【日報問題】稲田防衛大臣が虚偽の答弁をしたという証拠はどう考えても不自然
一連の日報問題について、平成29年3月17日から実施した特別防衛監察の結果が27日に発表されました。
特別防衛監察報告書: http://www.mod.go.jp/igo/inspection/pdf/special04_report.pdf
掲載されているサイト: http://www.mod.go.jp/igo/inspection/
これについては多くの報道番組でも検証されていると思いますが、ブログ主は7月28日放送のBSフジ・プライムニュース『稲田防衛相辞任の衝撃 「特別監察」徹底検証』を視聴しました。
ゲストは髭の隊長こと、佐藤正久・自民党参議院議員と織田(おりた)邦男・元空将(2009年退官、現東洋学園大学講師)のお二人です。
3つ不適切な対応
この番組ではこの特別防衛監察で認定された「不適切な対応」について下記の3つを挙げて論じていました。(これは報告書の概要に基づいているようです。)
- 稲田防衛大臣への報告
- 開示請求
- 日報管理
このブログ記事では、「稲田防衛大臣への報告」についてブログ主が理解したことをまとめておこうと思います。
稲田防衛大臣に向けられている疑惑とは
そもそも、稲田大臣に対して、どのような疑惑が向けられているのかというと、今年(2017年)3月16日の衆院安保理で「(陸自内の)データ保管の事実は広告されなかったのか?」という質問に対して、「報告されなかった」と答えたことが虚偽ではないかという疑惑です。
しかし、その疑惑を裏付けるものが非常に怪しげなものなのです。
時系列で確認すると
まず、時系列の表を提示しておきます。(プライムニュースの動画から撮りました。)
緑色の破線と実線で囲った部分に注目して下さい。
3月16日の衆院安保理での発言が虚偽と言う根拠は、共同通信とFNN(フジ)のスクープ(?)によるものとされていますが、ここではどちらも「報道②」と書かれた部分です。
「報道①」については詳細は省略しますが、報告書(P.8)に報告があるように、「データがあるという報告があった」ことは確認されていますが、「※16 統幕背広組に「今更あるとは言えない」と陸幕が言われたとの報道の事実は確認できなかった。」という記載があります。
2月の会議に関する共同通信の報道「非公表の了承」(2017/7/19 02:00)
【一部引用】
稲田氏、組織的隠蔽を了承 PKO日報、国会で虚偽答弁
南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を廃棄したとしながら陸上自衛隊が保管していた問題で、稲田朋美防衛相が2月に行われた防衛省最高幹部による緊急会議で、保管の事実を非公表とするとの方針を幹部から伝えられ、了承していたことが分かった。複数の政府関係者が18日、明らかにした。防衛省・自衛隊の組織的隠蔽を容認した形になる。
https://this.kiji.is/260088924608626696?c=39546741839462401(キャプチャ)
記事には「2月」としか書かれていませんが、これに対し、今回の報告では(P.9~10) 下記のように書かれています。
※19
平成29年2月15日の事務次官室での打合せに先立つ2月13日に、統幕総括官及び陸幕副長が、防衛大臣に対し、陸自における日報の取扱いについて説明したことがあったが、その際のやり取りの中で、陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。また、防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった。
さらに、平成29年2月15日の事務次官室での打合せ後に、事務次官、陸幕長、大臣官房長、統幕総括官が、防衛大臣に対し、陸自における日報の情報公開業務の流れ等について説明した際に、陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。また、防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった。
2段落目の赤字部分により否定されています。
となると、「複数の政府関係者が18日、明らかにした。」の「政府関係者」とは一体誰なのでしょうか?(机がしゃべった?)
2月の会議に関するFNNの“手書きメモ”報道(2017/07/25 11:42)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00365230.html
【テキスト部分引用】
稲田氏への「報告」示す直筆メモを入手
FNNが入手した、防衛省幹部の手書きのメモ。2017年2月、稲田防衛相らが、南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)の日報をめぐる問題について、大臣室で協議した際のやり取りを記したもの。このメモには、陸上自衛隊No.2の湯浅陸幕副長、そして、稲田防衛相を示す「大臣」という文字が書かれている。
陸自には存在しないとされていた日報が、実際には残っていたと説明を受けた稲田防衛相は、「明日なんて答えよう」などと話し、これまで報告を受けていないとしていた稲田防衛相の説明と食い違う内容が、ここには記されている。
FNNが入手した、このメモによると、2月13日に、防衛省の大臣室で、稲田防衛相が陸自No.2の湯浅陸幕副長など、幹部数人から報告を受けた際のやり取りが、つぶさに記録されている。
メモでは、稲田防衛相が、南スーダンの首都ジュバで、大規模な武力衝突があった時期に触れ、「7月7日から12日の日報が残っていたのか」と問いただし、湯浅氏が、「紙はないかとしか確認しなかった。データはあったかというと、あった」などと回答したことが記されている。
また、日報のデータが削除されずに残っていたことを知った稲田防衛相が、「明日なんて答えよう。今までは両方破棄したと答えているのか」と幹部に確認した記述もあり、稲田防衛相が陸自の日報データの存在を認識し、自らが隠蔽(いんぺい)に関与したことを強くうかがわせる内容になっている。
2月13日に湯浅陸幕副長が「データはあったかというと、あった」とデータがあることを報告し、稲田大臣が「明日なんて答えよう」と発言、15日は黒江事務次官が「(一度ないということにしたのだから)なかったものをあると説明するのは難しい」と発言したのに対し、大臣が「いつまでこの件を黙っておくのか」と隠蔽了承したような発言をした、とされるスクープ(?)です。
これに関し、プライムニュースで佐藤正久参議院議員は、“仮に、この手書きメモが事実であったら”と仮定した上で、
- 稲田大臣は否定まではしていないが、記憶がないと言うことに基づいて「報告を受けていない」と発言。
- 監察の結果では、了承したことはなかった。
- 「FNNのメモが捏造か」という記者会見での質問に対して、「分からない」
という事実を述べ、翌日の14日は衆院予算委員会・集中審議があり、その準備でかなりの事前説明や想定問答集をレクチャーされるので、報告が重要でないと思ったら記憶に残らない可能性があり得ると述べました。
織田・元空将は、このメモを見て素朴に思うのは、と前置きして、メモの不自然さを指摘しました。
手書きメモの不自然さ
まず、実際のメモの画像を提示します。
織田氏が言うには、メモ取りは、普通はミミズのような字で書き殴って、後でPC(ワープロソフト)で清書するということ、(楽屋で佐藤氏から聞いたこととして)最近はテープレコーダーに録音してテープに起こすなら、直接PCに清書するということでした。(暗に不自然すぎると言っています。)
ブログ主は、あらためてこのメモの画像をネットで探して見たのですが、織田氏に同感です。実際、仕事で何度も議事録のためのメモを取りましたが、発言をなるべく忠実に記録しようとすると、例えば「大臣」などと書くのは面倒なので「大」で表したりします。下から4行目に「佐藤君にも」という記述がありますが、「君」などと書くでしょうか...?
何より違和感を覚えたのは、上の画像の3行目、「(辰巳)(堺) 指揮官による」という記述です。
これは、辰巳氏と堺氏2人の発言が終わらないと書けないはずで、辰巳氏の発言、堺氏の発言は別の行に書くのが自然でしょう。
また、このように、発言の要旨(エッセンス)だけを即座に書けるとは思えません。普通は何を言い出すか分からないので、耳に入った言葉をできるだけ全文書き記そうとするはずです。
だから、織田氏も「このメモを取った人物は優秀だな~」とチクリと仰ったのでしょう。
ブログ主の感覚では、少なくとも、このメモの元になったメモがないと、このように書けません。
下はメモの見開きページの全体画像ですが、きれいすぎます。
これもまた、『加計学園問題』における文科省の牧野メモ、獣医師政治連盟のメモ同様、流出させることを前提にまとめたものではないでしょうか。議事録として効力を持つのは、出席者の了解を得たものでないとならないというのも常識です。
下は、このメモに関してプライムニュースで使ったフリップです。
上の部分(報告した、報告なし)にそれぞれ複数の証言があると書いてあり、多分これはFNNの取材によるもの、つまり、手書きメモをの流出元の人物からの情報か、そうでないのなら、同席した人物を特定してしゅざいしたことになるのでしょうか。
佐藤氏によると、このような大臣に対するレク(レクチャー)にはせいぜい5名くらいしか同席しないそうです。
となると、2対3とか2対2くらいで分かれていることになります。
また、手書きメモの作者はその場にいた数人の中の1人となり、内部でも特定もされてそうな気がします。
なお、プライムニュースのサイトでは『ハイライトムービー』として2時間弱の番組を45分くらいにまとめたダイジェストが観られるので、この部分を確認したところ、
この手書きメモに対する織田氏の所見は丸々カット
されていました。
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