【沖縄】なぜ、普天間飛行場に隣接する小学校は移転しないのか?/比嘉鉄也元名護市長インタビュー【読売2017/12/22】
公開: 2017/12/25 最終更新: 2018/01/03 13:15
マスメディアの多くが真実を伝えない沖縄の問題の一部ですが、読売新聞に掲載された『普天間移設 漂流20年』をきっかけに調べたことをまとめておこうと思います。
この記事は新たに作成した「【政治】沖縄」カテゴリーに分類します。
- なぜ、普天間飛行場に隣接する小学校は移転しないのか?
- 読売新聞記事『普天間移設 漂流20年』(2017/12/22)
- 翁長沖縄県知事の本当の目的はなにか
- 【おまけ】2017年6月の我那覇真子氏の国連スピーチ密着動画
なぜ、普天間飛行場に隣接する小学校は移転しないのか?
先日(12月22日)の読売新聞朝刊に『普天間移設 漂流20年』と題した記事が掲載され、「米軍普天間飛行場の移設問題を巡る主な経緯」(年表)と1997年に基地移設を受け入れた元名護市長の比嘉鉄也氏のインタビューが載っていました。(記事については後述)
読売新聞は基地問題についてはどちらかというと事なかれ主義の立場で、例えば最近あった米軍ヘリの窓が落下した事故などは通り一遍の報道はしますが、基地問題にはあまり踏み込んだ記事は載らないために、ここに来て経緯をまとめた記事を掲載するのはやや唐突な気がしたのですが、記事でも言及しているとおり、来年2月4日の名護市長選の前振りなのかも知れません。
ブログ主はそれなりの関心を持ってネットで情報を得ていますが、首都圏に住んでいると普天間飛行場(宜野湾市)の周辺住民が今回のような落下物や騒音で悩まされているというのに、なぜ名護市沖への移転が遅々として進まないのか不思議に思う方も多いのではないかと思います。(位置関係は下図参照)
記事にも書かれていますが、“比嘉鉄也名護市長が住民投票でやや受け入れ反対が多いにも関わらず職を辞して基地受け入れを決断、しかし、民主党鳩山政権の「最低でも県外」(その後断念)が、比嘉氏が自らの首をかけて説得した反対派に火を点けてしまった。” こんなところが沖縄県外の人間の認識かと思います。→なお、この比嘉鉄也名護市長の決断の裏にはこのようないきさつがありました。→『1997年の普天間飛行場の名護市受け入れを巡る住民投票における比嘉鉄也名護市長の決断の理由は?』)
しかし、最近話題になった『ニュース女子』の沖縄特集に対するBPOの『意見』公表で、移設工事が進まないのは反対派の過激な妨害活動があることは知られ始めてきているかと思います。
もう一つの、落下物などの危険があるにも関わらずなぜ宜野湾の小学校が基地に隣接しているのか?といった問題についてはどうでしょうか。
それについては、沖縄で“琉球新報・沖縄タイムスを正す会”の運営代表として沖縄に関する様々な問題に取り組む我那覇真子(がなはまさこ)氏がネット番組で解説をしているのでご紹介します。
動画: 【沖縄の声】米軍機落下物→やぶ蛇、沖縄タイムスの言論弾圧、BPO 見解を歪曲報道[桜H29/12/20]
該当箇所(8分5秒~)にスタート位置を指定
ここで解説されているのは以下のような内容です。
昭和57年頃、基地内で米軍ヘリが不時着炎上したことがきっかけで移転を望む声が広がり、米軍との交渉により約1キロ離れた8千坪の土地を返還することで合意、予算も確保したが、市民団体が「移転は基地の固定化につながる」と反対。PTAも反対決議を行った。その後は『普天間は反対活動のシンボル』となってしまった。
産経記事『【揺らぐ沖縄】児童の安全より反対運動優先か 基地隣接の小学校移転』 (2010.1.9 23:26)より
つまり、一部の“市民”には、普天間飛行場が危険なものである方が都合がいいのです。
そして、その活動の中心にいるのは翁長沖縄県知事だと、我那覇氏等は指摘しています。
読売新聞記事『普天間移設 漂流20年』(2017/12/22)
なお、比嘉氏の辞職後の流れについて『琉球新報』の記事から補足すると、下記の通りです。
比嘉氏の辞任後、これまで5回の名護市長選が実施された。いずれも辺野古新基地問題が大きな争点になってきた。岸本建男市長(98年~2006年)は15年の使用期限など7条件を付けて受け入れを表明した。島袋吉和市長(06~10年)は現行のV字形滑走路案で合意した。10年に反対を掲げる稲嶺進市政が誕生し、14年の市長選でも再選した。翁長県政と連携し新基地阻止を訴えている。政府は「辺野古が唯一の解決策」として建設を推し進めている。
翁長沖縄県知事の本当の目的はなにか
これは既に以前のエントリーで書いたことの補足になりますが、『自己決定権回復運動』の一環なのです。
2015年9月に翁長沖縄県知事は国連の人権理事会でスピーチを行っています。人権理事会と言えば文字通り、チベットのような人権を迫害されている人たちが、その不条理を訴える場なのになぜ沖縄知事が?と思うでしょうが、彼の主張は“沖縄の先住民族が無理矢理日本に併合されて米軍基地を押しつけられているため、沖縄の先住民が『自己決定権』を奪わるという人権侵害に遭っている”という、理解しがたいものです。
彼の動きを察知した我那覇真子氏は国連でそののカウンター(反撃)のスピーチをするために素早く行動に移しました。
下は、帰国後の我那覇氏が行った記者会見の動画で、ジュネーブには石垣市議会議員 砥板芳行氏も同行されたようで、同席しています。
【我那覇真子】9.25 国連人権理事会における「沖縄問題」の展開 帰国記者会見[桜H27/9/28]
この中であらためてスピーチの内容を朗読していますが、その日本語訳は以下の通りです
昨日皆様は、沖縄は紛れもない日本の一部であるにも関わらず、「沖縄県民は日本政府及び米軍から抑圧される被差別少数民族である」とお聞きになられたと思います。
それは全くの見当違いです。
私は、沖縄生まれの沖縄育ちですが、日本の一部として私達は世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受しています。人権問題全般もそうで すが、日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が、選挙で選ばれた公人やその支援者に「自分達は先住少数民族である」と述べさせ沖縄の独立運動 を煽動しているのです。
我々沖縄県民は先住少数民族ではありません。
どうかプロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください。
石垣市議会議員の砥板芳行氏からのメッセージです。
「沖縄県の現知事は無責任にも日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役割を無視しています。翁長知事はこの状況を捻じ曲げて伝えています。中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を知事と国連の皆様が認識をすることが重要 です」
ありがとうございます。
なお、翁長県知事はこの国連人権委員会での演説を市民団体(NGO)が確保した枠を使って行い、渡航費などの費用を公費から支払っており、このことは沖縄県議会(10月5日に行なわれた第7回沖縄県議会(定例会))で自民党の県議会議員が追及しています。
【沖縄の声】特番!あっぱれな自民党4人の県議会議員、第7回沖縄県議会(定例会)[桜H27/10/10]
動画: https://www.youtube.com/watch?v=xJdzm4JO9Oc&t=1692s
2015/10/09 に公開
平成27年10月10日金曜日に放送された『沖縄の声』。本日は、10月5日に行なわれた第7回沖縄県議会(定例会)にて、4人の自民党県議会議員から「埋立承認取り消し」や、「知事の国連演説」、「キャンプ・シュワブゲート前での違法行為」等について答弁を求められた翁長知事、そして関係部長等。
ここで、照屋守之県議が以下のように追求しています。
私はこの国連理事会の翁長知事の発言、1つ目、自己決定権を悪用している。2つ目、基地問題を政治問題から人権問題にすりかえた。3つ目、沖縄県民は先住民であると世界に誤解を与えた。4つ目、理事会で翁長知事、日本政府代表、そして県民の我那覇さんの3人が演説しましたけれども、正反対の主張で全世界に沖縄県やあるいは日本国に対する不信感それを広めた。そういう意味から、県知事として極めて不適切な発言で沖縄県や日本の立場、誇りを著しく低下させたものだと思っております。この責任は非常に大きいと思っていますよ。ですから、翁長知事は県民や日本国民にわびるべきではありませんか。いかがですか。
また、翁長政俊県議が、ニューヨーク(国連・先住民族世界会議)で演説を行ったと言っている糸数慶子議員とは、2017年12月4日の参議院本会議の『北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案』への採決を拒否した4名の議員のうちの1人です。(他は、牧山ひろえ、高瀬弘美、山本太郎、伊達忠一)
(2017/12/25追記)我那覇氏らのこうした活動は、ほとんどの在京マスコミでは報ずることがなく、ブログ主もたまたまネットで知っていましたが、今回このエントリーを書くにあたり、再び観ようと探しましたが、情報の山に埋もれていてかなり苦労しました。その中でこの国連のスピーチについて詳しいブログを見つけたのでメモしておきます。
沖縄対策本部■【iRONNA】「翁長氏の国連演説は沖縄政治・マスコミを正常化させる大チャンスだ!」
2015年09月27日 10時38分20秒 沖縄対策本部(2015年9月の記事一覧
翁長沖縄県知事の国連スピーチ(全文と訳文) 2015/09/22 批評.com
【おまけ】2017年6月の我那覇真子氏の国連スピーチ密着動画
下は、今年の6月にジュネーブの国連人権理事会に我那覇真子氏が活動家リーダー山城博治被告人のスピーチのカウンターとして行ったスピーチの動画です。
【国連演説】特番!「我那覇真子のいきなり国連演説 山城博治編!」in ジュネーブ[桜H29/8/5]
これも、活動家の動きを察知して急遽ジュネーブに発ったそうですが、短い滞在の間にジュネーブの町を散策する素顔の我那覇さんが観られ、素朴で屈託ない笑顔の、若くて可愛らしい女性のどこにこんなパワーがあるのかと驚くとともに、最大の敬意を表したいと思います。
なお、この動画には活動家から嫌がらせを受けている依田啓示氏(ジュネーブに同行)や、沖縄タイムスから取材に来ている阿部記者も映っています。
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