【書籍】「わが朝鮮総連の罪と罰」(韓光煕・野村旗守著)読了
掲題の「わが朝鮮総連の罪と罰」(韓光煕・野村旗守著)を読了したので、覚え書きとして記事にしておきます。
下はAmazonの商品説明からの引用ですが、若くして朝鮮総連の支部に参加して工作員となった著者(韓光煕/ハン・グァンヒ)が赤裸々に組織や工作活動について語った本で、表紙の野村旗守氏の名前の下には「取材構成」と書かれているので、基本的はインタビューを元にしてもののようです。文章は韓氏を一人称にして書かれています。構成が良いこともあってか、単純に読み物としても面白い。
秘密結社「学習組」の実態、総連式「オルグ」術、対韓国「スパイ」工作…。10代の頃から40年間にわたって総連にすべてを捧げ中央財務局副局長にまで登りつめた著者が、朝鮮総連の知られざる錬金術を語る。
著者は朝鮮総連の体質の変化に徐々に幻滅し、当時の財政局の幹部、許宗萬(ホ・ジュンマン)氏と衝突して失脚、総連を離れていきます。その許宗萬氏は現在の総連の議長であり、総連を大使館と見なせば大使のような存在です。
ブログ主がこの本を知ったのは過去のエントリー『【動画】朝鮮総連の破産申し立てを求めるメールを官邸に!【チャンネル桜】』でご紹介した動画で、上記記事にリンクを貼っている箇所から試聴することをおすすめしますが、この本についても41m34s~に言及しています。
上にご紹介した動画の中で韓国人を日本に呼び寄せ、教育して金を持たせて帰国させ、国会議員にするという件(くだり)が紹介されますが、手口についてもう少し補足すると、在日韓国人をオルグして韓国に行かせ、総連が用意したチラシやマルクス・レーニン主義などについて書かれた小冊子をばらまくという方法。
チラシは文字通りビルの屋上などから風で自然に巻かれるようにばらまきますが、小冊子は本屋の棚にさりげなく置いていくという方法で、そこに、日本に来た際に連絡をするようにと総連の連絡先を書いておく手口です。韓国では反共教育が徹底されていたので、そうした本を手に取る人物は対南工作をするのには有望だというわけです。
驚くことに、韓国で国会議員になったという人物は『学園浸透スパイ事件』にも関わっていました。議員という立場を利用して、容疑者をひそかに釈放させているのです。
韓氏が工作員として行った活動の一つが60年代の後半から行った「着岸ポイント」作りです。(下に雰囲気が分かる程度に縮小した画像を提示します。)
日本中を調査し、工作船が着岸するのに良さそうな場所を調査するのですが、その情報は密かに北に送られていたそうです。
韓氏は後に“公式に”北朝鮮を訪れますが、本の中では、それ以前は工作船で何度も往復していたとさらりと書いているのに驚かされます。
著者は拉致については全く語っていないのですが、隠しているのか、それとも、拉致は別系統のラインで行われていたことで知らなかったのかは分かりません。
しかし、70年代に頻発する拉致活動に氏の作った着岸ポイントが利用され事は想像に難くありません。
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