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2020/06/06

【書籍・韓国】『韓国人、韓国人を叱る』(赤石晋一郎著/小学館新書)/「徴用工“被害者”」について(1)

最近、web上の赤石晋一郎氏が書かれた記事を幾つか拝読し、著作の『韓国人、韓国人を叱る』に興味を持ったので読んでみました。

ジャンル(スタイル)としてはルポルタージュで、韓国と日本の間の「棘」となっている慰安婦問題や所謂「徴用工」問題の関係者だけでなく、ライダイハン、米軍慰安婦、脱北者問題、『反日種族主義』等の関係者へのインタビューを元にまとめられています。

上記だけでもタイムリーな話題ですが、著者ご自身がまきこまれた韓国メディアの捏造報道にまつわる部分は、ご本人が意図したことではないとは言え、これを読めば、日本の報道がこうして捏造・歪曲して韓国で伝えられるという良い見本で、興味深く読みました。

いずれの章も、批判や批評を控えて「生の声」を取りあげたもので、上記の問題を考える一助となるでしょう。

以下は目次です。

 

序章 経済学者が警告「韓国経済は滅びるかもしれない」
第1章 元指導者の嘆き「慰安婦問題は金儲けになってしまった」
第2章 元米軍慰安婦の憤り「なぜ日本軍慰安婦だけが」
第3章 ベトナム戦争犯罪を追及する記者「韓国軍は何をしたか」
第4章 被害者団体代表の訴え「金を出すべきは韓国政府だ」
第5章 脱北作家が告発「大統領は脱北者を見捨てた」
第6章 『反日種族主義』著者の決意「歴史を正す戦いをする」
第7章 元徴用工の証言「差別はあった」「いや、なかった」
終章 韓国で巻き起こった捏造報道の真相

 

第1章は挺対協の重鎮(元幹部)による尹美香氏や現在話題になっている挺対協批判。第2章は日本軍相手の慰安婦とは扱いに雲泥の差がある元米軍慰安婦へのインタビューですが、その女性は月4万円の生活保護で暮らしていると言います。元米軍慰安婦達は2014年に韓国政府相手に訴訟を起こし、これは当ブログでも覚え書きとしてメモしていたのですが、この本で彼女等が勝訴したことを知りました。しかし、その賠償金額は日本円にして数十万円。インタビューに応じたチャンさんの「日本軍慰安婦とどこが違うの」という言葉は尤もです。(2014年の訴訟に関する記事はこちらのエントリーに掲載しています。

第3章はライダイハン問題を追及している女性へのインタビューで、この方は良心から活動を行っているのかも知れませんが、ブログ主個人的には、韓国人による「ライダイハン活動」には「大韓民国の否定」の側面があると思っています。韓国国内(済州島)にあるライダイハン像は慰安婦像や徴用工像を作った例の夫婦の手によるもので、北朝鮮あるいは従北活動家とは無関係ではないでしょう。したがって、こうした活動を「韓国の良心」とだけ捉えることには個人的には懐疑的です。

第5章は脱北して韓国で小説家をされている方へのインタビューですが、文在寅政権の脱北者に対する冷酷さが伝わります。つい最近(昨年11月7日)も、おそらくは脱北者なのでしょうが、船に乗っていた2名の北朝鮮人を、他の乗組員を殺害した(←ろくに調査もせずに何故それが分かったのでしょう?)とし、更に本人達が北朝鮮に帰りたいと言っているという理由で北に送還した事件がありました。韓国の法律では北朝鮮の住民は韓国国民と見なしているので、自国民を保護しなかったことになります。現在、韓国で暮らしている脱北者は文在寅政権に対して恐怖感を抱いているとはよく聞きますが、この章を読めば、それも理解できます。

第6章は『反日種族主義』の著者の一人、イ・ウヨン博士へのインタビューで、李博士の人柄が伝わってきます。

また、上の目次にはありませんが、「長いあとがき」ではナヌムの家でインタビューした元慰安婦の女性のことが書かれています。名前は伏せられていますが、裵春姫(ペ・チュニ)というおばあさんではないでしょうか。ナヌムの家とは、挺対協の影響下にある元日本軍慰安婦と称する女性達が住む施設ですが、現在、挺対協だけでなく、この施設にも金銭スキャンダルが吹き出しており、その一つがペさんの署名した、遺産を全てナヌムの家に寄付するとした「誓約書」です。但し、この誓約書に注目しているのはネットメディアだけです。

なぜブログ主が彼女ではないかと思ったかと言うと、晩年、『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河教授とペさんは信頼関係にあり、朴教授がナヌムの家から名誉毀損で訴えられた裁判の最終意見陳述ではペさんは実は「日本人が好きだった」と朴教授が明かしているからです。(詳細はこちらのブログ記事『【慰安婦問題】共同生活施設「ナヌムの家」でも金銭スキャンダル』を参照して下さい。最終陳述へのリンクも貼ってあります。)ペさんは朴教授と電話で話す時には聞かれていないか怯えている様子だったそうで、朴教授も誓約書の信憑性に疑問を呈しています。

さて、ここまで、『第4章 被害者団体代表の訴え「金を出すべきは韓国政府だ」』と『第7章 元徴用工の証言「差別はあった」「いや、なかった」』については飛ばして書きました。

批判というわけではないのですが、少し注文をつけたいのは、「被害者団体」、「元徴用工」という言葉に説明がなされていないので、多くの読者は戸惑うのではないかと思います。

ここで言う「被害者団体」とは、「日帝による被害を受けた“徴用工”(や軍人・軍属)への補償は日韓請求権協定で国家間の補償は済んでおり、その補償は韓国政府がすべき」と主張する団体で、基本的にはごもっともな主張なのですが、赤字にした部分を理解できる読者はどれほどいるでしょうか?

いえ、偉そうに書いているブログ主も以前書いたブログ記事などを読み返さないと簡単には説明できないのですが、日本人がいう「徴用」や「動員」、韓国人がいう「強制動員」に関する理解は日韓でかなりの隔たりがあり、また、韓国国内でもその定義が変わっているのです。

また、「元徴用工」として著者がインタビューした方々は、実際の徴用令(効力は1944年9月~1995年8月の終戦までの11ヵ月間→実際は1995年3月に朝鮮と内地=日本との間の連絡船がほぼ欠航となるので実質7ヵ月間)によって日本に働きに来た方達ではなく、それ以前の「官斡旋」で日本に来た方々なのです。

但し、インタビューされた「元徴用工」の方々(正しくは「旧朝鮮半島出身労働者」)は賠償を主張している訳でもなく、日本での経験や2018年10月30日の大法院判決についての感想を述べられているだけです。

ちなみに、大法院判決の原告4名もまた「徴用工」ではなく、「募集」に応募した者1名、「官斡旋」で日本に来た者3名です。また、この判決は、募集工とか徴用工とかは関係なく、「そもそも日本による“植民地支配”が不当であった」という認識に基づくもので、これ自体、『日韓基本条約』を反故にする判決です。これが通ってしまうのなら、「日帝時代に学校で無理矢理日本語を学ばされた」でもなんでも通ってしまいます。

再び、「但し」なのですが、インタビューを受けた方々はそのような区別は認識しておらず、たまたまなのか、口を揃えて「小遣い程度の賃金しか貰わなかった」と述懐しています。日本に出稼ぎに来た方達の中には稼いだお金で田んぼを買ったというような話はよく聞くのですが、インタビューされた方の中にはそのような例が無かったのが不思議です。また、中にはその『徴用』に関して、強制性を感じていた方もいました。これはこれで「生の声」であり、貴重なのですが、これは「証言」でもあるので、この方たちの勤務実態などをもう少し追跡して欲しかったと思います。

また、「被害者団体」に関しては、盧武鉉政権の時に、1938年4月1日の『国家総動員法』~1995年8月の終戦までの期間に、日本に出稼ぎに来た人達を全て「強制徴用」としたので、韓国国内では「被害者」で正しいのですが、こうした説明がなく、「被害者団体」という言葉を目にすると面食らう読者も多いのではないでしょうか。

韓国政府や韓国国民が「強制徴用」としている事は、日本では「戦時動員」としていまが、これについては複雑なので別のエントリーでもう少し詳しく見ていくことにします。

徴用問題に関しては上記のように若干注文がありますが、日本人の多くが抱いているイメージとはまた別の側面がある事を知ることができる本なので、ご一読をお薦めします。

 

 

  


 

 

 

 

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