【森友文書問題】なぜマスコミは新たなメモと「H28年3月30日」の記述を結びつけて報道しないの?
公開: 2018/03/20 16:17 最終更新: 2018/03/21 18:37
昨日(2018/03/19)に新たなメモが見つかりました。作成日付はH28年4月4日付です。これについてメディアがあまり触れないような気がするのですが...
このメモが示す内容は、ゴミの撤去は時間的に(開校に)間に合わないので、国土交通省大坂航空局が撤去費用を見積もり、値引きを提案したということが書いてあります。
これに関して清水議員(日本維新の会)が昨日の予算委員会で質問していましたが、太田理財局長は、「ゴミの撤去費用は大坂航空局にお願いした結果8.2億円という数字が出た」こと、「近畿理財局から見て交通局は“第三者”だが一般の方から見ると同じ政府と見なされるので、本来は第三者をいれてやるべきであり、今後はそのようにする」という答弁をしていました。
消されたH28年3月30日の記録
ブログ主が不思議なのは、なぜかメディアは、3月17日にNHKが報じた、「H28年3月30日」という日が徹底的に隠されているという発見を無視していることです。(→エントリー『決裁文書書き換えの目的は価格交渉の日(H28年3月30日)を隠すため?』
そして、新たに見つかったメモの作成日付はその4日後のH28年4月4日付です。
上記記事に書いたように、この日(3月30日)、近畿財務局は籠池氏側の上限額を聞き出しており、これだけでも、籠池氏との間で価格交渉をした証拠と言ってもいい情報です。そして、今回見つかったメモはそれを裏付けるものです。
消された箇所の一つ(ニュース映像に映し出されたもの)には以下のように書かれていました。(再掲)
当局、大坂航空局が森友学園に訪問し、今後の処理について国有地の売払いにより問題解決を図る方向で調整。また、指定期日延長に伴う貸付合意書(一部変更)の取り交わし等を完了。
3月15日に籠池氏が訴訟をちらつかせた恫喝(音声テープ)→3月30日に籠池氏から上限金額を聞く→4月4日のメモに大坂航空局からゴミ撤去費用相当分の値引き提案→偶然にも上限額に合う額で大坂航空局がゴミの撤去費用(8.2億円)を算出
これ、答え合わせですよね。
念のために言っておくと、政治家の名前や安倍昭恵夫人の名前が出てくるのは、貸付契約締結(H27年5月29日)の前です。
そして、このメモの時点では、籠池氏側は新たなゴミが出たことで貸付契約を破棄して土地を買い取ろうとし、恫喝まがいの交渉をし、8.2億円という値引き額を引き出しているのです。
もちろん、マスコミがこれに触れない理由は分かります。
どうしても安倍昭恵夫人、あるいは安倍首相が“忖度を強いて”(普通は“強要”あるいは“圧力をかけて”ですが、さすがに恥知らずな一部野党もそこまで言えないのでしょう)値引きさせたというストーリーに仕立て上げたいからです。
14の文書からなにが消されたのか?
念のため、14の文書から消された内容を見てみると、次の3種類に大別されます。
- 籠池前理事長と財務省側との詳細なやりとり
- 「本件の特殊性」といった文言
- 籠池氏のプロフィールのようなもの/政治家の名前や首相夫人の名前
今回手を加えていた部分(文書)は、元々、決裁対象の案件とは直接関係ない別添文書で、削除されても、それによって事実と異なる内容になったわけではありません。
開示請求がされたら見られたくないことではあったわけですが、3に関しては既に報道された内容で、隠す必要はありません。
となると、論理的に考えれば、1と2を隠したかったと行き着くはずですが、なぜかマスコミや一部野党は首相夫人の名前だけしかスポットを当てず、これを隠したかったと主張します。書いてあったのだから、それが決裁に重要なポイントに違いない、という理由です。しかし、書いてあることは、「『いい土地なので進めて下さい』と籠池氏が言った」、「ネットの記事に『幼稚園を訪れた夫人が感涙した』と書いてあった」というもので、取引への関与ではありません。仮に、その名前を記載することで“忖度を促すため”としても、忖度は相手が勝手にすることで、された側に罪はありません。
しかも、(何度もこのブログに書いてきたように)夫人の記述があるのは、10年間の定借契約までなのです。問題の売買契約に関しては、夫人の記述はありません。(夫人付きの谷氏のファックスは定借契約後に「50年にならないか」という籠池氏の要望がどうなっているか頼まれて問い合わせただけ、そして無理だという回答を伝えただけです。)
それならむしろ、佐川理財局長の答弁、特に「価格交渉はしていなかった」という旨の発言が虚偽答弁とならないよう整合性を取るため、と考える方が合理的です。
下に、「03 売払決議書「普通財産売払決議書」(平成28年6月14日)」、つまり最終的に値引きをして売買契約を結ぶ為の決裁書(の改ざん前・後の比較資料)の改ざん前の頁を1枚提示します。いかに、籠池氏がごねているかが分かり、交渉に難儀してしてのかが伺えるのと同時に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示を行う」など、価格交渉があったことが読み取れる部分を削除、改編していることが分かるかと思います。
あわせてこちらもお読み下さい。
以下は参考までに、19日に見つかったメモを報じるNHKの記事。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180320/k10011371661000.html
森友 “ごみ撤去費用として大幅値引き” 大阪航空局が提案
3月20日 4時42分
森友学園の国有地売却問題で、ごみの撤去費用として大幅に値引きするという方法は、土地を所有する大阪航空局が近畿財務局に提案していたことが削除された財務省の文書からわかりました。大阪航空局は通常は民間の業者に依頼される値引き額の算定もみずから行っていて、売却価格が妥当だったのか改めて問われるものとみられます。
財務省は19日、森友学園に国有地を評価額から8億円余り値引きして売却したときの決裁文書から添付文書の削除が新たに確認されたとして公表しました。
削除されていた文書は、おととし近畿財務局が国有地の地中から見つかった新たなごみを早急に撤去するよう学園から求められたことを受けて対応方針をまとめたもので、土地を所有していた大阪航空局との間で協議を重ねたことが詳しく書かれています。
大阪航空局はごみを処理する責任があるとしつつも早急な予算措置は難しいとして、代わりに撤去費用を差し引いて土地の価格を安くする方法を提案していました。
近畿財務局はこの提案を受け入れたうえで、通常は民間の業者に頼む撤去費用の見積もりを大阪航空局に依頼する異例の手続きを取り、8億円余りの値引き額が算定されていました。
近畿財務局は大阪航空局に見積もりを依頼したのと同じ時期に学園側から予算の上限額を聞き出していたことも判明していて、売却価格が妥当だったのか国会で問われるものとみられます。
会計検査院:学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について
« 【森友文書問題】3月19日予算委員会/本日のメディア報道 | トップページ | 【森友文書問題】深層NEWS:高井康行先生無双、福山哲郎先生、しおらしくなる(2018/03/20) »
コメント
« 【森友文書問題】3月19日予算委員会/本日のメディア報道 | トップページ | 【森友文書問題】深層NEWS:高井康行先生無双、福山哲郎先生、しおらしくなる(2018/03/20) »
ブログ主様
大阪航空局が用いた「地下埋設物撤去・処分費用」算定のあの手この手、これは検査院報告要旨よりも、本文64頁からお読みになった方が、図表入りで遥かに判り易いです。
ゴミの量を推定し、重量換算し、処理単価を掛けて費用を見積るのですが、最初に役人の言い分、それ対する検査院の反論の形式になっていて、読み物としてもおもしろいですよ。
出鱈目な数字を使っては直ちにペケになるので、先ず、対象面積を最大化、なんとか出てきた数字(3.8mとか9.9mとか)を使って推定量を最大化、ゴミが出てこなかった箇所を無視して混入率を最大化、それでも足りなくて最後に単価で調節の四苦八苦。笑えます。
手口は私の知っている小役人の辻褄合わせそのもの。なんとか籠池モンスターから逃げたくて行った自衛努力作品で、政治家のためにここまでやるか!?です。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/21 19:11
【ブログ主】
奥穂3190様
時系列に沿って事実を整理し、論理的に考えれば、当然行き着く帰結ですよね。
この森友事件に関しては、籠池夫妻のパフォーマンスも含めて出来事が多く、情報過多なんですね。
とは言え、そもそも「8億円の値引き」は売買契約の話なのですから、その部分にスポットを当てて、そこに関わる事実だけ並べれば誰でも理解できるはずなのに、比較的中立な新聞すらそれをやりません。
この問題で犯罪性のあることは「8億円の値引き(が不当かどうか)」と「公文書の改ざん」の2つで、それぞれ別個に考えるべきなのに、ごちゃ混ぜにするのはわざとしか思えません。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/21 18:52
マスコミがH28・4・4メモをスルーするのは何故?
ブログ主様が夙に指摘された通り、このメモに触れると、谷FAXや籠池の夫人引用が借地の段階の話であって、売却とはなんの関連もないことがバレバレ、都合がわるいからですね。
朝日はもう自分ではストーリーが推進できなくなって、AERAあたりの傍系を使っているのでは?
以下はAERA掲載の田原爺発言ですが、このメモが出てもう言えなくなった話を、田原爺にプッシュさせていると勘ぐりたくなります。
====
私は森友学園の籠池泰典・前理事長が逮捕される前、あるテレビ局に頼まれ籠池氏にインタビューした。
「あなたは2015年10月に、安倍昭恵夫人に電話をしましたね。昭恵夫人は海外出張中でしたが、何を頼みたかったのですか」
籠池氏は工事の立て替え金を早く返済してほしいのと、売却価格を安くしてほしい(奥穂3190注:ここが大嘘)、の2点だと答えた。
その後、昭恵夫人付の女性官僚から連絡があり、昭恵夫人に頼んだことを詳しく知らせてほしいと言ってきたので、手紙に詳しく書いて郵送した。しばらく経つと、頼まれたことをいろいろやったが、うまくいかなかったというファクスが届いた。だが、その後、今年度は無理だが来年度にまたやってみるというファクスが届いたということだ。
そこで、翌年はどうだったか、と問うと、籠池氏は「満額回答だ」と答えた。籠池氏は、昭恵夫人の大変なご尽力で、立て替え金も返済され、売却金も8億円引き下げられた。心から感謝したい、と答えたが、この部分は放送されなかった。
====
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/21 17:04
【ブログ主】
奥穂3190様
ご教示ありがとうございました。
取り急ぎご指摘の箇所を確認しました。証拠は隠滅されてますね。
当方も報告を読んでみます。
投稿: 大師小ブログ主 | 2018/03/21 08:37
会計検査院の報告、ざっと読みましたが、近財・大阪航空局共同の、経緯隠蔽・埋設物撤去費用でっち上げに読めます。国交省が改竄前の書類がありました~、なんて正義顔をしたのも共同作業を誤魔化す為の様に思えます。
検査院は「必ずしも適切とは認められない事態」と言っていますが、改竄の問題がなくても、これはスキャンダルとなるレベルの杜撰さか、捏造ですね。
何故、この報告書が話題にならないのか?官邸もこれに触れないのか?私と同じく皆見ていないだけでしょうか。
学園が有益費の実際支払額として請求し、大阪航空局が支払った131,760,000円(うち21,060,000円は裏で受け取り業者から学園にバック、近財・大航ともに知らない)に合わせて、流石にロスは出せないので、売却価格を134百万円に合わせた疑い濃厚。
会計検査院の調査を見込んで、理財と大航が組んだ隠蔽作業に思えてきました。
共同作業のほんの一例ですが、大阪航空局の経緯隠蔽については、報告書29頁:-
「大阪航空局は、本件土地の処分依頼に係る近畿財務局や森友学園との協議記録については、処分依頼関係文書に含まれないとして、保存期間を1年未満とし、本件土地の森友学園との売買契約終了後等に廃棄することとしていたことから確認することができなかったとしている。このため、近畿財務局や森友学園とどのような協議が行われていたのかなどを確認することができず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況となっていた。
さらに、大阪航空局は、本件処分費の単価がどのような条件下で提示された単価
であるのかなどを示す資料は、地下埋設物の撤去・処分概算額の算定過程における
検討資料であり処分依頼関係文書には含まれないものであるとして、保存期間を1年
未満とし、売買契約終了後に廃棄することとしていたことから保存していなかった
としている。このため、本件処分費の単価等について詳細な内容を確認することが
できず、会計経理の妥当性について検証が十分に行えない状況となっていた。」
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/21 00:53
あらら、昨年11月の「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査
の結果についての報告書(要旨)」が公開されているんですね。私恥ずかしながら知りませんでした。今読んでおります。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/20 23:08
(以下、マスゴミへの立腹がいけない言葉遣いに出ているかもしれませんご容赦)
だいたいH28・4・4の決裁参考メモがおかしいだろ。
①ゴミ撤去費用相当の値引きと②価格提示を籠池が要求したから、あ~どうしようとなったのはミエミエなのに、(都合よく)大阪航空局が「売却価格からの控除を提案することで事案の収束をはかりたいとの意向を示している」だぁ~!?(①関連)
「よって当局も大阪航空局からの提案を受け入れ、・・価格提示を行い」(①にこっそり②を追加)だと。近財の責任逃れミエミエじゃん。
ほんとに値引きの言い出しっぺが航空局なら、なんで理財が隠すのさ。航空局にこれ見られたくなかったんじゃないの?
そうじゃないと言うなら、書き換え・削除の理由は、記録は破棄との辻褄合わせしかないよね。
投稿: 奥穂3190 | 2018/03/20 17:37