【韓国総選挙】選挙の争点は『韓日戦』あるいは『曺国(チョ・グク)vs. 検事総長』?
公開:2020-04-06 08:54:38 最終更新:2020/04/06 13:49
4月15日の韓国総選挙まで残すところ10日程になり、最新の世論調査が出ました。
数字は後述しますが、結論から言えば、文在寅の支持率が更に上昇し、政党支持率でも与党側(左派小政党も含む)が強く、数字通りなら与党側の圧勝の様相です。
また、本来、文在寅大統領の任期途中での中間評価となるべきところを、コロナウイルスのせいもあって争点がぼやけてしまっています。
それは、与党側(支持者)が選挙を『韓日戦』と位置づけるキャンペーンを張っているために、野党までその土俵に乗っかってしまい、与野党で「愛国」を競っている始末だからです。
それに加え、文在寅支持を強く押し出す比例制党(「開かれた民主党」)が曺国(チョ・グク)を起訴した尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長との対決姿勢を強く押し出し、「曺国復活支持vs.不支持」あるいは「曺国vs.検事総長」の構図になっています。
以下、主に、先週金曜日(4月3日)放送の『言論テレビ』(西岡力氏、洪熒〔ホン・ヒョン〕氏)と李相哲TV『選挙でチョ・グク(玉ネギ男)復活なるか?〜総選挙シリーズ④(2020.4.5)』の李相哲・龍谷大学教授の解説を基にまとめました。
文在寅大統領の支持率は3週連続「支持>不支持」
直近(4月第1週)の世論調査では、文在寅大統領支持は56%(+6%)、不支持36%(ー3%)で、3週連続、支持が不支持を上回っており、支持の理由は「コロナ対策(でよくやっている)」が58%を占めています。
前回のエントリー『【韓国総選挙】新型コロナウイルスは文在寅の追い風に【言論テレビ2020/03/20】』にも書きましたが、3月30日付デイリー新潮の『コロナ対策で「文在寅」の人気急上昇 選挙を控え「韓国すごいぞ!」と国民を“洗脳”』(鈴置高史)でも詳しく説明されています。
但し、政権が選挙が終わるまで感染者の数を控えているという情報(西岡氏によると「噂」ではなく「情報」)があるそうで、洪熒氏も、選挙が終われば一挙に数字が増えると仰っていたので、信憑性がある情報のようです。
政党支持率は与党>野党
同じく直近の支持率は以下の通りです。(赤字が「左派」という説明なので「未来統合党」は本来黒字で書くべき)
争点1「曺国vs.検事総長」
選挙の一つの側面として、「曺国(チョ・グク)氏の復活」があります。
これは、比例政党「開かれた民主党」(Wikipediaは『ヨルリン民主党』と表記)がまさしくそれを掲げて設立されており、曺国氏(12の罪状で在宅起訴)の側近や彼にまつわる不正(疑惑)に関与した人物を候補に立て、あからさまに尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の逮捕を公約に掲げています。(李相哲TVに詳しい)
上図の支持率(10%)で計算すると、47議席×0.1=4.7→4~5議席の獲得が見込まれます。(画像は後ほど追加)
言論テレビによると、左派は文在寅の路線を継げるのは曺国しかいないと見ており(西岡力氏)、曺国を復活させることが文在寅の弾劾や任期後の訴追を回避する方法だと考えています。
洪熒氏は左派の最終的な目的は曺国氏を次期大統領にすることだと仰っています。これにより、洪熒氏の表現を借りると『(韓国版)文化大革命』を完成させるのです。
争点2「韓日戦」
下のポスターは与党支持者が作ったもので、これ以外にも安重根をモチーフにした横断幕も目にしました。
縦書きの漢字は「朝鮮(日報)」、「中央(日報)」、「東亜(日報)」、「自由韓国党(現・未来統合党)」と書かれており、赤字で書かれていることから、日本側(=親日勢力)というレッテルを貼っています。
しかし、これに対し、未来統合党は選挙運動で『独島は我が領土』の替え歌を歌って愛国をアピールするなどしており、完全に与党側の土俵に乗っかってしまっています。(これがよく分かる朝鮮日報の記事があったので後述します。【関連記事-1】)
洪熒氏は、未来統合党の代表・黄教安(ファン・ギョアン)は「左派のアバター(化身)」であり、野党は「左派」でないだけで「保守」ではない、と言い切っていますが、『反日種族主義』の李栄薫(イ・ヨンフン)教授も以前から野党を見限るような発言もしていました。
また、このポスターには「「反民族特別委員会(※)が再び開かれる」と書いてあるそうです。(※李承晩政権が設置した親日派弾圧の委員会)つまり、李承晩ができなかった事=積弊清算を完遂する意思を示しています。
また、金九(李舜臣の右側の丸眼鏡を掛けた人物)は抗日の義士であると共に、終戦後の「韓国」(南朝鮮)の建国を妨害した人物で、ここから伺えるのは『大韓民国の否定』です。
以前から西尾氏や洪氏が指摘している通り、「反日」は隠れ蓑で、従北左派の正体は『反韓』なのです。
本来は「従北左派vs.自由民主主義」の戦いの構図にしなくてはならないのに、そうならないことが良識的な韓国人にとっては悩みの種です。
【参考】
- 統一日報:総選政局、混乱の背後に中共(2020年04月01日)
武漢ウイルスが選挙の性格を歪曲
- 中央日報:【コラム】総選挙後に描かれる政治曲線=韓国
韓国経済新聞/中央日報日本語版(2020.04.05)
【関連記事-1】
「土着倭寇」とは「土着」=韓国の、「倭寇」。つまり、「韓国内の親日派」を蔑んだ言い方。また、「壬辰倭乱」とは「文禄・慶長の役(秀吉の朝鮮出兵)、「宣祖」は文禄・慶長の役の際に国防を疎かにしていた朝鮮の王
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/04/06/2020040680089.html
4・15韓国総選挙、とにもかくにも韓日戦
韓国与党「野党は土着倭寇、義兵決起」…野党「新型コロナは壬辰倭乱、文在寅は宣祖」
2020/04/06今月15日の総選挙まであと十日となった5日、与野党は「韓日問題」でまた正面衝突した。共に民主党などの与党とその周辺では野党・未来統合党のことを「土着倭寇」「親日勢力」と言い、未来統合党側は新型コロナウイルス問題を壬辰倭乱(日本側呼称:文禄・慶長の役)に例えて「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は無能な宣祖(朝鮮時代の第14代国王)だ」と対抗している。
共に民主党は各候補の選挙陣営に配布した「総選挙戦略広報遊説マニュアル」で、「国民たちは今回の選挙を『韓日戦』と呼んでいる。日本政府には屈従的だが、韓国政府を非難することにばかりきゅうきゅうとしている未来統合党に審判を下してほしい」という内容を盛り込んだ。共に民主党の比例衛星政党である共に市民党チェ・ベグン常任共同選挙対策委員長は先日、「(今回の総選挙は)国内政治であるかのように偽装された韓日戦」「共に市民党は義兵であり、反対側には未来統合党がいる」と言った。与党系支持者はソーシャル・メディアなどで「未来統合党は土着倭寇」「土着倭寇を撲滅しよう」「義兵が立ち上がるべき時」「今回の韓日戦は何が何でも勝とう」と声高に叫んでいる。
すると、未来統合党は現与党やその周辺のことを宣祖になぞらえて反撃した。未来統合党のキム・ウン候補(ソウル松坡甲選挙区)は同日、「今回の新型コロナウイルス問題はいろいろな点で壬辰倭乱を連想させる」「宣祖は事前に戦争を防ぐことができのたにもかかわらず、無能で全国民を戦争の惨禍に陥れた」と言った。さらに、「義兵(医療従事者)たちの活躍でかろうじて戦争を収拾した後、宣祖がしたことと言えば、自分こそ最高の戦功者だと自画自賛することだった」「戦功を横取りするため義兵長たちを迫害した」「我が国の医療従事者たちは今、金徳齢(キム・ドクリョン)、郭再祐(クァク・ジェウ)両将軍のように迫害されているが、歴史が証明してくれるだろう」と述べた。
与党支持層が「韓国の防疫が欧米に比べて成功したのは『文在寅保有国』だからだ」と言うと、未来統合党支持者たちは「文大統領のおかげではなく、韓国の社会・医療システム、医療従事者・公務員・専門家をはじめとする全国民の協力のおかげだ」と反論した。未来統合党の比例衛星政党である未来韓国党の元裕哲(ウォン・ユチョル)代表は同日、比例代表候補1番の尹柱卿(ユン・ジュギョン)元独立記念館館長と一緒に尹奉吉(ユン・ボンギル)義士の祠堂である忠清南道礼山郡の忠義祠を参拝した。尹柱卿元館長は尹奉吉義士の孫娘だ。
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