『週刊文春』2020年3月26日号に、元NHK職員で現大阪日日新聞記者の相澤冬樹氏が自殺(2018年〔平成30年〕3月7日/報道は9日)した近畿財務局の職員の赤木俊夫氏の手記と遺書を入手したとして特集記事を掲載しました。(冒頭部分のみ『「すべて佐川局長の指示です」森友事件で自殺した財務省職員「遺書」入手』で読むことができます。)
この相澤記者とは、本人曰く、NHK時代に森友問題を追及しすぎて左遷され、記者活動を続けたいとNHKを退職、大阪日日新聞に転職したという人物で、NHKが政権(特に、安倍総理や昭恵夫人)に忖度していると批判していました。(2018/08/31付ブログ記事『NHKには異動させられたら左翼や共産党が騒いだ記者がいるらしい』)
文春記事全文は読んでいませんが、ネットで知った情報によると、手記を部分的に引用しつつ安倍総理が黒幕であることを臭わせる解説を付けているとのこと。
またか...という印象です。
手記全文ではありませんが、NHKのweb記事(後述【※記事1】)に比較的長めに手記を引用してまとめたものがあり、それを読む限りでは、端的に言って「本省(財務省理財局)への恨みつらみ」と言った内容で、
- 森友学園の案件は常に本省と連絡をとっていたにも関わらず末端である近畿財務局に責任を押しつけられる無念さ、
- 本省には抗えない官僚機構、
- 佐川理財局長等の国会答弁に合わせて改ざんを命じられたこと、
- 差し替え前の決裁書(正確には決裁書の「別添」=添付書類)を公開するなと指示されたこと
等を書き綴っていますが、総理や昭恵夫人の関与、あるいは官邸主導による改竄命令を窺わせる内容ではありません。
文春記事を読んだ方によると、幾つか固有名詞(人名)を挙げて批判しているそうですが、当事者の手記ということで生々しさは感じるものの、ほぼ既出の内容です。
赤木氏の心情はともかく、事実関係としては、財務省は本省担当の決裁書類に関しては本省で改竄したこと、本省の指示で近畿財務局に改竄させたこと等を調査委員会で報告しているからです。
この手記が公表されると共に、お亡くなりになった職員の夫人が国と佐川氏に計約1億1千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しています。
ご遺族の方には大変お気の毒で、民事訴訟そのものは批判しませんし、財務省の体質や書類の改竄は批判されて当然だと思いますが、最近公開したメモ(下記-産経web記事より)を読むと、どうやら夫人も「アベガー」に加担するつもりであることが窺え、失礼ながら相澤記者に洗脳されたのではないかと思わされます。
そして、これにまた元民進党系の野党や共産党が乗っかり、国会で総理や昭恵夫人の関与を追及しているのです。また、文書改竄を安倍総理の「私や妻が関与していたら議員辞職」発言をきっかけにするものというこじつけを再びやろうとしています。
敢えて追及すべき対象を挙げれば、手記にも書かれているとおり財務省の元幹部ですが、これら野党と一部マスコミが狙っているのは、2年ほど前、あれだけ時間を掛けても立証できなかった安倍夫妻の関与なのです。
時間の無駄以外の何者でもありません。
例えば、先日、立憲民主党の福山哲郎参議院議員が国会で追及したのは、昭恵夫人が小学校建設予定地を訪れた際に「いい土地ですから前に進めてください」と言った云々。
これは当ブログを調べたところ、2018/03/13付エントリーに書いていましたが、削除された別添文書に、籠池氏からの伝聞として記載されていたことであり、更に、籠池氏は証人喚問(平成29年3月23日の参院予算委員会)された際、この発言について、「いい田んぼができそうですねということでありましたので、そのお言葉を頂いて『瑞穂のくに』というふうにさせて戴きました。」と説明しているのです。
安倍総理も「あくまでも籠池氏がそう言っているだけ」と答弁していましたが、それに対して福山氏は「人としてどうなのか!」みたいなことを語気を強めて言っていました。ニュースの“編集用”の台詞でしょうが、人格攻撃も甚だしいと思います。
籠池氏がそう言っているだけで実際にそのように昭恵夫人が言ったかどうかは不明ですが、仮に言ったとしても問題はありません。
なぜなら、『森友問題』で問題とされている8.2億円の値引きと昭恵夫人のこの発言時期は全く関係ないからです。
もう、記憶が薄れているかと思うので念のために書くと、森友学園の土地取得は2つのフェーズ、と言うか2種類の契約があります。
一つは「国有地の定期借地契約」(=10年間の定借契約後に時価で買取を予約)、もう一つは「売買契約」(8.2億円の値引き)です。
「定期借地契約」は2015年(H27年)4月28日に理財局で決裁され、5月29日に正式に契約が締結されました。
昭恵夫人の名前が決裁書類に登場するのはこの契約の前で、夫人以外にも鴻池祥肇議員や中山成彬議員、平沼赳夫議員、日本維新の会女性局3名などの名前が登場します。
小学校開設を目指した当初(2011~12年頃)は土地取得問題だけでなく、大阪府の「学校設置認可」の問題もあり、これが、学校設置認可が下りないと土地を貸し付けできない、貸付比率が高いと学校設置認可が下りないという“ニワトリが先か卵が先か状態”で籠池氏は困っていたのでした。この頃籠池氏が頼っていたのは鴻池事務所で、その後、(2012年)大阪府の規制緩和があり、認可の問題がクリアできると、土地の定借契約や寄付金集めに前述のような保守系政治家や昭恵夫人の名前を利用し始めるのです。
後述の手記には鴻池氏の名前も出てきますが、鴻池事務所は籠池氏の面会メモも公開しており、大阪府の学校設置認可の目途が付いた後も進捗状況を事務所に報告していた籠池氏も2015年1月頃からは鴻池氏を頼らなくなっています。
昭恵夫人が幼稚園で講演して名誉校長を引き受けたり、100万円の寄付問題(安倍総理名義で振り込もうとした件)は定借契約締結後の同年(2015年)9月5日と7日で、契約とは関係ありません。これは籠池氏が寄付金集めに利用しようとしたものでしょう。
また、昭恵夫人の秘書の谷氏がFAXで財務省に問い合わせたり、その結果を籠池夫妻にFAXで連絡したことが話題となりましたが、これも定借契約後の話で、同年の10月~11月。
要件は、籠池氏が近畿財務局に「10年定借を50年定借にして欲しい」、「賃借料を半額に値下げして欲しい」と相談していたことの回答を問い合わせるもので、結論は「期待に添えない」という回答を伝達しただけした。
第2の契約、「土地売買」契約に進むのは2016年(H28年)3月11日に建設予定地に新たなゴミが見つかってからです。(同年6月14日決裁で、契約は6月20日)このプロセスには首相夫人や政治家は関わっていません。
ちなみに、佐川氏が理財局長に就任したのは6月17日。森友学園の契約内容など問題が発覚するまでほとんど知らなかったでしょう。
ここで、籠池氏はこの土地を値引きさせて買い取ろうと損害賠償請求をちらつかせながら近畿財務局を脅し始めます。そして、近畿財務局は3月30日に籠池氏と面談し、上限額を聞き出します。
結局、籠池氏は同年4月に約8.2億円の値引きをゴミ撤去費用という名目で引き出し、言い値と一致させるのです。(但し、元々ふっかけていた価格と言ってもよく、近畿財務局は売却を急いでいたので、適正価格に近いのかも知れませんが。)
その後、売買契約を締結(6月20日)。
このプロセスには首相夫人が介在する余地がありません。
そして、財務省が隠したかったのはこの不透明な8.2億円の値引きの経緯であり、野党や朝日新聞などが時系列を無視してやろうとしていたのが、この値引きと総理夫妻を結びつける事でした。
2年前もそうですが、時系列を無視して総理夫妻と無理矢理結びつけるような印象操作に騙されてはいけません。
ついでに書けば、2017年2月17日に安倍総理が国会で「私や妻が関わっていたら辞職」発言をした後に財務省は森友関連文書を確認し、総理夫人や谷氏の記述は問題ないことを認識します。しかし、政治家の照会に関する記述が数多くあることを知り、その取り扱いを協議をしています。
そして、2月21日に民主党議員団が近畿財務局に押しかけて国会議員の関与を追求すると、決裁文書の開示請求に備えて本庁より近畿財務局に国会議員の照会などの記述のリスト化を命じ、これ以降、本格的な改ざんを開始します。(手記によると、第一回目は2月26日とのことです。)
上記は後の調査委員会の報告書に書かれていることです。(下図)
しかし、改竄はこれが初めてかと言うとそうではなく、例えば、安倍総理発言の直前ですが、野党に対して経緯を説明する文書を書き換えています(2月10日~14日の間)。
また、遡ること2015年(H27年)6月、籠池氏による開示請求を受けて、土地取引を巡る近畿財務局と本省とのやりとり(1頁分)を削除しています。
財務省内において決裁書類の改竄のハードルはかなり低かったと言えます。
青字は手記からの引用箇所(一部朝日新聞web記事からも転記)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200318/2000026671.html
森友問題で自殺職員の手記公表
03月18日 17時33分
財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ、自殺した近畿財務局の男性職員が改ざんの経緯などを書き残していた「手記」などを遺族が公表しました。
国会での追及をかわすため財務省の本省が主導して、抵抗した現場の職員に不正な行為を押しつけていた内情が克明に記されています。
公表されたのは、森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられた近畿財務局の職員で、おととし3月、改ざんが発覚した5日後に自殺した赤木俊夫さん(当時54)が書き残していた「手記」と「遺書」です。
「手記」は2種類あり、自殺した日の日付の手書きのものには「今回の問題はすべて財務省理財局が行いました。指示もとは佐川宣寿元理財局長と思います。学園に厚遇したととられかねない部分を本省が修正案を示し現場として相当抵抗した。事実を知っている者として責任を取ります」などと記されています。
また、もう1つの「手記」はパソコンで7ページにまとめられたもので、「真実を書き記しておく必要があると考えた」との書き出しで始まります。
学園との国有地取り引きが国会で問題化する中、野党の追及をかわすために財務省本省が指示していた不正行為の実態について、財務局の現場の職員の視点で細かく記されています。
この中では、実際には保管されていた学園との交渉記録を国会にも会計検査院にも開示しないよう最初から指示されていたと明かしたうえで、事後的に記録が見つかったとする麻生財務大臣など幹部の国会での説明に対し、「明らかな虚偽答弁だ」という認識を記しています。
さらに、「虚偽の説明を続けることで国民の信任を得られるのか」と、財務省の姿勢に疑問を投げかける記述や、「本省がすべて責任を負うべきだが最後は逃げて、財務局の責任にするのでしょう。怖い無責任な組織です」と組織の体質を批判する記述もあります。
そして、最後に手記を残す理由について、「事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ」と締めくくっていて、死を覚悟してまでも自身の責任を果たそうとした赤木さんの思いが読み取れます。
一方、「遺書」はすべて手書きで3通あり、家族に宛ててこれまでの感謝の気持ちを記したもののほか、1通は「森友問題」という書き出しで、「理財局の体質はコンプライアンスなど全くない これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。手がふるえる。恐い 命 大切な命 終止符」と財務省への憤りが記されています。
* * * *
【「手記」の詳細】。
自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが書き残した「手記」の主な内容です。
「手記」は手書きの2ページのものと、パソコンでまとめた7ページのものの2種類があります。
このうち手書きのものは、赤木さんが自殺したおととし(平成30年)3月7日の日付になっています。
この中では【今回の問題はすべて財務省理財局が行いました。指示もとは佐川元理財局長と思います。学園に厚遇したととられかねない部分を本省が修正案を示し現場として相当抵抗した。事実を知っている者として責任を取ります】などと記されています。
一方、パソコンでまとめた「手記」は「真実を書き記しておく必要があると考えた」という書き出しで始まります。
【はじめに 私は、昨年(平成29年)2月から7月までの半年間、これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し、その対応に、連日の深夜残業や休日出勤を余儀なくされ、その結果、強度なストレスが蓄積し、心身に支障が生じ、平成29年7月から病気休暇(休職)に至りました。
これまで経験したことがない異例な事案とは、今も世間を賑わせている「森友学園への国有地売却問題」です。
本件事案は、今も事案を長期化・複雑化させているのは、財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが最大の原因でありますし、この対応に心身ともに痛み苦しんでいます。この手記は、本件事案に関する真実を書き記しておく必要があると考え、作成したものです。】
▽「森友学園問題」が社会問題化する経緯(※)を記したあと、籠池前理事長ら森友学園側との交渉は、現場の近畿財務局ではなく財務省が主導したとしています。
※朝日新聞web記事より転記:https://www.asahi.com/articles/ASN3L6K55N3LPTIL00Z.html
私は今も連日のように国会やマスコミで政治問題として取り上げられ、世間を騒がせている「森友学園への国有地売却問題」を昨年(平成29年)2月から担当していました。本件事案が社会問題化することとなった端緒は、平成29年2月9日、朝日新聞がこの問題を取り上げたことです。(朝日新聞が取り上げた日の前日の平成29年2月8日、豊中市議が国を相手に、森友学園に売却した国有地の売買金額の公表を求める訴えを提起)
近畿財務局が、豊中市に所在する国有地を学校法人森友学園に売却(売買契約締結)したのは平成28年6月20日です。私は、この時点では本件事案を担当していませんので、学園との売買契約に向けた金額の交渉等に関して、どのような経緯があったのかその事実を承知していません。
【全ては本省主導国有地の管理処分等業務の長い歴史の中で、強烈な個性を持ち国会議員や有力者と思われる人物に接触するなどのあらゆる行動をとるような特異な相手方で、これほどまで長期間、国会で取り上げられ、今もなお収束する見込みがない前代未聞の事案です。
そのため、社会問題化する以前から、当時の担当者は、事案の動きがあった際、その都度本省の担当課に応接記録(面談等交渉記録)などの資料を提出して報告しています。
したがって、近畿財務局が、本省の了解なしに勝手に学園と交渉を進めることはありえないのです。】
▽続いて、国会対応にあたった財務省の内情を明かし、佐川氏から野党の追及をかわすために財務局に保管されている文書を開示しないよう指示があったとしています。
【国会対応平成29年2月以降ほとんど連日のように、衆・参議院予算委員会等で、本件事案について主に野党議員から追及(質問)されます。
世間を騒がせ、今も頻繁に取り上げられる佐川(前)理財局長が一貫して「面談交渉記録(の文書)は廃棄した」などの答弁が国民に違和感を与え、野党の追及が収まらないことの原因の一つとなっています。
この資料(応接記録)を文書管理規則に従って、終始「廃棄した」との説明(答弁)は、財務省が判断したことです。その理由は、応接記録は、細かい内容が記されていますので、財務省が学園に特別の厚遇を図ったと思われる、あるいはそのように誤解を与えることを避けるために、当時の佐川局長が判断したものと思われます。
佐川理財局長の指示により、野党議員からの様々な追及を避けるために原則として資料はできるだけ開示しないこと、開示するタイミングもできるだけ後送りとするよう指示があったと聞いています。
(現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできませんが、本省国有財産審理室補佐からは、局長に怒られたとよく言っていました。)
また、野党に資料を提出する前には、国会対応のために、必ず与党(自民党)に事前に説明した上で、与党の了承を得た後に提出するというルールにより対応されていました。】
▽会計検査院の特別検査に対しても、保管されている記録を見せないよう、財務省本省の指示があったとし、この検査をめぐる財務省幹部の国会答弁は虚偽だとしています。
【会計検査院への対応国会(参議院)の要請を受けて、近畿財務局が本件事案に関して会計検査院の特別検査を、昨年平成29年4月と、6月の2回受検しました。
この時、法律相談の記録等の内部検討資料が保管されていることは、近畿財務局の文書所管課等の全ての責任者(統括法務監査官、訟務課長、統括国有財産管理官)は承知していました。
したがって、平成30年2月の国会(衆・予算委員会等)で、財務省が新たに議員に開示した行政文書の存在について、麻生財務大臣や、太田理財局長の説明「行政文書の開示請求の中で、改めて近畿財務局で確認したところ、法律相談に関する文書の存在が確認された」(答弁)は、明らかに虚偽答弁なのです。
さらに、新聞紙上に掲載された本年1月以降に新たに発覚したとして開示した「省内で法的に論点を検討した新文書」について、本年2月19日の衆院予算委員会で、太田理財局長が「当初段階で、法務担当者に伝え、資料に気付く状況に至らなかった。
法務担当に聞いていれば(文書の存在)に気付いていたはずだ」との答弁も全くの虚偽である。
それは、検査の際、この文書の存在は、法務担当に聞かなくても、法務担当以外の訟務課・統括国有財産管理官は作成されていることを当然認識しています。
これも近畿財務局は本省主導で資料として提示しないとの基本的な対応の指示に従っただけなのです。】
▽国会や会計検査院に対し、虚偽の説明を続ける財務省の姿勢に、赤木さんは太い文字で「疑問」を投げかけています。
【(疑問)財務省は、このまま虚偽の説明を続けることで国民(議員)の信任を得られるのか。
当初、佐川理財局長の答弁がどこまでダメージコントロールを意識して対応されていたかといえば、当面の国会対応を凌ぐことだけしか念頭になかったのは明らかです。】
【財務省は前代未聞の「虚偽」を貫く平成30年1月28日から始まった通常国会では、太田(現)理財局長が、前任の佐川理財局長の答弁を踏襲することに終始し、国民の誰もが納得できないような詭弁を通り越した虚偽答弁が続けられているのです。
現在、近畿財務局内で本件事案に携わる職員の誰もが虚偽答弁を承知し、違和感を持ち続けています。
しかしながら、近畿財務局の幹部をはじめ、誰一人として本省に対して、事実に反するなどと反論(異論)を示すこともしないし、それができないのが本省と地方(現場)である財務局との関係であり、キャリア制度を中心とした組織体制のそのもの(実態)なのです。
本件事例を通じて、財務省理財局(国有財産担当部門)には、組織としてのコンプライアンスが機能する責任ある体制にはないのです。】
▽そして、みずからも関わることになった「決裁文書の改ざん」の経緯の説明に移っていきます。
【決裁文書の修正(差し替え)元は、すべて佐川理財局長の指示です。
局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。
佐川理財局長の指示を受けた、財務省本省理財局幹部、補佐が過剰に修正箇所を決め、補佐の修正した文書を近畿局で差し替えしました。
第一回目は昨年2月26日(日)のことです。
当日15時30分頃、出勤していた統括官から本省の指示の作業が多いので、手伝ってほしいとの連絡を受け、役所に出勤(16時30分頃登庁)するよう指示がありました。
その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました。
管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局の総務課長をはじめ国有財産審理室長などから部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。
美並局長は、本件に関しては全責任を負うとの発言があったと部長から聞きました。
部長以外にも、次長ら管財部幹部はこの事実をすべて知っています。
本省からの出向組の次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省の補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。
(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)これが財務官僚機構の実態なのです。
パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。
佐川局長は、修正する箇所を事細かく指示したかどうかはわかりませんが、補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています。
役所の中の役所と言われる財務省でこんなことがぬけぬけと行われる。】
▽さらに森友学園をめぐる問題を主導した財務省の姿勢や、組織の体質への痛烈な批判が続きます。
【森友事案は、すべて本省の指示、本省が処理方針を決め、国会対応、検査院対応すべて本省の指示(無責任体質の組織)と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです。
この事案は、当初から筋の悪い事案として、本省が当初から鴻池議員などの陳情を受け止めることから端を発し、本省主導の事案で、課長クラスの幹部レベルで議員等からの要望に応じたことが問題の発端です。
いずれにしても、本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて、近畿財務局の責任とするのでしょう。
怖い無責任な組織です。】
▽そして【刑事罰、懲戒処分を受けるべき者】として佐川氏のほか、当時の財務省理財局の幹部らを名指ししています。
▽所属する組織の指示で、不正に加担させられた赤木さん。
自らの死を覚悟してまで「手記」を書いた理由を綴っています。
【この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。
事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。
今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。
(55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。
私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何?兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。
さようなら】。
【「遺書」の詳細】。
自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが残した3通の「遺書」の内容です。
1通は「森友問題」という書き出しで、「佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それに指示NOを誰も言わない理財局の体質はコンプライアンスなど全くない これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。手がふるえる。恐い 命 大切な命 終止符」と手書きされています。
ほかの2通も手書きで家族に宛てたもので、妻や義理の母親などに「これまで本当にありがとうゴメンなさい恐いよ。心身ともに滅いりました。ゴメンなさい大好きなお母さん」などと書かれています。
* * * *
【自殺職員の遺族が国と佐川氏を提訴】。
近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが財務省の決裁文書の改ざんに関与させられたことを苦に自殺したことをめぐり赤木さんの妻は18日、国と改ざんを指示したとされる財務省の佐川元理財局長に1億1000万円余りの損害賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。
原告側は裁判の目的について、▼改ざんが誰の指示で行われ、どのようなうその国会答弁が行われたのかを法廷で当事者に説明させるとともに、▼保身やそんたくによる軽率な判断や指示で現場の職員が苦しみ自殺することが二度とないようにすることだとしています。
そして、1億円を超える賠償を求めた理由については、国や佐川氏が法廷で証言をしなくてすむよう事実関係を争わず請求を認めてしまう事態を避けるためだとしています。
【“国は誠実対応を”】。
提訴後に記者会見した原告の代理人の生越照幸弁護士は、「真実を訴訟で明らかにするためには、国側が真相解明のために誠実に対応することが大前提となる。国は訴訟で旗色が悪くなるとすぐに認め、肝心の中身に入れないようにするケースが多い。今回は、国も佐川氏もきちんと対応するよう願っている」と話していました。
また、松丸正弁護士は、「亡くなった赤木さんは手記の最後に、『今の健康状態と体力ではこの方法しかとれなかった』と記している。本当は事実を自ら伝えたかったはずだ。この裁判で真実を明らかにしたい。裁判を通じて、今後、違法なことを命じられた現役の職員たちが、声をあげて抵抗できるような組織にしていきたい」と話していました。
【赤木さん妻“真実知りたい”】。
赤木さんの妻は、提訴にあわせて手記や遺書を公表した理由やいまの心境をメッセージとしてまとめ、代理人の弁護士が記者会見で読み上げました。
赤木さんの妻は「夫が亡くなってから2年が経ちました。あのとき、どうやったら助けることができたのか。いくら考えても私には助ける方法がまだ見つかりません。心のつかえが取れないままで夫が死を決意した本当のところを知りたいです。夫が死を選ぶ原因となった改ざんは、誰が何のためにやったのか。改ざんをする原因となった土地の売り払いは、どうやって行われたのか。真実を知りたいです。今でも近畿財務局の中には、話す機会を奪われ苦しんでいる人がいます。本当のことを話せる環境を財務省と近畿財務局には作ってもらい、この裁判で全てを明らかにしてほしいです。そのためにはまず、佐川さんが話さなければならないと思います。夫のように苦しんでいる人を助けるためにも、佐川さん、改ざんの経緯を、本当のことを話して下さい。よろしくお願いします」としています。
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