【対韓輸出規制】フッ化水素の輸出規制でマスコミが報じないこと
今回、まず、3品目の製品(フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素〔エッチングガス〕)に輸出規制がかかりましたが、政府が発表しているのにマスコミが報じないことがあります。
これは、Twitterである方とやり取りをしていて教えて貰ったのですが、それがきっかけで自分で調べたこともあり、ここではその件について書きとめておきます。
以下に世耕大臣のツイートをご紹介しますが、スレッドの最初のツイートは以下の通りで、引用したツイートはそれに続きます。
韓国への輸出管理上の措置について、なぜこの時期に?等の疑問がまだ寄せられているし、マスコミもまだ完全に理解できていないようなので、今回の措置に至る経緯を改めて説明します。
経緯②
— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) 2019年7月3日
また近時、今回輸出許可を求めることにした製品分野で韓国に関連する輸出管理を巡り不適切な事案が発生している。
つまり、マスコミが、「(自称)徴用工裁判」に絡めて「事実上の対抗策」のように報じているのは間違いだ、と言っているのです。そしてこれは、世耕大臣がここで初めて言ったわけではなく、ちゃんと7月1日の経産省の告知「大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」にも書いてあるのです。
アクセスしてみれば分かりますが、たいして長い文章ではありません。以下に該当部分とその前後だけを抜き書きします。
輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されていますが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況です。こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととします。
「大韓民国との信頼関係の下に」云々というのは、今までの外交上の不信感を指すと思いますが、もう一つの理由としてちゃんと書いてあるのです。普通なら、マスコミは具体的に何があったのかを追及しますよね?
もう一つ、実はこの部分(赤字)は英語版だと微妙に違うのです。このことをTwitterで教えて頂いたのですが、2人で一致したのが、表現もやや違和感があるのです。(下線部)
In addition, as METI has recently found that certain sensitive items have been exported to the ROK with inadequate management by companies, METI will apply more stringent procedures over certain controlled items and their relevant technologies.
赤字部分訳: 経済産業省は最近、企業による不適切な管理方法で、特定の取り扱いに慎重を要する製品が韓国に輸出されていることを発見したため
「by companies」の「companies」はお役所言葉の感じがすると教えて頂いたのですが、和文にはなく、また、なくても通じるものです。英文で「行為者」を入れないと収まりが悪いのかも知れませんが、それなら「by some companies」(一部の企業により)とか書きそうなものなのですが。
それと、「certain sensitive items」というのもぼかした言い方です。ここから受ける印象は、3品目(のどれか)に紛れて何か別のものも輸出(輸入)したとか、勘ぐってしまうのです。
最近、何があったのでしょうか?
もしかしたら、そのヒントかもしれないことが朝鮮日報の社説に書いてありました。該当部分のみ引用します。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/04/2019070480035.html
【社説】韓国大統領府の「戦略的沈黙」は無能と無責任の言い換えにすぎない
2019/07/04 10:10日本における尋常でない兆候は以前から何度も感知されていた。昨年11月にも日本政府が3日間にわたりフッ化水素(エッチングガス)の輸出を中断し、半導体やディスプレイ業界が大騒ぎになったことがある。
昨年11月に、不正か何かが見つかったのではないでしょうか。(→2019/07/10追記: 輸出書類の不備)
ところで、3日間輸出が止められただけで大騒ぎになるとは...。
また、フッ化水素はかなり頻繁に輸出されているのだと、これで分かりました。1ヵ月ほどしか保存ができないそうですが、鮮度(?)が大事なのでしょうね。
話を昨年11月のことに戻すと、調べて見たら、このこと自体はネットでは話題になっていたことが分かりました。
以前から、「フッ化水素を禁輸したら韓国経済は死亡するので効果的な制裁になる」と、ネット民だけでなく識者も言っていたので、「いよいよ来たか!」という感じで、まとめサイトなどに書かれていました。
しかし、これも変なことがあり、この件を報じているのは(日本語で読める記事としては)、レコードチャイナという中国や韓国の時事を紹介しているニュースサイトで、日本の新聞は扱っていないのです。日本の新聞社は韓国の記事をよく紹介するのはご存知だと思いますが、上の朝鮮日報の社説では当時韓国国内で大騒ぎになっていたらしいのに。レコードチャイナの記事のネタ元も韓国のネット記事です。
もちろん、実際に制裁をしたわけではなく、韓国(人)が勘違いしただけですから、それを報じる必要はないと思いますが、この時点では、韓国は「ホワイト国」であり、いちいち輸出許可申請などしていないはずです。(但し、後述するレコードチャイナの記事では審査で不許可になったと書いています。)
輸出許可申請が不要だとすると、申請時に不許可になったのではなく、捜査されたとか、通関時に不正が見つかったとか、やや事件性がある出来事だと思うのです。
この想像が正しければ、ですが、日本のメディアが横並びで口をつぐんだように思えませんか?
だから、今回、経産省が発表しているのに触れないようにしているのでは?とブログ主は勘ぐっているのです。
以下、ご参考迄にレコードチャイナの記事をご紹介します。
https://www.recordchina.co.jp/b660437-s0-c20-d0058.html
ついに日本が報復?フッ化水素の輸出ストップ、韓国の半導体業界に緊張走る
配信日時:2018年11月9日(金) 7時30分2018年11月8日、韓国・電子新聞は「日本政府が韓国に輸出される半導体製造用フッ化水素の一部を承認しないという事態が発生した」とし、「韓国の半導体業界に緊張が走っている」と伝えた。
記事によると、フッ化水素は最近、原料の供給が減り需給が厳しくなる「供給難」に直面していた。そのため韓国の半導体業界では、日本政府が承認を拒否した背景に注目が集まっているという。
業界の話によると、日本で最近、ある企業のフッ化水素輸出申請が承認されない事態が発生した。同企業のフッ化水素は、サムスン電子やSKハイニックスなど韓国の半導体製造企業に供給される予定だった。フッ化水素は戦略物質に分類されるため、輸出・輸入するには当局の事前承認が必要となる。日本政府が輸出承認を拒否した理由は確認されていないという。
これに業界は敏感に反応しているというが、その理由はフッ化水素の需給状況が不安定なため。昨年も厳しい状態が続いていたが今年に入り状況はさらに悪化し、フッ化水素の価格は50%近くも上昇した。フッ化水素の不足は半導体製造に大きな影響を及ぼすため、業界は「超緊張状態」に陥っているという。この事態を受け、サムスン電子とSKハイニックスの購買チームはすでに韓国内の他のフッ化水素輸入企業に在庫を確認するなど、在庫確保に向け動いているという。
半導体用のフッ化水素は高い純度が必要とされるため、森田化学工業やステラケミファなどの日本企業が独占生産している。日本企業が供給を中止すれば、韓国の半導体工場は稼働できなくなる可能性もあるという。
これに、韓国のネットユーザーからは「これはまずい」「韓国はフッ化水素も国産化できていないのか」「半導体まで駄目になったら、赤化統一に近づく。文大統領はそれを狙っているのでは?」「韓国の主力として作られる製品に入る核心素材の原料のうち、韓国でまともに作れるものはない。日本から基礎部品や基礎素材を輸入できなくなったら、韓国の産業は回らない。世界が日本にラブコールを送る理由が分かった」など不安の声が上がっている。
また、新日鉄住金に韓国人元徴用工への賠償を命じた韓国最高裁の判決への「報復措置」とみるユーザーも多く、「国益を考えず一時的な感情で動く現政府の無能が作り上げた結果」「ついに日本が実力行使に出た。文政府のせいで韓国の半導体産業は崩壊するかも」「反日もほどほどにしないと」「韓国の露骨な挑発を受け、日本が黙っていると思った?」「日本は韓国が半導体だけに頼っていることを知っている」「言ったでしょ?今、日韓関係が悪化して困るのは韓国だって」との指摘する声が寄せられている。(翻訳・編集/堂本)
ところで、記事中の、「半導体まで駄目になったら、赤化統一に近づく。文大統領はそれを狙っているのでは?」というネット民の声には同意します。文在寅大統領は本気で韓国を壊そうと考えていると、ブログ主も考えています。
【2019/07/10追記】朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/04/2019070480007.html
輸出優遇除外:日本、昨年もエッチングガスの輸出を3日間停止
2019/07/04企業が警告するも韓国政府は対策講じず
日本政府が、エッチングガス(高純度フッ化水素)の韓国輸出を昨年11月にも3日間停止していたことが確認された。エッチングガスは日本政府が1日に発表した3つの対韓経済制裁品目の1つで、半導体製造に欠かせない化学物質だ。このため、半導体・ディスプレイ業界では、「日本政府は当時、エッチングガスを経済制裁の武器にできるかどうか試してみたのだろう。韓国政府はそれに気付かなかったのではないか」と指摘の声が上がっている。
日本が昨年11月にエッチングガスの輸出を停止したのは、輸出書類不備が理由だった。そのほかに説明はなかったという。ある半導体メーカー関係者は「当時も韓日関係が最悪だと言われていたため、業界では『エッチングガス輸出が韓国の半導体産業に及ぼす影響を知るため、日本政府がわざと輸出を停止した』といううわさが広まった」と話す。
サムスン電子・SKハイニックスなどの企業は当時、産業通商資源部(省に相当)の緊急会議に出席して、「日本が素材・部品を(経済報復の)武器として使った場合に韓国企業が受け取る打撃」を説明した。一部の企業は日本製のエッチングガスやレジスト(感光剤)など主な材料と蒸着・食刻(エッチング)装置の搬入中止を前提とした「生産被害憂慮報告書」を書面で提出した。
問題は、韓国政府がそれから6カ月間たってもこれといった追加対策を立てていないことだ。「産業通商資源部が緊急会議を開いたものの、官僚たちは『まさか日本が韓国に対してこのような経済制裁を敢行するだろうか』という雰囲気だった」と半導体業界関係者らは話す。これについて同部は「昨年11月の場合は、日本が経済制裁措置を取るとは考えにくかった」と言いながらも、「今年3月からは日本側の雰囲気の変化を感じて、通商部門を中心に制裁の可能性を検討していた」と述べた。この関係者は「半導体・ディスプレイの材料・装置を国産化し、輸入先を多角化するため、研究開発(R&D)予算を増やす」としている。
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