「日本の借金1000兆円」の大嘘
よく、マスコミは「国の借金1000兆円」などと煽り、財政健全化のためには消費税増税やむなし、といった論調の記事を書きますが、これが正しくないというロイターのコラムがあったので、ブログ主の覚え書きとしてメモしておきます。国外の記事としては初めて見ました。
経済評論家の中には「借金○○兆円だから日本は破綻するというのは嘘」という正しい見方を主張する人は決して少なくないのですが、テレビ(新聞も)、こうした声は全く無視して、財務省の言うことをそのまま垂れ流しています。(唯一、産経の田村秀男氏くらいか。)
そもそも、「借金」などという表現が間違いで、正しくは簿記の「貸借対照表」(B/L:balance sheet)で言う「負債の部」の話。商業高校の生徒でさえ理解できる話ですが、「借金」などというネガティブな言葉を使い、ミスリードさせているのです。(ブログ主は、新卒の内定期間中に簿記二級をとったレベル ですが、それでも理解できます。)
下のコラムは日本語訳されたもので、日本人向けにタイトルを意訳していますが、オリジナルは「IMF rightly focuses on left side of public ledger」(直訳:IMFは公的帳簿の左側に焦点を合わせる)というもので、貸借対照表の左側、即ち「資産の部」を注視すべきと言っています。
今後、「日本の借金が~」、「プライマリーバランスが~」と言うマスコミ、評論家はもれなく財務省の回し者と思って間違いありません。(巷間言われていることですが、財務省は安倍政権に増税をさせてから退陣させようと目論んでいるのです。これも「安倍降ろし」の一環。)
https://jp.reuters.com/article/imf-g20-breakingviews-idJPKCN1ML0NF
コラム:日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論
ロイター 2018年10月13日 / 20:05[ロンドン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 企業を分析する際に、負債だけをみる人は真剣な投資家とは言えないだろう。しかし、こと国の分析となると、その国の富よりも債務にばかり着目するファンドマネジャーは多い。
国際通貨基金(IMF)は、国家財務の資産側にもスポットライトを当てることで、バランスを取り戻そうと努めている。
IMFが10日公表した世界経済生産の61%を占める31カ国の財政モニター報告書には、驚くべき指摘が並んでいる。公的部門の正味資産の合計額は101兆ドル(約1京1000兆円)に上り、合計国内総生産(GDP)の219%に相当する。一方、公的債務の合計は同94%であり、資産はその倍以上あるということになる。
巨額の借金を抱える日本の場合、負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の「純資産」はほぼプラスマイナスゼロになると、IMFは指摘している。
一方で、財政黒字を誇るドイツの場合、純資産はマイナスだ。
こうした分析は、完璧にはほど遠い。根拠となっているデータは統一性に欠ける。そして、資産と負債の全体像を把握しようとする中で、公的年金制度の将来的なコストや、地下に眠る自然資源の価値などについては、大胆な推計を用いることになる。また、国有企業や資産は簡単には売却できない。
だがそれでも、国の富をより明確に把握することは、いくつかのポジティブな効果をもたらす。1つには、純資産を増大させる公共投資と、借金で財源を作った補助金の区別が明確になる。また、よりよく資産を管理するよう国に圧力が加わる。
IMFがモニターした31カ国の資産利益率は、2010─16年において平均1.9%だった。これに加えて、GDPの3%程度の利益を搾り出すことができれば、先進国が徴収する法人税と同程度の歳入を手にすることになる。
こうした説明責任に対する政治的な消極姿勢が、公共資産に関する公式データの不備を招いているのだろう。
たがその中でも、一部の国は自ら範を示しつつある。ニュージーランドは、6月までの1年間で純資産が1300億ニュージーランドドル(約9兆4000億円)に達し、GDP比で45%と前年の40%から増加したと発表した。
IMFに背中を押され、他の国も、近くバランスシートの資産側について、より詳細な情報を投資家に提供し始めるのではないだろうか。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
これを説明しているのが、一つは高橋洋一氏のコラムです。たまたま、このロイターの記事は高橋氏のツイートで知ったので敬意を表してご紹介しますが、探せばもう少し分かりやすい(簡単に書かれた)記事があるかも知れません。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156
「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…
2015/12/28 高橋洋一
以下はブログ主の覚え書きとして、英文のロイターの記事。日本語の記事はこれを訳したもの。
https://www.reuters.com/article/us-imf-g20-breakingviews/breakingviews-imf-rightly-focuses-on-left-side-of-public-ledger-idUSKCN1MK10Y
October 10, 2018 / 6:32 PM
Breakingviews - IMF rightly focuses on left side of public ledger
Peter Thal Larsen
LONDON (Reuters Breakingviews) - No serious investor would analyse a company by looking only at its liabilities. When it comes to countries, however, money managers tend to pay far more attention to government debt than national wealth. The International Monetary Fund is trying to restore some balance by shining a spotlight on the asset side of the public ledger.
An analysis of 31 countries, published in the IMF’s latest Fiscal Monitor on Wednesday, throws up some startling findings. The combined public assets of these countries are $101 trillion, or 219 percent of total gross domestic product. That’s more than twice the 94 percent of GDP that they owe.
Indebted Japan has gross borrowings equivalent to 283 percent of GDP. But more than half of this is held by the public sector, including the central bank. Throw in other assets, and the country’s net worth is close to zero, the IMF reckons. Fiscally responsible Germany, meanwhile, has a negative net worth.
This analysis is far from perfect. The underlying data is patchy. Meanwhile, a snapshot of assets and liabilities involves making some big assumptions about, say, the future cost of public pensions, or the value of natural resources that are still underground. Besides, state-owned companies or property cannot be easily sold.
Even so, a clearer accounting of national wealth would have several positive effects. For one, it helps distinguish between public investment – which should boost net worth – and debt-funded handouts. It also puts pressure on governments to manage their assets better. The IMF reckons the 31 countries in its study managed an average annual return on assets of just 1.9 percent between 2010 and 2016. Squeezing out the equivalent of another 3 percent of GDP would bring in as much revenue in a year as all developed economies currently collect in corporate tax.
Political reluctance to face such accountability helps explain why official data on public assets is so poor. Some countries are, however, showing the way. New Zealand says its net worth in the year to June rose to NZ$ 130 billion ($83 billion), or almost 45 percent of GDP, from 40 percent a year earlier. With a push from the IMF, other nations may soon also be offering investors a better picture of the left side of the balance sheet.
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