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2020/03/26

【李承晩TV】日本の台湾統治の光と影ー『50年もの間植民統治を受けた台湾が、反日感情がそれほど強くない理由』

タイトルの『50年もの間植民統治を受けた台湾が、反日感情がそれほど強くない理由』とは、李承晩学堂のYouTubeチャンネル『李承晩TV』の最新の日本語字幕動画です。

李栄薫先生達が出版された『反日種族主義』は韓国で反響を巻き起こしましたが、当然のことながら多くの批判を浴びました。

現在、その批判のためのアンカー本を企画されているようで、このところ再び動画に日本語字幕が付き始めたのは、恐らく、そのアンカー本も日本での出版が予定されているのではないかと思います。

 

本題ですが、今回ご紹介する動画は、コメント欄の日本語のコメントを見れば分かるように、評判があまりよくありません。

それは、字幕の訳語を見ると「虐殺」や「殖民地」といった、日本人からすると不愉快な言葉が多く出てくることが原因だと思いますが、日本統治時代初期の、台湾人の抵抗運動に多くスポットを当てているからかと思います。

日台の歴史というと、一般には、八田與一とか映画『KANO』のような、目や耳に心地よいエピソードが多く紹介されますが、台湾人の抵抗がどれほど激しかったのかはあまり知られていないのではないでしょうか。

下関条約(1895年)での台湾割譲後、台湾人の武力抵抗が激しかったのは事実です。日本軍(政府)が台湾に上陸すると土匪(ゲリラ)による抵抗が激しく、その戦闘には女性も加わった程で、武力の差から、日本人1人に対して台湾住民50人の犠牲者で、まさに玉砕でした。

その後も多くの戦闘があり、短期間に台湾総督が3人交代し、1898年に児玉源太郎総督、後藤新平民政長官が赴任してようやく土地調査事業やインフラ整備、教育の普及が始まりますが、一方、武力抵抗に加えて政治運動による抵抗がありました。

後藤新平就任後、暴徒には「匪徒刑罰令」で厳しく対処し、3万2千人も処刑されたそうです。(以上、中公新書/伊藤潔著『台湾―四百年の歴史と展望 』より/著者は日本語世代の台湾人)

土匪に加えて台湾は赤痢やマラリアなどの風土病の温床のような場所で、もともと清国は「化外の地」としており、下関条約の清国側全権大使である李鴻章も「統治は困難だ」と警告していた程でした。

実際、映画『セデック・バレ』の元となった原住民による武装蜂起である「霧社事件」が起きたのは1930年です。

 

動画で語られる激しい抵抗と総督府の厳しい弾圧は(言葉の選択はともかく)、誇張ではないのですが、その後に語られる八田與一などのエピソードが駆け足で、これを視聴した韓国人が、本題の「50年もの間植民統治を受けた台湾が、反日感情がそれほど強くない理由」を理解できたのだろうか?という疑問が残ります。

前述の本では、役人や警察が厳格だったのに対し日本人教師は人格者が多く、現代(=出版当時)日本語世代の台湾人の親日感情はこれら教師の影響だろうと考察しています。

以前も書いたことがありますが、ブログ主が1991年に台湾に出張した際に出会った日本語世代の台湾人の方が、日本式の教育を受けたことがいかに幸せだったか熱弁を振るわれたことがあります。

韓国では単なる出稼ぎ者が、「徴用工」などと言って日本から賠償金をせしめようとしますが、神奈川県の海軍航空兵器製造工場に志願して働いた台湾の少年工は、今でも台湾高座会という同窓会を作り、工場のあった座間市と交流を続け、座間市は彼等の功績を称える顕彰碑を建てています。この違いは、韓国の方には失礼ながら、台湾人の公明正大さ、正直さによるものだと思います。

「二級国民」という意味では朝鮮人より台湾人の方が差別されていたのですが、「差別はあったが、台湾の近代化のために日本人は良いこともたくさんしてくれた」と感謝して下さる台湾人。これが台湾と韓国の差だと思います。

国民党による反日教育を終わらせた李登輝元総統の存在も大きいと思います。

 

 

なお、講義されている朴商厚先生は日本通のジャーナリストで、ご自身のYouTubeチャンネルでは海外の話題を解説する動画の他、日韓問題や日台の関係を良く説明する動画も作っておられます。

 

 

2つ目の動画は映画『KANO』、3つ目は台湾が日本統治時代の建物、ここでは台湾総督府ですが、を大切に保存し、観光資源にしているという内容です。

動画は、韓国語字幕→自動翻訳(日本語)を設定すれば、前提知識があるのである程度理解できると思います。

 

 

  


 

 

 

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コメント

よもぎねこさん
>中国国民党の支配のお陰

仰るとおりです。
うっかりしていたのですが、動画の中でそのことは言及されているので、「補足」のようなつもりで記事を書いてしまいました。
日本人はキャンキャン吠える犬のように五月蠅かった(厳格だった)かも知れませんが、台湾人には日本統治の間にすっかりその「規律」が身についていました。
その後に来た国民党の豚のような貪欲さ。そして2.28へと...

 ワタシは台湾の反日感情が少ない最大の理由は、日本敗戦直後の中国国民党の支配のお陰でしょう?

 台湾人は日本の統治が終わる事を喜び、中国国民党の支配を歓迎したのですが、しかしそれは台湾人の想像を絶する無残な物でした。

 「犬去って豚来る」

 これが国民党支配がはじまった時の台湾人の評価でした。

 犬は日本です。
 犬は噛みつくけれど、番をしてくれた。
 しかし豚は食って食って食いまくる。 
 この豚が国民党です。

 中国本土からは想像もできないほど豊な台湾に来た彼等は、ひたすら台湾人を搾取する事に熱中したのです。

 この辺りの機微と台湾人の心情を非常によく描いたのが邱 永漢の「濁水渓」など一連の小説です。

 彼は李登輝さんとほぼ同年配で、李登輝さんが京大にいたころ、彼は東大にいました。 そして二人とも終戦直後に台湾に戻り、2・28事件で台湾を逃れたました。

 そういう体験を通して、日本統治への不満を持ちながらも、それを単純な民族主義では発散できない、冷静にならざるを得ない台湾人の心情を描いているのです。

 さらに言えば中国人独特に徹底したリアリズムも、日本への単純な憎悪にブレーキをかけているのでしょうね。

 

 

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