【規制改革会議】「どうなる!?電波オークション」原英史氏が解説【虎ノ門ニュース(2017/12/11)】
先日(12月11日)の報道ネット番組『虎ノ門ニュース』は岸博幸氏と原英史氏が出演され、その中で、規制改革推進会議の「投資等ワーキング・グループ」の座長を務める原氏が「電波制度改革」を分かりやすく解説してくれていました。
動画(1h16m11s~)が視聴できる期間は限定されているので、後から読めるようにまとめておこうと思います。
番組の中で原氏が仰っていましたが、規制改革会議で議論されていることは多岐に渡り、11月29日にワーキンググループが出した答申は電波だけでなく、待機児童、林業に関する答申も行っています。その中でも昨今話題になっている「電波オークション」は電波制度改革の中の更に一部分でしかありません。
一部、“国家戦略特区などを巡る件で偏向報道された報復としてテレビ局を規制しよう”としているのだという報道があったそうですが、もちろんそういうものではなく、見つけ次第抗議文を送っているとのこと。(個人的には規制してくれて構わないのですが。 )
とは言え、一般人が一番気になるのは「電波オークション」、特にテレビ局の電波オークションでしょう。先に結論を書いておくと、
オークション“的”なものは導入し、平成30年(2018年)夏までに検討・結論を出し、平成30年度中に法案提出
することになるそうです。
まず、現在のテレビの電波利用料は非常に安くて(売り側=政府にとって)利益がないこと、そして、その利益を電波制度改革にかかるコストに割り当てるためです。「オークション“的”」と書いた理由は後述します。
下は、この答申を報じる産経の記事ですが、どうしても記事の見出しとなると「入札」や「オークション」という文字が踊ります。
電波の競争入札「検討継続」、規制改革会議が答申
政治 2017/11/29 21:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24039980Z21C17A1PP8000/
政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は29日、電波、待機児童、林業に関する答申を安倍晋三首相に提出した。価格の競り上げで割り当てを決める電波の競争入札(オークション)制度について「引き続き検討を継続する」と明記した。首相は「いずれも待ったなしの改革だ。政府の方針として決定し速やかに実行に移す」と述べた。
答申は電波の競争入札の導入について「メリット、デメリットを導入した各国の様々な課題も踏まえ引き続き検討を継続する」とした。規制改革推進会議は電波の有効利用につながると早期の導入を求めたが、電波を所管する総務省が外資の参入で安全保障上の懸念が生じうるなどと抵抗したため、導入方針を明示するには至らなかった。(以下略)
電波制度改革の4つのステップ
話を電波制度改革に戻すと、番組の中では11月29日に政府に答申した資料から抜粋した下記の図を使って説明していました。(赤い枠はブログ主が付けたもの。オリジナルのPDFファイルはこちら。規制改革>「公表資料」のページより。第2次答申はこちら。)
電波制度改革は、①利用状況の見える化、②帯域確保、③割り当て手法(の決定)、④電波利用料(の適正化)という4つのステップで行われ、電波オークション云々は3つめのステップでの話です。
第4次産業革命として、IoT(Internet of Things/モノのインターネット:センサーと通信機能を持ったモノをインターネットで接続・制御し合う仕組み)やAI(人工知能)、車の自動運転を活用あるいは実現するにも、次世代高速通信(「5G」=第5世代)サービスが不可欠で、そのためにはまず上記のような電波の割当制度を見直さなければなりません。
電波制度改革は、簡単に言ってしまえば、新規参入を促すためにも電波を整理して、空きを増やそうということです。
①利用状況の見える化
昔電波を割り当てられたところの現在の利用状況があきらかでないので、まず、誰がどの帯域を使っていて、どのような頻度で使っているのか、それを調査し、「見える化」します。
特に、役所、つまり公共部門の国土交通省とか警察、消防署、防衛省の利用状況を開示するところから始めます。
現状は、3年に1回、使用しているかどうかをアンケートを採って総務省でまとめているだけだそうです。本当に使っているかは「発射状況調査」で調べられるので、今後はこれを行っていくとのことです。
②帯域確保
使ってないところには返上してもらったり、場所を変更して貰う作業です。
アメリカでは軍が使用している帯域でも空いている部分や時間帯を民間に使わせる、ということを行っているそうで、こうした「共有」も進めていこうということです。
また、大きなところは独自に通信網を構築しているので、これの「共有化」も図り、例えば公共用の通信網を再構築していくそうです。これにより、共通の帯域に相乗りができるので、空きを作れるだけでなく、高速の通信網を使って音声データだけでなく画像データを送れるようにするなど、サービスの向上も図るることができます。
「放送用帯域の更なる有効利用」とは、テレビの用の帯域は現在40チャンネル分ほどあるが、Amazonなどネットで好きな番組(動画)を観るようになってきていて放送産業は変わらずを得ないので、放送産業の未来も踏まえて検討するということです。これは来年の6月まで引き続き議論をするとのこと。
③割り当て手法
オークションの話をするとすぐに「設備投資に回す金が無くなる」、「利用料金が上がる」といった反対論が出てくるそうですが、世界の電波割り当ての仕組みを観ても、「価格競争」だけでやっているところはありません。
設備投資や相応しいサービスを提供しているかといった質的な評価も加味していて、OECD加盟国の中でも価格競争の要素を一切入れていない国は日本だけなので、同様の仕組みを導入、つまり、「価格競争の要素」を入れることを考えています。
「競り上げのオークション方式」にするかどうかは引き続き検討していくとのことですが、これはあくまでも“どんなオークション方式”にするか、という話で、最初に「オークション“的”」と書いたのはそのためです。(後述しますが、例えば、「バナナの叩き売り」みたいな値段を下げていく方式だってオークションなのです。)
本質は、テレビに限らず、既存の放送・通信事業者だけにこのまま割り当てていくのではなく、新規参入を可能にしていくのが目的だそうです。
④電波利用料
「電波の利用に関する負担の適正化」とは、現在、、携帯の通信利用料とテレビの放送利用料ではかなり不均衡なので、これを是正しようというものです。
帯域の幅、つまり1MHz単位当たりの利用用を比較すると携帯の通信利用料はテレビ局の4倍だそうで、なぜそうなっているかというと、放送の場合は、公共性が高いので軽減のための係数をかけて価格を決めているそうです。これを適正化するそうです。
現在の放送局の電波利用料は合、“コスト”程度しか負担していないそうですが、この、「コスト」と言うのは、多分、「原価」というものだと思います。
簿記が少し分かれば、説明は要らないかと思いますが、簡単に説明すると、商売人が100円で仕入れたものを100円で売ると言うことはありませんよね? 通常は利益を上乗せして、150円とかで売るものです。この時、仕入れにかかった100円を原価(コスト)と言います。(仕入れに送料などがかかる場合は、それもコストです。)
つまり、新たに利益を上乗せしようと言うことで、原氏はアパートの賃料に喩えて、現在はアパートでいうと家賃を取らずに共益費しか取っていないようなイメージだそうです。
要するに販売側にとって利益が上乗せされていない料金なので、「これを取ったらいいのではないか?」という答申を出したそうです。
そしてこの収益を、①の調査費用や②の立ち退き料などに利用しようという考えです。
答申では、下のように説明されています。
したがって、新たな周波数の割当について、以下の方策を実施する。
a 新たに割り当てる周波数帯について、その経済的価値を踏まえた金額(周波数移行、周波数共用及び混信対策等に要する費用を含む。)を競願手続にて申請し、これを含む複数の項目(人口カバー率、技術的能力等)を総合的に評価することで、価格競争の要素を含め周波数割当を決定する方式を導入する(平成30 年度中に法案提出して法整備)こととし、そのための検討の場を設ける。
b 入札価格の競り上げにより割当てを受ける者を決定するオークション制度については、メリット・デメリット、導入した各国における様々な課題も踏まえ、引き続き検討を継続する。
なお、こういった話は実は1995年(平成7年)から20年以上やっているというのには驚きました。電波オークションを含めた電波制度改革というは一度は閣議決定されていたにもかかわらず現在に至っているとのことで、いかに既得権益側の岩盤が固かったか、ということだと思います。
なお、原氏も番組の中で言及していましたが、日経(2017/11/28付朝刊)によると、2012年の民主党政権下でも浮上して電波法改正案が国会に提出されたが、いつの間にかトーンダウンしてしまったとのことです。
仮に、現政府の元で新たな電波法改正案が出た場合、きっと“何でも反対”野党は反対するでしょうからこのことを書いておきます。
オークション方式について
上記のことは番組を観た後にほぼ全文書いて下書きにしてあったのですが、その後、この件について、嘉悦大学教授の高橋洋一氏の記事を見つけました。ここに様々なオークション形式について説明されているので、ご興味があったらお読み下さい。
2017.12.14 ダイアモンドONLINE
電波オークション導入反対のマスコミは我田引水な報道をしていないか
12月8日(金)、電波制度改革での閣議決定があった。それに先立ち、11月29日に公表された規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)の第2次答申が公表されたが、これについての報道は、「オークション先送り」というものだった。
だが「先送り」はちょっとミスりーディングだ。勉強不足で答申の文言を十分、理解しなかったのか。それならまだしも、新規参入を回避しようと、自分らに都合よく、“解釈”したのでは、と勘繰りたくなる。
(以下略)
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