【森友文書事件】今回の決裁文書改ざんは罪に問われるか?問われるとするとどのような罪か
公開: 2018/03/15 最終更新: 2018/03/17 8:51
昨日(14日)のエントリーでも追記しましたが、昨晩のBSフジ・プライムニュースで掲題の件が話題になっていました。また、13日付読売新聞にも同様の記事が掲載されており、これらと、和田政宗参議院議員が出演されたネット番組『報道特注【森友問題緊急撮って出しSP!】』(3月12日)で得た情報をまとめておこうと思います。
まず、読売新聞の記事(全文後述)ですが、以下のように書いてありました。
今回の書き換え問題では、公務員が職務上作成した「公文書」が書き換えられており、虚偽有印公文書作成などの罪に問われる可能性がある。
今後、市民団体などが刑事告発した場合、大阪地検が一括で事件を処理する見通しだ。ある検察幹部は「告発済みの案件と密接に関連する事案。一連の告発と合わせて捜査し、刑事責任追及の可否を一緒に判断するのが自然だ」との見方を示す。
「告発済みの案件」とは、昨年3月に豊中市議や市民団体が近畿財務局を背任容疑で告発した件で、「国有地を不当に安く売却し、国に損害を与えた」という理由ですが、今回の書き換え事件では、「虚偽有印公文書作成罪」、「有印公文書偽造罪」、「公用文書等毀損罪」のいずれかに該当するか、ということが問題になるようです。
記事によると、
- ①虚偽有印公文書作成罪: 文書を虚偽の内容に書き換えた場合
- ②有印公文書偽造罪: 文書の作成や決裁に関与していない人物が書き換えた場合
- ③公用文書等毀損罪: 書き換えた内容が虚偽でなくても、文書の一部を消去して本来の意味を損なわせるなどした場合
に該当するそうで、BSフジ・プライムニュースに出演した高井康行氏も同様の指摘をしており、ここでは要約のみ示すと、
- 「書き換え後の内容が客観的事実にあっている場合、これは虚偽公文書とはならない。」(①)
- 「決裁文書は理財局の作成権限のある文書なので、仮にいじったとしても、理財局はその権限に基づいてやっていることなので公文書偽造は成立しないし、成立する余地がない。」(②)
- 「仮に、元の決裁書から鏡を取って新たに作成した中身の上に載せたとする。すると、古い決裁文書は鏡がなくなり、決裁文書ではなくなる。そうすると、元々あった決裁文書を”壊した”ことになる。」(③)
だそうです。(発言内容を要約した全文は後述)
素人考えでも、①、②は該当しないようですが、③については、現在、地検にあるという新旧の決裁文書がどのような形で存在しているのか分からないこともあり、地検の判断になるとのことで、読売の記事でも、「金額を変えたり、正反対の趣旨にしたりするなど文書の根本部分をを変えていなければ、刑事責任を問うのは難しいだろう」という別の検察幹部の意見を掲載していました。
『報道特注』でもこの方面に詳しい人物(番組には顔出しせず、Mr.Xと呼ばれた。現役か?)が、詳しい説明はしませんでしたが、「不起訴になる」という見解でした。
この番組では「リーク元は検察」という推理をしていました。その根拠は、朝日が文書を全く出さず、書き方も「入手」ではなく一貫して「確認」と行っていることで、恐らく意味することは、財務省側はたとえ漏洩しても内部告発なのに対し、検察は完全に機密漏洩となるからということだと思います。なかなか説得力のある推理だと思います。
さて、嫌疑不十分で不起訴になると、どのような展開をするか、ということが、プライムニュースでも報道特注でも説明されていました。
不起訴になると、恐らく「不服申し立て」が出され、「検察審査会」が設置されます。検察審査会は一般の国民が選ばれて審査を行うそうです。
けんさつ‐しんさかい【検察審査会】 ‥クワイ
公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため、地方裁判所またはその支部の所在地におかれる機関。衆議院議員の選挙権者の中から、くじで選ばれた11人の検察審査員で構成され、その数は200以上でなければならない。
広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店
検察審査会では守秘義務があるとは言え、様々な資料が公開されます。ここで、不起訴相当などの結果が出れば、世間も納得せざるを得ません。
高井氏は、仮に嫌疑不十分ですということになっても、(一般的にはその理由は公開されないが、)特例としてプライバシーの面を考慮しつつ、ある程度国民が納得いく説明を公表すべきと言っていました。公表してはいけないということはないのだそうです。そうすれば、その中で、そもそもの疑惑とされた8億円(の値引き)も、「なんだそうだったのか」という話になるかもしれない、と言っていました。
プライムニュース、報道特注
■ 3月14日(水) プライムニュース
『森友文書“書き換え” 誰の指示?最終責任は 「政と官」揺らぐ信頼』
ゲスト:
山本有二 自由民主党財務委員長 衆議院議員
玉木雄一郎 希望の党代表 衆議院議員
高井康行 弁護士 元東京地検特捜部検事
※冒頭のみ米ティラー村国務長官解任の件で佐藤正久(外務副大臣 自由民主党参議院議員)、手嶋龍一 (外交ジャーナリスト)両氏出演* * *
報道特注【森友問題緊急撮って出しSP!】(3月12日収録 2018/03/12 に公開/約22分)
【レギュラー出演者】
生田よしかつ(築地まぐろ仲卸三代目)
和田政宗(自由民主党)
上念司(経済評論家)【ゲスト?】
Mr.X (警察・検察関係者)
読売新聞:『検察捜査 長期化も』(2018/03/13)
【再掲】今回の“書き換え”が罪に問われるか?-高井康行氏の見解(2018/03/14 プライムニュース)
決裁文書は理財局の作成権限のある文書なので、仮にいじったとしても、理財局はその権限に基づいてやっていることなので公文書偽造は成立しないし、成立する余地がない。
成立する可能性があるのは、虚偽公文書の作成の場合で、この場合の虚偽というのは、中身(鏡以外の調書などの部分)が客観的事実に反しているかどうか。
仮に、書き換え前の中身が「①、②、③」とあり、書き換え後、「①、②」となった、あるいは「A、②」になったとしても、書き換え後の内容が客観的事実にあっている場合、これは虚偽公文書とはならない。
改ざん後の表現ぶりが変わっても言っていることは変わらず、且つ、客観的な事実にあっているとなれば、虚偽公文書作成罪は成立しない。
元々の決裁文書から「鏡」を取ってしまったら公文書かどうか分からない。鏡が付いて初めて作成名義人が分かって公文書となる。
新規に作成した中身について、新たに鏡を作ったとする。その場合は元の決裁文書には古い鏡がついており、以前のままなので決裁文書を”壊した”=公用文書毀棄ということにはならない。
仮に、元の決裁書から鏡を取って新たに作成した中身の上に載せたとする。すると、古い決裁文書は鏡がなくなり、決裁文書ではなくなる。そうすると、元々あった決裁文書を”壊した”ことになる。
この場合、公用文書を毀棄したことになる。こうなると、犯罪要件=公用文書毀棄罪に当たる”可能性が出てくる”。ここは検察判断。
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コメント
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【ブログ主】
奥穂3190様
阿比留瑠比氏のその発言、今朝の虎ノ門ニュースで上念司氏が言及していて、(産経紙上かと思っていたのですが)読みたかったので、教えて下さり、ありがとうございます。
多分、テレビは絶賛印象操作中だと思いますが、少なくとも、首相夫人の名前と発言が籠池氏の発言の中に出てくることは、ローカル局?とかネット番組とは言え、タレントも指摘し始めています。(リンク先に動画あり)
クリス松村氏
twitter.com/blue_kbx/status/973699598567882752
小藪千豊氏
twitter.com/blue_kbx/status/973731806271881216
ロザン宇治原氏
twitter.com/blue_kbx/status/973754877716307969
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/16 14:06
阿比留記者のFBからです。ご存知でしょうがご参考まで。
となると佐川は何時真相を知ったのか。昨年2月の時点とは思えず、それ以降に知ったが答弁の訂正を渋ったと見るのが相当でしょう。年齢的に3年遅れで昇進し、アガリにどうしても国税長官が欲しかった焦りと見えます。
「私は、本当に怒っているのですよ。少なくとも霞ヶ関を取材したことがあれば、官僚が主に忖度するのは1~2年で交代する大臣ではなくて、上司など省内勢力だと知っているはずです。郵政相時代の小泉元首相が、郵政官僚にバカにされ、外されて、それが郵政民営化への執念につながったことなんて、半ば政界の常識であるわけです。
はっきり言って、官僚にとって首相や大臣なんて、よほど利用価値がある相手や、個人的な関係がある人を除けば、誰でもどうでもいいのです。というか、政治主導を進めているうえ、経済産業省寄りの安倍政権は、今まで政界をうまくコントロールしてきた財務省にとっては、むしろ邪魔でしようがない存在です。
そんな構図は、マスコミも野党もみんな知っているのに、今回の財務省不祥事も含め、いつも政治の関与があるに決まっているといい、官僚は被害者だと決めつける。百歩譲って、そういう場合もあるかもしれませんが、私は現場の記者の一人として吐き気を禁じ得ません。
自民党議員や野党有力議員が、どれだけ財務省に誘導されてきたか、それに逆らう安倍政権がどれほど希有な存在か。にもかかわらず、財務省不祥事は安倍首相や昭恵夫人のせいだと言い募る財務省族議員たち(ちなみに小泉元首相もそうです)。
今回、削除・改竄されたという文書を読めば、表に出て困るのは誰かがはっきりしています。安倍首相や昭恵夫人、複数の政治家の名前は以前から取りざたされており、別に今さら出ても何も影響もないレベルです。
もし困るとしたら、「価格交渉はしていない」と国会答弁していた財務当局でしょうね。なんでこんな簡単なことが分からないのか。…いや、重々承知で利用しているのでしょうね。クズどもめ。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/16 13:30
久し振りに加計学園が登場し、今治市のWG参加報告書改竄を内閣府が指示したのではないか、との野党指摘だそうですね。
報告書は、2015・6・8のWGに関するもので、これは例の牧野課長補佐が農水省を持ち出して言い訳したところ、原委員に「挙証責任がひっくり返っている」と両断された会合。
内閣府のポイントゲットではあっても、なんら都合の悪いものではないでしょう。只、議事録が公開されたのは、大分後のようなので、その間に今治市から、報告書の情報公開請求があったのだが、と相談を受ければ、議事録を見せた位の経緯はあってもおかしくはないでしょう。
例によって、ニュースコメントには事情の全く分かっていないものが盛沢山です。マスコミもマスコミですが、コメントする人も相当奇妙です。Yahooニュースには左系読者が多いのですかね?
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/15 23:00