【森友文書問題】文書改ざんのきっかけは2017/02/17のゴミ処理に関する質疑
先日のエントリーで財務省が4月4日付『森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で』(NHK)をご紹介しましたが、本日の国会(参議院決算委員会)の西田昌司議員(自民党)の質疑で太田理財局長がこれを認めました。実際にやりとした相手は森友側の代理人弁護士だと言うことです。
全文は上記記事に引用してありますが、下に今回注目すべき部分のみ転記します。
当時、国会では「値引き額の算定の根拠があいまいだ」などと批判が相次ぎ、去年2月17日の衆議院予算委員会で財務省は「8億円かけてごみを撤去するとなればダンプカー4000台分ぐらいになる。実際に撤去されたか確認したのか」などと野党側から追及されていました。
その3日後の去年2月20日、国有地を管轄する財務省理財局の職員が学園側に電話し、「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材で新たにわかりました。
この口裏合わせは、同記事によると、「こうした一連のやり取りについて職員はメールで財務省内の複数の関係者に報告していた」と、大阪地検では既に把握しています。
この時のやりとり(福島伸享議員と佐川理財局長)を国会議事録から引用します。(「四千台」で検索すると見つかります。)
(8億の値引きの根拠となったゴミとは何が埋まっていたのかというやりとりの後)
○福島委員 これは、最初の一億三千百七十六万円の部分は、鉛とか砒素の有害なものだからこそ、法的に除去しなきゃならないものだから国が負担をして取ったんですよ。有害じゃないかわからないようなものの費用負担をなぜ国がやるということを決めたんですか。お答えください。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
そもそもこの経緯は、委員御承知のとおり、貸付契約を結んでおりまして、国と法人の間で学校を建てるという用途指定のもとでの貸付契約でございました。それをもとに学校法人は建設をしていたわけでございますが、その途中で見つかったのが今のお話でございます。
いずれにしましても、見つかったのは二十八年三月でございまして、本学校は、翌年、一年後の二十九年四月には開校予定ということで、そういう意味では開校が切迫していた時期でございます。そういう意味では、大量に深いところから見つかったごみを何としても早く取りたいということでございまして、大阪航空局と議論をいたしまして、これは国が撤去するという方法もあったかもしれませんが、それは入札等々で相当時間がかかる制度でございます。そういう意味では、先方から、早く学校を開校したい、したがって、深い埋設物は自分で撤去して早く開校したいという御意向でございましたので、もともとこの貸付契約には売買予約契約書が同日に結んでございますので、先方が買い取りの意思を示せばその場で買い取りに移行する、こういうことでございます。
○福島委員 いや、八億も値引きしているということは、本当にそれは除去が必要なのかどうかを精査するのは国の役割じゃないですか。皆さんの財産じゃないんですよ、国民の税金で買った国有財産を、安全か危険かも判断しないで、向こうの言い値でやるというのはおかしいじゃないですか。
これは、八億一千九百万円の根拠は、一万二千二百立米の残土を搬出して、そのかわりにきれいな土を一万一千百立米入れるとなっているんですよ。それをやると、ダンプカー四千台分ぐらいです。四千台のダンプカーが行き交いすれば、当然やっていることはわかりますけれども、実際に工事をやったかどうかは確認されておりますか。○佐川政府参考人 今委員おっしゃられました八億の話は、大阪航空局が、専門的知識に基づきまして、工事積算基準というのを持っておりますので、それで計算をしているところでございます。
それと、実際に確認したかどうかでございますが、私ども、国有地を売る場合は時価で売るというのが基本でございます。したがいまして、不動産鑑定士に更地の価格を鑑定していただきまして、そこから大阪航空局が積算した埋設の撤去費用を差し引くというのがいわゆる時価でございますので、適正な価格で売っているということでございます。
これ以降、このゴミが混ざった土を運び出すのにどれほどのトラックが必要か、その処理にどれほど時間が掛かるのか、という質問を、例えば20日に逢坂誠二議員(民進かなにか)、21日に宮本徹議員(共産)が追求し続けますが、佐川理財局長は(当然、確認していないので)単に、「大阪航空局の計算値を根拠」にしたという答弁で逃げています。
2月17日と言えば、安倍首相が「私や妻が売却に関係したとなれば辞任する」という発言をした日ですが、この日のこの質疑で8億円の値引きの根拠が弱いことを隠さなければならないと口裏合わせや決裁文書改ざんに走ったのではないでしょうか。
以前の記事に書きましたが、昭恵夫人の記述がある決裁文書の一つは本省・理財局決裁のもので電子決裁システムなので、改竄日が明らかになっています。そしてそれは4月4日なのです。(→『【森友文書問題】昭恵夫人の記述を決裁文書から消したのはH29年4月4日←遅すぎない?』)
きちんと理解している方には言わずもがなのことですが、
隠したかったのは「昭恵夫人の記述」ではなく、「8億円の数字を創り出すのに出した『一万二千二百立米の残土』という数字が無理があったこと」
だと思います。
午前中に太田理財局長が口裏合わせを認めた夕方、ブログ主はフジの『プライムニュース・イブニング」を観ていたのですが、この件で解説委員・反町理氏の高井康行弁護士(元検事でリクルート事件などを担当)へのインタビューを流していました。
画像はBSフジ・プライムニュース出演時のもの
高井先生によると、国会でやるべき問題ではないとし、アメリカのような特別検察官制度を作るべきだと仰っていました。反町氏もBSフジ・プライムニュースではしばしば野党議員に向かって「これは政治ショーではないのか?」と疑問を呈していました。(もちろん、国会を混乱させたい野党は国会でやるべきという意見)
高井先生はこの件に対し、「犯罪とも言えないような事件」という言い方もしていました。
しかし、こんな夕方のニュース番組の視聴者がこのやりとりをどれほど理解できたでしょうか?
特別検察官とは: 司法省が任命。独立性の高い立場で捜査に当たる。 これまで中央情報局(CIA)工作員の身元情報漏洩(ろうえい)事件や、クリントン元大統領に関わる「ホワイトウォーター疑惑」、同氏の不倫疑惑などが捜査の対象となった。2016年の大統領選でのロシアの介入を巡る問題でも連邦捜査局(FBI)長官を務めたロバート・マラー氏(72)を任命している。
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headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180412-00000009-asahi-soci
そうだろうと思っていました。ついでに言えば不動産鑑定価格の956百万円も近財がお願い事をしていると思いますよ。兎に角キャッシュベースで穴が開かないよう必死の工作です→有益費131百万円、売却価格134百万円。131百万円のうち、21百万円が籠池の誤魔化しであったのは或る意味ラッキーでした。知っていれば21百万円、ゴミ撤去費用を多く見積もらなければならなかったのですから。
流石に朝日も、それ首相夫妻だ!とは言えなくなったか。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/12 05:46
う~、く、口惜しい。880円文春に貢献してしまった・・。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/10 22:58
【ブログ主】
奥穂3190様
レポート、ありがとうございました。
最初の見開き2ページはネットで見つけて読みました。
pbs.twimg.com/media/DaZUd66U8AAa508.jpg
まあ、大したことは書いてないですね。文藝春秋も地に落ちたなあ。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/04/10 22:20
主様(4・10)
文春オンラインが華々しく喧伝した「もっと強気で行け。PMより」なるメモの件。已むをえず文芸春秋5月号を買ったので関連個所を以下に記します。
>2017年早春の国会。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省理財局長の佐川宣寿(当時)は野党の質問攻めに忙殺されていた。委員会室で十数メートル先に座る首相の安倍晋三の秘書官の一人が佐川に歩み寄り、一枚のメモを手渡した。
「もっと強気で行け。PMより」
「PM」は「プライムミニスター(首相)」、即ち安倍を指す官僚たちの略語だ。(中略)
野党の攻め口を遮断するこんな強気の答弁を連発し、売却の適法性を主張して追及に一歩も引かない。時に語気を強め、闘志むき出しの佐川答弁への首相官邸の評価はうなぎ上りとなる。「PMメモ」の含意は佐川個人への激励にとどまらなかった。第二次安倍内閣の発足から冷え切った関係が続く安倍官邸と財務省。森友問題でこの両者が火の粉を払う共通の利害で結ばれ、政治的に初めて「同じ船に乗った」。それを「PMメモ」は象徴していたのだ。
まるで見てきたかのような物語で、メモの信憑性に関する記述は何もありません。情報源の秘匿は仕方がないとしても、朝日の財務省文書改竄スクープにあった「確認」の文字すら見当たりません。これでは見てきたかのような無根拠な話と非難されてしかるべきでしょう。「早春」と情緒的に歌うのは構いませんが、何時の予算委員会のどのようなタイミングだったのか、画像で確認が容易な昨今、ネットで嘘が暴かれるのを予防する布石かと勘繰りたくなります。ひょっとして情報を小出しにして次号の売り上げも伸ばそうとの魂胆か?所詮文春も売文業のお粗末。
私に言わせれば佐川答弁はかなり危なっかしいもので、それに続く村田答弁も同様。これに助け舟を出すために例の「払い下げに関与していれば」発言が出た、と会議録からは読めます。評価が上がったどころか、記録はないなんて大丈夫か?が普通の評価でしょう。
後の9頁は、赤坂太郎の永田町噂話に毛の生えた財務省噂話。森友問題の検証とは殆ど無縁。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/10 18:24
細かくて・・・申し訳なし・・・、二番目の「隠そ」→「隠さ」が残っています。
文芸春秋のメモ記事、あと数時間したら立ち読みに出かけますが、主様のご意見を是非お知らせ下さい。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/10 07:58
【ブログ主】
奥穂3190様
ご指摘ありがとうございました。訂正しました。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/04/10 06:51
文芸春秋の「もっと強気で行けメモ」記事、買う気はないので立ち読みしますが、執筆者の「グループMOF研」って何?社内調査チームでしょうが、どこまで信憑性のある話か、文春の現状を評価するうえである意味楽しみです。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/10 03:35
主様
早速取り上げて頂いてありがとうございます。少しでも多くの眼に触れることを願いますが、私のYahooコメントへの反応を見ても、上野千鶴子似の人が多くうんざりです。
些事ですが、国会質問者はミズポじゃなくて福島伸享議員です。
>2月17日と言えば・・・「隠そなければならない」→「隠さなければ」
細かくてすいません。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/10 01:32