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2018/11/19

韓国統治は併合か植民地というおかしな議論

公開: 2018-11-19 09:43:50  最終更新: 2019/09/02 11:33

ここで言いたいのは、言葉の定義をせずに「併合」とか「植民地」だとかを議論するのは馬鹿馬鹿しいということです。

もう一つ、言葉というのは生き物です。後世に作られた「定義」が、過去のその時点の定義や理解と同じか?ということも考える必要があります。歴史を検証した後で作られた定義でその当時のことを判断するというのは、まるで「後出しジャンケン」みたいなものです。

 

* * * *

 

よく、「韓国を植民地にした」というと「植民地ではない併合だ」ということを言う方がいます。

「植民地」を辞書で引くと、確かに、

 


【明鏡国語事典】

  1. ある国からの移住者によって開発・形成された地域
  2. ある国の経済的・軍事的侵略によって支配され、政治的・経済的に従属させられた地域

 

と、侵略して搾取するというニュアンスの意味が書かれています。

ブログ主も、このニュアンスがあるために韓国の日本統治について「植民地」という言葉は誤解を与えるので不用意には使いません。

 

実際、1の意味は、古代ギリシアの植民市やローマのコロニア(colonia)のような移住地のことで、これが原義。帝国主義の時代を経て、新たに追加された概念が2です。

ただ、「搾取」というニュアンスは、結果として搾取したからという“後付け”の定義だと思っています。

あるいは、「搾取」を目的に「植民地」にする(した)という「植民地主義」を「植民地」の定義にまで持ち込んで、「手段」(植民地)と「目的」(搾取)をごっちゃにしているせいだと思います。(言葉というのは、いつから使われたのかも大事。「植民地主義」の始まりの時点でこの言葉があったというより、後から歴史を検証して「植民地主義(の時代)」と名付けられたのだと思います。)

 


しょくみんち しゅぎ[6] 【植民地主義】
帝国主義的な先進国が自国の植民地を原料・商品市場として利用すると共に、住民を政治的・軍事的に抑圧・支配し、また他国の植民地や発展途上国を侵略して勢力の拡大を図ろうとする政策や思想

新明解国語辞典 第七版 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2013

 

* * * *

 

例えば、パラオは大東亜戦争(第二次世界大戦)で日本の「委任統治領」になり、南洋庁がおかれ、多くの日本人が居住、パラオの人達に日本語を教えました。そのため、今でも、現地の言葉に日本語の名残もあります。(下は『日本を愛した植民地』商品画像)

 

 

そして、当時のパラオをどう呼ぶかというと「植民地」です。(後述しますが、この言葉には「狭義」と「広義」があります。)

但し、日本はヨーロッパの国の植民地のような搾取はしておらず、今でもパラオの人達は日本の統治時代を懐かしがってくれていることはご存知の方も多いでしょう。

「植民地」の定義に搾取だの侵略だのというという属性を与えている人は、ここで行き詰まってしまうはずです。

 

もう一つ、「併合」と「植民地」を対比させるのは国語の問題としておかしい。

「併合」は『動作あるいは行為』、「植民地」は『状態』を表す名詞です。

併合する」とは言えますが、「×植民地する」とは言えず、「植民地化する」のようにいう必要があります。

 

従って、「併合して植民地とする」というのは文法的、論理的には正しいのです。

 

また、「併合」という言葉自体は少なくとも日本語ではニュートラル(中立的)な言葉ですが、通常は強国が弱小国を飲み込むわけで、「平和的な併合」もあれば「武力で脅してむりやり併合」することもあり得ます。ただ、「併合」という言葉はそういった特殊な“色”が付いていない『プロセス』を表す言葉として使われているだけだと思います。

 

注意しなくてはならないのは、日本語の「植民地」と外国語、例えば英語の「colony」。語感とかニュアンスも含めて1:1で対応するとは限りません。

日本語で「併合」や「植民地」という単語を使う場合は、互いに共通の認識があり、それを前提として使います。

調べてはいませんが、そもそも、欧米人にとって、「植民地」という言葉にネガティブな意味があるのかは疑問です。おそらく、彼等はかつての植民地支配に罪悪感など持っていないだろうし、「植民地」もニュートラルな言葉でしょう。

実際、ニュージーランド(※)に旅したときに、イギリス人が入植した当時の建物を「コロニアル様式」と呼んで観光スポットとしているのを知りました。日本人が昔、ハワイやブラジルに移住しましたが、これも「入植」です。つまり、「新天地への移住」程度なのでしょう。(なお、後者の場合の「入植」は英語ではimmigrationの方が適当だと思います。)

 


※ここは飛ばしても構いません。

ニュージーランドへの移民は計画移民です。よく、オーストラリアは流人と言われますが、イメージは少し違います。

確かに最初に送り込まれたのは罪人なのですが、その罪状はというと、ガチョウを何羽盗んだとか、小麦粉を何キロ盗んだとかの微罪の犯罪者です。当時、ロンドンの牢屋がいっぱいになっていたこともあって、オーストラリアに送り込まれた人達で、従って、開拓の先鋒隊のようなものだと思います。(昔ペーパーバックで読んだ英語の本で、タイトルも忘れたのですが、)確か、到着すると船員も罪人も一緒になって乱痴気パーティーをしたという説明がありました。

 

 

こんなことを考えたのは、『THE NEW KOREA』という本を読んだからです。

 

 

 

 

この本の著者を説明する「出版社のコメント」をAmazonの商品ページから引用して紹介しますが、著者は日本の韓国統治も「植民地経営」と見なしています。

 


著者のアレン・アイルランド(Alleyne Ireland)は、1871年-1951年イギリス生まれの世界の植民地統治研究の専門家、第一人者です。シカゴ大学委員、王立地理学会特別会員であり、アメリカの雑誌などに広く執筆活動を行なっていました。
1901年、米シカゴ大学の招きにより、極東の植民地運営を研究するための委員会の責任者に任命され、3年間極東に派遣され、イギリス、フランス、オランダ、そして日本による植民地経営のシステムを研究しました。6カ月間のフィリピン滞在の後、アメリカに戻り、新しく設立されたシカゴ大学の植民地・商業学部の責任者に就任。日本による朝鮮の合邦政策について研究をまとめ、1926年にニューヨークで「THE NEW KOREA」を出版しました。「THE NEW KOREA」は韓国で翻訳出版された以外はその存在は知られていませんでしたが、87年の年月を経て2013年に弊社で完全対訳本として出版致しました。
アレン・アイルランド氏は、中立の立場、または欧米の立場にいた学者です。彼が実際の朝鮮半島を見た上でまとめた本書は、大変貴重な第一級資料であり、研究論文です。
その研究方法は、様々な客観的データを用いて中立的な立場で現実を把握することに努めており、研究は学術的に高い評価を受けています。当時広く執筆活動を行ない、著書は10冊あります。
本書は、朝鮮史を語る上で欠くことができない書籍です。

 

この本は、原文(英語)と翻訳(日本)を見開きの左右に並べた、いわゆる「対訳」ですが、例えばこんな文が出てきます。

 


“It is my purpose to examine Jaanese rule in Korea as a concrete example of colonial administration, ...”

(日本の朝鮮統治を植民地統治の具体例として検証するのが本書の目的であり...)

“The annexation of weak country by strong countries is a phenomenon which has persisted since the beginning of recorded time; practically every strong nation has practiced the habit.”

(強国による弱小国の併合は有史以来存続している歴史的事実であり、実際、全ての強国が繰り返し行ってきたことである。)

 

日本語で「植民地」という言葉に拘るなら、もっと正確に知るべきです。

【2019/08/18追記】この著者は、実際には台湾は調査していませんが、台湾も「植民地」とみなしています。(ご存じのように、台湾は清から割譲された土地で、日本が直接"侵略”したわけではありません。)

 

下はマイペディア(平凡社)の説明の冒頭。

 


本国の政治的・経済的支配下に置かれた地域をいい、完全に本国の主権下にある領土(狭義の植民地)のほか、自治領、保護領、租借地、信託統治、委任統治領なども含まれる。

(中略-古代ギリシアやローマの移住地の例)

現在では一般に15世紀の「大航海時代」以降、西欧諸国がアジア、アフリカ、アメリカに進出して割取した地域をいう。これは単なる移住地ではなく、本国の政治的支配下に置かれた略奪貿易の対象であり、資本主義の生成期における資本の原始的蓄積の要因であり、更に進んで本国の原料供給地および過剰資本・資本の投下・販売地となった。始めはスペイン、ポルトガル...(以下略)

 

パラオはここでいう広義の「植民地」に当たるわけです。

国語の問題になってきますが、中略の前が定義、後ろは「植民地」の名の下で行われた行為や事象を説明しています。ブログ主には後半までを含めて定義とするのは抵抗があります。

このマイペディアの説明に則るとすると、「植民地」という言葉は“ざっくり”とした(アバウトな)言葉です。「国際法」上云々いう場合は、狭義の厳密な区分けで語るべきでしょう。

日本の韓国統治に関し、書類上、「植(殖)民地」という言葉を使っていることがありますが、これで、やっぱり「植民地だ」と鬼の首を取ったように言うのは「植民地」の概念が幅広いのですから愚かなことです。

ブログ主には「韓国は植民地ではない!」という主張も分かります。当時は軽い気持ち(かどうかは分かりませんが)で使っていた「植民地」という言葉に対して、戦後、「侵略」だの「搾取」だのと言った属性がつけられたら、「それとは違う」と言いたくなります。

 

* * * *

 

ここで、朝鮮について、併合に至った経緯を見てみましょう。

1876年(明治9年)の日朝修好条規(江華島条約)では朝鮮を独立国として各国が承認します。これに先立つ江華島事件は日本で言えば、黒船に象徴される列強の威嚇で、日本はこの黒船の立場。

尤も、日本の目的は中国の属領として不安定な朝鮮が自主自立してくれれば良かったので、これで朝鮮が実際に独立国としてしっかりしてくれればこれだけで良かったのですが、国内に動乱が起こるとすぐに清に頼る李王朝のふがいなさのせいで日清戦争。

日清戦争で日本が勝利しても、三国干渉を受ける日本を見て馬鹿にし、今度はロシアにすり寄り、依然として一族の中で覇権争い。国内の反閔派(反閔妃)派と日本人により閔妃が暗殺されると、高宗はロシア公使館に引きこもり。そのため、日本は日露戦争(1904~05年)でロシアと戦う羽目に。

1904年に結んだ第1次日韓協約では、日本は外交・財政権を取得して保護領に。

国内の愛国者等が結成した一進会(李容九)は対等な合併を望むも、1905年の日韓保護条約(第2次日韓協約)併合

ちなみに一進会は韓国の歴史の中では取るに足らないものとして扱われているそうです。

 

大雑把ですが、こんなプロセスを経ての併合です。

これを、国際法上の手続きを踏んだことや因果関係などを無視して、「独立」→「保護領」→「併合」という状態の変化だけを抜き出して別のストーリーをつけたら、「日本は韓国を徐々に侵略して植民地化していった」という見方もでき、実際、韓国ではそのような認識なのでしょう。

 

* * * *

 

以下は雑談。

仮に韓国国民が正しい歴史を知ったとしたら、それはそれで、劣等感を持ったり屈辱を感じたりするでしょう。

そして、その屈辱を味合わせた日本を恨むのも感情の問題だからとやかくは言いません。(感情を「正しい」、「間違っている」とジャッジはできないことですからね。)

しかし、これって、例えば、日本が開国前に散々列強にやられたことで、我が国はいくつもの不平等条約を結ばされました。

先月、フランスで、日仏交流160周年の記念式典が行われ、日本の自衛隊が堂々とシャンゼリゼをパレードをしましたが、その時、ふと、160年前に何があったっけ?と思って、調べたら、「安政五箇国条約」(米、英、仏、蘭、露)と知り、思いっきり不平等条約やないかい! と思ったことがありました。

日本はこうした不平等条約を独力で改定してきたので、フランスやオランダなどを一千年恨むなどということはありません。

臥薪嘗胆(がしんしょうたん)とは、三国干渉を受けた日本の合い言葉になりましたが、この復讐心も克服しました。

Tシャツだのミュージックビデオだので溜飲を下げるようなみみっちいことをやっていて恥ずかしくないのかと。

 

いや、恥ずかしくないのだろうなあ。

 

韓国の歴史には独力で打開したという事実が殆どないのです。「解放」すら、日本の敗戦によるものですから。

日本は大東亜戦争こそ負けましたが、日清、日露の戦争ではカタルシスを感じることができます。彼等にはこれがないから、コンプレックスになっている。だから、彼等は何かというと秀吉の朝鮮出兵を持ち出すのでしょう。“日本の悪行”を言い立てることができるのは、実はこれが彼等にとってカタルシスだからなのです。彼等が日本に対して優位に立てるのはこれか、更に遡って「白村江の戦い」くらいですからね。

 

* * * *

 

【2019/09/02追記】SNSで面白い画像を見つけたので追記します。

「植民地」とか「併合」とか、国際法上の厳密な表記をする必要がある場合と、慣用的に社会で使われる言葉はギャップがあるものです。

 

201908_twitter

 

この画像を誇らしげにupしている人の意図は説明するまでもありませんが、ブログ主など、この画像を見ると、むしろ当時は「殖民地」という言葉にネガティブな意味がなかった証拠に思えます。

この本と全く同じ本ではありませんが、国会図書館のデジタルアーカイブに同様の本を見つけました。

 

1912_takusyokuhakurankai

 

拓殖博覧会記念写真帖』(大正1)という本で、中を見れば分かりますが、現地の建物や風物(虎の剥製など)といった当時珍しいものの写真集に過ぎません。

ところで、「拓殖」という言葉ですが、例えば岩波国語辞典を引くと「(人の住んでいなかった)土地を切り開いて人が住みつくこと。開拓し殖民すること」とあります。(現在の意味ですが、これ自体にネガティブなニュアンスはありません。)

また、拓殖大学という大学がありますが、1900年(明治33)アジアで働く人材の養成を目的として創立された台湾協会学校が前身で、台湾以外にも「外地」が増えたことで、東洋協会専門学校などを経て18年(大正7)拓殖大学と改称され、現在に至ったものです。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

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コメント

>閑人様

わざわざコメントをありがとうございました。
ブログタイトルは最初に同窓会の連絡用に立ち上げたのでこんなタイトルになっていますが、ブログ管理人の気ままな個人ブログです。

「植民地」に変な"色”をつけて「植民地ではない!」と言ったところで、言葉の定義など変わっていくもの(あるいは、意図的に変えられるもの)であるので、表面的な言い争いをしても無意味なんですよね。
現に北海道ではアイヌ(協会)によって「開拓」は「侵略」とほぼ同義にされてしまい、使うことをタブーとされています。(日本ハムファイターズが「開拓」の文字を入れたバナーを空港にかけたら抗議され、謝罪する羽目になった。)

むしろ、「植民地ではない!」と拘ることによって、自分の首を絞めているという一面も。
「何をしたか」を議論すべきでしょう。

植民地と併合。
そんなに違いがあるのかと検索してたら辿り着きました。
とても参考になります。
言葉をどう使っていくか、悩みどころです。

ハイチなんかでも、同じ事をしてたって韓国人は別の受け取りかたしますからね
虐げられてきたので、被害を受けた事への自負とそれを盾に取る臆面の無さが半端ない
彼らの主張は、自分たちが弱くて主体性がない、事でしかないハズなんですが

新井白石が
「それ朝鮮は狡猾にして偽り多し。利のある所、信義を顧みず」(国書復号記事)
と評してるようなので、文化なんですかね。
お天道様に恥ずかしくない様に、という感覚もないんだろうなぁ

「同窓会」のタイトルに書き込みをどうするか戸惑いましたが、すごく参考になりましたので書き込ませて頂きました。

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