【孔子廟裁判】福岡高裁那覇支部、翁長雄志那覇市長(当時)が無償で土地を提供した孔子廟に違憲判決
公開: 2019-04-18 16:53:12 最終更新: 2019/04/20 16:17
取り急ぎ、共同通信社の第一報(→詳報に差し替え)を。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43905360Y9A410C1CR8000/
公園に孔子廟、無償は違憲 那覇市「特定宗教に便宜」
2019/4/18 18:47儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟(びょう)」のため、那覇市が公園内の土地を無償で提供していることが憲法の政教分離の原則に違反するかが争われた住民訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部は18日、一審那覇地裁に続いて違憲との判断を示し、市が使用料を請求しないことは違法だとした。
大久保正道裁判長は、廟の管理団体について、営んでいる祭礼行事の内容を踏まえ宗教団体だと認定。土地の無償使用は「特定の宗教に便宜を提供し、援助していると評価されてもやむを得ない」と述べた。
そのうえで、原告の市民(91)が監査請求した2014年4~7月の使用料を請求すべきだと指摘。昨年4月の一審判決は使用料を約180万円と算定したが、高裁支部は額を示さなかった。
判決によると、故翁長雄志氏が市長だった11年、市内の松山公園に廟の設置を許可して土地使用料の全額免除を決め、14年に更新した。市側は訴訟で「沖縄独特の歴史や文化を継承するための施設で、宗教性はない」と主張していた。
判決を受け城間幹子市長は「主張が認められず残念だ。判決内容を確認し対応する」とコメントした。市によると、土地は現在も無償で提供されている。〔共同〕
チャンネル桜『沖縄の声』でキャスターも勤める金城テルさんが原告となった「孔子廟訴訟」について、詳しくは、以前の記事をお読み下さい。
判決の内容は下記の動画を観れば分かりますが、このエントリーでは判決のポイントなどをメモしておこうと思います。
【沖縄の声】控訴審判決!那覇市は憲法違反か否か!?孔子廟訴訟高裁判決[桜H31/4/18]
平成31年4月18日木曜日の『沖縄の声』。「孔子廟」の管理団体に対して、那覇市が公園内の土地を無償で提供していることが憲法の政教分離の原則に違反するか否かが争われた住民訴訟裁判。本日は特番といたしまして、キャスターの金城テルが原告の「孔子廟訴訟」控訴審判決についての特番をお送りします。
出演: 又吉 康隆(沖縄支局担当キャスター) 、金城 テル(沖縄支局担当キャスター)
ゲスト: 徳永 信一(弁護士)
1.宗教性は限定的
「政教分離の原則」に反する」(20条 89条)ことに関し、一審判決をほぼ踏襲するも、儒教一般については宗教と判断することは避け、久米崇聖会(くめそうせいかい=久米三十六姓の子孫の団体)で行われている釋奠祭禮(せきてんさいれい=孔子祭り=その日に降りてくる孔子の霊を供応する儀式)に限定されたそうです。
この儀式をもってこの団体が宗教団体であり、その宗教施設である、との考えです。
また、一部、市側(久米崇聖会側)の主張が認められたのは、松山公園内に移設する際に行った「拝み」の儀式と、啓聖祠(けいせいし)と呼ばれる本殿(大成殿)の後方にある祠は除外されたとのこと。
被告側は「拝み」の祭司者を「ユタではなくカミンチュ(神人?)だ」と主張したそうで、両者の差異は分かりませんが、庶民の習俗化した素朴な信仰という主張のようで、そこは司法も認めたようです。地鎮祭のような通俗的なものと見なされたのかも知れません。
いずれにしても、憲法20条と89条に違反することを、22年の空知太神社を判例として判断されました。
なお、久米崇聖会及びこの団体の執り行う釋奠祭禮がいかに宗教性を帯びたものであるかは、原告側が提出した「準備書面7」を読むと分かります。「儒教とは」ということにも触れており、読み物としても興味深い文書です。
2.市が請求すべき金額は明示されず
元々、年間720万円と見積もって、市が使用料免除を更新した14年4月1日から住民監査請求を起こした同年7月24日までの使用料181万7063円を徴収しないのは違法と訴えていましたが、判決では金額に言及せず、「市は使用料を徴収する義務を負う」とのみしました
その上で、敷地内にある明倫堂(めいりんどう)の建物とトイレは宗教施設から除外しても良いというほのめかしがあったようです。明倫堂とは論語の講習会などを行っている施設で、また、トイレはその後、上の動画にも登場される篠原章氏が確認に行ったところ、一応、誰でも使えるようになっていたそうです。
那覇孔子廟違憲訴訟控訴審判決は、金城テルさん側(徳永信一弁護士)の主張に軍配が上がり、那覇市が敗訴した。ただ、高裁は那覇市の主張を一部認め、「孔子廟内トイレ」などの「公共性」を認めた格好だ。そごで孔子廟のトイレを見てきた。誰でも使えるかたちにはなっていた。 pic.twitter.com/Wlx2mtwKwJ
— 篠原 章 (@akiran0723) 2019年4月19日
つまり、使用料から減額しても良いとほのめかしているわけですが、さすがに常識的な範囲でないと、結局また「特定の宗教(団体)に便宜を図った」ことになるとは言え、金額は明示すべきと、原告側も納得していません。
原告も上告する権利はあるので、最高裁で決着をつける気は満々のようです。
なお、記事は有料記事で読めませんが、沖縄タイムスなどは、施設の「公共性」について「子どもが受験の合格祈願に来るのに...」などと、むしろ宗教性を肯定するような馬鹿な反論をしているそうです。
以下は、琉球新報の記事ですが、原告側も全面的に納得していないことが書かれています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190419-00000005-ryu-oki
孔子廟 二審も「宗教的」 那覇市の無償提供「違憲」
4/19(金) 5:04配信沖縄県那覇市の松山公園内に設置された久米至聖廟(孔子廟)の公園使用料が免除されているのは憲法違反だとして、市内の女性が城間幹子市長を相手に違法確認を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が18日、言い渡された。福岡高裁那覇支部の大久保正道裁判長は市の控訴を棄却し、久米至聖廟が「宗教的性格を有する」とし、市による公園の無償提供は憲法が定める政教分離原則に違反するとした差し戻し審判決を支持した。
差し戻し審に引き続き、使用料免除は無効とした。琉球王朝の繁栄を支えた久米三十六姓の子孫らで組織する一般社団法人久米崇聖会が施設の管理をしているが、同会については宗教団体に当たると認定した。また、市が久米崇聖会に対し、違法に約181万円を請求しなかったと判断した差し戻し審判決を一部変更。市公園条例などに基づき、城間市長に使用料免除に関する一定の裁量権があると判断し、額を明記しなかった。那覇市の城間市長は「市の主張が認められなかったのは残念。判決内容を確認し、顧問弁護士と相談して対応していく」とした。
女性側代理人の徳永真一弁護士は「判決は大変満足しているが、請求額に市の裁量を認めた点に不満がある。最高裁判所で争うべき争点だと思う」と上告を検討するとした。
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