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2019/09/20

【書籍/儒教文化】『醜い韓国人』(朴 泰赫著)/なぜ、韓国人は頭を丸めて抗議する?

BBC JAPANに興味深い記事(英文記事を翻訳したもの)を見つけました。このところブログ主が興味を持っている「儒教」にも関係しています。

 

韓国では文在寅大統領や彼が法相に任命した曺国氏に対して連日デモや抗議集会が行われ、昨日(19日)は全国の大学教授が各地で抗議集会を開きました。数日前から準備した曺国氏法相任命に反対する署名は3396筆を集めたそうです。(2019.09.20付朝鮮日報:「祖国アウト」強まるキャンドル〔機械翻訳〕)

10月3日には大規模な反文在寅集会が予定されていますが、日本のマスメディアは曺国氏のスキャンダルを面白おかしく報道したり、反安倍集会は嬉々として報道するくせに、こうした国内の動きを正確に報道しないのはフェアではありません。実際に韓国政府や多くの韓国人が参加している不買運動や日本ヘイトの数々は日本人が怒っても当然ですが、同時に日本のメディアの意図も感じ取る必要があります。

 

ここから本題ですが、まず、BBCの記事をご紹介します。

 


https://www.bbc.com/japanese/49737325
韓国の法相任命に「丸刈り」抗議 でもなぜ頭を丸める?
2019年09月18日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、多くの不正疑惑がかかる側近を法相に任命したことで、世論の不満が高まっている。頭を丸刈りにして抗議する人も現れたが、なぜ抗議する側が頭を丸めるのだろうか?

韓国の最大野党・自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表は16日、青瓦台(大統領府)前で開かれた抗議集会で、頭髪を丸刈りにした。

これは、曺国(チョ・グク)氏の法相任命をめぐり、政府への抗議の意を示したものだ。曺氏は文氏の側近で、娘の大学院入学や家族の資金運用で不正があった疑いをかけられている。

 

20190920_bbc01

 

(中略)

儒教にルーツか

黄代表の「丸刈り抗議」は注目を集め、ソーシャルメディアで話題になった。韓国で最もよく使われている検索サイトのネイバーでは、同氏の名前が検索語のベスト10に入った。

だが、なぜ丸刈りが抗議とつながるのか。

ひとことで言うと、それが「伝統」だからだ。韓国では抗議の意を示す方法として、頭を丸めることが長い習慣となっている

ルーツは儒教の教えにあるとされる。頭を刈ることで、目標に向かって打ち込む態度を示すと、歴史的に捉えられている

軍事政権時代の1960~1970年代には、頭髪を丸刈りにして、反政権の姿勢を示す人が少なくなかった。

また、過去数十年の間にも、活動家や政治家たちは、抗議行動として丸刈りを使ってきた。

2018年には、トイレや更衣室に隠しカメラが置かれる事件が相次いだことを受け、女性たちが頭を丸刈りにして抗議の行進をした。

その2年前には、米軍のミサイル防衛システムに反対する市民900人以上が、頭髪をそり上げた。

東部の利川(イチョン)市では2007年、新工場の建設地をめぐって議論が沸き起こるなか、何百人もの市民たちが丸刈りにした。

今回、大統領府前で丸刈りにした黄代表は、英俳優ギャリー・オールドマンにそっくりになったとソーシャルメディアで評判になり、キムチ・オールドマンというあだ名がついた。

 

日本でも決意の表れとして頭を丸めるということはありますが、大抵は過去の自分と決別するというような、自分自身に対する決意表明が多いかと思います。

それ以外は、罰ゲーム。時代劇などで、果たし合いで勝った相手の髷を切り落として辱めるというシーンがあります。(仲代達矢主演の『切腹』では復讐として敵の髷を切り落としています。) 

調べたら、江戸時代の刑罰の一つとして、姦通などをした女性の髪を剃り落とし、親元に返すというものがあったそうです。(デジタル大辞泉) 現代では、賭けをして、例えば「巨人が優勝できなければ頭を丸める」などと宣言する程度ですが。

上の記事に書かれたような抗議行動は日本人の目には異質に映ります。

20190920_bbc02

記事では「頭を刈ることで、目標に向かって打ち込む態度を示す」儒教文化があると説明されていますが、最近ブログ主がよく引用している『醜い韓国人―われわれは「日帝支配」を叫びすぎる』(朴 泰赫著/1993年)に興味深いことが書いてありました。

本のレビューも兼ねて、ご紹介したいと思います。

 

『醜い韓国人―われわれは「日帝支配」を叫びすぎる』

この本の著者、朴 泰赫(パク・テヒョク)氏は1928年に現在の大韓民国京畿道(キョンキドウ)生まれだそうで、元号で言うと昭和3年生まれです。ソウル大学を中退して新聞記者を経て、一時は韓国有力紙の東京特派員をしていたこともあったとプロフィールに書いてあります。

世代毎の年の差を20年と仮定すると、朴氏の親は1908年(明治41年)頃、祖父母の代は1888年(明治21年)頃に生まれたことになり、日韓併合は1910年ですから、併合前後の変化も家族から聞くことができ、また、自身も日本統治時代を経験しているので、この本で紹介されるエピソードはリアルな体験談が多く、また、新聞記者をされていたので、取材を通じて、あるいは同僚から聞いた話として紹介される小さなエピソードは学者が書く本とは目の付け所がひと味違っていて、大変興味深く読みました。

 

例えば、「大統領選挙」は韓国では(少なくとも本が書かれた当時)、「大権選挙」という言葉が使われ、大権とは「皇帝の統治権」を表す言葉だそうです。よく、「大統領候補の『指名』を受ける」と言いますが、韓国では「推戴」という「押し戴く」という意味の、まるで皇帝にでも使うような言葉なのだそうです。

金泳三大統領(在任期間:1993~98)が当選すると、「閣下」と呼ばれ、盧泰愚(1988~93)が止めていた「検食官」、つまり「毒味役」を復活させたとのこと。

当時、日本駐在の韓国人記者は日本の政府高官が自分でバスや地下鉄で移動するのに驚いたそうです。

呉善花さんの本を読んでも感じたのですが、精神はいまだに「李氏朝鮮」であり、「儒教」に縛られていると考えると、怒りも収まり...ませんが、行動原理が少しずつ理解できてきました。

この本を読むと、著者の子ども時代、李氏朝鮮時代の因習が残っている地方の村の様子もよく分かります。

よく知られている「両班」(リャンパン)=科挙に合格した官僚(貴族)は朝鮮社会のトップに位置し、両班の下に「中人」(チュンイン:医者や通訳などの技能官吏)、「常人」(サンミン:主に農民)。ここまでが「良民」と呼ばれ、その下には「奴婢」(ノビ)である「賎民」により社会が構成されていました。そしてこれが基本的に代々固定化しているのです。(あの世に行っても両班は両班)

韓国人にキリスト教徒が多いのもそのせいかもしれませんね。(とは言え、呉善花さんによると、かなり韓国化したもので、現世利益を求めるようですが。)

 

日本統治時代になり、階級は廃止されましたが、現実の世界では差別は残っていました。著者の家は「中人」の身分だったそうですが、その村では「両班」3割、「中人」4割、「常人」3割で、「常人」は蔑視されていたそうです。

 

 

さて、問題の「髪」にまつわる話ですが、日本でも文明開化の象徴として、1871年(明治4年)に「散髪脱刀令」がありましたが、朝鮮では1895年(明治28年)に断髪令が出されます。

これが、いかに朝鮮人の怒りを買ったかは、イザベラ・バードの『朝鮮紀行』に1章を割いて詳しく書かれています。

  

 

 


『朝鮮紀行』第31章 「まげ」/朝鮮版ヒジュラ より

  • (断髪令に)これが全土を炎と燃えさせた! 憎き日本人が優位を誇ろうとも、あるいは王妃(ブログ主註:閔妃/1895年10月8日暗殺)が暗殺されようとも、国王が幽閉同然の待遇を受けようともじっと耐えてきた朝鮮人が、髪型への攻撃にはどうにも耐えられなかったのである。...
  • 朝鮮人にとって「まげ」は朝鮮人たるしるしであり、大昔からの慣習であり(500年前からとも2000年前からともいわれる)、歴史のあるがゆえに神聖なものであり、たとえ実際にはまだ数歳の子供ではあっても、社会的法的に成人である証であり...

 

『醜い韓国人』によると、朝鮮では両班でも常人でも未婚の間は男は髪を腰の辺りまで垂らしていたそうです。『朝鮮紀行』によると、「まげ」(サンドゥ)を結う儀式は、どんなに貧乏でも無理をして行う重要な儀式でした。

儒教の影響で、「身体髪膚(身体と髪や皮膚、すなわち身体全部)これを父母に受く。敢えて毀傷せざるは孝のはじめなり。」という教えがあるそうです。要するに「親から貰った身体を傷つけるようなことは『孝』に背く」という意味なのですが、それにしては、韓国の整形好きは一体... (外見や見た目の若さに拘る韓国人については『拓殖大学教授・呉善花氏「韓国人に衝撃、日本の女将さん文化」』が参考になるかも。)

 

『醜い韓国人』の著者が親から聞いた話では「日本人は男達の髪で織物にする」というデマを多くの人が信じていたそうですが、著者の母は父がサンドゥを切ったことに関し「日本人のお陰で父(夫)がさっぱりした髪型になったので、感謝している」と生涯、口癖のように言っていたそうです。

 

こうしたことを知って、ふと、日本ではどうだったのだろう?と考えます。

廃刀は武士にとって抵抗はあったようですが、韓国人同様に髷を結っていたのですから。「ざんぎり頭を叩いてみれば文明開化の音がする」という狂歌があったくらいなので、多少の抵抗はあったとしても、やってみたら「意外と良くね?」となったとも思えますが...。

 

こうしたことは、日本人から見れば下らないことですが、それほど李氏朝鮮時代の習慣は朝鮮人に染みついていたと言うことは覚えておくべきかも知れません。現代の韓国人を見ると、非常に「プライド」に拘るのが分かりますが、日本統治時代の屈辱が、反日教育も相まって増幅されているように思えます。特に既得権益集団である両班は、その特権を奪った日本人に相当恨みを抱いていたのではないでしょうか。

 

* * * *

 

こうして見ていくと、同じように日本の統治を受けても「(不満もあったが)良いことは良い」と評価してくれる台湾人との違いも見えてきます。

朝鮮は曲がりなりにも李朝という長年続いた国であり、独自の文化もありましたが、清から割譲された台湾は、明の時代にその版図に入れられたとは言え、「化外(けがい)の地」として中央から束縛されていませんでした。

台湾は多くの少数民族が住み、一つの独立した国ではなく、オランダに勝手に城を作られたり、清の時代には鄭成功が逃げてきたり、常に外から来た人間に我が物顔で支配されていたので、日本に割譲されても「またか」という感じだったのかもしれません。(尤も、最初は抵抗しましたが。)日本が統治し始めた頃は、まだ「首狩り」の習慣を持った部族もいました。

呉善花さんは台湾と韓国の対日感情の違いを不思議に思って、ひととき、台湾人に理由を聞いて回ったそうです。台湾でも、戦後、国民党の支配下で「反日教育」が行われていましたが、学校でそのような教育を受けても、家に帰ると親からそれは違うよと教えられたと答えが返ってきたとのことでした。

終戦後の国民党による「白色テロ」(親日派や知識人の粛正。「共産党(=赤色)」ではないので「白色」)により、日本統治時代の良さが印象づけられたということもプラスに働いているでしょう。「犬(日本)が去って豚(中華民国)が来た」という言葉に良く表れています。

 

色々な本を読んで、韓国人の日本人に対する「恨み」は(理不尽だとは思いますが)多少は理解はできるようになりました。ただ、ブログ主が不思議なのは、対日本以外でも彼等が「非礼」な態度を平気で取ることです。

つい最近も、サッカーのU18かなにかの大会でトロフィーを侮辱して優勝を剥奪されたことがありましたが、特にスポーツの世界で見られるマナーの悪さはどこから来るのでしょうか?

八百長やラフプレー、バドミントンの試合での「謎の風」、いつかのオリンピックで、フェンシングの女子選手が判定に不服で何時間も会場に居座ったこともありました。

少しずつ、歴史を直視し、日韓関係を両校に保ちたいと考える人達が増えていますが、全体としては、正直言って、永久に分かり合えない国だと思います。

 

追記しますが、『醜い韓国人』の第6章の「日韓関係史」は、さすが元新聞記者らしく、短いながらも非常に分かりやすいものでした。

 

 

  


 

 

 

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