【森友文書問題】昨年2月下旬からの財務省の文書改ざんのキーマンは太田理財局長?
森友学園への土地売却に関する疑惑が初めて報道されたのは昨年(2017年)の2月8日でしたが、その約2週間後の2月20日に財務省理財局の職員が学園側に電話し、「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたと、先日(4月4日)NHKが報じました。(記事後述)
NHKの記事では情報元は不明ですが、“関係者によりますと、特捜部はこうした学園側とのやり取りや省内のメールの存在を把握しているということで、特捜部は学園側にうその説明をするよう求めた詳しい経緯を捜査しています。”ということで、特捜部のリークではないでしょうか。
また、その2日後の2月22日、財務省理財局と国土交通省とが菅官房長官と面会し、財務省側が報道後初めて森友問題の詳細を説明したそうですが、その会議に太田充理財局長が同席していたことも分かりました。
この会議は総理からの調査の指示を受け、理財局と国交省が官邸で説明をしたものです。
これは4月5日に日刊ゲンダイデジタルが報じましたが、4月3日の衆院財務金融委員会で質疑に立った立憲民主の川内博史議員が太田理財局長に質問して分かったことで、ブログ主も(現時点では議事録は未公開のため)衆議院TVのアーカイブスで金融委員会(2018/04/03)の動画を観たところ、「理財局側として佐川理財局長以外に誰が出席していたのか」を問いただすやりとりが何度も続きましたが、調査しないと分からないという太田理財局長の言葉で一旦川内議員の質疑は中断して次の質疑者に交代し、それが終わってから再び川内議員に答弁したのが、「同席者は総務課長と総括審議官」というものでした。
この時は役職名だけでその場の誰も気づかなかったようですが、ゲンダイの記事によると、当時の総括審議官は太田局長自身だそうです。
当然、詳しく説明できるものが随行するわけで、更に、決裁文書の改竄は2月下旬から始めたことは判明しているので、太田局長はキーマンの一人であることは確かです。
ちなみに航空局次長にも同様の質問をしていましたが、当時の次長が出席したが、その随行員が誰かは記録がないとの答弁で、さらに追求すると、菅官房長官から地下埋設物の撤去費用の見積もりについて尋ねられ、航空局職員から説明をした(随行員の存在は認めた)とのことでした。
【参考】NHK、日刊ゲンダイ記事
【NHK】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180404/k10011390911000.html
財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で
4月4日 19時21分森友学園に国有地がごみの撤去費用などとして8億円余り値引きされて売却された問題で、去年2月、財務省が学園側に口裏合わせを求めていた疑いが出てきました。当時、国会で財務省は野党側から「実際に大量のごみの撤去を確認したのか」などと追及されていましたが、そのさなか財務省の職員が学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材でわかりました。大阪地検特捜部はこうしたやり取りを把握していて詳しい経緯を捜査しています。
大阪・豊中市の国有地がごみの撤去費用などとして鑑定価格よりおよそ8億2000万円値引きされて森友学園に売却された問題は、去年2月に明らかになり、大阪地検特捜部は背任容疑での告発を受理し捜査を進めています。
当時、国会では「値引き額の算定の根拠があいまいだ」などと批判が相次ぎ、去年2月17日の衆議院予算委員会で財務省は「8億円かけてごみを撤去するとなればダンプカー4000台分ぐらいになる。実際に撤去されたか確認したのか」などと野党側から追及されていました。
その3日後の去年2月20日、国有地を管轄する財務省理財局の職員が学園側に電話し、「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材で新たにわかりました。
関係者によりますと学園側は「事実と違うのでその説明はできない」などと断ったということですが、こうした一連のやり取りについて職員はメールで財務省内の複数の関係者に報告していたということです。
関係者によりますと、特捜部はこうした学園側とのやり取りや省内のメールの存在を把握しているということで、特捜部は学園側にうその説明をするよう求めた詳しい経緯を捜査しています。
値引きの根拠と財務省の答弁
森友学園への国有地売却をめぐる問題は去年2月8日に発覚しました。
大阪・豊中市の国有地について財務省近畿財務局がおととし6月、鑑定価格の9億5600万円からごみの撤去費用などとしておよそ8億2000万円を値引きし、1億3400万円で学園側に売却していたことが明らかになりました。
国有地の地中に埋まったごみの撤去費用は通常、不動産鑑定士など民間の専門業者が見積もりを行いますが、財務省は小学校の開校時期が迫っていたなどとして国土交通省大阪航空局に見積もりを依頼する異例の対応を取りました。
大阪航空局は調査の結果として、くいを打つ場所は深さ9.9メートル、校舎などを建設する場所は深さ3.8メートルまでごみがあると推計しごみの撤去費用を8億2000万円と算定しました。
しかし、国会では値引き額の算定の根拠があいまいで不当な値引きではないかなどという質問が相次ぎました。
去年2月17日の衆議院予算委員会では、野党側が「8億円分のごみを撤去すると1万2200立方メートルの残土を搬出することになり、それをやるとダンプカー4000台分ぐらいになる。4000台のダンプカーが行き交うことになるが、財務省は実際に工事をやったかどうか確認したのか」などと質問しました。
また、財務省の職員が学園側に電話したとされる去年2月20日の衆議院予算委員会では、野党側が「8億円分の廃棄物を撤去する土の量を計算すると、およそ2万7000立方メートルになる。これを搬出するとなると10トントラック3460台分が必要になる。こういう作業が実際にやられているかどうか財務省は確認したのか」と質問しました。
これに対し佐川前理財局長は「学校を建設するにあたって必要な廃棄物の撤去を適切に行ったというのは近畿財務局で確認している」とか、「地下の埋設物については土地を売却したあとに学園側が適切に撤去したというふうに聞いているが、売却後なので具体的な撤去の状況は把握していない」などと答弁していました。
森友学園をめぐってはその後、決裁文書の改ざんが明らかになりましたが、その時期について財務省は、学園側への電話と同じ時期の去年2月下旬から始まったと説明しています。
値引き額の算定方法について会計検査院は去年11月、「十分な根拠を確認できず資料が保存されていないため十分な検証が行えない」などとする検査結果を国会に提出していました。
【日刊ゲンダイ】
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226528/1
国会で異様な慌てぶり 太田理財局長が隠した秘密会議同席
2018年4月5日
異常なまでの“逃げの答弁”だった。財務省の森友文書改ざんについて、国会で批判の矢面に立つ太田充理財局長が、問題のカギとなる“秘密会議”に出席していたことが発覚した。
会議が開かれたのは、朝日新聞が最初に森友問題を報じてから約2週間後の昨年2月22日。当時の佐川宣寿理財局長が菅官房長官と面会し、財務省側が報道後初めて森友問題の詳細を説明した場だった。
4日のNHK報道によると、会議の2日前には、国有地値引きの根拠である地中ゴミの撤去工事を巡り、理財局職員が森友側に口裏合わせのウソをつくよう求めていた疑いも浮上。昨年2月下旬に財務省が改ざんに手を染め出す頃に開かれた会議で一体、何が話し合われたのか。
■文書改ざんの“主犯”のような動揺
今月3日の衆院財務金融委員会で答弁に立った太田局長の慌てた様子は、よほど重要なやりとりがあったことをうかがわせる。
立憲民主の川内博史議員に「誰が同席したのか」と問われると、太田局長は妙に焦った様子で「最終的な責任を持って説明したのは理財局長」「出席者を細かく答える必要はない」と繰り返すばかりで、逃げの一手。食い下がる川内氏に、ようやく「事実関係を確認させて欲しい」と答え、審議は一度打ち切りに。再開後、確認を済ませた太田局長は、ため息交じりに「同席者は総務課長と総括審議官」と明かしたのだった。
まるで他人事のように同席者の役職名だけを打ち明けたが、よくよく調べてみると、当時の総括審議官は太田局長自身だ。15年7月から2年間、職務に就いている。
「総括審議官は、財務省大臣官房で官房長に次ぐ『ナンバー2』。省内のあらゆる案件を把握すべき立場です。佐川氏が証人喚問で、前任者から森友案件について引き継がれていなかった旨を証言しましたから、太田氏の方が事情に精通しているはずです。昭恵夫人の名前があった改ざん前の文書の存在を知っていた可能性もあり得ます」(野党関係者)
太田局長は必死になって“秘密会議”への同席を隠していたわけだ。ひょっとして、改ざんの“主犯”は太田局長か。
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【ブログ主】
奥穂3190様
再び詳しいご説明および会計検査院の報告の該当箇所のご指摘をありがとうございました。
下は参考までに、野田中央公園の売買契約書の条項(当方のディスプレイの解像度ではこれが限度-時系列のまとめにもリンクを貼っています。)
daishi100.cocolog-nifty.com/buhin/nodachuo_koen_sales_contract.jpg
以下は、もはや本筋の話ではありませんが、当方の覚え書きとして。(近いうちに関連する記事を記録としてまとめておこうと思います。)
●ゴミ撤去業者: 中道組(近畿財務局や大坂航空局と土壌改良工事に関する打ち合わせ議事録を書いた業者でもある)・・・森友の土地のゴミ撤去費用131百万円の内20百万円をキックバック。(建設工事受注を当てにしてと証言)
●建設業者: 藤原工業-下請け(T土木)・・・工事中のゴミ撤去請負(毎日新聞の取材に「国に掘り起こす必要はないと指示された」と証言し、記事は2017年3月6日夕刊に掲載。この工事業者は7日夜に死亡した、との記事あり。登記簿上の死亡日は3月6日)
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/04/07 12:18
主様
森友問題について、私はもう馬鹿馬鹿しくなっているので調べる気にもなれないのですが、29・11・22の会計検査院検査報告が参議院に対してなされて以降、野党諸君は何か反応したのでしょうか。もしリアクションがなかったのなら、通常の頭の持ち主であれば値引きが近財・大阪航空局の籠池への迎合と判るので、彼等の目的にそぐわないので無視したと云う事になります。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/07 12:17
主様(4・7)
野田中央公園にも瑕疵担保責任免除条項が付いているとは知りませんでした。籠池と同じように試掘(してゴミをセット)すれば、ほぼ同額の8億値引きになったところを、豊中市は詐欺師ではなく、又、利用目的が公園なら汚染土壌は困るでしょうが盛土をすれば地下埋設物は問題ないので、ゴネなかったと云う事だと思います。
森友が支払った「対策費用=有益費」131百万円が何の費用かについては(何度も書きますがうち21百万は籠池の誤魔化しです)、検査院報告の39頁に絵入りで判り易く示されています。
本当の費用110百万円は、もとあった住宅地(スラム)他の立ち木・舗装・コンクリート殻・上下水管・ガス管(「地下構造物等」)の撤去費用で、それより深い場所の生活ゴミ・廃材等=「廃棄物混合土」(これは恐らくスラム前の沼地埋め立てに用いられたもの)は殆ど撤去されていません。廃棄物混合土は、H21・10の大阪航空局のボーリング調査では、最大深度3.3mまでですから(71頁以降)、全てを撤去するとなるとそれこそ「トラック4000台分」で恐らく土地価格はゼロに近くなったのではないでしょうか。
小学校の杭基礎は、検査院報告(74頁)「なお、校舎建設工事業者に確認したところ、杭の設計は、ボボーリング調査結果から廃棄物混合土が存在していることを前提として行われており、事前に現状の土質で杭強度を満たすことが可能かを検討し現状の土質とセメント系固化材との配合計画を作成するなど、廃棄物混合土が杭の品質に影響を及ぼすおそれはないことから、廃棄物混合土を事前に撤去せずに杭工事を完了させているとしている。」の通り問題なく、又グラウンドの方も「地下構造物等」と汚染土壌を処分すれば、生活ゴミは問題にならなくて当然でしょう。つまり、野田公園との対比で言えば、「盛土」に相当する対策は講じられているので値引きは全く必要なかった、というのが私の考えです。根拠のない3.8mと9.9mを実際にチェックすることなく使用した辻褄合わせの価格設定で、実際の出捐分131百万円(支払いの時点では籠池の誤魔化しを近財は知らない)を取り戻そうとしたことは明白だと思います。
ご紹介頂いたブログを読みましたが、これと同様の構図が野田中央公園にも臭います。補助金決定のプロセスが明確でないので考えを述べるのは控えますが、土地鑑定が公園への割り当て分の決定と並行して握られた感満載ですね。
土地鑑定の話です。以下はビジネススクールで教わった事に、現役時代の経験を加味した話で現状がどうかは判りません。
英国では、土地価格の見積りは収益還元法が原則(大雑把に言えば、土地の現在価値とは、見込める将来の収益を期待収益率でディスカウントしたもの)です。
① 最適利用法と初期投下費用を決定する。(例えばマンション建設、建築費いくら)
② 賃貸料を近隣・同様の施設の例から見込む(経費は差し引く)
③ 期待収益率(r)を決定する(これは長期投資マーケットから客観的に取得)。
後は、annuityの計算でnを無限大にすれば、現在価値(PV)=CF(年間キャッシュフロー)割るr(年間期待収益率)となる訳です。以上にはそれぞれ決定困難な要素が沢山あって鑑定者を悩ませるようで、私の見た実際の鑑定書では諸要素に幅を設けで算定した10程度のケースから、妥当な土地価格の範囲を示すものが多かったように思います。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/07 11:20
【ブログ主】
奥穂3190様
HANADAの記事の土地価額に関する考察(周囲の土地、特に隣の野田公園の価格を考慮すべしという考察)に関係しますが、最近、日本維新の会の足立康史衆議院議員が野田中央公園の売買契約書を動画で公開していました。
youtu.be/m5iL7U7Qn-8
契約条項を文字に起こしましたが、下記の通りです。(括弧内は当方が付記)
==============================
第6条 乙(豊中市)は売買物件の引き渡しと同時に甲(大坂航空局/近畿財務局)が引き渡す「地下埋設物調査に関する報告書」記載の内容の地下埋設物が存在していることを了承した上、売買物件を買い受けるものとし、新たな埋設物等が発見されたとしても、第7条の規定にかかわらず甲はその責を負わない。
(第7条は瑕疵担保責任について書かれている-2年間)
==============================
不動産鑑定評価書はここでは出てきませんが、足立議員によると、この土地の最有効利用方法は「共同住宅」とのこと。
少し調べて見たところ、鑑定する際には、このような最有効利用を想定して行うのですね。
ある不動産鑑定士のブログで、地中に撤去不可能な埋設物があり、周囲の状況から最有効利用は「駐車場」とした例がありました。(要するに駐車場程度にしか使えないということだと思います。)
豊中市は地中の埋蔵物を承知で14億で買ったわけで、公園なので盛り土で済ましたようですが、仮に住宅地として転売する場合、大坂航空局が算定した撤去費用(8億1,900万円)とはいかないまでも、2016年(H28年)4月6日に大坂航空局が支払った地中ゴミ撤去費用1億3,176万円(発生は2015年)くらいはかかることが想定できるので、ずいぶん高い価格で買ったものです。
野田中央公園に関してはあまり深く首を突っこむつもりはありませんが、詳しく検証しているブログを見つけたので、参考までにURLをメモしておきます。
www.jijitsu.net/entry/2018/03/18/173000
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/04/07 08:51
面談・会議の記録ですが、私の経験からしますと具合の悪い事(つ、つまり監督官庁の検査との関係で)は、口頭で討議して記録は残しません。
佐川前長官は、この当たり前のことを答弁したかったのですが、そう言うと興奮されるだけなので(判ってるくせに逆上のパフォーマンス・・・)、破棄したとしか言えなかったのでしょう。(で、でも上野千鶴子と違って、ボク、具合の悪いことを隠して本にして扇動したりはしていません。)
HANADAの記事読みました。主様分析に軍配。検証の対象が改竄文書だけなので仕方がない部分もありますが、キーエヴィデンス(4・4メモ、会議録音、会計検査院報告等)を考慮した総合的検証を期待。
投稿: 奥穂3190 | 2018/04/07 02:03