【毎日新聞】チャイナウォッチ (2)チャイナウォッチを読んでみた
前回のエントリーに引き続き、毎日新聞が読者に配布しているチャイナウォッチについて。
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表紙(1ページ目)。一般紙と比較することで、外観は新聞と全く変わらないことが分かります。ページは8ページ、紙にして2枚です。
まず、注目したのは、右上。
「China Watch distributed with the Mainichi Shimbun」(チャイナウォッチ(は)毎日新聞と共に配布されます)と書いてあるだけで、海外のチャイナウォッチとは異なり、「広告」であることの明示はされていません。
よほど注意深くないと、毎日とチャイナデイリー社が提携をしていて記事の配信を受けている、あるいは、それさえ気づかず、毎日が取材・編集した記事かと思うかも知れません。
2ページ目の左下隅には発行者の情報。
画像だと分かりませんが、かなり小さなフォント(記事の通常の文字の1/4くらいのサイズ)です。
文責はチャイナデイリー社にあると書かれています。
「配布協力」と書いてありますが、前回掲載した大高氏への回答、「チャイナ・デイリー社から広報紙「チャイナ・ウォッチ」を日本で発行したいとの相談を受け、2016年8月より日本語版の印刷、配布に協力することにしました。」のとおり、毎日新聞は印刷と配布を請け負っている、ということです。
要するに、チャイナデイリー社の各記事を垂れ流し。
他国でチャイナウォッチを配布している新聞名が記載されていますが、下のガーディアン紙の図表にある紙名からは若干減っているようですが、おおよそ一致します。
実際にこれによって毎日新聞がどれほどの利益を得ているかは分かりませんが、重要なのは、チャイナデイリー社が毎日新聞にとって「顧客」であるということ。これで、毎日新聞が中立の立場で中国の報道ができるでしょうか?
以前書いたように、2016年時点で南ドイツ新聞が配布していたチャイナウォッチは新華社通信が発行体だったので、このチャイナデイリーは子会社なのかも知れません。そして、新華社は今やアメリカではエージェント扱いになっている通信社。つまり、中国共産党の一部門のようなものです。
大高氏への回答書に「日本語版は、スポーツ、観光、経済などに絞ったスタイル」と書いてありました。これは、「プロパガンダの手先ではないか?」と疑われたので、聞かれてもいないことを答えたのでしょう。
「政治や思想に関するものは扱っていない」と言っているわけですが、実際はどうでしょうか。
確かに、「中国全土に広がる 高速道路網 四通八達13万6500キロ」(P.1)とか「飼育パンダは世界で548頭に」、中国在住日本人のグルメレポート、中国の世界遺産紹介などといった、それほど主義主張のあるものではない記事が多いのですが、逆に言えば、日本人読者にとってどうでもいい記事です。
それ以外には、IT産業を宣伝するような記事もあるのですが、気になったのは「一衣帯水」という経済コラムと中国国内でヒットしたというグルメ番組の紹介。
経済コラムを書いているのは陳言氏というライターで、このようなことを書いています。
- 中国派貿易黒字を輸入拡大によって解消したいと願っているが、米国が関税上乗せによってそれを邪魔している。また、知的財産権問題や技術移転問題に対して様々な要求を突きつけているのが問題。
- その(=米国の)背後には、中国の社会体制を変えようとする深い意図があり、問題を複雑化させ、問題解決が容易ではない。
- 米国や日本でHuaweiやZTEが排除されている現在、(以下、意味不明なので原文のママ)外資企業は中国政府の調達部門が彼等に開放されることを希望しています。中国が更に外資企業の製品を調達すれば、外資も中国建設に貢献させることができます。
- 更なる改革・開放を通じて中国経済は大きく転換しつつあるので、日本企業に大きなチャンスがある。
これはまさしくプロパガンダ。但し、レベルは大変低いのですが。
ちなみに陳氏は中国の新聞社に勤務した後、日本に留学し、東大→横浜国大(修士課程)→慶応大学(修士・博士課程)→萩国際大学教授を経て、中国に帰国、月間「経済」主筆。2010年からフリーライターとして、週刊東洋経済やAERAなどに執筆しているそうです。
グルメ番組の紹介は、下のような紙面で、番組は世界で中国料理がどのように人気を集めているかを紹介したものだそうです。
右上の写真のキャプションは、「山で放牧したメンヨウの煮込み料理は新疆ウイグル自治区アルタイ地区の遊牧民の大好物」というもの。
笑顔のウイグル人を大きく扱う面の皮の厚さ。これをプロパガンダではないと言うのでしょうか。
毎日新聞が現在ウイグルで起きていることをどれほど伝えているのだろうかと気になるところです。
また、記事の中にはこのようなことが書かれています。
- 最終的には、国籍、イデオロギー、宗教の違いを超え、一番人を癒やすことができるのは食べ物です。
確かに、中華料理店は世界中の至る所にあり、その味は客を癒やしてくれるかも知れませんが、だからといって、世界の人々は中国の思想弾圧や宗教弾圧は見過ごしませんよ。
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