【慰安婦問題】李容洙氏の黒幕?太平洋戦争犠牲者遺族会の梁順任氏が記者会見
※この件に関する日本語版の記事が公開されたので、以前のエントリー(韓国語の記事を機械翻訳しただけのもの)を削除し、新たなエントリーとしました。
6月1日、挺対協(現・正義連)とは別の団体「太平洋戦争犠牲者遺族会」(以下、遺族会)の梁順任(ヤン・スニム)氏が記者会見を開きました。この方は、後述する朝鮮日報の記事にも書いてありますが、植村隆元朝日新聞記者の義母です。
日本で裁判を行っていた遺族会、韓国内で水曜集会をやっていた挺対協
遺族会は、元慰安婦であることを告白した金学順氏や文玉珠氏、沈美子氏らを原告として、1991年から2004年まで、日本政府に対して慰安婦に対する賠償を求めて最高裁まで戦います。(アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件)結果は敗訴でした。(改めて経緯を見ると、日本側の反日弁護士などに遺族会が乗せられてしまった感があります。)
この団体が今回記者会見をしたのは、尹美香氏や挺対協を糾弾するためですが、そのために、挺対協に楯を突いて切り捨てられた元慰安婦の遺族を引き連れての会見で、韓国語が分かる方に教えて貰ったのですが、挺対協に対する恨みつらみを1時間20分に渡ってまくし立てたようです。
この団体と挺対協との確執については、時系列をまとめたエントリーの1991年の「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件」の項を読んで戴ければ大凡分かると思いますが、日本に来て遺族会が騒いでいる間に、韓国国内での慰安婦団体の地位を挺対協に奪われてしまったようです。挺対協は1990年に設立され、例の「水曜集会」(日本大使館前でのデモ)は1992年に始めています。
会見では1993年に元慰安婦のリストを挺対協に盗られてしまったと語ったそうですが、この年、金泳三大統領の時代ですが、韓国内で元慰安婦に補償をする動きがあり、元慰安婦を調査する調査することになりました。その時に渡したリストを盗られてしまったと言っている訳ですが、遺族会は日本で裁判中だったので、国内のことに手が回らなかったのでしょう。
会見ではまた、ある日本人から元慰安婦のためにと寄付されたお金を挺対協に盗られたとも語ったそうです。
これについては、ジャーナリストの赤石晋一郎氏がこちらの記事(『韓国・元慰安婦支援団体“内ゲバ”の真相! 「反日や金儲けに利用されている」元慰安婦の不満爆発』で解説していますが、日本人の大学職員が退職金の一部を寄付し、1000万円を預かった韓国大使館が挺対協に渡してしまったのだそうです。このことでも、慰安婦問題では既に挺対協が第一人者のような存在だったことが分かります。
そして、記事によると、慰安婦達が「横取りだ」と騒いだために、挺対協はその一部を元慰安婦に分配しました。
李容洙氏の爆弾発言の直後の5月8日に、尹美香氏は元慰安婦達にちゃんとお金を渡していたという証拠として自身のFacebookで92年の領収書を出しましたが、赤石氏によると、その時の領収書だそうです。(カイカイ反応通信:挺対協元代表の尹美香、元慰安婦からの批判を受けて28年前の領収書公開…逆に不信感を高める結果に=韓国の反応)
1904年には沈美子氏は挺対協と決別して「ムクゲの会」を結成していおり、この頃から元慰安婦は挺対協派と遺族会派に分かれていたのでしょう。
アジア女性基金を受け入れた遺族会、拒絶した挺対協
基本的にはおばあさん達はお金が欲しかったわけで、1995年に日本が官民(と言っても政府が9割支出)で設立した「アジア女性基金」も96年に支給を開始すると、まず7名の元慰安婦が受け取っています。遺族会は基金を肯定、挺対協は(元々、北朝鮮の統一戦線部傘下の組織として日韓の離間工作が目的なので)否定をする立場で、対立が激化し、秦郁彦氏の『慰安婦と戦場の性』によると、この頃は挺対協と遺族会は公然とデモなどで非難合戦を行っていたそうです。
ここまで読んでお分かりのように、韓国内で争っているのですから、日本としては「高みの見物」を決め込むしかないでしょう。ブログ主は韓流ドラマとか韓流歴史ドラマとか見たことがないのですが、多分、こんな感じなのではないでしょうか。
総選挙で与党の公認候補選びに敗れた遺族会、勝った挺対協
慰安婦問題からは一旦離れますが、「徴用工訴訟」と言えば、現在、日韓間にトゲのように刺さっている大法院判決を誰もが思い出すでしょう。これを支えているのは「民主総連」や弁護士会の「民弁」で、一方、日韓請求権協定で既に日本は未払い賃金などを支払い済みだとして、韓国政府に補償を求めている人達もいます。遺族会は後者で、これは理屈としては筋が通っています。
下は一例ですが、過去のブログエントリーを調べたら、他にも幾つか遺族会が起こした裁判の記事を引用していました。
元徴用工ら、韓国政府に賠償請求 (日経新聞 2017/8/14 19:31)
【ソウル=山田健一】太平洋戦争時に旧日本軍に徴用されて軍需工場などで働いた朝鮮半島出身の元徴用工とその遺族の計6人が、1人あたり1億ウォン(約960万円)の損害賠償を韓国政府に求める訴訟を14日までにソウル中央地裁に起こした。韓国政府の責任を問う訴訟は珍しい。元徴用工を支援する市民団体「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」が明らかにした。
原告は1965年の日韓請求権協定によって日本政府から韓国政府に支払われた3億ドル(約330億円)の無償提供資金が、元徴用工個人に支払われなかったのは不当と主張している。市民団体側は、原告を今後千人規模に拡大したいという。
元徴用工に対する賠償責任を巡っては、日本政府は日韓請求権協定を結んだことで解決済みという立場。韓国では大法院(最高裁)が2012年に韓国人の個人の請求権は消滅していないとの判断を示して以降、地裁や高裁で日本企業が敗訴する例が相次いでいる。
民主総連は日本の「連合」のような労働組合のトップで、徴用工像にはこの団体の名前のプレートが付いています。「民弁」には文在寅氏が大統領就任前まで所属していました。
4月に行われた選挙では、当初、与党から遺族会の事務局長を候補にするという打診があったそうですが、結局は挺対協の尹美香氏が候補となりました。
尹美香氏は、最初の頃、李容洙氏は遺族会に影響されていると言っていました。
ジャーナリストの崔碩栄氏は5月10日にTwitterで以下のように呟いています。
「イ・ヨンス告白騒ぎの背景には「ジェラシー」があると見た。これはこれは(笑)。久しぶりに元朝日記者の名前見ることになるかもね。彼は直接的な関係はないけどかわいそうに…」
前述の赤石晋一郎氏の文春の記事(『慰安婦支援団体代表が韓国選挙に与党から出馬へ 突然の政界転身の理由』(2020/03/29))でも、公認争いでの2団体の確執が書かれています。
更に、李容洙氏の発言がかつての沈美子氏とそっくりなことや、「金学順おばあさんが始めたこの運動(水曜集会)を私が終わらせる」という発言などから、ブログ主は遺族会がバックにいるのではないかと思っていました。但し、遺族会側は「黒幕」説を否定しています。
ただ、ブログ主は梁順任氏の会見動画〔태평양전쟁유족회, 정대협의 30년 숨겨진 진실을 밝힌다 (펜앤현장 ; 6월1일)〕を実際に観て、少し考えが変わりました。
もし梁順任氏が李容洙氏を支援しているなら「黒幕」という影の存在で黙っていられるだろうか?という疑問を持ったのです。興味があったら、どんな調子でまくし立てているかを動画で確認してみてください。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/06/02/2020060280092.html
「慰安婦ハルモニたち、尹美香を怖がっていた」
太平洋戦争犠牲者遺族会が会見
2020/06/02日本による強制動員兵士、労働者、女性勤労挺身隊、慰安婦被害者ら韓国人被害者と遺族の団体「太平洋戦争犠牲者遺族会」(以下、遺族会)が1日、「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協、「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」〈正義連〉)解散と、尹美香(ユン・ミヒャン)現国会議員=共に民主党所属=の辞任を要求した。遺族会は「亡くなった慰安婦被害者は生前、挺対協と尹美香氏を怖がっていた」「政府はこれ以上、この団体に支援金を送ってはならない」と言った。そして、尹美香氏にも「これまでも日本に関連して何もしてこなかった。涙でなかったことにするのではなく、辞任しなければならない」と主張した。遺族会は挺対協と共に日本植民地時代の被害補償のために努力してきた二大組織の1つとされている。
遺族会の梁順任(ヤン・スニム)会長(76)は同日、仁川市江華郡内のある飲食店で記者会見を開き、「慰安婦被害者・李容洙(イ・ヨンス)さんの指摘通り、挺対協(正義連)は道徳性を失い、慰安婦被害者を利用した権力団体に転落した」と批判した。梁順任会長は同日、別途配布した会見文で、「過去数十年間に挺対協と尹美香氏は慰安婦被害者のための被害者中心団体ではなく、もう一つの権力団体を肥やすことに血眼になっただけだ」「尹美香個人の不正だとするのは間違っている。さまざまな不正のたまり場となっている挺対協(正義連)も存続させてはならない」と主張した。さらに、「数十年間、おばあさんたちの目と耳をふさいだまま、国民を相手に詐欺をした団体に過ぎないということが満天下に知られた以上、司法処理に先立って解散させるのが当然だ」とも主張した。毎週水曜日にソウル市鍾路区の旧日本大使館前で開かれている水曜集会については、「国際社会に慰安婦問題を知らせるきっかけとなったのは事実だ」としながらも、「それは真の被害者のおばあさんたちのための最善ではなかった」と述べた。
梁順任会長はまた、「李容洙さんが言ったことは合っている」「2009年に亡くなったカン・スンエさんは生前、『お姉さんたち(ほかの慰安婦被害者たち)が眠っている国立『望郷の丘』に埋葬してほしい、という遺言を残したので、挺対協にこれを知らせたが、遺言とは違って納骨堂に安置された」「補償金を受け取ったおばあさんたちの名前を、ソウル・南山に建てられた「慰安婦記憶の場」のオブジェに刻まれた名前からはずす『天人共怒』の(許し難い)非行を犯した」と批判した。記者会見に出席した慰安婦被害者キム・ヤンヨプさん=故人=の息子キム・グァンヨンさんは「慰安婦被害者たちがこのように侮辱されるのだと思うと、おのずと涙が出てくる」と言った。
同日、記者会見を行った遺族会は、日本による植民地時代の強制動員被害者と遺族が主軸になって1973年に結成された。故・金学順(キム・ハクスン)さんの慰安婦被害事実を最初に報道した植村隆・元朝日新聞記者は梁順任会長の婿だ。本紙は同日、遺族会の複数の主張に対して挺対協側の反論を得るため、複数の関係者に十数回にわたり電話して質問の要旨を数回テキストメッセージで送ったが、回答は得られなかった。
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