【対韓輸出優遇除外】米高官が「ホワイト国除外」の据え置きを提言?/ロイターの記事とそれをベースに報道する日本のメディアに注意せよ
昨夜、日韓の貿易問題にアメリカが調停役に載りだしたかのような記事が配信されました。調べて見ると、元記事はロイターですが、例えば、日経は『米、日韓に「休止協定」提示 関係悪化の歯止め狙う』といったような見出し。
web記事を読むと、本文こそロイターの文字はないのですが、使用している画像がロイターのものなので、ソースはロイターだと分かります。
WTOの一般理事会について報じた記事について以前のエントリーでも指摘したのですが、ロイターの英文記事はかなり韓国寄りの書き方で、今回も読んでみると、また歴史問題が絡んでいるかのようなバイアスのかかった記事です。日経はその記事をベースに、記者がアレンジしています。
このような外電を元にした記事は2重の意味で注意が必要。
- 英語で実際にどのように報じられたのか?
- 日本のメディアのフィルターがどうかかっているか?
事実に関して結論だけ言うと、この「休止協定」は匿名の米政府高官が提案したというだけの話です。しかも、米国(政府)にそれを促せと。
韓国の政治家があれだけワシントン詣でをしてロビー活動をしたのですから、その成果による記事だと思います。
日本語の記事だけで判断する危険性を、日経の記事とロイターの記事を使って見てみます。
下は手を抜いてGoogle翻訳をそのまま貼り付けますが、ロイターの記事を訳すとこんな感じです。(匿名の高官が語ったと思われる部分は青字にしました。)
米国は、貿易詐欺のための「停止合意」を検討するよう日本、韓国に要請する
米国は、韓国と日本に対し、交渉のための時間を買う(→時間稼ぎ→冷却期間をおく)ための深刻な外交紛争について「停止協定」に署名することを検討するよう求めた。(ブログ主註:「政府高官がレポーターに語ったところによると」という部分が訳から漏れている。)
1910年から1945年にかけて朝鮮半島を占領した朝鮮半島の朝鮮半島での労働補償をめぐる混乱により、2カ国の関係が悪化したため、日本は韓国へのハイテク材料の輸出を抑制した。(この部分は記者の意見かも)
(以下の2段落は高官の話とは関係ない)
ドナルド・トランプ大統領は今月初め、アジアにおける最大の2つの米国同盟国間の緊張緩和を支援したいと述べた。ホワイトハウスの国家安全保障顧問のジョン・ボルトンは先週、議論のために両国を訪れた。
ワシントンは、木曜日のバンコクでの地域会議でマイク・ポンピオ国務長官が日本と韓国の外相と会談することを期待されていたことに注目して、その同盟国間の紛争に役立つことを試みている。
匿名性の条件について話をした関係者によると、日本は金曜日には最低限の貿易制限を享受する国の「ホワイトリスト」から韓国を削除することを決定することができた(→決定する可能性がある)。
停止提案は、両国間のいかなる相違も解決するものではないが、協議が行われることを可能にするために一定期間の間、さらなる行動を未然に防ぐだろうと当局者は述べた。
提案された合意の長さは決定されていなかった、と当局者は言いました。
下は日経の記事。日経は世耕弘成大臣が幾ら言っても「輸出規制」という言葉を使い続けいることにも注意。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48000050R30C19A7000000/
米、日韓に「休止協定」提示 関係悪化の歯止め狙う
2019/7/31【ワシントン=中村亮】米政府高官は30日、元徴用工訴訟問題や日本の輸出規制などを巡って対立が深まる日韓両政府に対し、交渉のために一定期間は新たな対抗措置を取らないよう取り決める「休止協定」への署名を検討するよう提案したと明らかにした。ロイター通信が伝えた。北朝鮮や中国への対応に向けて強固な日米韓同盟が必要だと判断し、仲介に乗り出したとみられる。(下線部は日経記者の想像。こういうのをサラッと混ぜるから、読み手にミスリードさせる。)
同高官は協定に関して日韓が協議する時間を稼ぐことが目的だと説明した。協定の有効期間は定めず、日韓が抱える問題を根本的に解決するものではないとも指摘した。
ポンペオ米国務長官が8月1日にASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれるバンコクで日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談することも明らかになった。日本政府は輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を2日にも閣議決定する方向で調整している。ポンペオ氏はその直前に両国外相と会い、関係悪化を食い止める糸口を探るとみられる。
トランプ政権は当初、歴史問題などがからむ日韓問題への関与に慎重な立場をとっていた。だが日韓関係の悪化に拍車がかかると、米国務省高官は26日に「両国の緊張を懸念している」と語った。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も7月下旬に日韓を訪れていた。
トランプ大統領は19日、日韓の緊張緩和に向けた仲介を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から依頼されたと明らかにし、日本からも要請があれば仲介を検討する考えを表明していた。
以下はロイターの元記事。
https://www.reuters.com/article/us-southkorea-japan-usa/u-s-urges-japan-south-korea-to-look-at-standstill-agreement-for-trade-feud-idUSKCN1UP26U
U.S. urges Japan, South Korea to look at 'standstill agreement' for trade feud
Roberta RamptonWASHINGTON (Reuters) - The United States has urged South Korea and Japan to consider signing a “standstill agreement” on a serious diplomatic dispute to buy time for the countries to negotiate, a senior U.S. official told reporters on Tuesday.
Japan reined in exports of high-tech materials to South Korea as relations between the two countries worsened this month, fueled by a feud over compensation for South Koreans forced to work in Japan’s factories when Japan occupied the Korean peninsula from 1910 to 1945.
President Donald Trump said earlier this month that he wanted to help ease tensions between the two biggest U.S. allies in Asia. White House national security adviser John Bolton traveled to the two countries last week for discussions.
Washington is trying to be helpful in the dispute between its regional allies, the official said, noting that Secretary of State Mike Pompeo was expected to meet with foreign ministers from Japan and South Korea at a regional conference in Bangkok on Thursday.
Japan could decide as early as Friday to drop South Korea from a “white list” of countries that enjoy minimum trade restrictions, said the official, who spoke on condition of anonymity.
The standstill proposal would not resolve any of the differences between the two countries, but would forestall any further actions for a set period of time to allow for talks to take place, the official said.
The length of the proposed agreement had not been determined, the official said.
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