【森友文書問題】佐川氏27日に喚問/枝野幸男・立憲民主党代表が「アキエヨベー」
財務省の文書改ざん問題で参院予算委員会は佐川前理財局長の証人喚問請求を議決したとの報道がありました。
また、立憲民主党の枝野幸男代表が街頭演説で安倍昭恵首相夫人や、売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典氏らの証人喚問の必要性を訴えたそうです。
本来、この問題は、
- 8億円の不当(?)な値引で国有地を売却した問題
- 佐川氏の答弁との整合性を取るために(?)決裁文書を改ざんした問題
で、
これまで散々書いてきたように、1に関しては首相夫人は決裁書に記載無し(名前が出てくるのは「貸付契約」時の「調書=決裁書への添付文書」)であり、佐川氏も、「売買契約」は前任者の時代に決裁が降りていた案件で、立場上答弁はしていましたが、直接の関与はありません。
2に関しては、「答弁との整合性を取るため」以外に、野党が描いているストーリーの「上(官邸?)からの指示」がありますが、そのストーリーに関する削除部分は既に報道されてて隠す必要のない内容であり、しかも売買契約には関係ない話なので、そもそも彼らの言っていることが論理的ではないのです。
10年定借は特例的なもの(一般的には3年とのこと)ですが、ここは誰も問題視しておらず、一部野党や朝日新聞を筆頭にしたサヨク系メディアの目的は、「貸付契約」、「売買契約」、「文書改ざん」を、時系列も文書の記載も、それ以外に報道された音声テープなどの情報も、全てごちゃ混ぜにしたいというのは明白です。
もっとも、この3つが別の問題だとワイドショーや地上波の報道しか観ないような層にバレたら最後なので、首相夫人が喚問されようがされまいが関係なく“倒閣勢力”は騒ぎ続けるでしょうし、佐川氏に対しても、2以外についても集中砲火を浴びせるでしょう。
ブログ主は、3月2日のエントリーでも書いたように、文書改ざんの理由は不透明な8億円の値引き(所有者である大坂航空局にゴミの撤去費用の見積もりを出させて、籠池氏の言い値に合わせた)を隠蔽するためと見ているので、以下、それに沿って、関連する資料などを提示します。
どうしても売りたい土地だった?
今回削除された部分の貸付契約に関わる詳細な記述の中で、近畿理財局は、大坂航空局は“こ、こっちは売却を急いでないんだからねっ”ということを言っていると書いているのですが、橋下徹氏の2017.3.29付ブログ(メルマガ)で、この土地の事情を書いています。
記事は長いので内容詳細は後述しますが、大阪音楽大学への売却に失敗したのが誤算だったということのようです。但し、橋下氏は「情報の信用度は5段階評価で3レベル」と書いています。
文書改ざんの理由 - 佐川氏は答弁ミスをしたのか?
元大蔵官僚の高橋洋一氏は2018/03/19付現代ビジネスへの寄稿文で、佐川氏の答弁のまずさを指摘(記事引用後述)しています。
一方、答弁書そのものが不適切だったという説もありました。(但し、ワイドショーですが。)
確かに、時系列で見ると、佐川氏が理財局長に着任したのは森友学園の取引に関わる処理は基本的終わっていたことは確かです。とは言え、政治問題化して国会で追及されることになったら、全てを把握していたでしょう。
一応、説として、以下の3つの文書改ざんの理由を挙げておきます。
- 佐川氏の答弁ミスに合わせた?
- 証拠隠滅を前提に最初から強気の答弁をした?
- 安倍首相の「取引に関与していたら辞任」発言で、不味い部分を削除?(←一部野党とマスコミの“あらまほしき”説)
下は、数日前のワイドショーで答弁書の作成プロセスを説明していたので、図に表してみました。ご参考まで。
(たまたま録画していたのを昨日観たもので、監修は元鳥取県知事の片山なんとかというコメンテーターです。元々財務省HPから切り取って保存していた組織図を流用したもの。)
27日は佐川氏と太田理財局長との対決でもある?
ブログ主は元々あまり森友学園の問題には興味がなかったので、佐川理財局長の答弁だけでなく太田理財局長の答弁を真剣に聞いていなかったのですが、文書改ざん問題が浮上してからは国会の質疑を観るようになり、太田理財局長の答弁も注意して聞くようになりました。
記憶に残る佐川氏の答弁も太田氏の答弁も、頭脳明晰なのがよく分かる答弁ぶりですが、太田氏の答弁はいかにも官僚(役人)らしい言い回しで、言質を取られないような巧みな答弁だと感じています。(このことを批判するものではありません。)
ただ、気になるのは、太田氏が佐川氏の内心を「~という気持ちからだったろう」と代弁しすぎるところです。聞いていて、“登場人物の設定とストーリー”を綿密に作っての答弁に思えます。
勝手に気持ちを代弁されていた佐川氏はなにを語るのでしょうか。
さて、27日の証人喚問ですが、さすがに佐川氏が“前川喜平”化はしないと思うのですが、後述の高橋洋一氏の記事では、一部マスコミはそれを期待していると書いています。しかし、あの前川氏ですら、(しきりに“忖度”を強要されたというような答弁はしていましたが、)“無いものをある”とする証拠はだせませんでした。
与党側が財務省と対立する姿勢を見せた19日の予算委質疑でしたが、明けて20日のワイドショーでは“佐川さん可哀想キャンペーン”が始まっていました。(「敵の敵は味方」ってやつ?)
以下は関連資料です。
PRESIDENT Online:橋下徹「スクープ!森友学園問題の真相」(2017.3.29/橋下徹)
橋下徹「スクープ!森友学園問題の真相」
近畿財務局のチョンボ2017.3.29 PRESIDENT Online
http://president.jp/articles/-/21745?display=b大阪音楽大学への売却話破談で、さあ困った!
(前略)
問題となっている土地は、大阪音楽大学の隣接地で、大阪音楽大学は平成24年から国と売買交渉をした。土地は国土交通省大阪航空局の所管だが、売却手続きは近畿財務局が行う。
この土地は、関西国際空港が伊丹空港と統合され新しい会社になるときに、平成24年10月、関西国際空港の新会社に現物出資され、新会社の所有となった。近畿財務局は大阪音楽大学に売却できると思い、その代金を国のものにするため、いったん新会社所有となった当該土地を国所有に戻した(平成25年1月)。
ところが結局、大阪音楽大学への売却は交渉決裂となって破談した。こうなると、当該土地が国のものとして余ってしまうのである。民間だとそれの何が問題なの? と感じるだろう。しかし行政の世界では大問題なのである。
当該土地も含めて伊丹空港の騒音区域に指定された土地は国土交通省大阪航空局が管理することになっているが、騒音区域の縮小に伴い、大阪航空局は管理していた土地をどんどん売却処理していた。関西国際空港の新会社に現物出資することで、ついに大阪航空局は騒音区域として管理していた土地を全て処分できたのである。大阪航空局としては管理している土地を処分することが仕事のミッションだったので、平成24年10月にその仕事は完了した。
ところが、近畿財務局が大阪音楽大学に売れるかもしれないということで、関西国際空港新会社に移した土地を再び大阪航空局所管に戻したのである。そして近畿財務局は売却に失敗。
となると、せっかく全て処分できたと思っていた大阪航空局はまた土地を抱えることになってしまった。大阪航空局は平成24年10月の現物出資で全て土地管理は終了したとして担当部署を解散。そこに再び土地が戻ってきてしまったのである。
大阪航空局にとっては面倒なことになってしまい、近畿財務局に売却先をきちんと見つけるように迫っていた。近畿財務局は売却先を見つけるのに焦っていたという状況だったらしい。
ここまでの情報の信用度は5段階評価で3レベル。
そしてこのような状況の中、森友学園が近畿財務局に土地を買いたいと言ってきた。近畿財務局としてはラッキーである。何とか売却したいと一生懸命になる。
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.48(3月28日配信)からの引用です。
現代ビジネス:なぜ佐川氏は嘘をついたのか(2018/03/19/高橋洋一)
2018/03/19 現代ビジネス/筆者:高橋洋一
P.5 なぜ佐川氏は嘘をついたのか
そうでないとしても、その当時の国会議事録をみれば、真相がわかる。
森友問題の発端は、昨年2月9日の朝日新聞記事「学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か」である。
この問題についての国会質問が行われたのは、2月15日の衆議院財政金融委員会が初めてである。共産党の宮本岳志議員に質問され、佐川氏は上手く答弁できていなかった。特に、森友学園の売却土地と隣接した、豊中市への売却土地を比較した説明はかなり危うかった(二つの土地の話については、1年前の2017年4月3日付け本コラム「森友問題は結局、財務省の大チョンボ!? 3枚のメモから見えた真相」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51362 に書かれている)。(ブログ主註:鴻池氏が公開したメモ/リンク先は既に有料メモ)
初めての国会答弁はその後の議論のベースになるものなので、佐川氏はここで「ミスをした」と思ったことだろう(なお、その財政金融員会には、安倍首相は出席していない)。
その後、2月17日の衆議院予算委員会でも、当時民進党の福島伸享議員から同問題を追及されている。ここでも、佐川氏はちょっとさえない。佐川氏との質疑の最後には、安倍首相に「昭恵夫人が同校の名誉校長をしている」という質問がなされて、それが例の「関与していれば辞める」発言につながっている。
この安倍首相の発言は、佐川氏の答弁の後だ。佐川氏の答弁があまりに頼りなかっただので、安倍首相がやや強めの答弁をしたような印象である。
つまり、佐川氏の国会答弁は、安倍首相の「関与していれば辞める」発言の以前からほころびが出ていたことが分かる。
その後も、佐川氏は「価格交渉」がなかったと答弁しているが、これは嘘であることは各種の情報からすぐばれる。そこで、決裁文書の書き換えをして、その後は文書を破棄したとか、嘘の上塗りを繰り返したのではないか。筆者は元財務官僚であったが、本省局長がこの程度の答弁ができなかった点に驚いている。
本コラムでも、佐川氏の虚偽答弁を指摘していた(2017年11月27日付け「森友問題で『的外れな追及』続けるマスコミには書けない、本当の結論」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53622)。
あわせてこちらもお読み下さい。
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【ブログ主】
「昭恵さんについての記述が削除されたのは4月4日」という太田理財局長の答弁を引き出したのは、公明の矢倉克夫委員の質疑と判明(新聞の詳報より)
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/22 13:47
【ブログ主】
取り敢えず、H29年4月4日に夫人の記述が削除されたソース(ロイター)
jp.reuters.com/article/abe-moritomo-idJPKBN1GV03E
2018年3月19日 / 10:23 / 3日前
森友改ざん文書、存在知らず指示しようがない=安倍首相
>財務省の太田充理財局長は、改ざん前の文書に政治家ではない安倍昭恵首相夫人の名前が記載されていた理由を問われ、「基本的に総理夫人という事だと思う」と答弁。また、改ざんされた14の文書のうち政治家や昭恵夫人の名前が記載された文書は、本省で決裁したものとし、当該文書は2017年4月4日に改ざんが行われていたことを明らかにした。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/22 13:40
【ブログ主】
奥穂3190様
なるほど、「昭恵さんについての記述が削除されたのは4月4日」という答弁があったのですね。(これを引き出したのは誰だろう? しかし、ここまで細かいことが分かってるのなら、もう全容は判明しているのでしょうね。財務省内部では。)
以下、池田信夫氏の該当のツィートから辿ってみました。
twitter.com/ikedanob/status/976107880762941440
>昭恵さんについての記述が削除されたのは4月4日だから、2月19日の「関係があったら総理をやめる」という首相答弁と結びつかない。2月下旬からの改竄は局長答弁の矛盾を隠すためで、昭恵さんの記述はその最後だろう。
■↑のツィートは↓の自身のツィートへのリプライ
twitter.com/ikedanob/status/976104342586404870
>ワタセユウヤをリツイートしました
>昭恵さんの記述が削除された「2017年4月4日」に、彼女に関する答弁書が閣議決定された。これは谷職員についての質問だが、内閣が改竄を前提にして答弁書を決定したとすると重大な問題だ。
■そして、ワタセユウヤ氏の書いたものはこれ。↓
theurbanfolks.com/1658
Leadership of Megacities 2018-03-20
決裁文書から「安倍昭恵削除」の公文書改ざんが行われた本当の理由とは何か
■(まだ、質問主意書と答弁書を見ていないので、夫人の記述があったらまずいのかどうか不明ですが)
池田氏は「内閣が改竄を前提にして答弁書を決定した」と言っていますが、質問主意書を投げられた財務省が答弁書を作る際に考慮したのではないかと思うですが...
もう、改ざんしまくってる段階ですから、ついでに消すくらいなんともないでしょうね。
個人的には、夫人の名前や政治家の名前、日本会議がどうたらこうたらって部分はバランスを考えて、元々なくてもいい記述だし、ついでに消した、くらいに思っているのですが。
後ほど質問主意書と答弁書は精査します。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/22 13:14
ブログ主様の見立てに全面的に賛成します。
首相夫人関連部分の削除はH29・4・4と判明したようですね。4・25に会計検査院に渡したと云う改竄前の書類の詳細は不明ですが、例の別紙1経緯は削除後だったのでしょう。
この削除のきっかけが、2・17の首相答弁なら悠長な話で、当初頭に血の上っていたアゴラ池田氏も、『昭恵さんについての記述が削除されたのは4月4日だから、2月19日の「関係があったら総理をやめる」という首相答弁と結びつかない。2月下旬からの改竄は局長答弁の矛盾を隠すためで、昭恵さんの記述はその最後だろう。』とトーンダウン。
例によってマスゴミは触れたがりませんし、枝野は「筈がない」との根拠なき断定しか手がないのでしょう。
紙の文書の差し替え時期は調査困難にしても、基になったデータはコンピューターにあった訳で、アナログ人間には断定できませんが、それを改竄・消去したパソコンが誰の物で、何時かは調べれば判るのでは?共用のパソコンみたいなものがあって、誰が操作したか判らないのですかね?当事者を探し出して、本人の意思か、指示があったのか、捜査当局なら追及できるでしょう。
野党が本当に事件の全容を明らかにしたいのなら(そうでないのは判っていますが)、佐川氏の召喚に加えて捜査状況を糺すべきでしょう。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/22 12:28