【書籍・動画】『アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ』(馬渕睦夫著/KKベストセラーズ)
公開:2019-05-13 21:40:57 最終更新: 2019/05/13 22:33
掲題の本は1年以上前に読んだのですが、少し確認したいことがあって部分的に再読したので、覚え書きを兼ねて書評のようなものを書いておこうと思います。
また、著者がこの本の一部を解説している動画があることを思い出したので、併せてご紹介します。
サブタイトルに「『日米近代史』から戦争と革命の20世紀を総括する」とあるように、1912年のウィルソン大統領(第28代)の就任、即ち、第一次世界大戦(2014年~)、ロシア革命(1917年)の頃から、その戦後処理、支那事変(=日中戦争/1937年~)、大東亜戦争(太平洋戦争)の開戦までを時系列に解説しています。
元駐ウクライナ大使の馬渕氏の本の特徴は、当時の人物の回顧録などを丹念に読み、行動の真意を探り当て、ジグソーパズルのピースを組み合わせるようにして歴史を再構築している点です。
再構築、と書きましたが、教科書に書いてあるような歴史がいかにGHQ史観に基づき、都合の悪い事実を隠して、“日本の悪行”を誇張しているか...。
つまり、「事実を繋ぎ合わせると、本当はこういう歴史だった」というものを馬渕氏は提示してくれます。
上記の本の内、右の『今こそ中国人に突きつける 日中戦争真実の歴史』(黄 文雄著/徳間書店/2005/6/30)は馬渕氏の本を読んだあと、読みたくなったので注文した本の覚え書きと掲載しました。黄氏は台湾人ですが、日本語世代で、これ以外にも著作は多数で、おそらく同様の内容としては『中国・韓国が死んでも隠したい 本当は正しかった日本の戦争』があり、最近では昨年『世界を変えた日本と台湾の絆』(2018/9/22)を上梓されています。
馬渕大使の本に関して内容以外のことを少し書くと、口語体(語りかけるような文体)で書かれており、読みやすいと思います。また、全体に装丁が簡素なものが多くて安い(千円前後の本が多い)ので、内容の割に“お得感”があります。
* * * *
馬渕氏は、アメリカの「国体」、というか巷間言われる「建国の精神」が変わったのはウィルソン大統領(Wood‧row Wilson/在任期間:1913–1921)の時代と見ています。
この時に、アメリカのエスタブリッシュメント(支配階級)がWASP(ワスプ/White Anglo-Saxon Protestant=「アングロサクソン系白人プロテスタント」)から一部の社会主義者(※)に変わったからです。
※ここでいう「社会主義者」は、マルクス主義者、共産主義者とほぼ同義です。国境を越えた支配を目論むという意味では「グローバリスト」となります。また、彼等がある国で政権を動かす陰の実力者となるとき、「ディープステート」と呼ばれます。
その社会主義者とはユダヤ系の大金融資本家が中心で、ウィルソンの頃から豊富な資金力を元に、「金融」はもちろん、「メデイア」や「司法」を徐々に掌握していきます。
彼等は「キングメーカー」として絶大なる力を持つのですが、その方法は、「マイノリティの地位を向上させることによってWASPを権力の座から引きずり下ろした」のだと、ポーランド生まれの国際政治学者であったズビグニュー・ブレジンスキーが著書、『孤独な帝国アメリカ 世界の支配者か、リーダーか』(原題:The Choice/2005年・朝日新聞社)に書いているそうです。ちなみに彼もユダヤ人です。
彼等が白羽の矢を立てたウィルソンをどのように操っていったのかは、以下の動画で著者が語っています。
- 「ひとりがたり馬渕睦夫」#7 ディープステートの原点を探る
https://youtu.be/xxC2giu1bjk
- 「ひとりがたり馬渕睦夫」#8 ディープステートの正体とは?
https://youtu.be/Z85BnnOPmZ4
下の画像は、以前この動画を観ながらノートに描いた図を参考にざっくりとした図にまとめたものです。
少し補足しますが、「グローバリズム」と「シオニズム」(パレスチナにユダヤ人国家を建設しようとする運動=民族主義)と、一見相反する思想・主義が出てきます。馬渕氏の説明によると、ユダヤの預言者(宗教的指導者)にはこれらを説く者が交互に現れていたそうです。
ちなみに、ブログ主の手元にある受験用のまとめ参考書で、丁度上の図に該当する「第一次世界大戦と日本」という項では、以下のような要約がなされています。
ヨーロッパ列強間の帝国主義政策が対立し、1914年、第一次世界大戦に入ったが、日本は日英同盟を理由に参戦してドイツの権益を奪い、列強の間隙をぬって二十一カ条の要求を中国に突きつけて侵略政策を露骨にし、中国民衆の排日運動に火をつけた。
なんという自虐史観...
動画で解説されるのは『アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ』では第1部の途中までの内容です。
序 章 【米露に対する「安倍外交」の真髄】
世界は日本に期待している!
- アメリカの「対露制裁解除」の鍵を握る安倍外交
- 「中国の暴走」を抑えるには、ロシアを味方にせよ 他
第一部 【ウィルソン大統領時代のアメリカ】
アメリカはなぜ日本を「敵国」としたのか
- 「日米関係」の歴史 ←
- アメリカの社会主義者たち ←
- 日米対立へ ←ここまで
- 「共産ロシア」に対する日米の相違
- 人種差別撤廃と民族自決
- 運命の「ワシントン会議」
第二部 【支那事変の真相】
アメリカはなぜ日本より中国を支援したのか
- 狙われた中国と満洲
- 「西安事件」の世界史的意義
- 中国に肩入れするアメリカ」
第三部 【ルーズベルト大統領時代のアメリカ】
アメリカはなぜ日本に戦争を仕掛けたのか
- ルーズベルト政権秘話
- 仕組まれた真珠湾攻撃
- 日本を戦争へ導く「マッカラム覚書」
終 章 【これからの日米関係】
グローバリズムは21世紀の「国際主義」である
一般に日米開戦、即ち、大東亜戦争の始まりは真珠湾攻撃(1941年12月8日)とされていますが、著者は、その火種となったのは「ワシントン会議」(1921年)と言います。下は広辞苑の解説ですが、著者によると、ヴェルサイユ講和会議で日本を封じ込めることができなかった報復だそうです。
ワシントン‐かいぎ【ワシントン会議】 ‥クワイ‥
第一次大戦後の1921年11月~22年2月、ワシントンで開かれた海軍軍備制限問題および極東・太平洋問題に関する国際会議。イギリス・アメリカ・フランス・イタリア・日本の海軍主力艦の制限が約され、九カ国条約・四カ国条約が成立、日英同盟は廃止。広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店
特に「中国に関する九カ国条約」は、この後、これを盾に、日本の中国における権益を悉く邪魔し、20年代は更にアメリカ国内で排日運動が起こります。アメリカ、というよりも、アメリカのディープステート(国家内国家)はじわじわと日本を開戦へと追い詰めていくのです。彼等の目的は「中国の共産化」でした。
その目的のためには、日本が邪魔だったのです。
こうしてみると、アルカイダ然り、IS然り、アメリカが育てたものは必ず自分達の敵となって返ってきています。
アメリカでは「民主党」であろうと「共和党」であろうと、動かしているのはディープステートです。しかし、それと戦う大統領がトランプ氏だと馬渕氏は言います。少数ですが、このような見方をしている方は他にもいらっしゃいますが、日本の大手メディア、NHKや朝日新聞は元より、読売も反トランプですし、産経ですら怪しいものです。ましてや、テレビは言わずもがな。
アメリカではFOXニュースのようにトランプ側のメディアもありますが、ほとんどが反トランプで、日本のメディアはその尻馬に乗っています。
ロシアゲートはまるで日本のモリカケ(森友、加計問題)だし、少し前は、トランプ氏が連邦最高裁判所判事に指名したブレット・カバノー氏を何十年も前のあやふやな証言で徹底的に叩いていましたが、日本ではCNNに代表される反トランプメディアの情報を垂れ流していました。
カバノー氏の話題では動画で連邦最高裁判所判事の構成に触れていましたが、ついでにリストを掲載しておきます。
追記:その他のおすすめ動画
故渡部昇一氏と馬渕大使の対談です。
【大道無門】馬渕睦夫と国難の正体を暴く[桜H25/5/24]
司会:渡部昇一(上智大学名誉教授) ゲスト:馬渕睦夫(元駐ウクライナ大使)
下は、馬渕大使の「ひとりがたり」シリーズ同様、林原チャンネルの動画ですが、支那事変の頃の歴史理解に役立ちます。
ノンフィクション作家・河添恵子#7-1★アメリカ左派と中国の密接な繋がり / キーマンは陳香梅とキッシンジャー
ノンフィクション作家・河添恵子#7-2★客家人・サスーン・蒋介石の時代〜20世紀の中国とアメリカ〜
陳香梅という女性は英語名をアンナ・シェンノートといい、夫は支那事変のフライング・タイガース(中国国民党軍を支援したアメリカの義勇軍)のクレア・シェンノート少将。2018年3月まで存命で、ホワイトハウスに出入りしていた大物チャイナロビーイスト。キッシンジャー(Henry Alfred Kissinger)は中国と非常に近い人物で、彼もドイツ系ユダヤ人です。
サスーンというのはユダヤ財閥で、蒋介石とも近く、英ロスチャイルド家の代理人。日本はシナと戦っていると思っていました(=そのような歴史として教えられて来ました)が、実は米英との戦争であり、大東亜戦争は既に始まっていたのです。
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