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2018/08/03

ラオスのダム決壊事故-デマを拡散して訂正しない虎ノ門ニュース

公開: 2018/08/03 10:57  最終更新: 2018/08/03 11:57  

7月23日にラオス(the Lao People's Democratic Republic/ラオス人民民主共和国)でダムの決壊による洪水が発生しました。

 

原因はまだ不明ですが、今週の火曜日(7月31日)の虎ノ門ニュースで百田尚樹氏が間違った説明をし、ブログ主は番組中にメールでそれを指摘しても、その後訂正はされなかったので、(Twitterでは既に書いていますが)ブログでも覚え書きとしてメモしておきます。

間違いというのは、単に複数あるダム(ここでは狭義の「堰」・「堤」の部分)の工法の「アースフィルダム」、「ロックフィルダム」について、前者を「韓国式」、後者を「日本式」ダムの作り方と紹介したことです。後述(【追記】)しますが、Twitterのデマを鵜呑みにしたものと思われます。

 

Dam01

 

 

 

 

ここでは「アースフィルダム」、「ロックフィルダム」と単純に書きましたが、内側の層の作り方は様々で、例えばECRD dam=Earth Core Rockfill Damなど、細かな分類がありますが、「アースフィルダム」も「ロックフィルダム」も一般的な工法に過ぎず、ここに韓国式も日本式もありません。(熊谷組の子ども向けに書かれたダムの種類の説明にも代表的な工法としてアースフィルダムは説明されています。)

「工法の選択が不味かった」、あるいは「施工が手抜きだった」という議論はあってもいいのですが、「韓国式」という説明は誤りです。

 

念のために書いておきますが、ブログ主は虎ノ門ニュースはほぼ毎日観ており、特に百田氏の回(火曜日)はニュース解説以外の蘊蓄が面白いので楽しみにして観ています。それ故に、誤りはその場で正して戴きたかったのです。別の番組ですが、DHCテレビジョンが製作している「ニュース女子」では訴訟を起こされており、こちらの件についてはブログ主は全面的にDHCを応援しますが、誤りをそのままにしておくことは、DHCの姿勢に対して悪印象を持たれる恐れがあります。

 

下に最近の記事を引用しましたが、建設はSK建設など韓国企業とタイ、ラオスの企業との合弁会社(Xe-Pian Xe-Namnoy Power Co., Ltd.
/略称:PNPC)で、韓国側はSK建設26%、韓国西電力(Korea Western Power Co., Ltd. /略称:KOWEPO)25%の出資比率です。

 

各種ドキュメント公開ページ: http://www.pnpclaos.com/index.php/en/environmental-social/control-documents

 

 

https://www.sankei.com/world/news/180801/wor1808010018-n1.html

2018.8.1 22:24更新
韓国SKなど建設のダム決壊 ラオス首相は建設会社の責任追及

 【シンガポール=吉村英輝、ソウル=名村隆寛】ラオス南部アッタプー県で建設中だった水力発電用のダムで7月23日に起きた決壊をめぐる情報が錯綜(さくそう)している。当初は数百人以上が行方不明になったとされたが、発生から1週間以上たった1日になっても全容は不明なままだ。救援の見通しも立たない。

 ラオス首相府は先月25日現在の被害として、死者26人、行方不明者131人、避難者約6600人、被災家屋約1300戸と発表した。その後、地元当局などが死者数を11人と下方修正したが、その他の被害状況などは不明だ。

 ダムの建設は、SK建設など韓国企業とタイ、ラオスの企業との合弁会社が進めていた。ラオスのトンルン首相は「ダムが決壊した原因を徹底的に調査する」として、合弁会社側の責任を追及する姿勢をみせている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「欠陥建築か、大雨にかかわらず水をためすぎた判断が原因だろう」との専門家の見方を伝えている。合弁会社側は「予想を上回る大雨が原因」と主張している。

(以下略)

 

位置関係を表す図(ブログ主が複数画像を合成し、適宜文字で補足したもの)は下図の通りで、図-①を見れば分かるように高原(テーブル状の台地)にダム湖は存在します。

Xe-Pian Xe-Namnoy Power Co., Ltdという企業名が示すように、2つのメインダムがあり、北西に位置するセピエン(Xe-Pien)ダム湖とセナムノイダム湖は水路(Transfer Conduct)で繋がっており(図-②)、発電施設のあるセナムノイダム湖へ水を供給する役目です。

セナムノイダム湖の発電施設は南東側にあり、そのための水は地中のパイプで供給されます(図-①、③)

 

Dam03

 

図-①にはサドルダム(saddle dam/鞍部ダム、補助ダム)が3つ示されていますが、セナムノイダム湖には全部で6つのサドルダムがあります。

サドルダムのサドル(saddle)とは稜線の低くなった部分=鞍部(登山用語ではコル、日本語では「乗っ越し」)で、ダム湖の水量を保つために塞ぐ堰(せき)。

今回決壊したサドルダムは図に示したサドルダム-Dです。(公式サイトで公開されている資料ではA~Fの番号が振られている。)

図-③で、この決壊によりどの範囲に洪水が起こったのか分かります。

 

今回決壊したサドルダム-Dは確かにアースフィルダムらしいのは公式の資料(PDF-下はその部分をキャプチャしたもの。)で、メインダムにはロックフィルダムを採用しています。

 

DjdtitlUcAEsfi1.jpg

 

下はメインダムの全景。いつの時点の画像化は分かりませんが、排水施設(洪水吐)から水が流れているということは、一度は満水にしたこともあるということを示します。

 

DjjeYCnUwAA6tyX.jpg

 

洪水吐のある部分は元の地形をそのまま利用しているように見えますが、その右側の「く」の字の部分を見ると、2つの堤が連続しています。

 

下はその2つの堤の構造を説明した図で、百田氏が日本式と説明した構造そのものです。(www.yooshin.co.kr/upload/20_14_0.pdfより)

 

Dam04  

 

ちなみに下の画像は決壊直前のサドルダムーD。 地震の直後の地面のように地中から崩れているらしいことは素人目にも分かります。表面のアスファルトの遮水が十分でなかったのかは分かりませんが、ダム湖側(左側)の水中部分が崩れて沈下しているようです。

 

Dam05s

 

好きな番組ですが、間違いを指摘しないとフェアではないので、ブログに簡単にまとめておきました。

 

【追記】: 下のツイートを百田氏がリツイートしていることからも分かるように、まことしやかな図で騙されたのだとは思いますが、どこからか持ってきた図に、ご丁寧に小さく「日本式」、「韓国式」(赤の下線部分)などと書き加えられています。

 

Dam02

 

Twitterをやっていると分かりますが、自分が「こうあって欲しい」情報を見つけると、そのソースも確認せずにリツイートする人が多すぎます。

 

 

 

 


 

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