神奈川県が1億3千万円で中国製の不良品マスクを購入。県は発注の経緯を明らかにせよ。
神奈川県が4月に東京都内の貿易会社を通じて中国から50万枚もの不良品マスクを購入、医療機関に配布することができないまま保管されていることが分かりました。(記事後述【記事-1】)
調べたところ、4月24日付で決裁申請が県知事宛に提出されています。(画像はPDFの一部をキャプチャしたもの)業者に対しては6月29日迄に代替品を納入するよう要請。業者も応じる姿勢ですが、今後、複数の県議が業者選定の経緯を追及していくとのことです。
まだ記憶に新しいのですが、4月上旬、特にヨーロッパが衣料品に逼迫している頃に中国から輸入したマスクが不良品だというニュースが相次いで報道されていました。
以下に見出しだけ拾ってみますが、3月末~4月上旬のことです。
『中国からの医療支援に欠陥品多く、支援の動機を疑えとEU警告』Newsweek 2020年4月1日
『中国製マスクや検査キット、欧州各国が使用拒否 「基準満たしていない」』BBC 2020年03月31日
『フィンランド、中国から購入した200万枚のマスク「全部不良品」』04月09日
そして、中国当局も対策に動き、4月3日はマスクの輸出許可基準を厳しくしました。(【記事-2】)
ここで当然考えられるのは、基準に満たない不良品が中国国内に大量にだぶついたはずです。
4月中旬~神奈川県が不良品を大量に購入した頃、有名人(芸能人やスポーツ選手など)が個人でマスクを購入し国内の自治体に寄贈する行為が目立ちました。こうした寄贈品の品質については報道はありませんが、まともなマスクだったのでしょうか?(不良品だったとしても、厚意の品についてはなかなか報告されないように思います。)
また、この頃は、日本の街に品質も不確かで高価なサージカルマスク(あるいは家庭用マスク)も並んでいました。(ブログ主が、パッケージに「飛ぶナメクジを除去します」と書かれたマスクの画像を拾ったのは4月28日頃。)
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なお、神奈川県がマスクを発注した「越洋通商」について少し調べて見たところ、HP(http://www.yueyang-trading.com/jp/index.html)がありました。
また、吉林省延吉市に在住で、個人で情報を発信されている方のブログに、『延吉河南で日本の食材や雑貨品を豊富に取り扱う店を発見!』(2017年7月12日付:https://tems.info/yanji/seikatsu/3589/)というエントリーを見つけました。タイトル通り、延吉市内に日本の食品を売る実店舗を持ち、また、現在は閉鎖されていますが、ネットショップ(http://www.yueyang-shop.com/)もあったようです。(キャッシュには、「このページは 2020年4月1日 18:02:17 GMT に取得されたものです。」との表示。)したがって、マスクの取り扱い実績があったかどうかは不明ですが、実体のない会社という訳ではありません。
一応、この企業は代替品の納入を約束しており、不良品を掴まされた被害者の可能性もあるので現時点でこの企業を非難するつもりはありませんが、神奈川県がサンプルを確認していたのか等、オファーを出してから契約に至る過程は明らかにする義務があります。
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ところで、たまたまこのエントリーを書いている時、BS1で地上波のETV特集『マスクが消えた日々』(6月6日放送)の再放送をやっていたのですが、それによると、十分なマスクがあった頃、家庭用のマスクの価格は12円/1枚、医療用のN95マスクは4円だったそうです。なぜ、そのように医療用マスクが安いのかと言うと、医療現場では医療関係者が使うものなので、マスクは純然たるコスト。現場のコスト削減のため、価格競争が起こり、医療品を扱う企業はマスクは採算割れで販売していたそうです。恐らく、他の商品で利益をカバーしていたのでしょう。
日本はマスクの8割が海外製で、中国での感染拡大に伴い、1月頃から中国製のマスクが当局に管理されるようになり、2、3月には全く入荷できなくなり、ピークで70円程に高騰し、5月下旬には10円程には下がったそうです。
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【記事-1】
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200619-OYT1T50153/
50万枚の中国製医療用マスク、性能不備で1枚も配れず…県が購入した経緯を追及
2020/06/19新型コロナウイルスの感染者受け入れ病院などに配るため、神奈川県が購入し、4月下旬~5月上旬に納品された中国製の医療用防護マスク50万枚の一部に不良品が見つかり、一枚も配備できないまま保管されていることが18日、分かった。県内で1日あたりの新規感染者が2桁に上る日が続き、入院患者も多かった時期に、医療現場にマスクが届かなかったことになる。
県によると、県内の医療機関では、4月には医療用防護マスクの在庫が減り、切迫した状況にあった。そのため、県は4月16日、通商会社「越洋通商」(東京)から約1億3000万円で中国製の50万枚を購入する契約を結び、4月30日と5月7日に納品された。
しかし、5月25日に第三者機関を通じてマスクの性能などを検査したところ、後日、サンプル8枚のうち5枚が高性能のN95マスク相当の機能を有していないことが判明。県は中等症患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」などにマスクを配備する予定だったが、不良品が混在していると判断し、中止した。現在は、国からのマスク配備などもあり、在庫に問題はないという。
県は越洋通商に対し、代替のマスクを6月29日までに納品するよう要請している。同社側も応じる意向を伝えてきているというが、納入が遅れたり、再び不良品が混じっていたりした場合は契約を解除し、代金の返還や違約金を求める。
このトラブルを巡っては、複数の県議が「県がなぜ越洋通商を選び、契約したのか、経緯を確認していく」と語っており、開会中の議会で追及する構えだ。
県の担当者は取材に、「契約当時は国内メーカーから調達できる状況になく、緊急を要したため、この会社と契約した」としている。
【記事-2】
https://www.jomo-news.co.jp/news/domestic/international/204393
北京共同『中国、マスクの輸出基準を厳格化 国際社会から「低品質」指摘受け』
2020/04/03【北京共同】中国政府は今月1日から、マスクや人工呼吸器など、新型コロナウイルス対策で使う医療製品の輸出許可基準を厳しくした。中国が提供する支援物資の品質が低いとの指摘が国際社会で出ていることを受けた措置だ。製品の安全性を保証して「良いイメージを確立する」(商務省)と説明している。
医療用のマスクや防護服、人工呼吸器、ウイルス検査薬、体温計の輸出基準を厳格化。輸出前に中国政府が出す登録証を取得するよう、企業に義務付けた。
スペイン政府や地元メディアによると、スペインでは中国企業から購入した検査キットが不良品だと判明し、5万8千個が返品となった。
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