仏ノートルダム大聖堂再建に集まった多額の寄付、それに対する庶民の反発とは?
先日のノートルダム大聖堂の火災はフランス国民の間に深い悲しみと同時に連帯感を与えました。
しかし、その直後に、既に不満の声が...
マクロン大統領が5年で再建すると演説し、それに呼応して多額の寄付金も集まりましたが、これに対してイエロー・ベスト運動参加者から不満が出ているというのです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041900235&g=int
ノートルダム高額寄付に怒り=反政府デモ激化も-フランス
2019年04月19日08時06分【パリ時事】大火災に見舞われたフランスのパリ中心部にある観光名所、ノートルダム大聖堂の再建のため、大富豪らから多額の寄付金の申し出が相次いでいることに対し、マクロン大統領の政策に反対し昨年11月からデモを続けている抗議運動参加者らは「不公平だ」と不満を募らせている。
抗議運動の中心となっている女性は17日、「社会的な惨状には何もしないのに、わずか一晩で膨大な金を拠出できることを見せつけた」と高額な寄付を批判。インターネット交流サイト(SNS)上では「人間より石が優先されるのか」などと反発する投稿が相次いだ。
有力紙フィガロは、20日に予定されているデモについて「怒りを募らせたデモ隊が結集する可能性がある」と指摘。再び破壊行動が起きる恐れがあると報じた。
最初にこのようなニュースを聞いたときには「何やってんの」と呆れたのですが、その一方で、メディアに対して懐疑的なブログ主は、これがどれほどフランス国民、あるいは労働者の意見を代表しているのだろうか?とも疑問に思います。
イエロー・ベストの暴動など、到底、擁護できるものではありませんが、文句を言いそうな人間にインタビューすれば、メディアの思惑通りに文句をいいますからね。
ところで、日本時間19日朝(従って、現地は18日夜か?)に放送されたフランスF2で、もう少しこの「不満」の背景を報じていたのですが、その内容は後述するとして、その番組でも、インタビューされていたのは弱者を救済するボランティア団体や、「街の声」。
前者はともかく、後者も「5年で再建できなくてもいいのではないか」、「もっと別のことにも寄付金を使うべきだ」という意見だけでした。
そもそも、このような声が国民大多数の意見なのだろうか?というのがブログ主の疑問です。
以下はF2が解説していた「背景」。
2018年に富裕税が廃止され、それに伴い、税制上の優遇がなくなり(←詳細は不明)、富裕層が寄付をしなくなった、というものです。
その結果、
①富裕税の対象者だった富裕層の寄付は82%→77%に現象
②富裕層の平均寄付金額は2,530ユーロ→1,970ユーロに減少
③寄付に流れていた資金はどこへ?→上から、消費、貯蓄、投資
尤も、富裕税の廃止は投資を促進させることが目的だそうです。
その意味では目的通りの結果とは言えるのですが...
このニュースでは、上記の解説をする前に、有名企業の創業家など、何人かの富豪のノートルダムへの寄付額を挙げており、印象としては「弱者のためにお金を使わないのに...」という伝え方をしている印象を受けました。
「金持ちは天国に行けない(だから、貧乏人に施すべき)」というキリスト教徒的な考えも背景にある気がします。
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