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2018/05/30

【加計学園問題】3分で読める加計学園問題【今何が問題とされているのか?】

公開: 2018/05/30 12:23  最終更新: 2018/05/30 12:46

加計学園の問題は、ブログ主のようにずっと経緯を追っている者にはその都度論破する記事を書いてきたのですが、マスコミや一部野党は次々と争点を変え、しかも全体像を見せないので、ワイドショーやニュースで断片的にしか情報に触れていない方にとっては、今何が問題なのかが全く分からないでしょう。

それをいいことに、マスコミは「疑惑は深まった」とやっている訳ですが、今回は現在何が問題になっているかを“入門者向け”に整理しておこうと思います。

これを説明するために、関連する過去の論点についても遡って説明します。

 

 

 

 

1.最初は「国家戦略特区のプロセスの透明性」が争点だった

そもそもは「国家戦略特区のプロセスに総理やその周辺の人物の関与(政治的介入)はなかったか?」ということが問題になりました。

そこで2017年6月16日の参院予算委員会で社民党・福島瑞穂議員が「加計学園の加計孝太郎さんが今治市に獣医学部をつくりたいというのは、いつから知っていましたか」と質問し、それに対し、「国家戦略特区に申請をすれば私の知り得るところになる」と誤って答弁したことが発端で、“申請当時から知っていたのなら、政治介入できたはずだ”という理論で追求が始まりました。

そこで、文科省の専門教育課の課長補佐が作成したメモが流出し、その中に「総理のご意向」という文言があったので「介入だ」と騒いだのですが、そのメモはよく見れば“「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。” とという一文もあり、むしろ、総理のご意向という介入などなかったことが明らかでした。

そして、今に至るまで、直接的に総理や官邸が介入した証拠は出ていません

 

2.加計学園を依怙贔屓したという嘘

次に、京都産業大学(申請者:京都府)と加計学園(申請者:今治市)の一騎打ちで、“加計学園が依怙贔屓された”という誤った風評を立てられました。

国家戦略特区では新潟、今治、京都を認めるつもりだったのに、公示文の文面を巡る日本獣医師会からの激しい圧力で、「広域的に獣医師系大学のないところ」(3者が対象の告示案)から「平成30年開学の獣医学部1校限り」と取り敢えず1校を死守する文面に変わりました。

京都産業大学は30年では準備不足で無理と、自ら断念した、と言うのが真相です。

2017年7月24日、25日には加戸守行・前愛媛県知事や前川喜平・前文科省事務次官を参考人として招致しての閉会中審査が行われましたが、この中で「総理のご意向」文書について質問された前川氏ですら、この時点では、今治市しか具体的な計画がなかったことを証言しており、仮に“総理のご意向”があったとしても、京都産業大学はまだヒアリングすらしてないので、“加計だけを優遇する”という意味には繋がりません。

 

3.「国家戦略特区」とそれ以前の「構造改革特区」の話をごちゃ混ぜに議論

今問題になっているのは4月10日に朝日新聞が報じた愛媛県職員個人の『備忘録』と5月21日に愛媛県知事が公開した27枚の文書で、これらは2015年4月2日に、加計学園関係者と愛媛県職員、今治市職員が藤原審議官(内閣府地方創生推進室次長)と柳瀬総理秘書官を訪ねた際の記録です。(個人メモはその少し前の打ち合わせ内容などをメモしている。)

2015年4月2日に総理秘書官が会ったのだから、“総理の耳に入っていてもおかしくない”と、再び、「総理が加計学園が応募していることをいつ知ったのか?」という話を蒸し返したわけです。

しかし、この資料を読むと、訪問者の誰かが「現在26次特区申請を行っているところであり、その最終結果が公表されていないが、その点はどうなっているのか?」という質問をし、藤原次長が「結果公表は保留している」と答えています。藤原次長のことは、それ以前に陳情を受けていた柳瀬秘書官が加計学園関係者に紹介しました。

つまり、4月2日の時点ではまだ国家戦略特区の申請(申請は6月4日)もしていないし、前年の11月に応募した構造改革特区の結果も出ていなかったのです。

 

では何故、そのような状態なのに、柳瀬秘書官が面会し、藤原次長まで紹介して面談したのかと疑問に思うかも知れませんが、これには少し話を遡る必要があります。

2014年7月18日に、国家戦略特区としては新潟市が先に応募(提案)していました。

これで国家戦略特区のワーキンググループ委員(民間人の委員で座長は八田達夫氏)は農水省や文科省をヒアリングして、文科省が1984年に出した告示で「獣医師系大学は申請すら認めない」としているのを知ります。この告示の見直しの機会は何度かありましたが、日本獣医師会の強い意向で告示文は変えられず、獣医学部は50年以上も新設されずに来たのです。

そしてこの“厚い岩盤”こそ打ち破るべきと、ワーキンググループ委員から「獣医学部新設の解禁」を答申し、「成長戦略」の項目の一つに加えられます。(参考:八田氏インタビュー記事

 

そのような状態で加計学園関係者から柳瀬秘書官に陳情があったので、国家戦略特区そのものの制度設計に携わっていた柳瀬氏が面談に応じるのも何らおかしな事ではありません。(柳瀬氏は2013年の総理主催のBBQで理事長や加計学園関係者とは面識あり)

そして、直接の担当である藤原次長を紹介したので4月2日の面談が決まりました。(柳瀬氏との面会は当初予定になかったらしく、4月1日に急遽決まったことが今治市の出張申請書に書かれています。)

柳瀬氏はこの面談では加計学園関係者と会ったという意識なので、それに随行していた愛媛県職員を覚えていないと言っただけで、面会していないと断言はしていません。(何故か、愛媛県知事がこれに文句を言っていますが。)

陳情を聞いたり相談に乗ってあげることが“特別扱いだ”と主張する一部野党については、これはもう人間性の違いとしか言えません。

 

そして、もう一度思い出していただきたいのですが、この時点ではまだ26次構造改革特区の審査中であり、国家戦略特区に申請するのはその約2ヵ月後の6月4日なのです。愛媛県職員の個人メモに“2月25日に総理と加計理事長が面談した”あり、“獣医学部の構想を聞いた総理が「いいね」と言った」という記述もありますが、仮にこの時に「獣医学部を作りたい」ということを知ったからといって、構造改革特区申請中の話です。そして、この15回目の構造改革特区への応募では愛媛県(構造改革特区では愛媛県が申請者)は落とされているのです。

更に言えば、同じ月、2015年6月30日 に閣議決定された『日本再興戦略 改訂2015 』には石破茂地方創生担当大臣による、いわゆる『石破4条件』という厳しい条件まで入っているのです。

そして、6月4日の国家戦略特区への応募(申請者は今治市)になるわけですが、“構造改革特区申請中に加計学園が獣医学部を作りたいということを総理が知っていた(かも知れない)”ということと“「国家戦略特区の審査のプロセスに総理が介入した(という疑惑)”を時系列を無視し、また、その確たる証拠もなく議論しているのが今の状態です。

 

加計学園から安倍総理に金銭の授受などが仮にあれば問題ですが、その証拠はありません。だから、元民主党からなる会派の江田憲司議員(無所属)や長妻昭議員(立憲民主党)などは、いまだに「加計理事長と総理のゴルフの費用をどちらが持ったか」などと国会で“みみっちいこと”を追求しているのです。

 

なお、総理は一貫して「個々の申請については、申請段階ではいちいち報告されない」と答えています。

 

更に詳しい経緯は下記の『5分で分かる加計学園問題』(追記している内に5分では読めなくなりましたが )をお読み下さい。

 

 

 

 

 


 

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コメント

【ブログ主】
DIE様

仰るとおりです。ありがとうございました。
アドバイス通り訂正致しました。

細かいツッコミですが
"文科省が1984年に出した告示で「獣医師系大学は申請すら認めない」としているのを知ります。この告示の見直しの機会は何度かありましたが、日本獣医師会の強い意向で50年以上も変えられずに来たのです。"
の部分、84年の告示から50年経っているように読めるので、
"日本獣医師会の強い意向で変えられず、50年以上も新設されずに来たのです。"
の方がいいんじゃないでしょうか。

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