麻生大臣発言の「民度」、本来は「公徳心」では?
麻生太郎財務大臣が武漢肺炎(新型コロナウィルス)での死者が欧米に比べて少ない理由として「民度が違う」と4日の参院財政金融委員会で発言。それに対して立憲民主党の蓮舫氏がツイッターで噛みつき、幾つかのメディアがそれに同調するような記事を書きました。(特定外来生物「カミツキガメ」とはよく言ったものだw)
ネットで見つけた記事ですが、NEWSポストセブンなどは『麻生財務相の「民度発言」は王様のメンタリティから生まれた』と、財閥の家に生まれた傲慢さと結びつけた的外れな記事を書いていました。
また、新家博氏がこの「民度」という言葉を各メディアが英語でどのように訳したかを調べ、次のようにツイートされました。
午後6:51 · 2020年6月6日
麻生さんの「民度」発言が批判を招いているが、批判をやっているのは主に日本の新聞。この「民度」を英語でなんと紹介しているのかと思って調べて見ると、案の定というか、朝日が一番ひどい。いかにも「麻生発言=ファシズム発言」としたいかのように「民度=superiority(優越性)」などとしている。午後6:55 · 2020年6月6日
因みに毎日の英語版は、Japanese people's social manners, 共同は、the country's higher level of social manners, インドのオンライン新聞The Printは the citizen's "cultural standard" としている。今のところ私の目に入った「民度」の英語訳はこんなところだが、とにかく朝日は酷い。
実はブログ主はあまりこの件に関心が無かったのですが、英語の訳語を見て少し考えました。
朝日の訳語は論外として、毎日や共同は「社会的マナー」、インドの新聞は「文化水準」と訳し、後者はやや幅が広い言葉ですが、基本的には麻生大臣が言う「民度」のニュアンスを伝えようとしており、現代の日本人も多くはそのように理解したはずです。
しかし、「民度」という言葉を国語辞典系の辞書で引くと「その地域に住んでいる人びとの経済力や文化の程度」(新明解国語辞典 第七版 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2013)とか「人民の生活や文化の程度民度」(広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店)となっており、最近よく使われる「民度」とは異なった説明です。
おそらく、もう何年かすると「社会的規範を守る態度」というような意味が加わるかも知れませんが、本来は、経済的発展に裏打ちされた生活水準や文化水準という言葉なのです。
ここで、ブログ主は麻生大臣を批判するつもりはありません。
「民度」という言葉に対し、蓮舫氏や朝日新聞英語版などを除いては、共通の認識を持っているのですから。
しかし、一方で、自戒を込めて書きますが、日本人は語彙が貧弱になってしまったのではないでしょうか。
本来、麻生大臣が言いたかったことに最適な言葉があります。
それは、「公徳心」という言葉です。(デジタル大辞泉:社会生活をする上で守るべき道徳、公衆道徳/広辞苑:公徳を重んずる精神)
昔に比べたらモラルが低下した日本人ですが、「私」よりも「公」を重んじることを美徳と考える人が多いからこそ、特別厳しい罰則を設けなくても外出を自粛したり、マスクを掛けたり、店舗も入り口に消毒液を置いたりして、それを守ったのではないかと思います。
これが行き過ぎた、と言うか、変な形で現れたのが勝手に取り締まる「自粛警察」でしょう。
日本では、「表現の自由」などと言って「個人の権利」ばかりを主張する人間に対しては、まだまだ批判的な人が多いのです。(尤も、「表現の不自由展」は個人の権利というレベルの話ではなく、他者の尊厳を損なうことに対しての怒りですが。)
麻生大臣が「民度」ではなく「公徳心」という言葉を使っていたら、メディアが「民度」を「公徳心」の意味だと理解していたら(いえ、訳語を見れば理解はしていたのでしょうが、「公徳心」という言葉は恐らく思いつかなかったのでしょう)、英訳も「public spirit」とか「sense of public (公共)/ duty(義務)/ morality(道徳)」といった言葉が思いついたのではないでしょうか。
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