【衆院選2017】若者の「保守化」?いえ、若者は現状を「保守」したいのです
以前のエントリーで、『リベラル』、特に日本における『リベラル』という言葉の意味について、新聞の記事などを参考に解説しましたが、このエントリーでは若い世代(18歳~30歳代)と60歳代の政治意識の違いについてもう少し考えてみたいと思います。
現状に満足している若い世代
下は、前回掲載したグラフですが、“回答者自身の政治的立場と5つの政党の政治的立場を「リベラル←→保守」という観点で位置づけたもの。
若い世代は『リベラル』と『保守』という言葉をイデオロギーの範疇では考えていないこと、『保守』とは「古い体質を変えようとしない考え方」と捉えているらしいことが前回の分析でした。これは18~29歳と30歳代の政党の並べ方に見て取れます。
このグラフで“自分自身”の位置づけを見ると、若い世代は『保守』と見ており、60歳代以上は『中道』(中間値)に位置づけていますが、上の分析を前提とすると、若い世代は「現状を変えたくない」、「現状に満足している」と言えるのではないかと思います。
このことは若い世代の内閣支持率にも表れています。日経新聞が10月10~11日に行った調査で18~19歳の内閣支持率は52%(不支持32%/全体平均:支持37%、不支持48%)で突出して高かったそうです。
但し、実際には政治参加意識は低く、今回の衆院選では10代の投票率は41.51%(全体:53.68%【総務省調べ】)で、日経の調査(「今回の衆院選に行く:79%」は年代別で最も低い)と一致しています。
2017年衆院選の結果に満足する若い世代/不満を持つ60歳代
一方、選挙結果(自民大勝、与党で3分の2超の議席獲得)については、若い世代は「よかった」と評価しています。(図-2)

(図-2)
これに対し、60歳代は選挙結果を「よくなかった」と答える割合が高く、記事によると、60歳代以上は内閣支持率が他の年代より低い40%台で、立憲民主党の支持率は17~18%と最も高かったそうです。
下は日経の出口調査の結果ですが、60代の支持率(投票先)を見れば、読売の調査結果も頷けます。
立憲民主党・千葉5区から立候補し落選した山田厚史氏(69歳/元朝日新聞編集委員)の証言
ブログ主が今回注目していた候補の一人に山田厚史氏がいます。
どのような候補かは、下の選挙チラシの推薦者を見ればおおよそ分かるかと思います。(寺脇研氏、前川喜平氏、浜矩子氏...)
山田氏が選挙後に選挙戦を語っている動画があります。
“若者と握手して「よろしくね」、「何党?」て言うから、「立憲民主党」(て言うと)、「あんたらが一番ウザいんだよ~」。それから、アベノミクスの話をしてると、「アベノミクスやめちゃうと、就職氷河期がまたくるかも分からないから、そりゃ困ります」っていう男の子とかね。あ~なんか、ちがうだろ~ってところがあるんだけど...”
「ちがうだろ~」はあなただと思うのですが...
若者は少し上の世代の『就職氷河期』時代(現在40歳くらい)を目の当たりにしているので、“現状を変えたくない”という正直な声なのに、自分の価値観や信条と合わないからと言って、それを「ちがうだろ~」と否定するような候補者が当選しなくて本当に良かったと思います。市川市と浦安市の良識ある皆さん、Good Job!
立憲民主党についてブログ主の考えを述べれば、これはもう『朝日新聞』みたいなものだと思います。
新聞業界や出版業界に詳しいジャーナリストがよく話しているのですが、朝日新聞は例の『慰安婦問題捏造事件』後、少し軌道修正を試みたところ、読者からの抗議が相次ぎ、結局元の反日路線に戻るだけでなく、“左”に振り切れたそうです。
60代中心に過ぎないと言えど、これは1つの民意なので、この層の“受け皿”として活動するのがレーゾンデートル(存在理由)になるのでしょう。
しかし、立憲民主党の枝野幸男代表は自身を“保守本流”と称しているそうです。
左派は「右」と「左」の対立軸の中心位置がずれている?
先日(10月24日)のBSフジ・プライムニュースは『徹底総括! 衆院選2017 “小池劇場”の功と罪 野党再編の行方と軸は』というテーマでしたが、出演者を見ても分かるように、主に“民進党の大反省会”でした。
BSフジ プライムニュース 2017/10/24 20:00-21:55
『徹底総括! 衆院選2017 “小池劇場”の功と罪 野党再編の行方と軸は』
野党第1党であった民進党の分裂。そして、希望の党と立憲民主党の誕生。今回の衆院選で注目された、いわゆる「リベラル勢力」の地殻変動は日本の政治に何をもたらし、何を終わらせたのか?「自民党1強」に対抗しうるだけの「受け皿」作りは奏効したのか?
衆院選の結果を検証し、野党再編とこれからの政治の行方を政治学者らに問う。
【ゲスト】山口二郎 法政大学法学部教授
松井孝治 慶應義塾大学総合政策学部教授 元内閣官房副長官 元民主党筆頭副幹事長
中北浩爾 一橋大学大学院社会学研究科教授
出演者に関して少し補足をすると、山口二郎氏は元民主党のブレーンで、有り体に言ってしまえば“ガチガチのリベラル活動家”(そう言えば、サンデーモーニングに和服を着て出演されている田中優子氏は法政大学総長ですね。)、松井孝治氏は元民主党議員ですが、新聞のインタビューを読むと、民進党に対してかなり辛辣な批判をしています。中北浩爾氏の立ち位置は不明ですが、個人的には、山口氏以外は左に偏った立場とは感じられませんでした。
番組の中で「枝野氏の言う“保守”とは何か?」という話題になりましたが、山口氏は「『60年代以降の戦後デモクラシーを“保守”する』のではないか」と発言し、(司会の反町理氏は「わっかんね~」と反応。)次に同じ質問をされた松井氏の分析は「『時代が右傾化しているけど、自分が狙っているところはそこ(センター?保守?)なんだ』ということだと思う」。すると、それを引き継いで山口氏は「安倍さんが従来の自民党から右にはみ出しちゃったから、穏健保守的な路線で立憲民主党を打ち立てる」と語っていました。
これを聞いて、山口氏のような左派は自分の立ち位置こそセンターだと思っていのだと気づきました。
多分、山口氏のような左派には「9条改憲」や「日米安保重視」という部分を重視して安倍首相は“右にはみ出ている”と映るのかも知れませんが、客観的に判断して、安倍政権、あるいは自民党の政策は「女性の社会進出促進」や「労働者の賃金改善」など、『中道左派』くらいまでリベラル側にウィングを広げていると思うのですが。
これで思い出したのが、図-1の、60歳代の「回答者自身の立ち位置」に対する評価(センター)です。前回はこの理由が分からなかったのですが、番組の山口氏の発言や枝野氏の“保守本流”発言から、中心点がずれているのだと理解しました。
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