「赤鼻のトナカイ」はいじめの曲!?、アメリカ社会の行きすぎたポリコレ(ポリティカルコレクトネス)
最近、アメリカでは多文化共生の観点からクリスマスに「メリー・クリスマス」と言えないと聞きます。
これは宗教におけるポリコレ(ポリティカルコレクトネス)。
ポリコレは性(性別)や宗教、人種など様々な分野で、その表現が公平で差別があってはならないとする考えで、そのターゲットは言葉(用語)に向けられることが多いので、「言葉狩り」と言ってもいいでしょう。
それがクリスマスソングにも及んできた、というお話です。
これは、チャンネル桜の『世界は今』という、海外在住の方からのレポートで知りました。
【世界は今… #135】ポリコレに晒されるXmasソング/ もう神々のための罪はいらない/ スーパーのチラシから垣間見える「Xmasを控えたドイツの生活」/ 北海道レポート24[桜H30/12/20]
ここで3曲が紹介されます。
まず1曲目は『赤鼻のトナカイ』。
これは原文を見なくとも理解できるので、日本語の歌詞をご紹介します。
真っ赤なお鼻の
トナカイさんは
いつもみんなの
笑いもの
・・・
これが、いじめを助長すると言うことで問題視されているそうです。
この曲の「真っ赤なお鼻」は原曲では「ピカピカ光る鼻」(Rudolph the red-nosed reindeer Had a very shiny nose)なのだそうで、これでブログ主の長年の疑問が解けました。
曲のタイトルは「Rudolph the Red-Nosed Reindeer」なので正確な訳なのですが、なんで、「赤い鼻」が夜道で役立つのかよく分からなかったのですが、出だしから「赤くてピカピカ光る鼻」という歌詞なのですね。
歌詞全体を読むと「個性」を素晴らしいものと肯定している歌で、言ってみるとSMAP(槇原敬之)の『世界に一つだけの花』の元ネタのような歌なのですが、この歌が問題視されるのは、「(身体的)個性や特徴を笑いもの」にすることにあるようです。
小学校低学年の頃、フランス人、ジュール・ルナールの『にんじん』いう物語を読んだことがあります。
これは、今調べて知ったのですが、作者の自伝的な小説で、赤い髪でそばかすだらけの容貌から「にんじん」(Poil de carotte/英語に訳すとCarrot Head or Carrot Top)と呼ばれ、虐げられた子どもが人間的に成長していく、という話です。
しかし、これも「容姿のせいで虐められる」という描写があるから、この規準で行くとダメでしょう。また、親から邪険に扱われる描写は、今だと「児童虐待」にあたるかも知れません。
となると、その内、ベラスケスの小人の道化師の絵も飾れなくなるかも知れません。(ちなみに、ブログ主が使っている日本語変換ソフトのATOKでは「こびと」は漢字変換できませんでした。「しょうじん」→「小人」と入力・変換。ATOKは言葉狩りで有名なソフトです。)
ベラスケスの時代、王様が道化師や侍女として小人を雇っていたそうで、ベラスケスもたくさんその絵を描いています。
有名なマルガリータ王女の絵にも小人症の女性が端に描かれていますが、特に有名な小人の道化師の絵のモデルは、実際に優秀だったので王に寵愛されたとどこかで読んだことがあります。
侍女はいいとしても、その姿故に「道化」として扱ったという部分でアウトかもしれません。
話をクリスマスソングに戻すと、『赤鼻のトナカイ』だけでも頭がクラクラしてくるのですが、2曲目はこれ。
『ひいらぎ飾ろう』という曲で、タイトルはご存じなくても曲を聴けば誰でも知っているメロディーのはずです。(リンク先はYouTubeで適当に探しました。Wikipediaのページでは米空軍吹奏楽団による演奏が聴けます。)
ひいらぎかざろう ファラララ ラーラ ラララ
晴れ着に着かえて ファラララ ラーラ ラララ
カロルを歌おう ファーラ ラーラ ラララ
楽しいこのとき ファラララ ラーラ ラララ
・・・
問題は「晴れ着」の部分で、ここは原曲では「gay apparel」(ゲイ アパレル)となっているそうです。
アパレルは「服」ですが、「ゲイ」(gay)を辞書で引くと、「華やかな」とか「美しい」という意味があります。
と言うか、「同性愛の」という意味は比較的最近加わった意味(俗語)で、原義は辞書にあるように、「立派な、美しい」なので、まさしく日本語の歌詞の通り、「晴れ着」なのです。
gay /ɡéI/
【原義:立派な, 美しい】
━━[形](~・er[est])
1 (比較なし)同性愛の(homosexual), ホモセクシャル[レズビアン]の《◆同性愛者および彼らを支持する人たちが用い, 軽蔑けいべつ的な含みはない》
~ marriage
同性愛者同士の結婚.
2 [やや古](うきうきとして)陽気な, 快活な, 明るい, 楽しい(⇔sad)
the ~ voices [songs] of children
子供たちの楽しげな声[歌]
in the ~ nineties
はなやかな1890年代に《◆当時, 経済が急速に発展した米国に関していう》.
3 [やや古][限定]〈人・生活などが〉うわついた, ふしだらな;軽率な
lead a ~ life
放埒ほうらつな生活をする.
4 [やや古]〈色・服装などが〉はでな, 鮮やかな
~ colors
はでな色.
しかし、これが、「ゲイを攻撃している」と捉える人がいるそうなのです。
でも、この曲は日本で言えば明治時代の曲なので、「同性愛の」なんて意味が無かった時代の歌詞です。しかも、原曲は賛美歌です。
最後は、ブログ主は知らない曲ですが、ディーン・マーチン(Dean Martin、1917年6月7日- 1995年12月25日)の『Baby It's cold outside』(ベイビー、外は寒いよ)というデュエット曲。
これは、夜も遅くなり帰ろうとする女の子をを男性が外は寒いよなどと言って引き留めるという歌詞の歌で、言わば、若い男女の「恋の駆け引き」の歌なのですが、これがなんと、デート・レイプを助長するということで、あるラジオ局がこの曲をかけないと宣言し、30局くらいがこれに同調したのだそうです。
これはもしかしたら、トランプ氏が最高裁判事に指名したカバノー判事の件が影響しているかもしれませんね。
ブログ主はよくBS1のワールドニュースを観ている(正確には、テレビを点けているだけ)ですが、ひと頃は、ワールドニュースの度にこの話題で辟易しました。
以前のエントリーで少しご紹介した、ジェイソン・モーガン氏は、ポリコレ、特に、LGBTなど性の分野では日本はターゲットになっている、という警告をしていらっしゃいました。
これについては別途記事にします。
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