【日本式教育】エジプトで導入された背景は?
先日、 『「日本式教育」の学校、エジプトで35校開校』というエントリーを書きましたが、偶然、この背景を伝えるニュース動画(YouTube)を見つけました。
元のタイトルは不明ですが、動画は「エジプト 小学校に日本式の教育手法導入へ」と銘打たれた1分半ほどの短いものです。
後ほどJICAの記事をご紹介しますが、発端は、2015年1月、エルシーシ大統領が、エジプトを訪問した安倍晋三首相に、日本の教育への強い関心を示したことだそうです。
メディアがあまり積極的に報じない理由が分かった気がします。
YouTubeの動画には放送された日付等は書かれていないのですが、ニュースは2016年頃のもののようです。
下は、覚え書きとして、動画のナレーションを書き取ったものです。
中東のエジプトでは、5年前に起きた民主化運動「アラブの春」のあと、社会の混乱や経済の低迷が続き、特に若者への教育が課題になっています。
こうした中、エジプト政府は規律や協調性を重んじる人材の育成を強化しようと、今年から各地の小学校に日本式の教育手法を導入していくことを決め、22日、首都カイロで日本の専門化を招いた教育セミナーを開きました。
セミナーでは初等教育が専門の國學院大學の杉田洋教授が、教員が児童と対話しながら問題解決へと導いていく学級会の仕組みなど、日本式の教育手法などについて説明しました。
セミナーに参加した教員の育成に携わる大学講師などは、授業時間が日本よりも少ないエジプトのカリキュラムなどに日本式の教育手法をどう反映させるかといった課題について意見を交換していました。
エジプト教育省の担当者は、押しつけではなく、教員の皆さんに納得してもらいながら導入を進めていきたいと話していました。
エジプト政府はJICA(国際協力機構)の協力を得て、まずは12の小学校に日本式の教育手法の導入を進めることにしています。
この時は12校の予定だったのが、先日のニュースでは35校に増えていたのは、実際に導入した後にその効果が理解されたのだと想像されます。
以下は、JICAのサイトからの引用ですが、日直が大人気とは意外です。ブログ主なんて、面倒くさくて嫌だったのですが。
日本式教育をエジプトの子どもたちへ——健やかな発達と学力向上のカギは「特別活動」 (リンク先に画像有り)
2016年10月20日
子どものころ、誰もが学校生活で経験した掃除や日直。それら学級活動を中心とした、教科授業以外の「特別活動(以下、特活)」が、エジプトで広がろうとしている。特活は、身体的、情緒的、また知的側面からもバランスのとれた発達を目的とした、日本式教育の基本構成要素だ。
人気は「日直当番」、なぜ?
2015年1月、エルシーシ大統領が、エジプトを訪問した安倍晋三首相に、日本の教育への強い関心を示したことが、エジプトへの日本式教育導入の発端。「アラブの春」以降、政情不安や経済低迷といった状況に直面してきた同国では、国の未来を担う子どもたちへの教育が大きな課題となっている。
これを受けJICAとエジプト教育・技術教育省(以下、教育省)は、同年10月から2校の小学校において、手洗い、日直当番、掃除、体力測定、計算ドリルを使った5分間補習など、日本の学校で行われている10の活動を試行的に導入した。
特に好評だったのは、日直当番。エジプトでは成績の良い子どものみが学級のリーダーとして先生の手伝いなどを行う傾向にあったが、日直になれば、誰もが一日のリーダーになれる。そのことが子どもたちはうれしくて、順番を楽しみに待っているという。
掃除については、「子どもを働かせるべきではない、子どもがやることではない」という考えから、当初は保護者の反対の声もあった。しかし、子どもたちが家庭でも掃除を始めたことで、理解が得られた。
特活はエジプトにきっと根付く——。こうした試みから、特活が同国でも有効性があるものと期待されている。さらに、各教科を能動的に学ぶ基礎を養えることから、学力向上のカギとしての可能性にも期待がかかる。
現在、特活を取り入れたJICA初の技術プロジェクトとなる「学びの質向上のための環境整備プロジェクト」を準備中だ。
教諭も意欲大!「すぐに取り組みたい」
JICAと教育省は、新学年のスタートに先立ち、2016年9月19~22日の4日間にわたり、特活の実践に向けたセミナーを首都カイロで開催した。教育省は、試行対象校を12校に拡大する方針。その教諭、日本式教育に関心を寄せる大学関係者など、延べ300人参加した。
本セミナーには、日本の教育委員会や文部科学省において特活の指導に当たってきた國學院大學の杉田洋教授を招へい。参加者からは、「すぐにでも取り組んでみたい!」などという積極的な声が多数上がり、大好評のうちに終了した。指導する教諭が、日本の特活を参考に、エジプトに適するように構想し、定着させることができるか。子どもたちがよりよい人間関係を築き、自らが問題を解決する力を養っていくために、JICAはそのプロセスを支援していく。
【追記】こちらのニュース動画は当初12校でスタートしたモデル校の一つ。公立の小中一貫校のレポートです。
- エジプトで始まった日本発の”トッカツ” (特活)
以前は半数が遅刻していた のが、朝礼を行うことで時間を守る習慣が付いてきたとか、最初は嫌だった掃除も友達と一緒にやると楽しいと感じたり、廊下などの共用の場を掃除することの意義を理解しているようです。(しかし、エジプトで、しかも校舎内も土足のままですから、砂埃が大変ですね。)
また、学級会では遠足の行き先を決めるのに意見を言い合い、最後は多数決で決めるのですが、少数派の子どもは最後まで納得せず、学級会の運営の難しさにも直面します。
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