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2018/11/20

2007年の「留学生30万人計画」から既に始まっていた外国人労働者受け入れ計画

9月に大阪市天王寺区の「日中文化芸術専門学校」が定員超過で外国人留学生を受け入れ、大阪府や大阪入国管理局の指導により大量の退学者を出していたことが新聞各紙で報道されました。

昨年度から今年度にかけて退学させられた留学生は約360人にも上るそうです。

ジャーナリストの出井康博氏によると(https://blogos.com/article/338552/)退学となった留学生のうち7人のベトナム人は、同校理事長らに損害賠償を求める訴えを起こしているそうです。

読売新聞ではこの件を追った解説記事を11月10日に掲載していたので、この記事を元に調べたことをまとめておくのが、このエントリーの目的です。

 

 

 

 

下は、問題が発覚したときの記事(産経新聞)

 

https://www.sankei.com/west/news/180925/wst1809250044-n1.html
定員超過で留学生100人以上退学 大阪の専門学校
2018.9.25 11:42

 大阪市天王寺区の観光系の専門学校「日中文化芸術専門学校」が大阪府や大阪入国管理局に定員超過を指摘され、4月に入学したベトナム人留学生ら100人以上が退学となっていたことが25日、府への取材で分かった。

 府によると、学校は昨年、定員を大幅に超過して留学生を入学させ、府が是正を求めた。大阪入国管理局も今年に入り、定員超過を認めないと通告。7月以降に在留資格が期限切れとなる留学生らは更新できなかったとみられる。

 学校は主に日本人を対象として認可を受け、平成27年に開校した。だが実際はベトナム人や中国人を主に募集し、定員418人に対し昨年は約560人が在籍。その後も留学生を入学させ、今年5月時点で在籍者は約580人となっていた。

 退学者の中には別の専門学校に入学して在留資格が認められたケースもあるが、帰国した人もいるという。学校は府に対し「新たに校舎を建てる予定」と説明し、是正に応じる姿勢を示しているという。

 学校は取材に「担当者が不在で対応できない」としている。

 学校のホームページによると、「観光・通訳ガイド専攻学科」などがあり、観光産業の人材を育成している。

 

読売新聞ではこの件を追った解説記事を11月10日に掲載しているのですが、同校は主に日本人を対象に中国語の通訳などを養成するとして府の認可を受け、2015年に開校しましたが、9割以上がベトナムやネパールからの留学生。これまで欠席を理由に退学になった留学生は400人に上るそうですから、始めから、就労目的の留学生目当てで開校したのではないかと思われます。

実際に、留学生は本来の目的の授業にはついていけず、漢字の読み書きといった初歩の日本語を教えていたそうです。

 

形骸化している学校教育法

そもそも、学校教育法では専門学校は「外国人を専ら対象とするものを除く」と規定されているので、府がきちんと管理していれば認可されないか、あるいは開校直後にこのような学校は排除されていたはずですが、いまだに同校が運営されていることをみると、たまたま目に余ったから問題視されただけで、チェック体制や罰則規定などは整備されていないのでしょう。

その証拠に、読売新聞が独自に行った調査では、集計が未完了の東京都を除く46道府県で、約2400校の内、外国人学生が9割以上の専門学校は少なくとも72校、この内35校が全員外国人だったそうです。

 

留学とは名ばかり、実質は外国人単純労働者

もちろん、大きいのは就労目的です。

日本語学校は最長2年までしか認められていないので、これを超えて、帰国せず、大学に入学する意思がない留学生の受け皿になっているのが専門学校です。

日本では週28時間までの就労が認められていますが、土日8時間働いても16時間ですから、いつ勉強する暇があるのだと思います。

記事に具体例は書いていませんでしたが、アメリカなど先進国では、勉学に支障が出るといった理由からもっと厳しい制限があるとのことです。

このユルユルな規制に関して、想像に難くないのは、コンビニ業界などの要請でしょう。

ブログ主の住む地域、都会の住宅街と言ってよいと思いますが、コンビニだけでなく、コンビニまがいのミニスーパーとかホームセンターとかで外国人従業員を見ることは日常のことで、駅周辺の店ではその遭遇率はもっと高くなります。飲食店なども同様でしょう。

彼等がどのような資格で働いているのかは分かりませんが、ベトナムやネパールでは就労目的の留学生を送り出す仲介業者が急増しており、借金を背負って日本にやってくる留学生が多くないそうです。

 

外国人単純労働者の隠れ蓑『留学生30万人計画』

2008年に福田康夫内閣が掲げた『留学生30万人計画』について触れられていましたが、これにより在留資格取得の手続きの緩和が行われたそうです。

この計画について詳しい説明はないので調べて見ると、一応、「大学の国際競争力の向上」を謳っていますが、留学生の名の下に、実は労働者の受け入れまでを目的としていることが分かります。

以下は、文科省のサイトからのコピペです。

 

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08080109.htm
「留学生30万人計画」骨子の策定について
平成20年7月29日

「留学生30万人計画」について、文部科学省ほか関係省庁(外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)は、平成20年7月29日付けで計画の骨子を策定し、同日の閣議後閣僚懇談会において報告しましたのでお知らせいたします。

1.背景

 「留学生30万人計画」は、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モノ・カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すものです。
 このため、日本留学への関心を呼び起こす動機づけや情報提供から、入試・入学・入国の入り口の改善、大学等の教育機関や社会における受入れ体制の整備、卒業・修了後の就職支援等に至る幅広い施策を、上記関係省庁において検討し、このたび、その基本的な考え方や施策の方向性を「留学生30万人計画」骨子としてとりまとめました。
 今後、関係省庁は、本計画の実現に向け十分に連携しつつ、施策の具体化を図ることとしています。

2.方策の項目
(1)日本留学への誘い−日本留学の動機づけとワンストップサービスの展開
(2)入試・入学・入国の入り口の改善−日本留学の円滑化−
(3)大学等のグローバル化の推進−魅力ある大学づくり−
(4)受入れ環境づくり−安心して勉学に専念できる環境への取組−
(5)卒業・修了後の社会の受入れの推進−社会のグローバル化

(以下略)

 

下は、上記サイトに掲示されているPDFの一部を切り取ったもの。

 

20080729mext01

 

「社会のグローバル化」などと“ふんわり”とした言葉で誤魔化していますが、移民の受け入れまでを見込んだ政策だということが分かるかと思います。

この政策で実際に急増した留学生数(2017年で26万7千人〔日本学生支援機構調べ〕)を押し上げているのは、実は「日本語学校」と「専門学校」だということを記事では書いています。

それぞれの留学生数を5年前と2017年を比較すると、

 

  • 日本語学校: 7万8千人(5年前の3.2倍)
  • 専門学校: 5万8千人(5年前の2.3倍)

 

だそうです。

 

日中文化芸術専門学校の件は、バイト漬けでろくに日本語能力も向上せず、大学進学のレベルにも達しない留学生-実質は外国人単純労働者-の受け皿になっている、というのが表面的な事象ですが、これを後押ししていたのは政府なのです。

 

 

 

 


 

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