【北海道】ブラックアウトはなぜ起きたのか? 発電所連鎖停止のメカニズム
13日現在、北海道の電力供給は依然綱渡り状態が続いています。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091300937&g=eco
北海道電、揚水発電が再稼働=20万キロワット追加、供給なお綱渡り
2018年09月13日 22時43分 時事通信北海道電力は13日、北海道地震後の電力不足を補うため、京極揚水発電所1号機(京極町、出力20万キロワット)を再稼働させた。地震で損傷した道内最大の火力発電、苫東厚真発電所(厚真町、出力165万キロワット)の全面復旧は11月以降になる見通しで、電力供給はなお綱渡りの状態が続く。
1号機は水車の不具合で今月2日から運転を停止していた。定期点検で運転を停止している2号機(20万キロワット)も14日に運転を再開する予定。
経済産業省は、京極揚水発電所1、2号機が再稼働し40万キロワットの追加電源を確保できた場合、平日の昼間を対象とした2割の節電要請を14日午後にも見直すことを検討する。13日夜の会見で同省担当者は、計画停電の実施について「相当リスクが低下した状況にあると理解している」との認識を示した。
ただ、道内の電力需要は10月以降、暖房の利用に伴い増加する見通し。再稼働させた老朽火力が故障する恐れもあり、道内の家庭や企業には引き続き節電が求められる。経産省によると、13日の節電率(午前8時半~午後8時半)は11.8~19.6%。2割の節電目標に届いていないが、最低ラインと位置付ける1割を超えている。北海道電は同日、14日までと同様に15日も計画停電を見送ると発表した。(2018/09/13-22:43)
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※揚水発電…夜間などの電力需要の少ない時間帯に他の大規模発電所の余剰電力を使用して、下部貯水池から上部貯水池へ水を汲み上げておき、電力需要が大きくなる電力ピーク時に、上池ダムから下池へ水を導き落とすことで発電する水力発電方式
北海道の胆振(いぶり)地方を襲った震度7の地震は、液状化現象や土砂崩れなどによる家屋の倒壊も甚大な被害でしたが、「揺れ」による被害をほとんど受けなかった他の地域でも電力の供給がストップするという、かつてない現象が起き、電気に頼って生活している我々は衝撃を受けました。
胆振地方とは、室蘭・苫小牧(とまこまい)など11市町が含まれる地域でで、有名な支笏(しこつ)洞爺(とうや)国立公園がある地域です。
今回のエントリーでは報道資料が散逸する前と記憶が薄れないうちに、ブログ主の覚え書きとしてこの問題についてまとめておこうと思います。
苫東厚真頼み(道内の1/2の発電量)、放射状の電力網
下は、地震発生前(時点)の主な発電所の出力と発生直後の復旧の見通しを表した図です。
出力は需要によりコントロールされるので、本州と異なり、この時期、比較的電力使用量の少ない北海道では全体で310万キロワット(左上)の需要があり、その内の約半分の165万キロワットを苫東厚真が担っていました。
下はチャンネル桜の番組(後述)で石井孝明氏が示していた図で、上が月別の電力消費量を示したグラフ、下は北海道の電力供給網を示した図です。
ブログ主は他の電力会社の供給網というものは分かりませんが、確かに「網」というよりは南部の苫東厚真火力発電所を中心とした「放射状」に広がっているようです。
読売新聞では7日朝刊で特集記事を組み、停電のメカニズムを解説していました。
苫東厚真という基幹電源を失って他の発電所も次々と停止した、というのは原因と結果のみの説明で、記事によると以下のような流れでブラックアウトが起きたそうです。
①苫東厚真発電所が緊急停止
②急激に電力が不足
③需要と供給のバランスが崩れ、発電所や工場設備に破損の恐れ
- 発電量は消費量に合わせてコントロール→この需給バランスで電力の周波数が決まり、北海道では50ヘルツ程度に収まるように調整している。
- この周波数が低下。
- 周波数が乱れると発電機のタービンの軸が振動で破損の恐れ。
④こうした事態を防ぐために、電力の需給バランスが崩れたときに自動的に停止する仕組みになっている。
ブラックアウト
泊原子力発電所は独自のバックアップ体制が正常に稼働していた
下は13日付読売新聞の時系列の表です(6日部分のみ転載)
泊原発は現在停止中ですが、4重のバックアップ体制ができているそうで、地震発生直後、すぐに非常用電源により正常な状態に復旧しています。
つまり、泊原発が稼働していれば、207万キロワットの電力が確保できたわけで、ブラックアウトは起こらなかった のです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018090600275&g=keq
泊原発、一時外部電源喪失=非常用発電機でプール冷却-北海道地震
北海道胆振地方の地震で6日、北海道電力泊原発(泊村、停止中)の外部電源が喪失した。非常用ディーゼル発電機6台が起動し、使用済み燃料プールの冷却を継続。同日午後0時13分に3号機の外部電源が復旧、1、2号機も午後1時までに復旧した。施設に地震による異常は無く、電源喪失は道内全域の停電の影響とみられる。
原子力規制庁によると、6日午前3時25分ごろ、3系統6回線ある外部からの電源供給が途絶。1~3号機の原子炉内に核燃料はなく、計1527体の核燃料はすべて使用済み燃料プールに貯蔵されていたが、非常用ディーゼル発電機からの電源供給で冷却を続けた。
午前8時52分、6回線のうち1回線で電源が復旧し、午後0時13分に3号機と接続された。1号機も同51分、2号機も午後1時に接続され、外部電源はすべて復旧した。(2018/09/06-13:47)
チャンネル桜: 【桜便り】北海道ブラックアウトは日本全体の危機だ~石井孝明 / 安倍外交とロシアの本音 / トランプ暴露本の真相 / 北海道電力非難の欺瞞[桜H30/9/12]
キャスター:水島総・水野久美
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ゲスト:石井孝明(ジャーナリスト)
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