【エネルギー】再生可能エネルギーの課題 (4)太陽光、風力発電の限界
今年、日本を襲った台風は各地に爪痕を残し、その被害はニュースで報じられましたが、その中に衝撃的な映像がありました。
8月の台風20号で倒れた風車です。
https://www.sankei.com/west/news/180828/wst1808280043-n1.html
台風20号で倒壊、淡路島の風車、風速60mに耐えられるはずが…構造設計に疑念、原因調査
2018.8.28 11:22
台風20号の影響で北淡震災記念公園(兵庫県淡路市小倉)横の風力発電用の風車が倒壊した事故。現在、設置者である淡路市などで原因を調べているが、島内では再生可能エネルギーの活用が積極的に進められ、風力発電は20基以上が設置されている。各市の担当者は再発防止を視野に推移を見守っている。
淡路市商工観光課によると、倒壊した風車は平成14年4月に同公園に隣接する敷地で稼働開始。当初は公園に必要な電力を供給していたが、昨年5月に電気系統が故障し、それ以降は稼働していなかった。
(関連記事【※1】再生可能エネルギーの闇…「風力発電」暴風で倒壊、「太陽光発電」水没で感電死の恐れ)
皮肉にも北淡震災記念公園という公園に建っていました。
幸い怪我人はなく、この直後は倒壊の原因究明を求める声がありましたが、その後は続報もありません。
倒壊の原因もそうですが、ブログ主がこのニュースで気になったのは、「昨年5月に電気系統が故障し、それ以降は稼働していなかった」ということです。
つまり、平成14年に設置して15年で壊れ、それ以降は単なる巨大な粗大ゴミだったわけです。
元々日本は台風が多い=強風が吹く=ので、風車式の風力発電は向いていない、というのは先日の『ガイアの夜明け』でもやっていました。
風力発電装置だけでなく、今年の台風では屋上や屋根に設置した太陽光パネルが強風で飛ばされたり、地滑りで斜面に設置したパネルが崩れている画像が多くネットに上がっていました。
こちらの方は台風の被害を伝えるニュースでは隠していたように感じます。
こうなると、再生可能エネルギーとは本当にエコロジカル(自然環境保護に配慮がある)なのか?と考えずにはいられません。
確かに発電時にCO2(二酸化炭素)などの「地球温暖化ガス」発生が抑制されますが、太陽光パネルや風車を建造するのに必要なエネルギー、施設の寿命が短いこと、施設をリプレイス(交換)するのに必要なエネルギーを考えたら、『費用対効果』 (効果=得られるエネルギー) はいかほどか、ということです。
設備を廃棄する際のルールも定まっていないので、北淡震災記念公園の風車のように、壊れた太陽光パネルが放置されていたとしても罰則もありません。ドイツなどでは企業に再植樹や緑地回復など復元義務が課されているそうですが、日本にはありません。(【※1】)
尤も、施設の寿命が短いというのは、これに関わって儲けている人達がいるわけですが。
下は、前回のエントリーに引き続きドイツの例ですが、再エネに転換することがいかに過剰設備を生み不経済か、ということを示しています。(ドイツは言うまでもなく、再エネ“先進国”ですが、これはエネルギー転換に取りかかった時期が早いという意味で、先に“失敗”してくれているので、反面教師として学ぶことは多々あります。)
破線はドイツ国内での電力の最大需要を表し、80という数字は8千万キロワットです。
前回のエントリーに提示したグラフで示したように、再生可能エネルギーはコントロールができないため、常に従来型の発電設備は待機している必要があり、無くすことができないのです。
従って、ドイツでは8千万キロワットを発電するのに必要な設備の2.7倍くらいの過剰設備になっている、というのが上の図です。
しかし、温室効果ガスの削減にはさほど役に立っていない、というのが下のグラフです。
温室効果ガスにも複数種類あり、上のグラフは、二酸化炭素(黄色)、メタンガス(えんじ)、等と色わけされていますが、合計量そのものは近年(2009年あたり~)は横ばい状態です。
2020年や2050年のグラフは目標値ですが、ドイツは既に2020年の目標値達成を断念しています。
本当は、太陽光発電と風力発電に限界があることや無駄が多いということは結論は出ているのですが、マスコミなどは口が裂けてもこれを言えません。
その理由は説明するまでもないと思います。
* * * *
前回のエントリーを含めてのソースは下の動画です。
【エネルギーは現在 #3】世界で賞賛される「再生可能エネルギー」の正体とは!?[H30/2/5]
2018/02/05 に公開
https://youtu.be/3MoQHHEANiY?list=PLubSbhcjV7IAqNmymFDgz0a_StK6pz_5J
国家の存亡にとって必要不可欠なエネルギー政策。 では、日本のエネルギーの現在(いま)は一体どうなっているのか? 福島第一原発事故をきっかけに迷走し始めた日本のエネルギー問題と今後について、作家の川口マーン惠美とエネルギーコンサルタントの小野章昌が世界的視点から詳しく検証し、問題提起するエネルギー専門番組。
キャスター:
川口マーン惠美(作家)
小野章昌(エネルギーコンサルタント)
【エネルギーは現在 #9】日本の未来像~再エネが「主力」で大丈夫?[H30/4/30]
2018/04/30 に公開
https://youtu.be/gKIUqJF4i84?list=PLubSbhcjV7IAqNmymFDgz0a_StK6pz_5Jエネルギーは現在(いま) 全番組リスト: https://www.youtube.com/playlist?list=PLubSbhcjV7IAqNmymFDgz0a_StK6pz_5J
上のどちらの番組かは忘れましたが、小野先生は、先日九州電力が行った、太陽光発電の受け入れを停止する措置を既に予言していました。
なお、当ブログで引用したグラフは番組内で使用しているもので、日本の環境省が作成した資料です。
環境省 ドイツのエネルギー変革に関する動向調査
https://www.env.go.jp/earth/report/h29-03/h28_ref01.pdf
* * * *
【※1】
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180904/soc1809040007-n1.html
再生可能エネルギーの闇…「風力発電」暴風で倒壊、「太陽光発電」水没で感電死の恐れ
2018.9.4
このところの自然災害で、風力や太陽光など再生可能エネルギーの発電施設の被害が続出している。台風20号では高さ60メートルの風車が根元から倒壊、西日本豪雨では太陽光パネルが浸水による故障や土砂崩れによる破損に見舞われた。福島第1原発の事故後、急拡大した再生エネルギーだが、その闇も大きい。
台風20号が通過した24日、兵庫県淡路市の公園で高さ約60メートルの発電用風車が倒れているのが見つかった。支柱の土台がむき出しになって倒壊。羽根が折れ曲がり、一部が公園脇の道路まで達した。2002年の設置から約16年しか経過していないものだった。
エネルギー問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は、「日本の風力発電施設は欧米メーカーのものが多く、メンテナンスも義務化されていないことから老朽化が進んでいるものもある」と解説する。
西日本豪雨では京都、兵庫、広島、山口、愛媛の1府4県計12カ所の太陽光発電施設が破損した。兵庫県姫路市の発電所では、斜面の中腹部に設置された約3500枚のパネルのうち3割ほどが地面にずり落ちた。
「斜面への設置はエネルギー効率としては合理的だが、土台をしっかりさせないままメガソーラーを設置する業者もいる。設置の際に相当数の樹木を伐採するので、保水能力の低下を引き起こすこともある。ドイツなどでは企業に再植樹や緑地回復など復元義務が課されているが、日本にはない」と石井氏。
静岡県伊東市の「伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会」の関川永子代表は、土砂災害警戒区域にメガソーラーが設置されることに憤る。「事業者が地元と丁寧に協調していこうとしない。地元企業ならコミュニケーションがとれるが、東京から来て親会社は韓国にある。何を信頼していいのか分からない」
太陽光パネルの場合、危ないのは浸水時だ。経済産業省は、パネルが水没したり壊れたりしても、光が当たれば発電を続けるため感電する恐れがあるとして、不用意に近づかないように呼びかけている。感電した場合、「最悪の場合、死に至る可能性もある」と同省担当者。「家庭用コンセントなどは『交流』で電流の方向が変わるのでビリッときたら手を離すことができる。しかし、太陽光電池は『直流』なので、手が離せなくなって体に電気が流れ続ける恐れもある。太陽に当たっている限りは発電し続けるので危険だ」と強調する。
再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度(FIT)」は、菅直人政権末期の12年7月、ソフトバンクグループの孫正義社長らの後押しなどもあって全量買い取りが導入された。買い取り額は電気料金に上乗せされて国民の負担増となった。太陽光発電設備の建設については、建築基準法の適用から除外された。
前出の石井氏は語る。
「環境や建築への配慮をしないまま、民主党政権が政治主導で規制緩和を行ったことで、日本の美しい景観が太陽光パネルで破壊されてしまうという問題もあり、是正すべき時期がきている。風力発電も含めて、事故などの代償も総合的に判断しなければならない」
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