘い」を意味する「自分がすればロマンス、他人がすれば不倫」の頭文字をとった「ナロナムブル」という俗語があるそうです。「ナム」は「ウリ/ナラ」の「ナム(他人)」ですね。翻訳によっては「自ロ他不」などと表記されているのも見かけます。
産経の黒田勝弘氏によれば、お経の一節にも似てて語呂もいいのだとか。
https://www.iza.ne.jp/kiji/column/news/170603/clm17060315060005-n1.html
【外信コラム】新政権は他人に厳しい「ナロナムブル」
2017.6.3 15:06韓国でよくいわれる冷やかし言葉に「自分がやればロマンスだが他人がやれば不倫(スキャンダル)」というのがある。男女の浮気に比喩し「他人には厳しいが自分には甘い」という利己的な人間のいいかげんさを皮肉ったものだ。
この韓国語の文章に出てくる「ナ(自分)ロ(ロマンス)ナム(他人)ブル(不倫)」を縮めた「ナロナムブル」なる造語が今、流行になりつつある。お経の「ナムアミダブル(南無阿弥陀仏)」と似ていて面白いせいもあるが、悪いことはすべて過去の保守政権のせいといってきた革新系の文在寅(ムンジェイン)・新政権が、まさにそれだというのだ。
文政権はスタートに際し首相や閣僚をはじめ権力中枢の人事を発表した。ところが起用された要人の経歴に脱税や不動産、学歴疑惑…など“道徳的不正”が次々と見つかったため人事が頓挫している。そこで新政権は野党(旧与党)やマスコミの追及に対し、ささいな不正だから見逃してほしいと言い出したのだ。
左翼や革新系はいつも「自分だけが清くて正義」と思い込んでいるから他人(保守系)には厳しい。朴槿恵政権を追い落としたのもその執拗(しつよう)な手口だったが、自分が権力を握ると今度は不正や疑惑追及はお手柔らかに、という。これでは「ナロナムブル」といわれても仕方ない。(黒田勝弘「ソウルからヨボセヨ」)
ブログ主メモ:ナロナムブル(내로남불)<「내가 하면 로맨스, 남이 하면 불륜」
英経済誌の『The Economist』(雑誌形式の新聞)が、ナロナムブルな文在寅政権を批判した記事を書いた(記事後述)ところ、韓国各紙は早速それを取りあげており、特に『韓国経済新聞』は、原文のかなりの部分を引用しています。(ほぼ、丸パクリ)
以下に、それを更に日本語に訳した『カイカイ反応通信』の記事部分の翻訳を転載します。韓国人の反応は『カイカイ反応通信』の当該スレッドでお読み下さい。(赤字部分は引用)
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英エコノミスト「文政府、批判よくするのに、他人が批判すれば『憤慨』」
2020.08.23|午後8:46
●「批判意見出れば法廷争い…他の意見、容認できない」
●「進歩勢力、政権を握っても『弱者』フレーム維持」
●「批判が起きれば、すぐに『私が被害者』心理発動」
英国の時事週刊誌エコノミストが最近、文在寅政府の行動に対して「他人の批判はよくするが、自分たちに対する批判は受け入れようとしない」と指摘した。
エコノミストは22日(現地時間)「韓国の進歩政権が内面の権威主義を発散する」という見出しの記事でこのように書いた。エコノミストは「文在寅大統領は政権発足当時、以前よりさらに開放的で、別の意見が出ても無視せず、寛大に受け入れる政府を作ると約束した」とし「しかし最近は、序盤に標榜した価値が枯れていっているものと見られる」と分析した。
エコノミストは、これに対する根拠として「最近、青瓦台と共に民主党などが政権に批判的な意見を表明した人々に対し、各種の法的措置を取っている」と述べた。
エコノミストは「青瓦台は、ある保守新聞に掲載されたコラムが文大統領夫人である金正淑女史の名誉を傷つけたとして法廷争いに出た」と書いた。
青瓦台は昨年、中央日報が掲載した「金正淑女史のバケットリスト?」という見出しのコラムに対し、訂正報道を要求し言論仲裁委員会に提訴した。大統領の歴訪日程を海外遊覧に描写したのは外交的欠礼という主張だった。その後、法院に移った訂正報道訴訟戦では青瓦台が敗訴した。
エコノミストは、「共に民主党は、ある政治学の教授が文在寅政権が実利を得ることにだけ没頭しているというコラムを書くと刑事告発した」とした。
これは今年初め、京郷新聞に共に民主党の批判コラムを寄稿し、同時に民主党からソウル南部地検に告発されたイム・ミリ高麗大学研究教授の話だ。さらに、民主党は当時、イム・ミリ教授の告発をめぐって世論の叱責が相次ぐと、わずか10日後に告発を取り下げた。
エコノミストは「ある右派ユーチューバーは、文在寅政府の前職高位官僚であるチョ・グク元法務部長官に対するデマを流したという理由で収監されたが、その後、チョ元長官は不名誉を抱えた」とも書いた。チョ元長官から名誉毀損で告訴され、1審で実刑を言い渡されて服役中の保守ユーチューバーのウ・ジョンチャン氏の事例だ。今月19日には、国際言論自由団体である国境なき記者団(RSF)が「取材源の公開を拒否して収監されている韓国のジャーナリストの釈放を要求する」という趣旨の文書を通じ、ウ氏の釈放を要求した。
エコノミストは「(韓国)立法府にも問題がある」とし「今月初めには、共に民主党議員が、メディアのいわゆる『フェイクニュース』に対し、政府が是正命令を下せる法案を発議した」と指摘した。
エコノミストは最近、こうした進歩政権の行動は、韓国社会の根強い「左・右派対決」の構図によるものだと分析した。
エコノミストは「これまで韓国の左派は無慈悲な軍事独裁勢力に対抗してきた者たちというアイデンティティを築いてきた」とし「このために自分たちを弱者と考え、自分たちに反対する者たちの表現の自由は優先順位に入れなかった」と書いた。
続いて「政権を取った後も左派勢力は自ら弱者というイメージを脱がずにいる」とし「さらに一部メディアに対して『特定政治勢力の口』程度に考える傾向があり、批判があれば直ちに『我々(政府)が被害者』という心理が発動する」と分析した。
エコノミストは「韓国の政治家たちが昔の言葉を引用することが好きなぐらい、文在寅政府は、世宗大王の言葉をじっくり考えてみなければならないだろう」とし、1425年の世宗大王の言葉を引用した。「私は高潔な偉人でもなく、統治にも長けていない。天の意志に合わない行動をする時も、確かにあるだろう。だから一生懸命私の欠点を見つけ、私が批判に応えるようにせよ」という言葉だ。
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以下は、オリジナルの記事です。
https://www.economist.com/asia/2020/08/20/south-koreas-liberal-rulers-unleash-their-inner-authoritarians
Aug 20th 2020 edition
Banyan
South Korea’s liberal rulers unleash their inner authoritarians
Used to dishing out the criticism, they seem unwilling to take it
SOUTH KOREA has a proud history of noisy opposition to the powers that be. Japanese colonisers found their subjects unruly. Homegrown military dictators, who brutally suppressed their citizens’ democratic yearnings for decades, eventually yielded to widespread protests. Even democratically elected leaders have incurred the wrath of civil society. Park Geun-hye, the predecessor of Moon Jae-in, the current president, was chased out of office in 2017 after millions of South Koreans took to the streets to decry rampant corruption in her government.
Those good intentions seem to be flagging.Opponents of the government are again finding that their views may attract litigation rather than benign indifference or even constructive responses.Nearly a fifth of civil libel suits against media organisations last year involved senior officials, more than during Ms Park's administration.
Last month the president’s office appealed against a court ruling that cleared a conservative newspaper of defaming Mr Moon’s wife in an opinion column (the writer mused over whether the couple’s official overseas trips were too heavy on sightseeing). A right-wing YouTuber has been jailed for spreading rumours about Cho Kuk, a former senior official in Mr Moon’s government (Mr Cho has since been disgraced). The Minjoo party lodged a criminal complaint against a political-science professor after she criticised it for being self-serving and suggested that progressives should vote for other parties; the complaint was withdrawn after a public outcry. NGOs led by North Korean refugees who dislike the government’s conciliatory stance towards the North have lost their non-profit status and allege police harassment.
There is trouble in the legislature, too.Earlier this month Minjoo lawmakers proposed a bill that would grant the government the power to order the media to correct “fake news” (a similar bill was proposed by the conservatives in 2017).Another set of bills being considered seeks to punish anyone spreading “distorted” historical accounts of a crackdown in 1980 on pro-democracy protesters.
Park Kyung-sin, a law professor and free-speech advocate at Korea University, thinks the government's touchiness in the face of criticism has its roots in “a long-standing vendetta between progressives and the conservative media”.Even in government, left-wingers have not shed their self-image as underdogs.They tend to think of certain media outlets as arms of political parties, and have a “siege mentality” when it comes to their critics.
Activists forged their political identities against a military dictatorship implacably hostile to their aims, so opponents’ freedom of expression was not a priority. South Korean politics—and many media organisations—remain polarised, with cross-party co-operation virtually unheard of. Loyalty to one’s own camp is prized above all. Kim Kyung-ryul, a progressive intellectual who broke with his former comrades over attitudes to Mr Cho’s conduct earlier this year, has likened the two main parties to “backstreet gangster groups” serving only their own interests.
South Korean politicians love to quote ancient wisdom.The government might do well to ponder the words of King Sejong, a model ruler and rich source of inspiring quotations from the Joseon era.“I am neither virtuous, nor skilful at governing.So look hard for my flaws and make me answer to their reprimands,” he said, in 1425.
This article appeared in the Asia section of the print edition under the headline "Sensitive Seoul"
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ちょっと面白いのは、タイトル「韓国の進歩政権が内面の権威主義を発散する」が表すように、元記事は、主眼が、「(政権周辺は)訴訟を乱発してむりやり言論を押さえつける」点に置かれており、それは、この記事に「Sensitive Seoul」(過敏に反応する韓国政府)という見出しが付けられていることからも分かります。
あと、韓国経済新聞の記事は、現政権には直接関係ないからか、最初の段落(青字部分)には触れていませんね。
韓国には、権力に対する騒々しい抵抗という誇り高い歴史がある。日本の植民地統治者たちは、彼らの国民を手に負えないと思った。何十年にもわたって市民の民主的要求を残酷に抑圧した国産の軍事独裁者たちは、最終的に広範な抗議活動に屈した。民主的に選ばれた指導者でさえ、市民社会の怒りを招いた。現大統領の文在寅の前任者である朴槿恵は、政府で蔓延した汚職を非難するために何百万人もの韓国人が路上に出て行った後、2017年に権威の座から追い出された。
韓国社会を端的にまとめていると思います。「3.1運動(万歳事件)」から「ローソクデモ」迄、まるで変わっていません。
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