【韓国】NHK「日本大使館の建築許可取り消す ソウル市 申請の不備理由に」は本当に日本が悪いのか?
本日、NHKが下記のような記事を報じました。
「ソウルにある日本大使館の建設着工の延期を日本側が申請しなかったので、建築許可を市が取り消した」という内容の記事です。そして、「日本大使館は2016年に1度、着工の延期を申請した」とあります。
これだけ読むと、日本大使館の手続きの不備のように聞こえます。
しかし、ここで、やや腑に落ちない点があります。
そもそも、なぜ、「2016年に1度、着工の延期を申請した」のか?そして、なぜ、着工せず、今回再延期もしなかったのか?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190410/k10011879311000.html
【NHK】日本大使館の建築許可取り消す ソウル市 申請の不備理由に
2019年4月10日 14時42分韓国の首都ソウルにある日本大使館の新築計画について、ソウル市は、大使館側が着工の延期を申請しなかったとして、先月、建築許可を取り消していたことが分かりました。韓国メディアは「日韓関係が最悪の状況にあることを示している」と伝えています。
ソウルの日本大使館は地上6階地下3階建ての建物を新築する計画で、2015年にソウル市から建築許可を受け、古い建物を取り壊しました。
現在はさら地になり、大使館業務は近くのビルで行われています。
韓国の建築法では建築許可から2年以内に着工しなければなりませんが、事情がある場合、着工を延期することができます。
ソウル市は10日、NHKの取材に対し「日本大使館は2016年に1度、着工の延期を申請したが、再度延期したいのであれば事由書を提出するよう繰り返し求めたものの回答がなかった」として、先月4日付けで建築許可を取り消していたことを明らかにしました。
建築許可を改めて出すには申請から1年以上かかる見通しだということです。
こうした経緯についてソウルの日本大使館は公式なコメントを出していませんが、韓国メディアは「日本大使館の前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像をめぐって解決の糸口がつかめない中、日韓関係が最悪の状況にあることを示している」と伝えています。
「日本大使館は2016年に1度、着工の延期を申請した」とありますが、2016年に何があったのか?
すると、このような記事がありました。
https://www.sankei.com/world/news/160111/wor1601110041-n1.html
【産経①】 ソウルの日本大使館敷地から出てきたモノは? 慰安婦像に影響も
2016.1.11 20:28更新
【ソウル=名村隆寛】改築のため解体されたソウルの日本大使館の敷地から、李氏朝鮮時代後期の建物の遺構らしきものが発見された。聯合ニュースTVが11日に報じたもので、現場からは建物の礎石のほか、磁器や瓦の破片が見つかったという。韓国当局では昨年12月中旬に試掘調査を開始、日本大使館が韓国側から連絡を受けたという。報道によると、韓国文化財庁の専門家会議で7日に詳細な発掘調査を行うことが決まり、今週中に行政命令が下される見通しだ。
新しい日本大使館は2020年ごろの完成を目指しており、現在は隣接するビルの中に大使館の機能が移されている。建設現場周辺ではこれまでにも礎石などが発見されており、遺構を強化ガラスで覆った床がある建物もある。
遺構の発見で大使館の完成が遅れる可能性も出てきた。大使館の建設現場前の歩道には行政当局の許可なしに「慰安婦像」が設置されており、“遺構”が像の下まで広がっている可能性もある。しかし、調査に伴う慰安婦像の移転議論は起きておらず、韓国メディアは日本大使館の敷地での「文化財発見」に熱を上げている。
2016年の記事で「昨年12月中旬に試掘調査を開始」とあるので、2015年に更地にしたら、そこに遺跡が出てきた、ということになります。
そうなると、「2016年に1度、着工の延期を申請した」のは、日本側の都合では無く、建設着工にストップがかかったのではないかと考えられます。
下はNHKと同じことを報じる産経の記事です。
https://www.sankei.com/photo/story/news/190410/sty1904100004-n1.html
【産経②】大使館の建築許可取り消し 韓国ソウル、建て替えで
2019.4.10 14:10建物の老朽化に伴い建て替えを決めた韓国ソウルの日本大使館について、地元自治体のソウル市鍾路区は10日、建築許可を3月に取り消したと明らかにした。大使館側が許可の延期申請をしなかったためだとしている。
一方、日本外務省関係者は2017年時点で取り消されていたとした上で、建て替え計画は「放棄していない。許可申請は出し直すことができるので引き続き検討していく」としている。韓国メディアは建て替えが滞っている背景を巡り、日本政府が撤去を要求している従軍慰安婦問題の少女像が大使館前に設置されたままになっていることとの関連を指摘している。
大使館は建て替え工事に伴い、15年に近くのビルに移転して業務を行っている。(ソウル共同)
これを時系列に整理するとこうなります。
- ??年に日本大使館が建設許可を申請し許可される。
- 2015年末に敷地に遺跡が発見される。(産経①)
- 2016年に日本側が「着工延期を申請」(NHK)
- 2017年にソウル市が延長を取り消す。(産経②)
- 2019年、建設着工の延期を日本側が申請しなかったのでソウル市が建設許可を取り消しとソウル市が発表。(NHK)(産経②)
普通は、2の時点で遺跡調査のために着工がストップされます。そして、一度降りた建築許可を維持するために、3で「着工延期を申請」させたのでしょう。
4で、ソウル市が延長を取り消し(2017年)ています。これはNHKは報じていませんが、今回の記事ではNHK、産経とも、「着工延期の申請」を問題としているので、「建設許可」自体は生きていることになります。
5、即ち、今回、「建設着工の延期を日本側が申請しなかった」とあるのは、まず、延期の有効期間に期限があるからでしょうが、なぜ、再度、延長を申請しなかったのか?
産経②では「日本政府が撤去を要求している従軍慰安婦問題の少女像が大使館前に設置されたままになっていること」との関係を書いていますが、これはあくまでも韓国メディアが言っていることです。
ここで不明なのは、遺跡の問題はクリアできたのか?ということ。
日本大使館は建設を断念していない(産経②)にも関わらず、着工延長の申請を出さなかったのは、韓国メディアが言うように、慰安婦像によるものなのか、それとも遺跡が理由なのか、あるいは別の理由なのか、なんとも中途半端な報道です。
NHKの報道では、日本大使館がきちんとした手続きを取らなかったので建築許可を取り消されたような印象を受けますが、そうではないらしいことは確かです。
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