【韓国総選挙】新型コロナウイルスは文在寅の追い風に【言論テレビ2020/03/20】
総選挙まで1ヵ月を切ったこの時期に、文在寅政権の支持率が上昇し、再び支持が不支持を上回りました。その理由は「新型コロナウイルス対策で良くやっている」という評価によるものだそうです。
一方、それに対抗しなくてはならない野党の保守側(反文在寅勢力)は、本来求心力を持つべき「未来統合党」(自由韓国党が他の少数政党と合併)が、保守とは言えない勢力との野合のため、保守派の国民を失望させました。先日(3月4日)の朴槿恵前大統領の獄中からの保守団結の呼びかけも空しく、保守側は少数政党の乱立という最悪の事態を招いています。
先週(2020/03/20)の『言論テレビ』では、ゲストの西岡力氏も洪熒(ホン・ヒョン)氏もやや悲観的でした。
武漢ウイルスが文在寅政権の追い風に
少し前までは曺国氏一家や蔚山(ウルサン)市長選挙(※)のスキャンダルなどで、文在寅政権の支持率は“絶賛下降中”でしたが、ここに来て異変が起きています。
※ 蔚山(ウルサン)の市長選挙で現職は自由韓国党系(野党系)で、これを落選させるために文在寅の30年来の友人を対立候補に立て、様々な現職のスキャンダルをでっち上げて警察に捜査をさせた。これで前市長は落選したが、選挙後に無実だと判明。
この警察署長が起訴された状態で今回の選挙で蔚山の小選挙区から与党側で立候補している。
支持率を発表した世論調査機関は韓国ギャラップで、リアルメーター(これは青瓦台にコントロールされていると言われている)よりは信頼度が高いのですが、
- 2020.03.06 『文大統領の支持率44%に上昇 新型コロナ対応に肯定的評価も』
>政党支持率は進歩(革新)系与党「共に民主党」が36%、保守系最大野党「未来統合党」が22%、「正義党」が6%、「国民の党」が2%などだった。
- 2020.03.13 『文大統領支持率49%に上昇 8週ぶりに不支持率上回る』
>文大統領を支持する理由として、「新型コロナウイルスへの対応」(44%)を挙げた人が最も多かった。不支持の理由は「新型コロナウイルスへの対応が不十分」(37%)が最も多い。
>政党支持率は進歩(革新)系与党「共に民主党」が3ポイント上昇の39%で、保守系最大野党「未来統合党」が22%、「正義党」が6%、「国民の党」が3%と続いた。
このように、文在寅政権の支持率と共にそれを支える与党「共に民主党」の支持率も上がっています。
このことは、韓国の掲示板の翻訳サイトを見ていても、何となく感じていました。
もちろん、そのスレッド(記事)の話題によって書き込む人は異なるわけですが、例えば、中国が絡む話題では中国嫌いや反文在寅政権の書き込みと文在寅政権支持者が入り乱れる一方、対日本、例えば「日本は検査をわざと少なくして感染者数を隠している」などという話題なら日本批判と自国礼賛の一辺倒になります。
これは、「反日感情」もあるのでしょうが、多くの国から入国禁止措置を取られてプライドが傷つけられた韓国国民には格好のはけ口になっているからのように思えます。所謂「精神的勝利」かも知れません。そして、「日本はずるい」から「我が国(韓国)は非常に良くやっている」という自己評価になり、(実際、医療関係者はかなり健闘しているとは思いますが)それが政権への高評価に繋がっているのを読んでいて感じます。
日本国内ですら、「韓国のようにもっと検査をすべき」という声が少し前までワイドショーを中心に騒がしかったのですから、韓国国内で上記のような声が出てくるのは想像に難くないでしょうし、実際に、韓国のラジオ番組に上昌広医師が出演してこのようなことを言っているようです。
日本の「医師」上昌広氏が韓国ラジオ番組に出演
以下 上氏の発言「日本のコロナ感染者数は実際は数万人に達している。」「日本は検査をしようと思えば出来るが、厚労省と国立感染症研究所は権限を守るために検査を拡大しない」「韓国からの入国制限措置は全く意味がない」
そして、これを補足するのが以下の崔碩栄氏のツイートです。
この「韓国ラジオ番組」というのは、韓国で有名な左派の司会者の番組。反日親文のかなり偏向的性向。
日本でも知られてる番組の常連は保坂祐二教授、恵泉の李教授等。曹国元長官も熱烈支持した。
かなり影響力ある番組。
恵泉女学園大学のイ・ヨンチェ氏も常連らしいw
洪熒氏は、本来、この総選挙は「親中」か「反中」かが争点になるべき(統一日報『選挙の争点は親中か反中』)だと仰っており、確かにそうなるべきなのですが、「我が国のやり方は正しい」と国民に思わせるキャンペーンで愛国心を刺激されている最中なので、現政権の思う壺に嵌まっているようです。
ついでに書いておくと、確かに韓国は日本と事なり、MERSの経験があるので感染症対策が確立していたのは確かでしょう。(但し、その時の規準が適用されたために検査対象の規準が低いという説明をどこかで読みましたが。)
新興宗教の信徒に対して全数検査を行っていた時には、軽症者がベッドを占有して自宅待機中の人が亡くなるケースもあり、検査態勢と治療態勢のアンバランスがありましたが、医療崩壊が起きる前に全数検査が終わり、現在は日本と同様にクラスター単位で感染者を追っているので、自然と軌道修正ができたように思われます。新興宗教の全数検査ではかなり無駄なことをやっていたという報告(記事後述-※1)もあるのですが、危機を乗り越えた今ではこれを問題視する声は恐らくかき消されてしまうと思います。
バラバラになった保守
詳しくは過去のエントリー『【韓国】4月15日総選挙の予備知識』に書きましたが、最大野党「未来統合党」は旧・自由韓国党を中心に統合するも、朴槿恵前大統領弾劾に賛成(文在寅政権の憲法改正案にも賛成した一派と被る-統一日報『もう一つの反逆陰謀、「憲法拉致」』※)した一派(20余名)との野合であり、統合する前の支持率合計よりも支持率が低下しています。
※ 韓国では憲法改正は大統領が発議あるいは国会議員の過半数の賛成で発議できるが、それだけでなく、国民百万人が署名したら憲法改正発議ができるという改正案が3月6日に国会を通った。左翼の労働組織を動員すれば可能な数なので、左翼の好きなように憲法が改正できることになる。
候補者の擁立に関しても揉めているようです。(統一日報『黄教安が招いた混乱、歴史的責任』)
洪熒氏が「敢えて『保守』と呼べるのはこの2党だけ」という「基督自由統一党」と「自由共和党」も、先月結党した「自由統一党」が分裂してできた党です。
自由統一党の中心人物の一人である全光焄(チョン・クァンフン/ガンフン)牧師の逮捕についても、 未来統合党の黄教安代表や保守派メディアは何も言わないと洪熒氏は批判します。
* * * *
【関連記事 ※1】
記事では新興宗教の本拠地である大邱(テグ)市以外での信徒検査について書いています。(信徒の総数は20万と言われているので、如何に大邱市での全数検査が大きな数かが想像できます。)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/03/19/2020031980071.html
ソウル市長と京畿道知事の新天地たたき、鼻白む結末
2020/03/19ソウル市と京畿道が首都圏に住む新興宗教団体「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」(以下「新天地」)の信徒を対象として、新型コロナウイルス患者を探し出すという目的で合計7万人余りの全数検査を実施したが、新たに発見された確定患者は18日現在で2人にとどまっていることが分かった。確定患者の割合はわずか0.0028%だ。朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長と李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事はこれまで、新型コロナウイルスの拡散に関し、新天地の責任論を強く主張し、強制調査、殺人罪での告発などさまざまな措置を争うように取ってきた。しかし、ソウル・京畿地域の新天地信徒と新型コロナウイルスの関連性を立証することが難しくなり、2人が政治的に強引な手段を講じたのではないかとの批判が高まりそうだ。ソウル・京畿地域の新天地信徒で疑わしい症状がある人2470人余りの検査費用(1件当たり約16万ウォン=約1万3800円)は全て市、国の費用で賄われた。約4億ウォン規模になる。
ソウル市が市内在住の新天地信徒3万8250人に対する全数調査を実施した結果、確定判定を受けた信徒は4人だった。しかし、うち2人は全数調査の開始(2月27日)以前に既に確定判定を受けており、新規の確定患者は2人だ。
ソウル市は連絡が取れない人を除く3万8119人を対象に発熱などの症状があるかを尋ねた。その結果、症状があった1697人を対象に検体検査を実施した。うち約99%が陰性で、20人は検査予定または検査結果待ちだ。調査対象全体の3万8000人余りのうち確定患者は4人(0.01%)だ。結果が出ていない20人が全て確定患者だったと仮定しても0.06%にすぎない。ソウルの新天地信徒の検体検査数に占める陽性の割合(0.24%)は国内の検体検査総数に占める陽性の割合(3%)の12分の1だ。これに先立ち、朴市長は先月の全数調査開始に先立ち、宗教指導者らと会い、「新天地は確定患者の巣窟だ」と主張したが、全く正反対の結果が出た格好だ。
京畿道も全数調査を実施したが、新たな確定患者は見つからなかった。李知事は当時、「京畿道内の新天地信徒3万3000人余りに対する最初の電話調査で約740人が症状ありと答えたため、大邱市での新天地の確定患者比率に照らすと600人の確定患者が出る可能性がある」と主張した。しかし、京畿道が症状を訴えた人780人余りに対する検体検査を実施した結果、陽性だったのは3人で、いずれも既に確定患者として判定を受けた人だった。このため、新たな確定患者は皆無だった。李知事は先ごろ、「新天地から確保した名簿と中央政府から提供を受けた名簿は異なる」とし、新天地による名簿の虚偽提出疑惑を指摘していた。しかし、中央安全対策本部などが検察と共同で独自に入手した信徒名簿と新天地が当初政府に提出した名簿には食い違いはないことが分かり、李知事の主張は事実とかけ離れていることが判明した。
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