ニュースを読むのは「インターネット>新聞」 調査以来初めてインターネットが上回る
ココログの管理画面には、「注目のニュース」としてヘッドラインが表示されるのですが、気になるニュースを見つけたので、もう少し深く調べてみました。
ニュース、新聞よりネットで=初めて逆転、朝刊読者7割切る-世論調査
スマートフォンやパソコンを使ってインターネットでニュースを見る人の割合が、調査開始以来初めて新聞の朝刊を読む人の割合を上回ったことが20日、公益財団法人「新聞通信調査会」(西沢豊理事長)の世論調査で分かった。朝刊を読む人の割合も初めて7割を切った。
調査は昨年11月、全国の18歳以上の男女5000人を対象に実施し、3169人から回答を得た。
ネットでニュースを見る割合は、質問項目が今回と同じになった2010年より14.3ポイント増え71.4%だった。朝刊を読む人は08年は約9割だったが、その後は減少傾向が続き、今回は68.5%と初めてネットに逆転された。(2018/01/20-05:32)
「朝刊を読む人」の割合と「インターネットでニュースを読む人の割合」との比較ですが、エントリーのタイトルのように、「ニュースを新聞とネットのどちらから取得するか」という比較だと言えるでしょうでしょう。
記事に書かれている「新聞通信調査会」(公益社団法人)を調べてみたら、「新聞通信事業に関する調査研究等を行い,わが国の新聞通信事業の発展に寄与することを目的とする」団体のようで、同法人の「メディア世論調査」のページに詳しい調査結果がPDFで公開されていました。
それによると、今回の調査は「第10回メディアに関する全国世論調査(2017年)」というもので、2017年11月2日から21日に全国の18 歳以上の5,000人を対象に訪問留置法で行ったものだそうです。
留置法という聞き慣れない言葉があったので調べてみたら、
留置法とは、調査員が調査票をもって対象者を面接して調査の目的を説明し、調査票への記入を依頼する。 その場ですぐに調査票を回収するのではなく、後日来訪問して記入済みの調査票を回収するという手法。
とのことです。
調査結果は記事になった設問だけでなく、様々な質問のアンケートを採っているので、是非ご覧になることをおすすめしますが、記事の内容を表すグラフは下の通りです。
実線を見ると、2016年にほぼ並び(新聞:70.4、ネット:69.6)、昨年末調査ではネットが新聞を逆転しました。
破線は、「毎日新聞を読む」対「毎日ネットでニュースを読む」の比較です。
PDFを見ると、他にも面白い調査結果があります。
「各メディアの情報信頼度」では、NHKと新聞が一番高く(各70%と68.7%)、インターネットは民放テレビやラジオよりも低い(雑誌は更に低い)という順位は変わりませんが、どのメディアも2008年度からのトレンドで見れば信頼度が全て下降気味なのです。
また、この1年間で「新聞への信頼感が高くなった」と答えた人と「信頼感が低くなった」と答えた人のそれぞれに理由を聞いてみたところ、下のような調査結果になりました。
ブログ主が注目したのは「新聞への信頼度が低くなった理由」で、「特定の勢力偏った報道をしているから」が昨年に比べて29.7%から41.4%と大幅に増えている点です。
また、「19.新聞の政治的立場についてどう思う?」という質問への回答も面白いものがありました。
- 欧米のように政治色を出すことに否定的なのは昨年度と変わらず -
「独自色」は16%、「不偏不党」は64%
- 新聞の政治的立場について、「A:新聞は、それぞれ独自の政治色をはっきり出した方がよい」と考える独自色派は16.1%で、「B:新聞は、1つの政党に偏ることなく不偏不党を貫くべきだ」と考える不偏不党派が63.9%と多く、欧米のように新聞に政治色を出すことに否定的な意見が圧倒的多数を占めた。昨年度と同様、不偏不党派が独自色派を大きく上回った。
- 年代別に見ると、不偏不党派は最も少ない18~19 歳でも52.4%と過半数を占め、いずれの年代(52.4%~70.0%)でも、独自色派(14.5%~18.6%)を大きく上回っており、新聞は不偏不党であるべきとの意見が強いことが分かる。
- 昨年度調査と比較すると、不偏不党派優位の傾向は変わらない。年代別では、20 代以下で不偏不党派が5 ポイント以上(5.5~7.6 ポイント)の減少、30 代と60 代で約5 ポイント(4.5~4.6 ポイント)の増加となった。
朝日の販売部数が急激に減るのも納得できます。
ブログ主は現在新聞を2紙取っていますが、(日経は惰性で取っているので、そろそろ辞めようかと思っているのですが...) 新聞の良いところは、自分の興味の無い記事も自然に目に入ることで、雑学的な知識が増えることです。書評で面白そうな本を偶然知ることもあるし。
この点は、以前『朝日新聞がなくなる日』のエントリーでご紹介した、著者で元読売新聞記者の新田哲史氏も『言論テレビ』に出演された時に同じようなことを言っていました。紙の強みは一覧性があることです。一時新聞を取らなかったが、それに気付き、今は新聞を取っているとのこと。
以前、ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ(FrankfurterAllgemeine)というドイツの新聞が紙面のイメージで読めたなあと思って、サイトを見たら、こんな感じに進化していました。(デモ画面)
こういうのだったら、タブレットで読んでみたいです。(段組してある方が読みやすいんですよね。)
全然関係ないけど、新聞名の下に書いてある「Zeitung für Deutschland」(ドイツのための新聞)ってかっこいいですねぇ。「日本ための新聞」って書けない新聞がいくつかありますからね。
それと、例えばブログ主が去年追っていた「加計学園問題」(と言うか、「獣医学部の新設を巡る話題」)について言えば、経緯などをまとめる記事があり、じっくりと読めること。
ただ、新聞を鵜呑みにするかというとそうでもなく、怪しいと思えばネットで更に深く調べます。例えば“識者”という人物の意見が掲載されていたとして、その人物の発言や著書など、今はTwitterやブログなどで簡単に調べられます。
そういう意味では情報の「とっかかり」としては新聞の利点はあると思います。
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