イスラエルの「超正統派」(ハレディム)とは
ブログ主の覚え書きです。
4月9日に行われたイスラエルの総選挙はネタニヤフ首相率いるリクードが最終的に36議席獲得し、第1党となり、首相の続投も決まりました。
日本ではそれなりに報道されていても、イスラエルの問題はどうもトランプ米大統領と絡めたもの(※後述NHKの記事)で、それほど日本では関心を持たれていないような気がします。
ブログ主もその一人なのですが。
このエントリーも、イスラエルの問題を取り上げるのではなく、たまたま報道などで知った、「超正統派」と呼ばれる人達のことをメモしておこうというものです。
上の画像は以前観た動画のキャプチャで、分かりやすい画像なので使いました。
千葉県芝山遺跡から出土したユダヤ人のような埴輪を紹介するものですが、右上に「典型的なユダヤ教徒スタイル」というキャプションがついた画像があります。
このようないでたちをした人達はハラディ(Haredi/pl. Haredim)と呼ばれるユダヤ教正統派教徒です。
イスラエルの総選挙前に読売新聞が『イスラエル 争点の現場』という上、中、下3回に渡る特集記事を連載していたのですが、その「中」で、この正統派を取り上げており、その記事と、後ほどご紹介する動画で初めてこの人達が表面的なユダヤ正統派教徒だけでない意味合いがあるのだと知りました。
下はその記事の一部です。
この記事の趣旨は、徴兵を免除されている超正統派に対し、ユダヤの戒律に柔軟な世俗派の国民の反発が高まっており、それが選挙の争点の一つになっている、というものですが、超正統派は政治勢力(2政党)でもあり、ネタニヤフ首相も彼等と連立を組んでいました。
そして、世俗派の不満の受け皿になっていたのが、今回の選挙で敗れたガンツ元参謀総長が率いる野党の「青と白」です。
「青と白」は「例外なき徴兵」を公約に掲げていたためです。
では、世俗派の国民が反発するという超正統派とはどのような人達でしょうか。
まず、記事の見出しにもあるように、兵役が免除されていることと、彼等の待遇、そしてその増加率です。
彼等の大半の男性は職に就かず、国から月4,000シュケル(約12万円)の生活保護を受け取って生活しているのだそうです。しかも、戒律上、避妊が許されないため、一人の女性が生涯に生む子どもの数はなんと6.9人だそうです。
乱暴な言い方をすれば、世襲できる生活保護世帯。
しかも、記事の画像に映っているように、「自主申告」で超政党派と称することができるのです。
読売の記事ではここまでの説明ですが、チャンネル桜『Front Japan桜』の高山正之氏がもう少し突っこんだ説明をしてくれています。
【Front Japan 桜】ゴラン高原 イスラエル領有は間違い / 大阪 中華街構想[桜H31/3/27]
キャスター:髙山正之・saya
産経新聞の記者時代にイスラエル政府高官との会食をしたとき、生ハム、つまり、ユダヤの戒律に背く豚肉とワインが出てきたそうですが、それを前置きとして、以下のようなことを語っていらっしゃいます。
豚肉を食ったり酒も飲むくらいなら、旧約聖書にあるカナンの地に拘ることもないだろうにと思うが、そう言われないように、黒装束に、白いシャツに、黒いネクタイに、髭生やした人見かけるじゃない?あれ、全部、国家公務員みたいなもの。
ああいう装束をして嘆きの壁でお祈りをする人達を特別に養成したの。社会保障を与え、兵役も免除して、旧約聖書を守ってるポーズをするユダヤ人を育てて。
最初は2000人くらいを準国家公務員みたいにしたら、生活保護がつくから、子ども産み放題。どんどん増えちゃった。そして国の2割が狂信的なユダヤ教徒になっちゃった。最初は世界に対する広告塔で、国連議決を取るために、神から与えられたイスラエルに戻ることが悲願だというアピールで職業的宗教人を作ったの。
読売の記事によると、(最初は2,000人程だった)超正統派の人口比は現在12%で、約40年後には40%になるという推測もあるそうですが、その裏事情というのが高山氏の説明です。
上記以外にも、彼等が首相を暗殺したことに言及していましたが、ラビン首相のことかと思います。
【補足】正統派教徒が日常で守っているユダヤの教え
【補足】イスラエル総選挙(2019)の結果
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190411/k10011880141000.html
イスラエル首相続投の公算も難しいかじ取り
2019年4月11日 4時14分中東のイスラエルでは総選挙の結果、ネタニヤフ首相が続投する公算が大きくなりました。ネタニヤフ首相は今後、連立政権を樹立するための協議に入りますが、各政党との調整やみずからへの汚職疑惑をめぐる起訴の問題などを抱える中、引き続き難しいかじ取りを迫られそうです。
9日行われたイスラエルの総選挙は開票作業がほぼ終了しました。
選挙は比例代表制で各党はそれぞれの得票率に応じて議席が配分される仕組みで、選挙管理委員会によりますとネタニヤフ首相が党首を務める右派政党「リクード」の得票率が26.2%、イスラエル軍のトップを務めたガンツ氏が率いる中道会派「青と白」が25.9%とその差はわずかで、獲得議席はほぼ互角になる見通しです。
ただ、与党リクードは連立を組んできた極右政党や宗教政党が獲得する議席を合わせると議会での過半数を制すると見込まれていて、ネタニヤフ首相が連立交渉を主導して、続投となる公算が大きくなりました。
連立交渉ではネタニヤフ首相は閣僚ポストをはじめ、各政党の要求の調整を迫られることから協議は難航することが予想されます。
さらに、ネタニヤフ首相はみずからの汚職事件をめぐり、収賄罪などでの起訴に向けた検察による詰めの捜査の対象となっていて、起訴されれば国内で反発が一段と高まるのは必至で、続投の公算が大きくなる中でも引き続き難しいかじ取りを迫られそうです。
ネタニヤフ首相「途方もない支援に感謝」
ネタニヤフ首相は、10日、ツイッターでアメリカのトランプ大統領から総選挙の勝利を祝う電話があったと明らかにしました。この中でネタニヤフ首相は、「トランプ大統領が大統領専用機のエアフォース・ワンから電話をかけてきて、私とイスラエル国民に祝意を伝えてくれた」と書き込みました。
そのうえでトランプ政権が選挙前に占領地のゴラン高原におけるイスラエルの主権を認めたことやイランの革命防衛隊をテロ組織に指定するなど援護射撃とも受け取れる決定をしたことに触れ「途方もない支援に感謝する」としています。
そのうえで、「イスラエルとアメリカはこれからも緊密に連携していくことを確認した」として、さらなる関係の強化を図っていく考えを示しました。
ガンツ氏 敗北認める
中道会派「青と白」の代表ガンツ氏は、10日夜、イスラエル中部のテルアビブで会見を開き、「国民が決めたことを受け入れる」と述べて総選挙での敗北を認めました。
そのうえで、今後、連立政権を組むために大統領が行う組閣の要請について「大統領の決定がどのようなものでも尊重し、受け入れる」として、ネタニヤフ首相が組閣することになっても受け入れる考えを示しました。
一方、選挙結果については、「私たちは政権に対する代替案を示すことができた。ネタニヤフ首相が極右政党と連携したことが私たちが並外れた結果を獲得したことにつながった」と述べました。
米大統領「和平の可能性高まった」
イスラエルの総選挙の結果、ネタニヤフ首相が続投する公算が大きくなっていることについてアメリカのトランプ大統領はホワイトハウスで10日、記者団に対し、「まだ少し早いかもしれないがネタニヤフ首相にお祝いを伝えたい。彼はすばらしい盟友だ」と述べ歓迎する考えを示しました。
トランプ大統領はイスラエルとパレスチナの中東和平交渉の仲介に意欲を示していて、トランプ政権はイスラエルの総選挙のあとに、新たな和平案を示すという見方が広がっています。
これについてトランプ大統領は「中東和平の実現はみな無理だと言っていたが、私はチャンスはあるし、ネタニヤフ首相が勝利したことで、その可能性はより高くなったと思う」と述べ、事態の打開に向けて前向きな姿勢を示しました。
トランプ大統領はイスラエルの総選挙を直前に控えた先月下旬にはネタニヤフ首相との首脳会談に合わせてイスラエルが占領するシリア領のゴラン高原について、イスラエルの主権を認めました。
さらに投票日前日の8日にはイスラエルと敵対するイランの精鋭部隊「革命防衛隊」を外国政府の機関として初めてテロ組織に指定すると発表し、イスラエル寄りの姿勢を一層強く打ち出し、いずれも苦戦が伝えられていたネタニヤフ首相への援護射撃だったという見方が広がっています。
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