【森友文書問題】NHKの悪質な印象操作ニュース『政治家の関与を隠すのが狙いか』
公開: 2018/03/26 00:44 最終更新: 2018/03/26 14:18
NHK BS1を観ていたら、NHKが佐川氏の答弁と改ざん文書を検証したというニュースが流れました。ここで悪質な印象操作を感じたので記録しておきます。
ブログ主は改ざんされた決裁文書の新旧比較文書を読んでみましたが、これを読んで感じたのは、いかに籠池氏がタフ・ネゴシエエイター(tough negotiator::やっかいな交渉者)で、近畿財務局が困っていたかを隠したいのだということでした。これは突き詰めれば近畿財務局が籠池氏と価格交渉をしていたことを隠したいのに他なりません。
NHKのニュースは詳細を後述しますが、まず、国会に佐川氏が出席したのは36回、森友学園に関係する答弁を合わせて904回行っていることを伝え、削除された記述と矛盾している答弁が44回、最も多いのは「国有地の貸付料をめぐるもの」で、特に平成27年(2015年)1月9日に関する記録がないと答弁したのが36回確認されたと伝えます。
次に、平沼赳夫議員秘書の照会など政治家などに関する記述が削除されたとナレーションが続き、「記録が残っていない」と答弁した回数は5回、その内2回が安倍昭恵夫人に関することと伝えます。
そして最後に、「このように、元の文書で佐川氏の答弁と齟齬があったのは大半が政治家などにつながる部分で、文書の書き換えはこうした点への追及を避ける狙いがあったことがうかがえます。」と結論づけるのです。
( ゚д゚) はぁ? どこが大半?
ニュース動画を観れば(あるいは、後述の動画をなるべく再現した記事を読めば)分かりますが、この映像は、漠然と見ていると最後に頭に残るのは“昭恵夫人の関与”や“政治家の関与”になるように巧妙に作られています。
【追記】無理矢理な結論に頭に血が上り、一気に書いてしまったのですが、コメントにてご指摘戴いたので追記します。
答弁者は質疑されたことに答えるのであって、質問する方は怪しいと思っていることを入れ替わり立ち替わり集中的に質問するので、「価格交渉」と「政治家や首相夫人の関与」に関する質問が多くなるのが当然ですね。
後者は値引きに影響があったとは思っていませんが、削除し、それを隠そうとしたことは事実なので、齟齬が出るのは当然なのです。(追記終わり)
以下に、最も政治家の名前が多く、安倍昭恵夫人の名前が出てくる、No.4 特例承認の決裁文書(1)「普通財産の貸付けに係る承認申請について」(平成27年2月4日)をご紹介します。
まず、この文書は下のように全7ページあり、最後の3枚にこれまでの経緯が記述されています(左:改ざん前、右:後)。細かく記述されていた経緯があっさりとしたものになっていることが分かります。
次に、この3ページの改ざん前のみを提示します。
この3ページは平成25年(2013年)5月28日~平成27年(2015年)1月29日の期間の経緯で、確かに政治からの名前が度々出てきますが、経緯全体を消していることは分かると思います。
例えば平成25年8月13日の鴻池議員の秘書の照会はその数日前(5日)に初めて事務所を訪れ、下のような相談をした後です。(画像の上をカットしてしまいましたが、籠池氏の訪問と書かれています。どこかの県議も来訪したようですね。)
こうした陳情を受けて照会するのは国会議員事務所としては普通のことでしょう。
この経緯を読む限り、経緯全体を削除したくて、その中にたまたま政治家の名前が多く出てきただけだと思います。
ちなみにこの頃籠池氏は近畿財務局、大坂航空局、大阪府との協議中で、土地の取得(定借)と大阪府の認可で“ニワトリが先か卵が先か”のような状態になっており、交渉の様子を逐一鴻池事務所に報告している頃です。
平成26年(2014年)4月17日か18日には籠池氏は鴻池議員に賄賂を渡そうとして「無礼者!」と一喝されているのですが、相当図々しいのか、その後も事務所には時々相談しており、鴻池事務所の陳情メモの最後の日付は平成28年(2016年)3月18日です。
HNHKニュース:検証 佐川氏答弁 矛盾点は“価格提示”と“関係する政治家” (3月25日)
NHKは記事を削除するのが早いのでなるべく悪質な印象操作が伝わるよう、キャプチャを多く撮りました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180325/k10011378381000.html
検証 佐川氏答弁 矛盾点は“価格提示”と“関係する政治家”
3月25日 20時21分
リード部分森友学園をめぐる財務省の決裁文書が書き換えられた問題で、去年2月から3月にかけて佐川前理財局長が国会で行った900回余りのすべての答弁を書き換え前の文書と比較して検証したところ、内容が矛盾している答弁の大半が、事前の価格提示や、関係する政治家などの記録の有無に関するものだったことがわかりました。
この問題で財務省は、決裁文書の書き換えは去年2月から3月にかけて佐川氏が行った国会答弁と整合性を取るためで、佐川氏も関与したと説明していますが、答弁のどういった点にそごがあったのか明らかにしていません。
国会議事録によりますと佐川氏は、去年2月15日から3月30日までの間に衆参両院の各委員会に36回出席し、森友学園に関係する答弁を合わせて904回行っています。
NHKは佐川氏のすべての答弁内容を決裁文書から削除されたり書き換えられたりした記述と比較して検証しました。その結果、削除された記述と矛盾している答弁が44回、確認されました。
このうちもっとも多かったのは、国有地の貸付料をめぐるものです。
元の文書には、平成27年1月9日に「近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える」と書かれています。
佐川氏は「学園側に事前に価格提示をしたことはない」とか「この日に学園側と面会した記録はない」などと36回にわたって否定する答弁を繰り返していました。
ブログ主註:H27年1月9日について書いたブログエントリーと昨年3月に公開された鴻池事務所の陳情メモの該当部分画像。この日に籠池氏と近畿財務局が折衝してたことは昨年の3月時点でとっくに公になっているのです。
この概算の貸付料について元の文書にはその後、平沼赳夫元経済産業大臣や鳩山邦夫元総務大臣の秘書から財務省や財務局に対し、「高額であり、何とかならないか」という相談があったとする政治家などとのつながりも書かれています。
ブログ主註:「何とかならないか」は平沼議員秘書の記述のところで、近財は「どうにもならない」と回答したと記述しています。
また、こうした政治家などに関する記述が元の文書にはあるのに佐川氏は5回にわたって、「記録が残っていない」とする答弁をしていました。
このうち2回は安倍総理大臣の妻の昭恵氏に関するものです。
元の文書には、昭恵氏が学園を訪問し講演したことなどが書かれていましたが、佐川氏は近畿財務局が学園訪問を知っていたかという質問に対し、「学園のホームページに載っているので見た担当者がいたかもしれないが、具体的な内容については知らない」などと答えていました。
また矛盾とまでは言えないものの、元の文書にあった問題となりそうな記述を避けたともみられる答弁が32回ありました。
このうち9回は政治家の働きかけがあったかどうかの質問に対する答弁です。「不当な働きかけは無かった」と「不当な」という限定をつけてあいまいな答弁をし野党の追及をかわしていました。
文書の書き換えでは「特例的な」とか「特殊性」といった学園への特別扱いを連想させるような表現が削除されていましたが、答弁の中で佐川氏はこうした言葉は使っていませんでした。
一方、元の文書から削除された記述の大半は、貸し付けや売却をめぐる経緯などでしたが、こうした点に関する佐川氏の説明は、政治家などに関する部分を除いては、おおむね元の記述に即したもので、整合性が取れていました。
このように、元の文書で佐川氏の答弁とそごがあったのは大半が政治家などにつながる部分で、文書の書き換えはこうした点への追及を避ける狙いがあったことがうかがえます。
専門家「政治家の要望などは公文書に残すことが重要」
書き換え前の文書から削除された記述と佐川前理財局長の答弁の矛盾点の多くが政治家などにつながる部分だったことについて、公文書管理や行政法に詳しい東洋大学の早川和宏教授は「行政が政治家の要望を受け入れたのかどうかやその理由について後世の人たちが検証できなくなるので、公文書の中に残すことが重要だ」と指摘しています。そのうえで、早川教授は「政治に関わる記述を削除したのは、文書にあってはまずいと考えたからだと推測される。
佐川氏には証人喚問でその理由を説明してもらうことを強く望みたい」と話しています。
あわせてこちらもお読み下さい。
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最終戦2戦の調子が五輪時に戻っていればなぁ。残念でした。因みに昨日のはLIVEじゃなっかったんですね。興奮して損した。
あるスポーツの黎明期には、全体の水準自体が上がっていないので、例えば野球ですとタイ・カップ、ベーブ、澤村の如き途轍もない記録が生まれ易いのだそう(統計学と絡めた説明を以前読んだことあり)。女子ジャンプも例外ではないので、全体レベルの向上期には高梨選手に起こったような停滞が生まれるのだそうですが、黎明期の記録には、私はパイオニアに与えられるべき特別の名誉があると思うのです。ハイ。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/26 03:33
【ブログ主】
奥穂3190様
>野党は同じ内容の質問を満足の行く答えを得ようと繰り返すので、答弁の回数で事の本質を計測しては単なる阿保です。
仰るとおりですね。訊かれたことしか答えませんものね。
>最近のNHKは、ドキュメンタリー・スポーツしか見ないので
当方も同じです。今日(もう、昨日か)はスキージャンプを観ようとして、少し前からBS1を観ていました。(それ以外には、観るものがないときに音量を絞ってBS1にチャンネルを合わせていることはありますが。速報や災害があると困るので)
BS1(多分地上波も?)は1時間おきくらいにニュースを流すので、多分明日も、刷り込みを狙って何度もこれを流すのでしょう。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/26 02:50
ブログ主様 (3・26)
このNHK報道の印象操作、確かにそうなのですが、それ以前に担当NHK職員の脳細胞の数が足りないと云うべきでしょう。
物事の因果関係を考えるに当たって、或る事象の発生件数は自然科学では重要な要素ですが、この報道は答弁=質疑応答の話。野党は同じ内容の質問を満足の行く答えを得ようと繰り返すので、答弁の回数で事の本質を計測しては単なる阿保です。
特に酷い(したがっておバカなの)は、「事前価格提示は無い」との明らかな齟齬(だって、決裁書表題に「相手方への価格通知について」って書いてあるじゃん?!)は敷衍せず、話を経緯に飛ばし、その削除理由を全く分析せず次の一節を表題の根拠としている点です。
>一方、元の文書から削除された記述の大半は、貸し付けや売却をめぐる経緯などでしたが、こうした点に関する佐川氏の説明は、政治家などに関する部分を除いては、おおむね元の記述に即したもので、整合性が取れていました。
整合性が取れていて当たり前です。答弁では都合の悪い事には触れず、経緯自体には、それこそ読んだ者が何故この程度の物を、危険を冒して削除するのか?と疑問に思う程度の事しか書いてないのですから。
経緯をバッサリやったのは、書かれた照会・遣り取り、事案の経過の記述が問題だったからではなくて、そこに事の推移のジャンプがあるから、つまり書かれていない事(=隠した事、触れなかった事)を合理的に推測させる記述があって、それを追及されるのが困るからです。
例えば、いきなりH26・6・2には、近財の対応(審査の延長、売払い前提の貸付けについて協力)が出てきますが、この対応決定のプロセスは全く触れられていません。調査者なら当然「この決定プロセスはどういうものだったのですか。資料を示して説明して下さい」と聞くでしょう。組織内で何らかの討議を要する重要度の高い案件があって、討議の結果が決定した場合、普通は結論・理由・討議参加者・決定責任者位は記録に残すものです。
H27・1・9貸付料概算の伝達、H27・4・17ボーリング調査結果への対応も同様。決定プロセスが隠されています。
以上は貸付契約に係る話ですが、肝心の売払い契約についても同様です。近財は筆まめのようですから、後に出てきたH28・4・4決裁参考メモの類がもっとあったのでしょう。
最近のNHKは、ドキュメンタリー・スポーツしか見ないので、その偏向については二次情報だけでしたが、いやはや已矣哉。
山に行っていると、時折NHKの登山番組ロケ現場に出くわすのですが、それはそれは御大層なものです。私の見た日本百名山の穂高編では(私は紅葉のピークを狙って2週間滞在中)30分の放映にまる三日、他局ではせいぜい4~5名のところ総勢20名弱。小屋締めの時には、機材のヘリ回収に担当が3名来て毎日酒を飲んでいました。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/26 02:38