【加計学園問題】6月23日 前川喜平前事務次官記者会見(フルバージョン動画)を観て
本日(2017/06/23)夕方、前川喜平前事務次官の会見がありました。
会見動画は1時56分程です。
会見の模様はいくつかのサイトで視聴することができます。例えば、下記のサイトです。
- 【ノーカット】前川喜平前文部科学事務次官 記者会見 6月23日 (毎日新聞)
- 「加計文書」前川喜平前文科次官 記者会見 配信日時 2017年06月23日(金) 16:45~18:15 (日経チャンネル)
会見の構成は、最初は前川氏の心境や主張(~32分)、次に司会からのインタビュー(~1時07分)、最後に出席している各メディアからの質疑と応答です。
新事実は特になく、最も知りたい、今回流出した文書の出所に関しては、質問されましたが回答を拒否していました。
他の質問についてはたとえ詭弁であろうとも回答していたのに、知らないならそう答えればいいものを答えられないと言うことは、ほとんど自らが関わっていることを白状しているも同然だと思うのですが。
主張は例によって「行政が歪められた」ということが主で、それ以外には、出会い系バー通いを報じた読売新聞への不満、それをリークしたのは官邸であるという想像を前提として、政府によるメディアコントロールを非難していました。
政府にメディアコントロールができるのなら、メディアの恣意的な偏向報道はなんなのだ?と思いますが...
司会者とのインタビューはほとんど聴く価値はありません。
これまでに出てきた文書を、一部は見たことがないと言いつつ、全て想像と憶測で内容を延々と解説していたからです。司会者まで邪推(←本人の言)で語り出す始末です。尤も、司会は毎日新聞の倉重篤郎氏なので、どの方向に誘導しているかは推して知るべしというところですが。
文書について語るときも「~だと思う」ばかりで、事務次官時代になにも検証していなかった証拠ですし、また、「行政が歪められた」と感じるなら、なぜ、直接確認するなり、反論するなりしなかったのでしょう。本人は抵抗しても無駄だと思ったと言っていましたが、単なる職務怠慢で、今更何を言っているのでしょう。
この夜のBSフジ・プライムニュースでは冒頭に『緊急検証「前川前次官会見」加計学園問題“新事実”は?』というテーマで、今日の会見を振り返りつつ、政治評論家の田崎史郎氏とキャスターの反町理氏が語っていたので、そこから追記します。
会見の中で、前川前事務次官は「和泉洋人内閣総理大臣補佐官が全体のシナリオを書いている」と、ターゲットを萩生田官房副長官から和泉補佐官に変えたように感じましたが、番組の中で面白い事実(下)を田崎氏が指摘していました。
和泉補佐官は建設官僚で、規制緩和を進める側で先頭に立ってた人。実は、前川氏を事務次官にする際、官邸内部でそれに反対していた。前川は知っていた可能性がある。また、新国立競技場(※)もやっていた人で、中心にいたことはいた。
※ブログ主註: 新国立競技場予定地の解体工事の段階でトラブルが発生し、内閣府は文科省を担当から外し、その後の尻ぬぐいをしたのが和泉補佐官だそうです。
『前川喜平前次官と和泉洋人首相補佐官の対立浮かび上がる 2年前の「新国立競技場」撤回騒動が火種?』
http://www.sankei.com/politics/news/170616/plt1706160052-n2.html
【追記】以下、かなり長くなりますが、記者との質疑応答の内容をメモしたので、転記します。
■産経新聞(ヒロイケ)
「総理のご意向」などと書かれた文書は前川さんが流したのか。行政が歪められたと発言しているが、文科省の歴代幹部が長年天下りをしていた実態を承知していて、なぜ声を上げなかったのか?
-情報の流出元についてはコメントしません。
天下り(再就職規制違反)の発端になった吉田局長の早稲田大学への天下りについては、人事課から報告を受けるまで知らなかった。その他の事例については違法だとは承知していなかった。再就職等監視委員会からの指摘を受けて初めて認識したので、知っていたのに是正しなかったというのは当たらない。
■共同通信(スナミ)
キーパーソンは和泉首相補佐官とのことだが、和泉補佐官は否定している(記憶にない)、言った言わないの話になっている。証明できるメモや録音はないのか?
-ない
■NHK(アラカワ)
獣医学部新設のプロセスについて、農水省のせいにして文科省は被害者だと言っている。文科省としてできることはなかったのか?トップとしてやるべきことはなかったのか?
-もっとできることはあっただろう。しかし、やっても結果は同じだったろう。
11月9日の国家戦略特区諮問会議において今治市に獣医学部が作られることが決定した。文科省側も既に10日前くらいから“敗戦処理的”だった。(ブログ主註:後はどう終わらせるか、という意味らしい。)
■朝日新聞(カガミ)
閣議決定の4条件 作りたい側が需要を証明して下さいとなっていたが、
民間議員(ワーキンググループ委員)は規制している側が証明という、挙証責任が180度違うことを言っている。どちらが正当性があるのか?
-そんな議論は不毛 お互いが協力し合って考えるべきだと思ってる。
確かに、諮問会議やワーキンググループではそういう議論のされ方だった。告示で制限しているのは文科省だと。確かにその通りだが、文科省として言えることは、多額の費用が必要な特定の分野の人材養成には、一定の計画性をもってするべき。意思であれば厚労省、獣医師であれば農水省、船舶職員であれば国土交通省と協議しながら長年やって来た。
複数の省庁で協力・検討しながらやるべきだった
文科省の立場としては、農水省がメインでやるべきだ 文科省に挙証責任とは乱暴なやりかただったと思う。
■フリー(省略)
■フジテレビ(ナカムラ)
キーパーソンは和泉さんと仰っていたが、文書には随所に萩生田副長官の名前が出てくる。文書以外で副長官の関与する出来事はあったか?
-ない
■デモクラシータイムス(ヤマダ)
5月21日に再度取材があり、和泉さんから話をしたいとは誰から?この2つの連動性は?
態度をあらためれば記事を差し止めるよ?という印象だったのか?
-読売は20日と21日にコンタクトがあったが21日は対応しなかった。
21日に文科相の後輩から「和泉さんが話をしたいと言ったら、応ずるつもりはあるか?」と言われたが、そのままにした。私の想像では、連動していることだと思う。「嫌なことを報道されたくなければ抑えてやってもいい」という話だろうと想像した。
■TBS(イイ)
義家文科副大臣は文書の存在をリークした職員に対して国家公務員法違反の可能性があると言った。これに関しては?
-善意に解釈すれば、副大臣は職員を萎縮させようと思っていったのではないと思う。答弁はペーパーを読み上げているだけだったので、事務方が作った文章だと想像する。上司の許可を得ずリークすることは守秘義務違反とは思わないから、自分ならああいう(義家副大臣が読み上げたような)ペーパーは作らない。守秘義務違反はより秘匿性の高い文書に対するもの。
■個人会員(省略)
■テレビ朝日(カワムラ)
10/21の文書で萩生田副長官が「何か問題があれば加計学園の渡辺事務局長を文科省に行かせるから」という文言があったが、どういう話を渡辺事務局長がされたのか?
-私には上がってきていなかった。
■TBSラジオ(タケダ)
まだ言っていない新しいネタはあるか?
-ない
■日経新聞(?)
出会い系バー通いを注意されたとき、前川さんが映った写真を提示されたか?
-ない
■西日本新聞(オオニシ)
11月上旬にはもう文科省は敗戦処理状態だと仰ったが、そうなった原因は現在の(自民)一強か?
-政対官ではなくて内閣府対文科省(ブログ主註:官対官)の問題。松野大臣も義家副大臣も悩まれた思う。最後は政治的判断だと思う。【追記】その政治的判断のきっかけは①(2016年)10月23日の福岡6区の補欠選挙(※)の結果であるとか、②萩生田副長官に文科省の側に立って調整して貰えないことでこれ以上の抵抗はできないというご判断が合ったのではないか。
※追記部分、特に赤字部分はメモをしていたが、意味がよく分からなかったので、最初書かなかったが、調べたら、①この補選鳩山邦夫元総務相の死去に伴うもので、自民党内が分裂して争った。
菅義偉官房長官が顧問を務める派閥横断グループ「きさらぎ会」が応援する次男の鳩山二郎氏が当選、麻生太郎副総理兼財務相や閣僚の一部が支援する蔵内謙氏が敗れた。蔵内氏は自民党福岡県連の会長で獣医師会会長の蔵内勇夫氏の長男。党の公認を得られなかったことに対する抗議として、会長を辞職。ここに文科省がどう関係するのかは不明(麻生氏=文教族?)だが、官邸vs.獣医師会(麻生氏)の間に因縁が生じた。
②は萩生田副長官への不満が文科省内にあったということか?
■産経新聞(オオシマ)
現職中、声を上げなかったのは、自分がやっても仕方なかったと言ったが、そう至った経緯は?また、それなら、なぜ終わった後に言い出したのか?
獣医師会の要請を受けて52年間も獣医学部を新設しないようにして既得権益を守ろうとして他のは文科省ではないかと捉えているが、その辺についてのご意見は?
-規制改革対既得権益という単純な図式ではない。私は規制改革反対ではないし、きちんとした議論がなされた上であればそれでいいと思っている。しかし、(今回は)特定の主体だけが恩恵を受けられることが行われたのではないか。そこを問題視している。自分ももっと関与すべきだったが、最後の判断は大臣なので結論は同じだったのではないかと思う。
■フジテレビ新報道2001(マエダ)
10/21の萩生田副長官の発言概要文書で、総理は平成30年開学と期限を切っていたとある、ところが二週間前、10/7付の萩生田産の発言概要には、平成30年4月開学は無理だ。とある この2週間の間で何が起きたのか。
10/17に和泉補佐官から呼ばれて早く決断を出せと言われています。同じ日に京都産業大学が21ページの資料を提出している。この辺りの動きと関係があるのか?
-分からない。
■???(ジンボ)
今回はたまたま文書が流出して明るみに出たが、他にも行政が歪められたことが合ったのではないかと思う。そういうことが起こる余地があるとすれば、今の政府のどこに問題があると思うか? あるいはこれは特殊なケースか?
-(一般論として)政府によって不正が行われることはどこの世でもあると思う。第三者のチェック機関が必要だ。
■東京新聞(望月衣塑子)
(ギャーギャー)我々メディアはどう闘ったらいいのか?
-頑張って下さいとしか言いようがない...(一同失笑)
加計孝太郎さんを早く捕まえて頂きたい。
(ブログ主註:この記者は、毎回、菅官房長官の記者会見でストーカーの如くしつこく質問するのですが、質問と言うよりは一方的な主張をしているだけです。彼女以外ではジャパンタイムスの記者もひどい)
■フジテレビ(タケウチ)
文科省も100%の説明責任を果たしていないと仰っていたが、どこでそう感じるのか?
-文科省の中ではまだまだこの件の文書があるはず。
官邸と文科省は蛇とカエルの関係だから、文科省(の大臣・副大臣は)はいいたいことを言えない。(言える範囲でしか言ってない)
■フジテレビ(ナカムラ)
野党が臨時国会の招集を求めていることに対しての与党の態度について。国会が開かれた場合、喚問に応じるつもりはあるか?
-国会の問題なので答える立場でないが、応じるつもり。
■共同通信(ヒラカワ)
成田市の医学部新設でも、同じく行政を歪められたと感じたか?
-(全体を統括する審議官や次官になる前の話で、当時は)高等教育にはほとんどタッチしていなかったので知らない。
■個人会員? (タケヤマ)
いつ頃から行政が歪められたと思ったのか?
-国家戦略特区における行政改革は主務官庁は内閣府で、獣医学部新設に関しては文科省は協議に預かる立場。最後は内閣府が決めて、最後のツケは文科省に来る立場。内閣府におけるプロセスに不正があったと思っている。文科省は言うべきことは言っていた。4条件に照らしてこれで委員ですか?と言っていたが最後は押し切られた。これを検証するなら内閣府に対してなされるべき。
■テレビ朝日(セガワ)
10/21に造られた課長補佐の文書に関し、内容に不正確なものがある。11/1に文科省から内閣府に出稿していた職員からの陰に隠れてご注進のメールと山本大臣から指摘された。これらはトカゲの尻尾切りじゃないかという指摘があるが、文科省のトップとしての立場で、どう思うか?
-想像の域を出ないが、情報発信者の信用を失わせることによって情報そのものの信用を失わせる意図だと思う。
課長補佐はしっかりした人物。嘘を書くとは思えない。主語が元々書いていない文書なので、はっきりしないが、誰かが発言したことは間違いないと思う。
メールに関しても不確かな情報を伝えてくるとは思えない。特に個人名が出されている部分に関しては確実性が高いのではないか。
最後に会見の前に書いてもらったという言葉を司会者が披露。
「個人の尊厳 国民主権」 これについて一言。
-38年間国家公務員をやって感じたのは、国家公務員は自分を捨てて滅私奉公するのではいけないのではないか。国家公務員である前に尊厳を持った個人である。
国家公務員である前に主権者である国民の一人である。その立場で、これはおかしいと思うことがあれば伝えていかなければならない。これを文科相の後輩に送りたい。(ブログ主註:なお、前川氏の座右の銘は「面従腹背」です。)
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コメント
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saboさん、コメント、ありがとうございました。
最初に、コメントが投稿できず、何度か投稿する手間をおかけしたことをお詫び致します。(気づかれたかと思いますが、設定したNGワードに引っかかってしまったためです。)
前川氏は「尊厳」などと言う言葉を使っていますが、やっていることは「逆恨み」にしか映りません。
もう少し追加したいのですが、もう一つ頂戴したコメントに続きを書きます。
投稿: 大師小ブログ主 | 2017/07/02 12:50
科学省も「もんじゅ」をはじめとした原子力関連で問題ばかりですが、それでも文部省よりはマシでしょうね
今回の最大の問題は既得権益(獣医学部設立の岩盤規制)ですからそれさえなくなれば新規参入勢力によってある程度、獣医師をとりまく問題は解決に動いていくと思うのですが、文科省の体質に関しては出口がみえません
前川氏の「国家公務員である前に尊厳を持った個人」発言にはどの口が言うってもんです
そりゃ公務員である前に人権が保障されるのは当たり前ですけど、天下り斡旋、出会い系バー通い、そのうえ四国の国民から獣医学部新設を邪魔するのも尊厳を守るためなんですかね
獣医を求める四国民の尊厳を犯しているとは思わないのか?
会見の最後に「今後は何をするつもりなのか?」という質問に「天下りはしないと思う」というジョークを飛ばすのも神経を疑います
前川氏のような人が事務次官にまで上り詰めてしまうことは問題なのだと文科省職員は知らねばなりません
https://youtu.be/RJrrhgDx2GM
買春の疑いまで出てきてますが、文科省には売春買春はどうしていけないのか、という善悪の区別から教えないといけない気がします
投稿: sabo | 2017/06/25 19:22
saboさん、コメント、ありがとうございました。
現在、矢面に立っているのは既に退任した前川前事務次官、それと名前は一般には伏せられていますが、一連の文書を作成した課長補佐、内閣府に出向していた職員ですが、文書を共有したりメールが送付された課長クラスは全て不満分子ですよね。
格下げして科学省の下に置いたらいいのに、と思います。
投稿: 大師小ブログ主 | 2017/06/24 18:33
この問題について一番分かりやすいブログですね!素晴らしいです!
ホント文科省は救いようがありません
地方創生担当大臣でありながら農林族としての保身を優先した石破茂氏や麻生太郎氏などには憤りを感じますし、エリートのエリートと呼ばれる財務省や経産省にしてもミスばかりおかして経済損失を国民におしつける。外務省、防衛省、厚労省も同じ。
しかし文科省はレベルが違う。仕事ができない以前に道徳心がありません
松野大臣も義家副大臣も文科省を庇っていたのに裏切ったのは文科省職員です
彼らに報告せず隠蔽しておきながらマスコミにリークしてたらそりゃ義家氏も怒って「守秘義務違反」と言いますよ
もっとも辞めた後に騒ぐ前川氏が元部下への影響を全く考えない自分勝手な行動している時点で文科省体質もわかるというもの
味方を信じず裏切る文科省が教育を監督していること自体矛盾してます
はっきり言ってヤクザの方がマシ
学校設立の許認可権だけでなく監督権も取り上げるべきです
投稿: sabo | 2017/06/24 09:57