【書籍・動画】『近衛文麿 野望と挫折』(林千勝著/ワック)
今回も前回エントリー『【書籍・動画】日米開戦 陸軍の勝算(林千勝著/祥伝社新書)』に続き、未読の本ですが、関連動画を覚え書きとしてメモ。
2. 林千勝先生講演「日本の勝算と敗北 - 現代への教訓 – 近衛文麿の野望と挫折 」
(以下の3本の動画からなる再生リスト)
動画1と2は連続しているわけではないのですが、前回ご紹介した『日米開戦 陸軍の勝算』とこのエントリーの『近衛文麿 野望と挫折』との連続性が語られているのでリストしました。
2はレジュメを使った講義形式ですが、レジュメがなくても理解できる動画かと思います。
参考までに産経に掲載されたこの本と林氏の近著『日米戦争を策謀したのは誰だ!』の書評を下に引用しますが、後者は第31代米大統領フーバーの回顧録『裏切られた自由』を読み解く形で進められます。これが日米開戦に至るアメリカ側の動きで、前者(『近衛文麿 野望と挫折』)は日本側の動きを近衛とその周辺に蠢く人物等に焦点を当てた本。
これだけでも様々な魑魅魍魎が蠢いているわけで、昨今、某インターネット番組(はっきり言えば「虎ノ門ニュース」ですが)で「コミンテルン」(=第三インターナショナル)や「、ソ連のスパイ」だけに矮小化したり、第32代大統領フランクリン・ルーズベルトを単なる「デュープス」(dupes:だまされやすい人、お先棒)呼ばわりするのはいかがなものかと思います。(おそらく、ライトな視聴者向けに共産主義の恐ろしさを強調しているのだとは思いますが。)
戦争や革命はイデオロギーだけで起こるものではなく、イデオロギーはその手段の一つだと思います。戦争や革命も然り。それによって何かを得られるから戦争を起こすと考えた方がいいのではないでしょうか。
そして、その目的は何か、に目を向けるべきだと思います。
尤も、イデオロギーと目的が一致していたり、イデオロギーが主の場合もあり、また、個々人の心に潜む偏見やレイシズム。人間の行動原理は様々な要素があり、それらが複雑に絡み合い、一部の利害が一致すれば協力したり、相反すれば反目し合う。それだけに魑魅魍魎なのでしょう。
最近流行りの『ヴェノナ文書』も、解明されたとしても、世界の歴史観を覆すことはできないとブログ主は考えます。それは、真相を暴きたいと思う人間より、真相を隠したい人間の方がずっと力や資金力があるからです。
それは、広島長崎への原爆投下や東京などの非戦闘員を狙った無差別爆撃がどれほど非人道的なのかは明らかなのに、アメリカ人の多くが一向に贖罪意識を持たないのと同様。フーバー大統領はアメリカでは人気のない大統領なのだそうですが、アカデミズムやメディアはそうした勢力に握られているからです。
しかし、せめて日本人自身は歴史を学び直し、戦後、不必要に植え付けられた贖罪意識を払拭して精神的な武装をする必要があると思います。
【参考】書評
https://www.sankei.com/life/news/180225/lif1802250013-n1.html
2018.2.25 14:00
【書評】己の名誉、栄光追求で一貫 『近衛文麿 野望と挫折』林千勝著近衛文麿という著しく日本的な政治人間の活写が鮮やかである。彼は昭和12年6月から14年1月までと、15年7月から16年10月までの間、国政の頂点にあって運命的な役割を果たした。この間にまず「国民政府を対手とせず」と表明して日支事変を泥沼化し、次に「日独伊三国同盟」により米英と敵対する側に立ち、さらに「日ソ中立条約」で背後を固めた。16年7月には南部仏印進駐を強行して石油の全面禁輸を招来し、日米戦争を不可避にしたところで政権を投げ出した。
誰も望まない米国との戦争に日本を突入させたのは近衛政権だったと言っても過言ではない。近衛のブレーンとして政権中枢に浸透した尾崎秀実、風見章ら共産主義者たちが日支事変を泥沼化して日本を疲弊させた後、日米を戦わせて日本を敗戦革命に追い込み、その上で世界の共産化を進めるという世界戦略で動いていたことは明らかである。
近衛は徹底した利己主義者で、共産主義者、右翼国粋主義者、軍人・官僚、メディアなど、使えるものは何でも利用して自らの声望を追求したのだったが、結局は尾崎、風見らの世界革命戦略に利用される結果になった。
日米開戦後、近衛は一転して早期終戦を唱え、敗戦後はマッカーサーにいち早く接近して戦後政治の主導権を取ろうとしたが挫折した。一見変わり身が早く見える彼の行動は「己の名誉と栄光を求める」という意思で一貫しているとする著者の分析は正しい。
19世紀から20世紀への世界的転換期を踏み誤って焦土と化した日本は、その後の冷戦期においては不動の日米同盟を基軸に奇跡の復興発展を果たした。そして20世紀から21世紀へ転換する最終局面にある今、近衛文麿の悲劇をたどり直す本書の試みは、近衛ブレーンの末裔(まつえい)たちがいまなお執拗(しつよう)に流し続ける反日・反米プロパガンダに対する解毒剤として有意義である。
そして、いま日本の舵(かじ)を取っている政権が、自由主義と民主主義、太平洋国家という地勢的特性に立って揺るぎない日米同盟を築いていることに安堵(あんど)を覚える。(WAC・2300円+税)
評・葛西敬之(JR東海名誉会長)
https://www.sankei.com/life/news/190223/lif1902230025-n1.html
【編集者のおすすめ】『日米戦争を策謀したのは誰だ!』林千勝著
2019.2.23
□『日米戦争を策謀したのは誰だ! ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿 そしてフーバーは-』■魑魅魍魎たちの戦いの象徴
林千勝さんの前著『近衛文麿 野望と挫折』は、JR東海名誉会長の葛西敬之さんによる書評(産経新聞、平成30年2月25日)でも取り上げられました。本書は、それに続く、渾身(こんしん)のノンフィクション作品です。歴史上初というと大げさかもしれませんが、国際金融資本(ロックフェラーなど)の闇に切り込んだという点で、ちょっと類書のない意欲作ともいえます。
日本を戦争に追い込もうとするロックフェラーやルーズベルト。スパイを使って彼らを巧みに操り、ほくそ笑むスターリン(コミンテルン)。そうはさせまいと、米国が直接攻撃を受けない限り、戦争には参戦しないという「不干渉主義」の立場から敢然と抵抗するフーバー。
彼は、ヒトラーとスターリンとが戦い、共に自滅するのがベターだと判断していました。しかし、彼には「孤立主義者」のレッテルが貼られます。そして、「己の名誉と栄光を求める」ことのみに躍起となっていた近衛文麿の下には、尾崎秀実(ほつみ)や風見章、牛場友彦など、怪しげな政治家や知識人が集まり、日本を日米戦争に引きずり込もうとしていきます。サブタイトルにスターリンは入っていませんが、彼の動きは詳述されています。
そんな魑魅魍魎(ちみもうりょう)たちによる「平和」「戦争」との戦いを象徴するものが「日米戦争」だったのです。「偽りの歴史」を百年一日のごとく繰り返す、ありきたりの「歴史書」では感得できない「歴史の真実」を本書で味読してください。
(ワック・1800円+税)ワック「歴史通・書籍」 編集長 仙頭寿顕
【討論】もし大東亜戦争の開戦が無かったら?[桜H30/8/11]
林千勝氏も出演されている討論番組。
【討論】もし大東亜戦争の開戦が無かったら?[桜H30/8/11]
2018/08/11 に公開パネリスト:
岩田温(政治学者・大和大学政治経済学部専任講師)
上島嘉郎(元産経新聞社『月刊正論』編集長・ジャーナリスト)
小堀桂一郎(東京大学名誉教授)
髙山正之(コラムニスト)
田中英道(東北大学名誉教授)
西岡力(「救う会」全国協議会会長・モラロジー研究所歴史研究室室長)
林千勝(戦史研究家)
宮崎正弘(作家・評論家)司会:水島総
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