【韓国】文在寅の目的は「南北統一」ではなく「北の体制維持と共存」【プライムニュース2020/08/12】
昨日(8月12日)放送のBSフジ・プライムニュースで鈴置高史氏が面白い説明をしていました。
「(米中対立の狭間でバランサーとしての存在感を示すために)文在寅が本気で『南北統一』を目指しているのか? ある意味『分断の固定化』を望んでいるのではないかという意見を言う人もいて、つまり、北が自壊したり暴発したりしないように融和を図ろうとしているのではないか?」という趣旨の、司会の反町理氏の問いに対しての発言です。
鈴置: 文在寅政権は「統一」なんて一言も言ってません。「共存」と言ってるんです。
反町: そう、共存
鈴置: 共存てのは「統一」しないということです。なぜ「共存」と言うかというと、普通の韓国人は統一なんてしたくないんです。「あんなババッチイ連中と何故俺等が一緒になるんだ」というのが本音なんです。だけど、「アメリカから同盟を打ち切られた、北朝鮮とも仲が悪い、核兵器で誰も守ってくれない」、そうなった時は自ら核を持つか、北と仲良くして北の核に頼るか、どっちかしかなくなるわけです。或いは中国の傘下になる。韓国の保守や普通の人がどんなに北朝鮮と一緒になるのを嫌だと言ったって、それを利用して、「しょうがないだろう。別に民族の統一が美しいからじゃなくて、俺たち(韓国)が生き残ろうとしたら、北の連中と組んで核を持つ強い中堅国家になるしか無いだろ」という説得のしかたがある。
相変わらず面白い表現ですが、ここで言っている事は金日成が掲げた『高麗民主連邦共和国』だと思います。
一般に「南北統一」というと、日本人のみならず韓国人も東西ドイツの統一のようなイメージを持っていると思います。
だからこそ、韓国で毎年行われる「南北統一に関する意識調査」の中で「<世論調査>韓国10~20代10人中4人「統一費用、負担したくない」(中央日報 2018.10.01)のような回答も出てくるのですが、文在寅政権が目指しているのは、そのような統一ではないと言うことです。
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その説明の前に、鈴置氏の「普通の韓国人は統一なんかしたくない」という事については、最近の世論調査を見ると分かります。
例えば、「韓国世論調査、「南北統一より平和共存」望む声が増加」(AFP 2019年5月13日)では、“統一は必要とした人は65.9%で、昨年の70.7%に比べて低下。この間、南北双方の関与が減り、米朝間での核に関する交渉も行き詰まった。さらに、南北の平和共存という選択肢を与えたところ、49.5%がこれを選び、南北統一を望んだ人は28.8%にとどまった。特に若者の間で差が大きくなったという。”とあります。
観念としては南北統一すべきと思っていても、実際は2人に1人は統一したくないことが分かります。
更に直近の今年6月の調査では、61.1%が「北朝鮮に無関心」(10年前より10ポイントup)で、54.9%が「戦争にならず平和的に共存さえできれば統一は必要ない」と回答しています。(『「北朝鮮に無関心」61% 「統一よりも共存」も半数以上 韓国人の最新意識調査結果』(辺真一 コリア・レポート編集長 6/28)
調査方法が同じではないので単純に比較はできませんが、平和共存を望む人は1年で更に増えています。
ついでに少し古い世論調査も調べて見ましたが、2014年では『韓国国民の70%が「南北統一は必要だ」という認識「同じ民族だから」』という記事のタイトルになっていて(wowkorea 2014/12/04)、これによると、“統一が必要な最も大きい理由として、回答者の36.9%が「同じ民族だから」とし、24.2%が「戦争の脅威をなくすため」と答えた。また「離散家族の苦痛を解決するため」(17.9%)や「先進国になるため」(15.4%)という理由もあった。”とあります。
「先進国になるため」というのは、この頃はまだ「南の経済力に北の労働力と資源があれば...」という幻想を抱いていたのだと思いますが、異なる思想を持ち、労働に対する意識も全く違うのですから、現実的ではありません。(尤も、韓国も、自動車組み立て工場で作業員が、きちんと閉まらないドアを蹴飛ばして閉めているなんてことがありましたが。)
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『高麗民主連邦共和国』構想は、1980年10月10日に朝鮮労働党成立35周年を記念して行われた第6次朝鮮労働党大会で、金日成が韓国(全斗煥大統領政権)に南北朝鮮の統一方法として提案したもので、南北政府が政治、軍事、外交権など現在の機能と権限をそのまま保有した状態(=低い段階の連邦制)で、その上位に南北が共同で参加する民族統一機構を設置するというものです。
この時、国家保安法撤廃、韓国内での共産主義政党の結成の容認、在韓米軍撤収などを求めていました。
韓国としては到底受け入れられるものではありませんが、2000年の金大中大統領と金正日の6.15南北共同宣言で、金大中大統領が「南側の連合制案と北側の低い段階の連邦制案は、互いに共通性がある」と認定し、2015年にも「南側の南北連合制と北側の『低い段階の連邦制』を統合し、統一の第1段階に入らなければならない」と主張しました。(『「低い段階の連邦制」は提案されるのか』東亜日報 December. 31, 2005)
この「低い段階の連邦制」を、2012年の朴槿恵大統領が誕生した大統領選挙で公約としていたのが文在寅候補者でした。
https://jinf.jp/weekly/archives/9495
【第172回・特別版】朴槿恵氏の歴史的使命は日米との関係強化
西岡力 / 2012.12.20 (木)国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力
得票率51.55%対48.02%、108万票の差で朴槿恵候補が当選した。12月19日に行われた韓国大統領選挙の結果だ。1987年の現行憲法施行以来、初めて過半数を得票した大統領となる。女性大統領の誕生も韓国史上初めてだ。
従北勢力を韓国民が拒否野党の文在寅候補は、選挙戦で「北朝鮮人権法反対、国家保安法廃止、低い段階の連邦制統一実現」という北朝鮮の路線をそのまま主張していた。それに危機感を持った保守派が、金大中元大統領のかつての側近や70年代、80年代の民主化運動家まで含めて大同団結し、朴槿恵候補を支援した。
今回の選挙は、「大韓民国勢力」対「従北左派勢力」の決戦であり、朴槿恵候補が負ければ韓米同盟破棄、連邦制統一を目指す左翼政権に対して保守勢力が実力で抵抗する流血の事態も予想されたが、韓国人の良識がそれを阻止した。
投票率が75%と高かったが、「(朴槿恵候補の父の)朴正熙元大統領に恩返しをしたい」「文在寅が勝てばアカ(共産党)の天下になる」という危機感を抱いた高齢者、低所得者、低学歴者が大挙して投票した結果だった。(以下略)
今、文在寅がやっていることを考えたら、この頃からぶれていないのです。
こう考えると、米朝会談のためのメッセンジャーのような事をやった時に双方に嘘をついたのも分かるような気がします。
金正恩は一族の体制さえ維持させてくれるなら相手はアメリカでもいいのでしょうが、それでは文在寅やその周辺の従北派は困るので、間を取り持つフリをして邪魔をしていたのではないでしょうか。
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