【日本海呼称】韓国、IHO(国際水路機関)以外に国連「地名専門家グループ」の会合でも「日本海」表記にいちゃもん
公開: 2019-05-02 15:10:35 最終更新: 2019/05/04 8:23
本日付(5/2 9:53)でweb上に朝日新聞の『日本海呼称めぐり応酬 韓国「東海、多くの地図に併記」』という記事が掲載されていました。
一瞬、年初くらいから話題になったIHO(国際水路機関)での応酬かと思ったのですが、米ニューヨークの国連本部で開催中の「地名専門家グループ」の会合で~とあるので、別の話だと分かりました。
要するに、手当たり次第にいちゃもんを付けているわけです。
記事にもあるように、この会合は「各国の地名の決め方の知識を共有する」のが本来の目的だということです。
また、記事末に、“韓国は1992年以降、「日本海」の呼称は日本の植民地主義に起因するとして「東海」を用いるよう再三にわたり要請”しているものの、“国連事務局は2004年、公式文書では日本海を用いる方針を示している”とあるように、、韓国の異常さがここでも発揮されています。
このエントリーでは、この話題を記録するついでにIHOでの経緯を含めて記しておくことにします。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190502-00000015-asahi-int
日本海呼称めぐり応酬 韓国「東海、多くの地図に併記」
朝日新聞 5/2(木) 9:53配信米ニューヨークの国連本部で開催中の「地名専門家グループ」の会合で4月29日から1日にかけ、日本海の呼称をめぐって日韓が応酬を繰り広げた。「東海」呼称を求める韓国が提出資料で日本海に言及したことから、政治論争に発展。各国の地名の決め方の知識を共有するという会合の本来の目的からそれたものになった。
会合での論争は、韓国が「東海ソサエティー」と称する団体のセミナーへの参加を呼びかける文書を参考資料として提出したことから始まった。セミナーは「朝鮮半島と日本列島間の海の呼称について、合意がないことの解決をめざして開始」し、昨年の議題は「両名併記」だったという。
この文書について、川村泰久・国連次席大使は29日、「日本海が国際的に確立した唯一の呼称で、国連などの国際機関も使用している。この会合でプロパガンダを広めることは適切ではない」と指摘した。
一方、韓国は「国際的に『東海』は広く使用されており、否定できない事実だ。かなり多くの地図でも併記している」と反論。1日には「(二国間で)議論がある場合、両名併記は実現可能な解決手段だ」とする別の参考資料について説明した。
これを受け、川村次席大使は「近年地図に両方が併記されているのは、韓国政府のロビー活動の結果だ」と指摘。すると韓国は、「『東海』を用いている出版社に大きな敬意を表する」と正当性を強調した。
韓国は1992年以降、「日本海」の呼称は日本の植民地主義に起因するとして「東海」を用いるよう再三にわたり要請。国連事務局は2004年、公式文書では日本海を用いる方針を示している。(ニューヨーク=藤原学思)
このエネルギーと情熱をもっと有益なことに使えばいいのに...とは思いますが。
IHO(国際水路機関)とは
外務省の「国際水路機関(IHO)での取り組み」というページ(最終更新:平成28年11月8日)から基本的なことをメモしておきます。
国際水路機関(IHO)について
- 水路図誌(海図,灯台表等)の最大限の統一,水路測量の手法や水路業務の技術開発等を促進するための技術的,科学的な活動を行う国際機関。1921年設立。加盟国は85か国。本部はモナコに所在。
- 総会は3年ごとに開催…外務省サイトに「来年4月,モナコにて開催される予定」とあるので、今年(2019年4月)のはずだが、次回総会は2020年とのこと。
「大洋と海の境界」について
- 各国の水路機関による海図作製の便宜を図る目的で,IHOが海洋の境界と名称を示すガイドラインとして編纂している図誌。…韓国はこのガイドラインの変更を主張している。
- 「大洋と海の境界」は1929年の初版から現行版(1953年作成)に至るまで,一貫して国際的に確立された唯一の名称として日本海呼称を使用。
- 韓国は,1990年代以降,各国の政府・市販の地図や国際機関の地図において,「日本海」を「東海」と改称するか,「東海」と「日本海」を併記すべきと主張してきており,1997年以降,IHOの場でも同様の主張を継続してきている。
「日本海」呼称を巡る経緯
この話題が最初に報じられたのは今年(2019年)の1月18日頃で、手元にある同日付読売夕刊に『「日本海」韓国と協議迫る 国際機関 呼称巡り日本政府に』という記事があります。(【補足1】)
これによると、韓国が「日本海」呼称に異議を唱え始めたのはIHOではなく国連で、当初は「東海」への改称を、近年は併記を訴えているそうです。
1992年 【国連】韓国、国連で「日本海」呼称を批判 呼称問題を国際社会に初めて提起
- 日本は「日本海の名称は19世紀から国際的に使われており、韓国の主張に根拠はない」などと反論
- cf. ブログエントリー『【歴史戦】読売新聞「ドイツ製の古地図に『日本海』」、ドイツでの報道は?』 …1856年にドイツで作られ、ドイツ語で「日本海」(「Japanisches M」)と表記されている。
1993年 【韓国】韓国政府が刊行した海図「韓国東岸南部」に「Japan Sea」の表記
- cf. ブログエントリー『【歴史戦】韓国が主張する「東海」表記だが、韓国の海図に「日本海」と表記されていたことが判明』
1997年以降 【IHO】IHOの場でも韓国は同様の主張を継続
2004年 【国連】日本の問い合わせに対し、「日本海が標準的な名称」と回答
2017年4月 【IHO】総会で指針(「大洋と海の境界」)の取り扱いについて議論
※以下は読売の取材なので具体的ソースは無し。
- 次回(2020年)の総会でIHOが改訂に関する報告を行うことが決定。
- その一環として、IHO事務局は次回総会までに日・韓・北(韓国と同様に改訂を求めている)三国で非公式協議を行うように求めた。
- 日本は協議に消極的だったが、「協議に応じなければ、改訂だけでなく廃止も検討する」と強い調子で対応を求めた。→日本は協議を受諾。今春(つまり、2019年春)にも協議を行う予定。(2019/02/06 読売記事)
- マティアス・ヨナス事務局長は次回総会で自らこの件の報告を行う意向も明らかにするも、次回総会まで一切の声明を発表するつもりもない。
2019年4月 【IHO】韓国、北朝鮮などと英国で非公式協議を実施
- 4月30日付産経web記事『日本海呼称、韓国が「東海」セミナーの資料提出 日本は反論』(【補足2】)
2019年4月 【国連】「地名専門家グループ」の会合で韓国が日本海に言及したことから論争 (←今ここ)
2020年 【IHO】総会開催予定
「東海」とは東シナ海のこと!?(2019/03/14放送「プライムニュース」で新藤義孝議員が指摘
3月14日に放送されたBSフジ・プライムニュースで自民党の新藤議員が資料を見せながら話してましたが、歴史的には「東シナ海」を「東海」と呼んでいたそうです。また、韓国の古い地図(八道総図)には陸地に「東海」という地名が載ってました。(ブログ主のツイートより:https://twitter.com/Daishi_hundred/status/1107579419701309440)
【補足1】1月18日付読売
【補足2】4月30日付産経:『日本海呼称、韓国が「東海」セミナーの資料提出 日本は反論』
https://www.sankei.com/world/news/190430/wor1904300010-n1.html
日本海呼称、韓国が「東海」セミナーの資料提出 日本は反論
2019.4.30 16:14【ニューヨーク=上塚真由】地名の表記方法などを話し合う国連地名専門家グループ会合が29日、米ニューヨークの国連本部で開幕し、韓国の代表は、日本海の呼称問題が議論された国際セミナーの内容を記した資料を提出した。東海との併記を求める韓国は資料の中で「2国間で争点となっている問題」などと言及し、日本側は「『日本海』が国際的に確立した唯一の呼称だ」と反論した。
韓国が提出したのは、東海表記を広めるために韓国団体が主催した国際セミナーの資料。日本の川村泰久国連次席大使はセミナーの開催を「不適切で一方的かつ政治的なプロパガンダ活動であり、非常に遺憾」と非難。韓国の代表は「かなりの数の地図や出版物に『東海』が併記されている」と述べ、応酬を繰り広げた。
日本海呼称問題をめぐっては、国際水路機関(IHO)の要請を受け、日本は今月、韓国、北朝鮮などと英国で非公式協議を実施。韓国は協議の場以外でも国際社会で攻勢を仕掛けており、日本も正当性を訴え支持を求めていく考えだ。
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